照明

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Yatobi (会話 | 投稿記録) による 2012年5月28日 (月) 09:32個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎歴史: lk電灯)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

窓から零れる照明の光、夜桜のイルミネーション、灯籠の明かり。(三重県伊勢市のおはらい町

照明(しょうめい)は、各種光源を利用して、何らかの目的をもって特定の場所を明るくする行為や機能のこと。夜間や暗所での視環境を良くしたり、光を利用して空間のイメージに変化を加えるために用いられる事が多い。舞台や映画撮影、写真撮影ではライティングと呼ばれることが多い。そのために、照明をデザインする職業を照明デザイナーまたはライティングデザイナー撮影監督と呼ぶことも多い。

広義には自然光(太陽光月光)の利用も含めて照明と呼ぶが、より一般的には白熱電球蛍光灯ランプLEDなど、多種多様な照明器具が発する光(人工光)によるものを指す。カーテンブラインドによって外光を遮ったり、照明器具によって発せられる光の強さや方向を調節することを調光(ちょうこう)という。

照明方式

光源と作業面との関係で、次の3つに分類される。

直接照明
光源からの直接光で作業面を照らすもの。一番効率が良いが、照度が不均一になりやすく、まぶしさを感じて目が疲れやすい場合がある。
間接照明
光源からの直接光を使用せず、壁面・天井面などで反射させてから作業面を照らすもの。効率は悪くなるが、照度を均一にしやすく、雰囲気のある照明が可能である。
半間接照明
直接光と反射光を組み合わせて作業面を照らすもの。


また、作業面と室内の他の部分との関係で次の3つに分類される。

全般照明
室内全体を均一の照度になるように、一定の間隔で照明器具を配置するもの。
局部照明
作業に必要な部分のみ照明を行うもの。省エネルギーの効果があるが、照度が不均一になるため目が疲れやすくなる。
全般局部併用照明
全般照明と局部照明を併用するもの。

器具の種類

灯台(とうだい)
室内を照らす照明器具で、支柱の上に皿を乗せ、灯油を満たして紐状の灯心に火をつける。
灯籠(とうろう)
外部を明るくする為の照明。内部に蝋燭を入れ障子紙で火が消えないように工夫している。蝋燭の光が障子を通して外を照らす。昔の外灯。材質は木又は石
行灯(あんどん)
灯明の周囲を枠で囲み、障子紙を貼ったもの。主に室内で使用されるが看板として店の軒先に掛けたものもある。
提灯(ちょうちん)
竹ひごを筒状に組みその周囲に障子紙を張ったもの中に蝋燭が入っている。蝋燭の明かりが障子を通し外を照らす。夜にこれを持ちながら歩くと道中の明かり取りになる。家の前にかけておくと外灯にもなる。また使用しない時は上下から折り畳む事が出来る。周りに障子紙が貼られているので風で火が消えることはほとんどない。また上下に穴が空いて空気が通るため酸素不足で火が消えることもない。昔の懐中電灯で、現在実用として使われることはほとんどない。発展形として龕灯(木などで作られ背後に握りの付いた桶状の胴部を持ち、中の蝋燭立が常に正立する様仕組まれた、云わばサーチライト)がある。
ペンダントライト
部屋の天井からぶら下げるタイプの照明。
ブラケットライト
壁面に取り付けるタイプの照明。
ダウンライト
天井へ埋め込んで真下を照らす照明。天井面から壁面を斜めに照らすウォールウォッシャー型のタイプもある。
シーリングライト
天井面に直接付けるタイプの照明。
スポットライト
一部分を集中して照らす照明。
映像照明
映像業界で主に使われる照明。
サーチライト
特定の物を追いかけながら集中して照らす照明。
舞台用照明
ホリゾントライトなど詳しくは舞台照明の項を参照。
レーザー
発振源を高速で動かして、スクリーンやスモーク中にパターンを描く。
懐中電灯

など

器具の設置場所

家庭用室内照明
浴室用照明
湯気にさらされても大丈夫なように防湿設計になっている。
外部用照明
雨に濡れても大丈夫なように防雨設計になっている。庭園灯や外灯など。
店舗用照明
店舗の空間を演出する器具の意匠や配光になっている。
工場用照明
高天井やランプ交換しにくい天井などに取りつける照明で、ランニングコストを重視し演色性は重視されない事が多い。ランプは寿命の長い高圧放電灯を使うことが多い。
道路用照明
車道や歩道を明るくするための照明。ランニングコスト重視で演色性はあまり重視されない。意匠は環境にマッチしたものを使うことが多い。ランプは寿命の長い高圧放電灯を使うことが多い。
舞台用照明
舞台などで使用する照明でホリゾントライトライトなどカラーフィルムを使用した特殊器具などがある。
スポーツ施設用照明
あらゆる球技場で使用される屋外照明。意匠は施設にマッチしたものを使うことが多い。ランプは寿命の長い高輝度放電灯(主にメタルハライドランプ)を使うことが多く、演色性もある程度考慮される。競技中まぶしくなりにくいよう設置される。
手術室用照明
一般の照明の場合、施術時に施術者の手、器具類が、患者の患部などに影を落とし、施術の障害となる。そこで、設備の整った病院の手術場では、「手術用照明灯」(無影灯)が用いられる。

など

特殊用途の一般的呼称

  • 作業照明
  • ムード照明
  • 防犯照明
  • 景観照明

場所による分類

  • 屋内照明
  • 屋外照明
  • 水中照明

歴史

石器時代
たき火などで夜行性の肉食獣等の外敵から身を守った。
中世
かがり火松明ろうそく灯明行灯など)による照明が主流。提灯(ちょうちん)
近代化時代
ランプ(鯨油・石油)、ガス灯などに移行。
1870年代以降
電気が利用できるようになり、白熱電球など電気を利用した光源(電灯)の使用が始まる。
  • アーク灯:初期に利用されていたが寿命が短く、1880年代以降は使用されなくなった。
  • 蛍光灯1938年に実用化された。はじめは、高価だったため軍用のみに使用された。1950年代以降は一般家庭でも使用されるようになった。
1980年代以降
蛍光灯の他、施設や店舗用では発光効率の高いHIDランプなどが使用されるようになった。
2010年代以降
新たな照明として、施設や家庭などで白熱電球に比べて環境負荷が少なく発光効率の高い、LED照明が使用されるようになってきている[1]。また、将来的には有機EL照明の普及も予想される。

主な照明器具メーカー

下記分類は主に取り扱っている分野をもとに分けたものである。

一般照明

店舗・住宅用

特殊用途向

日本国外の主なメーカー

ギャラリー

注釈

  1. ^ 2000年代以降、地球温暖化防止の観点から環境負荷の低減が求められるようになり、照明においては白熱電球の使用制限などが各国で取り決められている。そのため白熱電球に変わる照明手法として蛍光灯の他、LED照明が注目を集めている。

関連項目

外部リンク