急性喉頭蓋炎
ウィキペディアは医学的助言を提供しません。免責事項もお読みください。 |
急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん、英: acute epiglottitis)は、喉頭蓋の細菌感染による上気道疾患である。重症例では急速に進行し、予期せぬ窒息を来たすことがある。[1]なお、単に喉頭蓋炎と言った場合もほとんどはこの急性喉頭蓋炎を指す。感冒との鑑別が困難なことが多い。
疫学
小児(2〜5歳程度)に多いが成人例も散見される。細菌感染が主である。インフルエンザ菌b(Hib)による症例が多く[2]、次いで肺炎球菌、溶連菌がみられる。 欧米諸国ではHibワクチンのため、小児のインフルエンザ菌による髄膜炎・喉頭蓋炎は減少している。ワクチンの効果を失った成人患者の割合が増加している。[3]
症状[4]
- 咽頭痛(sore throat)
- 嚥下痛(odynophagia, swallowing pain)
- 嚥下困難
- 流涎
- 発熱(fever)
- 構語障害 (dysphonia)
- 吸気性喘鳴 (stridor)
- 呼吸困難(dyspnea): 窒息にいたることもある[5]
- 嗄声(hoarse): いわゆる「しゃがれ声」「ハスキーボイス」
- 含み声: muffled voice,hot potato voiceとも呼ばれる、マフラーを巻いたような声。
検査
- 喉頭鏡: 直接喉頭蓋を確認できる。
- 頸部側面X線写真: 気道と喉頭蓋、頸部軟部組織の形態を評価する。X線写真上で肥大した喉頭蓋はthumb signと呼ばれる。
- クループとの鑑別のため頸部正面X線写真も参考となる。
-
thumb sign を呈した側面X線写真
-
左列は正常喉頭蓋とシェーマ。右列は喉頭蓋炎症例。
治療
- 抗生物質の投与。嚥下困難があるため、経静脈投与が主体となる。
- インフルエンザ菌bは、現在BLNARなどの耐性菌が増えている。生命にかかわる事態では、抗生物質が効かないことは許されないため、当初より第三世代セフェム系(ロセフィンなど)やニューキノロン系抗菌剤(クラビット注など)が投与される。
外部リンク
- http://ww3.tiki.ne.jp/~ogarin/page035.html
- http://hs.nakamoto-plan.co.jp/groups/naika/items/literature/epiglotittis.html
- http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1009990 New England Journal of Medicine
関連事項
- レミエール症候群
- 亜急性甲状腺炎
- 咽頭後壁膿瘍
- クループ
- ジョージ・ワシントン...急性喉頭蓋炎で亡くなったとの説がある。
引用・文献
- ^ INFECTION FRONT, 22: 33-35, 2011.
- ^ Khilanani U, et al: Am J Med Sci 287:65, 1984
- ^ http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1009990
- ^ 医療係争事例から学ぶ 54; 日医雑誌 138;9:1798-9.
- ^ http://ops.umin.ac.jp/ops/paper/051215aeml_data/pre98_11_3.html