口内炎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。180.21.183.107 (会話) による 2016年2月14日 (日) 23:59個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎民間療法)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

口内炎
アフタ性口内炎
概要
診療科 消化器学
分類および外部参照情報
ICD-10 K12.0
ICD-9-CM 528.2
MedlinePlus 000998
eMedicine ent/700 derm/486 ped/2672
MeSH D013281

口内炎(こうないえん、Oral ulcer)とは、の中や粘膜に起きる炎症の総称である。症候の一つ。

分類

見た目からは「カタル性口内炎」、「アフタ性口内炎」、「潰瘍性口内炎」に分類される。また痛みの有無から有痛性口内炎無痛性口内炎に分類される。

細菌感染によるもの

ウイルス感染によるもの

アフタ性口内炎

一般的に「口内炎」と言えばこれを指すことが多い(Aphthous ulcer)。

その他

原因

上記分類の中にあるように細菌やウイルスに感染することによって発症するものもあるが、多くを占めるアフタ性口内炎についてはその発症の原因として以下のことが考えられている。ステロイドにより治癒が促進されることから、アラキドン酸代謝物の作用の亢進より最終的にアフタ性口内炎が形成されることは示唆されるが現在のところメカニズムについては正確には分かっていない。免疫学的異常が関わっているのではないかという説もある。

また、口内炎になりやすい体質の人(食物アレルギーの人や粘膜の薄い人)もいる。さらに、ビタミン欠乏症の症状として口内炎が現れることもある。なお、口内炎の原因として「食べ物の好き嫌いが多い」「胃腸粘膜が荒れている」という説があるが、これらが原因でないこともある。偏食並びに胃腸と口内炎とでは因果関係が認められない場合があるからである。

症状

アフタ性口内炎の患者(中央の白く変色した部分がアフタ)

代表的な「アフタ性口内炎」は口内粘膜に直径5ミリ程度の灰白色斑(アフタ)をつくり痛みを伴い、悪化すると滲み出るように出血する。通常は一週間程度で自然に完治するが、複数箇所に口内炎が発症する重度のものでは痛みのあまり摂食不能になることもある。また、口の中が清潔でない場合は口内炎の発症時に口臭を伴うこともある。なお口内炎はヒトだけでなく、イヌネコ等の動物にも発症する。

診断

無痛性口内炎は全身性エリテマトーデスを疑う。有痛性口内炎ではベーチェット病等が原因の事もあるがこれ単独ではアフタ性口内炎等との区別は難しく、基礎疾患が疑われる場合はその検査が必要である。

治療

基本的に歯科耳鼻咽喉科口腔外科で行う。また、皮膚科内科で治療してくれるところもある。ただし、全身的疾患に起因するものはその疾患の専門科による治療が第一である。

軟膏
ステロイド、もしくはムラサキから抽出されたシコンエキスなど、抗炎症薬を含む軟膏を患部に塗布する方法。アフタの部分を物理的刺激から軟膏の基剤で保護する意味もある。口腔用のデキサルチン軟膏が多い。
パッチ(貼り薬)
患部に、軟膏と同じく抗炎症薬を含んだパッチを貼る方法。軟膏と同様、アフタの保護も期待できる。
ビタミン剤
ビタミンBの不足が原因の口内炎を治療するときに用いられる。主に内服薬として処方するが、注射点滴などを用いて投与する場合もある。
硝酸銀
広く普及していたが毒性のある硝酸銀を用いる。場合によっては効果がないどころか逆に症状を悪化させてしまうこともあることから、現在ではこの治療方法は稀である。
レーザー治療
レーザー光を用いてアフタの部分を焼く方法。前述の硝酸銀を用いた治療よりも安全に患部を焼くことができる。
その他
上記にあげた治療法以外にも患部の洗浄やトローチなどを用いた治療法があり、上記の方法を2種類以上組み合わせることもある。

治療薬

口唇炎口角炎、口内炎などの主な治療薬。


民間療法

  • うがい薬などでうがいをする。口内炎は炎症の一種なので、歯磨きデンタルリンスで口をすすぐ事で口の中を清潔にするとある程度症状の改善を見込める[2]

脚注・出典

  1. ^ 浜田泰三、二川浩樹、デンチャープラークとオーラルヘルスケア 日本補綴歯科学会雑誌 Vol.45 (2001) No.5 P561-581
  2. ^ 口内炎スピード完治! (NHK、ためしてガッテン、2009年2月25日)

関連項目