白井浩司

白井 浩司（しらい こうじ、1917年10月19日 - 2004年11月1日）は、日本のフランス文学者。慶應義塾大学名誉教授。

人物

東京府生まれ。早川千吉郎の三男だが次男とともに白井秀の養子となり、白井姓を名乗る。暁星中学校を経て慶應義塾大学文学部仏文科卒。1942年NHK国際局海外放送フランス語班に勤務、1945年9月NHK退職。1947年慶應義塾大学予科講師、サルトルの『嘔吐』を翻訳し、実存主義ブームのきっかけを作り、その後もカミュ、ロブ＝グリエなどを翻訳紹介。1958年慶應義塾大学文学部教授。1966年第2回辰野隆賞受賞、1976年フランス政府より教育功労章授与。1978年『アルベール・カミュ その光と影』で読売文学賞受賞。1982年定年退任し名誉教授。1983年京都外国語大学教授。

1974年、日本ペンクラブ理事として訪韓した際、詩人・金芝河の逮捕に関し「金氏の逮捕は文学活動の弾圧ではない」と発言し論議を呼び、ペンクラブ理事を辞任。「新しい歴史教科書をつくる会」賛同者名簿にも名を連ねた。

著書

• 『小説の変貌 現代フランス作家をめぐって』白水社 1960
• 『入門フランス文学史』有信堂 1961、有信堂高文社 1978
• 『サルトルと知識人』日本経済新聞社（新書） 1966
• 『「サルトル」入門』講談社現代新書 1966
• 『純粋観客 現代フランス文学拾遺』大光社 1970
• 『アルベール・カミュ その光と影』講談社 1977
• 『サルトルとその時代』アートデイズ 2012

共著編

• 『久保田万太郎回想』佐藤朔・池田彌三郎共編 中央公論社 1964
• 『新・西洋故事物語－人生に力を与え、会話を豊かにする』（編著）日本文芸社 ダルマ・ブックス 1974

翻訳

• ジャン・ポオル・サルトル『嘔吐』青磁社 1947、人文書院 1951、改訳版1994
• 『サルトル全集 第1-3巻 自由への道』佐藤朔共訳、人文書院 1950-52
• ルイ・アラゴン『殉難者の証人』那須国男共訳 日本報道 1951
• 『サルトル全集 第7巻 汚れた手』人文書院 1951
• 『全面戦争か平和か エスプリ誌平和論特輯』月曜書房 1952
• アルベエル・カミュ『不条理と反抗』佐藤朔共訳 人文書院 1953
• ガエタン・ピコン『現代フランス文学の展望』三笠書房 1954
• アルベエル・カミュ『反抗的人間』佐藤朔共訳 新潮社 1956
• アルベール・チボーデ『小説の読者』ダヴィッド社 1957
• 『サルトル全集 第22巻 スターリンの亡霊』人文書院 1957
• サルトル『殉教と反抗』全2巻 平井啓之共訳 新潮社 1958 のち新潮文庫
  • 『サルトル全集 第34・35 聖ジュネ』平井啓之共訳 人文書院 1966
• ナタリー・サロート『不信の時代』紀伊国屋書店 1958
• アラン・ロブ＝グリエ『嫉妬』新潮社 1959
• ベルナール・パンゴー『囚人』新潮社 1960
• レイモン・クノー『人生の日曜日』世界文学全集 第23 集英社 1965
• クロード・エドモンド・マニー『現代フランス小説史』白水社 1965

佐藤朔,菅野昭正,望月芳郎,若林真,高畠正明,清水徹,渡辺一民共訳

• ジャン・ジュネ『黒んぼたち』現代フランス文学13人集 第1 新潮社 1965 のち全集
• クロード・シモン『草』現代フランス文学13人集 第4 新潮社 1966
• アラン・ロブ＝グリエ『スナップショット』永井旦共編 第三書房 1966
• フローベール『ボヴァリー夫人』旺文社文庫 1967
• マルグリット・デュラス『ロル・V.ステーンの歓喜』白水社 1967
• デュラス『静かな生活』世界文学全集 第46 講談社 1969 のち文庫
• フランソワ・モーリヤック『愛の砂漠』ノーベル賞文学全集 10　主婦の友社 1971
• スタンダール『恋愛論』旺文社文庫 1972
• アンリ・ボスコ『少年と川』小浜俊郎共訳 文林書院 1972
• ジャン・ジロドゥ『ベラ』世界文学全集 76 講談社 1979