太陽系外衛星

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太陽系外衛星(たいようけいがいえいせい、Extrasolar moonまたはexomoon)とは太陽系外惑星やその他の太陽系外天体の周囲を公転している衛星である。直接観測されたものはまだないが、そのような衛星はかなり普遍的に存在すると考えられている。しかし、現在の技術では直接観測することは極めて困難である[1]

褐色矮星を公転する衛星の定義

伝統的な用法では、衛星とは惑星の周囲を公転する天体のことであるが、褐色矮星の周囲に惑星程度の大きさの衛星が発見されると、惑星と衛星の違いが不鮮明になった。この問題を解決するために、国際天文学連合は、「恒星や恒星残骸の周囲を公転しており、真の質量重水素の熱核融合を行う限界質量以下である天体が惑星である」と宣言した[2]。熱核融合の限界質量は、太陽程度の金属量の天体で約13木星質量と計算されている。国際天文学連合の定義は、これ以下の質量の天体は、その形成の過程に関係なく惑星と呼ぶということを示していた。

特徴

太陽系外衛星はこれまで検出されたことがないため、その性質はまだ良く分かっていない。しかし、それらは太陽系の衛星のように変化に富んでいると考えられる。ハビタブルゾーンにある太陽系外の巨大惑星の回りの地球程度の大きさの衛星には生命が存在する可能性がある[3][4]

提案されている検出法

土星に似た太陽系外惑星の周りを公転する地球に似た太陽系外衛星の想像図

直接検出されている太陽系外衛星はまだないが、多くの太陽系外惑星の周囲で理論的に存在が推定されている[3]ドップラー分光計により多くの太陽系外惑星が発見されたが[5]、この技術では太陽系外衛星を検出することはできない。なぜなら、惑星と衛星の運動の影響による恒星のスペクトルのシフトは、恒星の回りの単一点の運動による影響と完全に一致するからである。そのため、太陽系外衛星を発見するための別の方法が、次のようにいくつか提案されてきた。

  • トランジットタイミング効果
  • 直接画像化
  • トランジット法
  • マイクロレンズ効果
  • 惑星のドップラー分光法
  • パルサータイミング法

出典

  1. ^ Kipping D. M. (2009). “Transit timing effects due to an exomoon”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 392 (3): 181–189. doi:10.1111/j.1365-2966.2008.13999.x. http://xxx.lanl.gov/abs/0810.2243. 
  2. ^ Position statement on the definition of a planet by the International International Astronomical Union”. International Astronomical Union (2008年11月12日). 2008年11月11日閲覧。
  3. ^ a b Canup, R. & Ward, W. (2006). “A common mass scaling relation for satellite systems of gaseous planets”. Nature 441 (7095): 834–839. doi:10.1038/nature04860. PMID 16778883. http://www.nature.com/nature/journal/v441/n7095/abs/nature04860.html. 
  4. ^ Extrasolar moon”. academic.ru (2008年8月30日). 2010年5月31日閲覧。
  5. ^ The Exoplanet Catalogue”. Jean Schneider (2008年11月11日). 2008年11月11日閲覧。

外部リンク