ロレックス
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ロレックス(Rolex )は、
- 20世紀初頭にイギリスで創業されスイスに移転した時計メーカー
- 同社製品のブランド名
である。
概要
20世紀初頭に時計商社としてイギリスで創業したが、当時は時計関税が高額だったため以後漸次スイスに拠点を移し、その過程でメーカー化した。懐中時計が主流であった当時、早くから腕時計の利便性に着目し[1]、別会社である「オイスター社」が開発し、それまでの腕時計と比較して防水性が格段に高い「オイスターケース」を実用化、自動巻き機構「パーペチュアル機構」や日付が午前零時頃に一瞬で切り替わる「デイトジャスト機構」を発明、腕時計で初めてクロノメーターの認定を受けるなど実用的な機械式腕時計メーカーとして不動の地位を築き、今日に至っている。
全ての部品を自社製造しているマニュファクチュールであり、なおかつその大部分でクロノメーター認定を受けている[2]。
高級時計ブランドとして世界中で知名度を有しており、コピー商品・再生品(いわゆる偽ブランド品)が多いことでも知られる。これらの偽物・再生品は保証書がないものが多く、現在日本国内では正規代理店での保守・修理を受けられない。偽物の多さから偽ロレックスの収集家も存在するほどである。
高級時計としての知名度とイメージ、金無垢やコンビさらにはダイヤモンドなどの宝飾を使用することで高級感を出す手法を多用することなどから、日本国内では成金的なイメージを指摘する意見もある。
普及モデルとして『チュードル(Tudor )』というブランドが存在する。元々は元本国イギリスでの販売拡大を狙って発売されたもので、名前はイギリス王家の一つチューダー家にちなむ。トレードマークもチューダー家と同じ薔薇であり、初期のモデルは文字盤に薔薇が描かれている(現在は盾のマーク)。一時期日本でも販売されていたが、現在は正規代理店の取り扱いはない(但し、オーバーホールは日本ロレックスで受け付けてくれる)。汎用ムーヴメントであるエタ社製のムーブメントを使用し、ケースのみロレックス製のものを使用している。当初は本家ロレックスに似たモデルを多く販売していたが、現在は独自のデザインによるモデルを主に販売している。
略歴
ロレックス自身が正式に明らかにしていないのでよくわからない部分が多々ある。一般に知られるのは以下の通りである。
ウィルスドルフ&デイビス→ロレックス・ジュネーヴ
- 1881年3月22日 - 創業者ハンス・ウィルスドルフ(Hans Wilsdorf )がドイツのバイエルン州クルムバッハに誕生。
- 1900年 - ハンス・ウィルスドルフがスイスのラ・ショー=ド=フォンにあるクリオ・コンテンに入社、イギリスへ時計を輸出する仕事に就いた。
- 1903年 - ハンス・ウィルスドルフがイギリスのロンドンに移った[3]。
- 1905年 - ロンドンのハットンガーデン86番地に義兄弟デイビスとともにウィルスドルフ&デイビスを設立、当初は時計商社でありジャン・エグラーの機械を輸入して時計を製造販売した。
- 1907年 - スイスのラ・ショー=ド=フォン、レオポルド通りロバート9番地に事務所を開設。
- 1915年11月15日 - ウィルスドルフがドイツ風の名称であり1914年に始まった第一次世界大戦の影響からイギリス向けの輸出に支障があるためロレックス・ウォッチカンパニー'に社名変更した。
- 1920年1月27日 - スイスのジュネーヴ、マルシェ通り18番地にモントレ・ロレックス(Montres Rolex S.A. )設立。
- 1931年 - 技術部長のエミール・ボレが自動巻のパーペチュアル機構を発明。
- 1933年 - パーペチュアル機構の特許を取得。
- 1960年 - ハンス・ウィルスドルフ死去。
ジャン・エグラー→ロレックス・ビール
- 1878年 - 創業者ジャン・エグラー(Jean Aegler )がスイスのビールに時計製造工房を設立した。
- 1881年 - ビールのレープベルクに工場を建設しマニュファクチュールとなった。
- 1891年 - ジャン・エグラーが死去、妻のマリア・エグラーが跡を継ぎ、ジャンの子オットー・エグラーとヘルマン・エグラー兄弟が輔佐した。
- 1896年 - ヘルマン・エグラーがアンクル式脱進機を採用した小型エボーシュを作成した。
- 1902年 - アンクル式脱進機を搭載した女性用腕時計の量産を開始した。
- 1910年3月22日 - 腕時計として世界で初めてスイス時計製造協会のクロノメーター認定に合格。
- 1912年 - イギリス植民地への輸出業務をビールに移転。ジャン・エグラーがロレックス・ウォッチ・エグラーSA(Rolex Watch Co Aegler S.A. )に社名変更した。
- 1915年11月15日 - エグラーSA・ロレックス・ウォッチカンパニー'に社名変更した。
- 1914年 - 本社をスイスのビールに移転した。
- 1926年 - グリュエンへのムーブメント供給を始めた。
- 1936年 - マニュファクチュール・デ・モントレ・ロレックス・エグラーに社名変更し、ロレックス向けの専業となった。エミール・ボレが経営に参画した。
- 1944年 - へルマン・エグラーが死去、へルマン・エグラーの姪エマ・ローザの長男エミール・ボレが跡を継いだ。
- 1963年 - ロレックス・ビールとなった。
- 1967年 - エミール・ボレ死去、子のハリー・ボレが跡を継いだ。現在でもボレ家が経営し、ベルン州立銀行が信託を受けて監督している。
- 1972年 - グリュエンの工場を買収した。
ロレックス・ルロクル
- 1968年 - ロレックス・ジュネーヴとロレックス・ビールが共同で設立した。
ロレックス全般
- 1908年7月2日 - 欧州のどこの国の言葉で読んでも同じ発音になるように考えられた造語「ロレックス」をラ・ショー=ド=フォンで商標登録。
- 1926年 - 王冠のトレードマークを使い始める。
- 10月28日 - オイスターケースの特許を申請。
- 1927年 - この年からダイアル、ケース、ムーブメントの全てにロレックスの銘が入る。メルセデス・グライツが遠泳でドーバー海峡を横断、その際ロレックスオイスターを使用し世界の注目を集めた。
- 9月21日 - 捻じ込み式竜頭の特許を取得。
- 1943年 - この頃チュードルブランドが登場する。
- 1945年 - デイトジャスト機構の特許を取得。デイトジャストとデイトを発売。
- 1953年 - エクスプローラー(I)発売。サブマリーナー発売。
- 1954年 - GMTマスター発売。
- 1960年1月23日 - 特殊モデルがアメリカ海軍の深海潜水艇バチスカーフ、トリエステの外側に取り付けられ、世界一深いマリアナ海溝チャレンジャー海淵最深部に到達した。
- 1961年 - コスモグラフ・デイトナ発売。
- 1971年 - シードウェラー発売。エクスプローラーII発売。
- 1972年 - オイスタークォーツ発売。
- 1983年 - GMTマスターII発売。
- 1992年 - ヨットマスター発売。
- 2008年 - ディープシー発売。
- 2009年 - デイトジャストII発売。
- 2012年 - スカイドゥエラー発売予定。
秘密主義とデマ
ロレックスは営利企業ではあるが、「ハンス・ウィルスドルフ財団」という基金をベースにしている、日本で言うところの財団法人組織であって実態を公にする義務がなく、社内資料をほとんど公にはしていない(それでも、近年は以前と比べて格段に多くの情報が公開されるようにはなっている)。そのため、その人気と相俟って世間には多くのデマが流布している。以下はその一例。
- 「創業者はルース・ハイドフェルド」 - 英語サイトでは例外なく「ハンス・ウィルスドルフ」(Hans Wilsdorf )とされており、ルース・ハイドフェルド説を唱えているサイトは例外なく原語表記を併記していないことで明らかなようにこれは日本に限定して流布しているデマである。
- 「ロレックスは1908年にスイスに移った」 - この年はスイスで商標を初登録した年である。スイス移転は上記略歴のように単純に「何年」と言えるようなものではない。
- 「ラインホルト・メスナーがエベレスト単独無酸素登頂を達成した時にエクスプローラーIIを使用した」 - ロレックスがメスナーを使って宣伝した事実はあるし愛用はしたかも知れないが、実際にエベレスト単独無酸素登頂時に使用されたのはオイスタークォーツである。
- 「クォーツは試作のみで量産していない」 - 1970年代後半から1990年代にかけてオイスタークォーツを量産し、一時は生産の1割をクォーツが占めていた。また、現行モデルにおいてもドレスウォッチの「チェリーニ」シリーズにはクォーツモデルが存在する。
北米モデルについて
多くの時計ブランドと同じで、アメリカが自国時計産業保護を行っていた時期にはケースやムーブメント部品を輸出し、現地代理店と共同で組み立て工場を設立し、北米で生産をした[4]。
この時期のモデルは本国のものに比べてカラーバリエーションが豊富である。また、カナダのイートン百貨店とその代理店が資本的に深い結びつきを持っていたため、同百貨店の勤続25周年モデルやオリジナルブランド「ソーラー」の一部モデルを生産行っていた。文字盤にはロレックスの表記はなく「アクアキング」「ソーラー」「レーサー」等モデル名のみが書かれていたが、ケースやムーブメントにロレックスの物を使用していた[5]。
この様なモデルは他にも存在するが、代理店契約解消、時間の経過、イートン百貨店自体の身売り等様々な要因でその全容解明は非常に困難である。
一部ショップで「リダン」と偽ってダイヤル変造し、単なる一般モデルを「北米向け」と称して販売していたこともある。
製品一覧
ドレス系オイスターモデル
- バブルバック(Bubble Back ) - 自動巻の機械はローターが存在するためその草創期かなり厚さがあり、ぷっくりと泡状に膨らんだ形状の裏蓋を使用して収納しており、その形状からこう呼ばれていた。1930年代から1950年代の製品がこれに当てはまり、後には膨らみが小さくなったセミバブル形状になり、1960年代になると消滅した。
- カバード - バブルバックのベルト取り付け部をカバーしたモデルの俗称。フーデット、スカーデットとも称する。
- バイスロイ(Viceroy ) - 特徴的なケース形状のモデル。
- プレシジョン(Precision ) - 英語で「精密」の意味だが特に高精度の機械を搭載しているわけではない。ロレックスの場合、クロノメーターを取得していないモデルの場合にこの言葉を文字盤に記載する例があった。
- エアキング(Air-King ) - 時針分針秒針の三針式、直径34mm、ノンデイトで最もシンプルなモデル。長らくノンクロノメーターで廉価版モデルの位置づけであったが、現行モデルは全ての製品がクロノメーターの認定を受けている。ペットネームとしては1940年代から続く現在のロレックス最古のモデルで、ケースに素材にステンレスを用いているため、同社の製品の中でもっとも廉価なものである。
- エアキングデイト(Air-King Date ) - エアキングにカレンダーを装備したモデル。1950年代後半から1970年代頃迄販売されたが極めて数が少ない。
- オイスター・パーペチュアル・デイト(Oyster Perpetual Date 、1945年発売) - 三針式、直径34mmで、3時の位置に日付のあるモデル。前出のエアキングのデイト付に相当する。風防に日付を拡大するためのサイクロプスレンズがついている。現行モデルでは全ての製品がクロノメーターの認定を受けている。同様に日付を搭載するデイトジャストとの違いは、本来深夜12時を回ると瞬時に日付が変わる機構を搭載しているか否かによるものであったが、1970年代からデイトジャストと同様のキャリバーを搭載しているため、両者の違いはケースの大きさだけになった。ケースには主にステンレスが用いられるが、一部に貴金属を用いたモデルがある。
- オイスター・パーペチュアル(Oyster Perpetual) - 三針式、直径36mm。日付機能なし。後述のデイトジャストの日付なしモデルに相当する。現行モデルは全ての製品がクロノメーターの認定を受けている。
- デイトジャスト(Datejust 、1945年11月発売) - 午前0時を境に日付が一瞬で替わる「デイトジャスト機能」が有名だが、1957年にCal.1036を搭載するまで日付の瞬間切り替え機構は搭載していなかった。1970年代からオイスター・パーペチュアル・デイトも瞬間切り替えとなり差はなくなっている。ロレックスでは一番販売個数が多いフラッグシップモデルで、ロレックスが考案・もしくは改良した最新機構は優先してこのモデルに搭載されることが多く、防水性に優れた金属をくり抜いた「オイスターケース」、自動巻き機構である「パーペチュアル機能」、午前0時に日付が一瞬で替わる「デイトジャスト機能」を同時に搭載した初めての時計。三針式、3時の位置に日付のあるモデルで、直径36mm。ボーイズサイズ(直径31㎜)やレディースサイズ(直径26㎜)もある。サイクロプスレンズがついており、現行モデルはすべての製品がクロノメーターの認定を受けている。ケースはステンレスの他に、ホワイトゴールドやイエローゴールド、ピンクゴールド(ロレックスでは「エバーローズゴールド」と呼んでいる)等の貴金属も多く用いられる。文字盤のバリエーションもバータイプ、ローマ数字タイプ、ダイヤモンド入りタイプなど数多く、近年は花柄の文字盤も制作された。素材と文字盤の組み合わせは百種類以上にも及ぶ。現行Ref.116234他、Cal.3135。また1990年代まではクォーツ式の物も生産されていた(Ref.17013他、cal.5035)。自動巻き式とはケース(クオーツ式は角ばった形をしている)やブレスレットの形状が異なっている。
- デイトジャストII(Datejust II 、2009年発売) - デイトジャストのケース径を一回り大きい直径41mmとしたモデル。ムーヴメントに、「パラフレックス」と呼ばれる耐衝撃機構を搭載している。
- デイデイト(Daydate ) - 三針式、3時の位置に日付があり、12時の位置に曜日表示があるモデル。直径36mm。デイト、デイトジャストと同様に日付にはサイクロプスレンズがついている。ケース及びブレスレットにはすべて貴金属をもちいており、文字盤に宝石がはまっているモデルもあり同社の製品中で一般にもっとも高価なプレステージモデルである。デイトジャスト同様、僅かながらクォーツ式のモデルも存在する(Ref.19018他、cal.5055)。現行モデルはすべての製品がクロノメーターの認定を受けている。
- デイデイトII(Daydate II ) - デイデイトのケース径を一回り大きい直径41mmとしたモデル。
- スカイドゥエラー(Sky-Dweller ) - GMTマスターIIの上位機種で、GMT機能の他に年次カレンダーを装備している。ベゼルを回転させることによって時針・分針、GMT、カレンダーの操作を切り替えることができる。デイデイトと同様、貴金属モデルしか存在しない。
スポーツ系オイスターモデル
- ターノグラフ(Turn-O-Graph ) - 元々はデイトジャストの仲間で10分毎の記載のある両方向回転式ベゼルを持ち、現在のスポーツ系ロレックス一連のデザインの原型とも言えるモデル。ターノグラフ以前は「サンダーバード」という名前で呼ばれていた。
- エクスプローラーI(Explorer I 、1953年発売) - 三針式、日付なし、黒文字盤の同社のスポーツモデルのさきがけとなった製品。初期型はRef.6150。その後Ref.1016、Cal.1560、ハック機能付きのRef.1016、Cal.1570に移行し1989年に一旦製造中止となったが、翌1990年にRef.14270、Cal.3000として文字盤のデザインを一新して再発売され、2001年よりRef.114270、Cal.3130に移行し、2010年に現行モデルであるRef.214270、Cal.3132にモデルチェンジされた。直径39mmで、クロノメーター認定取得。エドモンド・ヒラリーのエベレスト初登頂時に用いられたとする資料が多いが、実際にその時使用されていたかどうかは定かではない。ヒラリーはその後広告に使われ、このモデルも探検家用モデルとして有名になった。後述する1960年頃の一部のモデルを除き蛍光塗料によって針や文字盤表示が塗られており、暗いところでも時間の確認が容易である。通常のモデルと同じデザインと素材でありながらノンクロノメーターを一回り小さなボーイズサイズケースに収めたモデルも極限られた市場向けに少数存在した。
- エクスプローラーデイト(Explorer Date 1960年頃北米市場限定発売) - 当時のエアキング及びパーペチュアルデイトに酷似したデザインの黒・白・金色文字盤でステンレスやコンビのケースを使用したカレンダー付きモデル。極少数だけ販売され、好事家に幻と言われるほど稀少である。ノンクロノメーター。
- エクスプローラーII(Explorer II 、1971年発売) - 時針分針秒針24時間針の四針式、3時の位置に日付のあるモデル。初期型はRef.1655、Cal.1575。1988年Ref.16550に、1991年Ref.16570、Cal.3185に、2011年にRef.1655のデザインに倣った最新型のRef.216570、Cal.3187に移行した。直径42ミリ。洞窟探検家用とされ、日光が遮られ昼夜の区別がつかない場所でも24時間針によって昼夜を判断できる。この24時間針は単独でも操作可能なため、第2時間帯を示すことができ、後述の「GMTマスターII」に近い機能を持つようになった。現行モデルではすべての製品がクロノメーターの認定を受けている。ラインホルト・メスナーが1980年にエベレスト単独無酸素登頂を達成した時に使われたとする資料が多いが、実際にこの時使われていたのはオイスタークォーツである。
- サブマリーナー(Submariner 、1953年発売) - 三針式、逆回転防止ベゼルを有するモデル。直径40mm。デイト機能付のもの(Ref.116610LN他)とデイト機能無(Ref.14060M)のものがあり、日付ありのものにはサイクロプスレンズがついている。素材でもステンレス製のもの、一部にゴールドを使ったコンビモデル、オールゴールドモデルなどバリエーションも豊富。潜水作業用の時計で防水性能が他のモデルと比べて高い(300m。サブマリーナ以外は大体100m防水)。初期製品はRef.6536、Cal.1030で100m防水であったがその後200mに強化され、現行モデルでは300m防水になっている。その後ノンデイト・ノンクロノメーターのRef.5513が約25年間製造されるロングセラーとなり、1962年にデイト付のRef.1680が登場。その後、Ref.16800、Ref.168000を経て、1989年にRef.16610、Cal.3135にモデルチェンジして、これも20年以上製造されるロングセラーモデルとなった。2010年に現行モデルとなるRef.116610LN、Cal.3135(パラクロムヒゲゼンマイ搭載型)にモデルチェンジした。逆回転防止ベゼルは逆時計周りにのみ操作可能なべぜルで、潜水作業中に残酸素時間を簡単に測定できるようになっている。現行モデルはノンデイト、デイトともにクロノメーター認定を受けている。ジェームス・ボンドが映画「007」シリーズの中で愛用していることでも有名で、現在のロレックス・スポーツモデルでの一番人気モデルとなっている。
- シードウェラー(Sea-Dweller 、1971年発売) - サブマリーナーの派生モデルでヘリウムガスを抜くためのバルブがケースの9時位置につき飽和潜水に対応している。初期型は防水性能610mのRef.1665、Cal.1575。直径40mm。三針式で回転ベゼルを有する。日付はあるが破損の危険性を減らすためサイクロプスレンズはついていない。1980年に防水能力が1220mのRef.16600、Cal.3135に移行したが後述のディープシーの発売により、2008年に生産が打ち切られた。すべての製品がクロノメーター認定を受けている。
- ディープシー(Deep-Sea 、2008年発売) - シードウェラーの防水性能を強化したモデル。Ref.116600。直径43mm。防水性能は3900m。サイズも大型化された。クロノメーター認定を受けている。デイト機能が搭載されているが、サイクロプスレンズは搭載されていない。
- オイスタークォーツ(Oyster Quartz 、1972年発売) - 1990年代まで販売されたクォーツモデルで、一時は生産の1割を占めていた。ラインホルト・メスナーが1980年にエベレスト単独無酸素登頂を達成した時に使われた。デイトジャストと比べ、角ばって厚みのあるケース形状をしており、ロレックス特有の「フラッシュフィット」を用いないブレスを採用している。
- GMTマスター(GMT Master 、1954年発売) - 時針分針秒針24時間針の四針式、昼夜を区別する特徴的な2色又は単色の両方向回転ベゼルを有するモデルで、当時世界最大の航空会社であったパンアメリカン航空の協力を得て共同開発された。初期型はRef.6542。3時の位置に日付があり、サイクロプスレンズがついている。すべての製品がクロノメーター認定を受けている。初期モデルのみ5気圧、以降現行モデルまで10気圧防水となっている。メイン時間帯を短針+文字盤、第2時間帯を24時間針+指定した時間帯に合わせてセットした回転ベゼルで同時に表示する。本来は航空用時計として開発され、非公式ながらNASAのアポロ計画の際一部米空軍出身の飛行士の私物として宇宙に行ったり、人類初の音速突破を果たしたパイロットチャック・イェーガー米空軍退役少将が現役当時からずっと愛用しているなど魅力的な逸話は多い。回転ベゼルにより他の時間帯の時間を容易に読めるため、仕事上時差の問題を抱えることの多い国際線旅客機のパイロットやビジネスマンにも使用されている。赤青ベゼルのモデルを石原裕次郎やチェ・ゲバラが愛用していたのはつとに有名である。2000年に生産終了。
- GMTマスターII(GMT Master II 、1983年発売) - GMTマスターの短針のみ1時間単位で動かす機能が追加された上位機種で第3の時間帯も容易に管理できるようになった。
- コスモグラフ・デイトナ(Cosmograph Daytona 、1961年発売) - ロレックスでは唯一のクロノグラフモデル。これ以前コスモグラフはムーンフェイズ機能を持つモデルの名称であった。「コスモグラフ」という名称が物語る通り当初はアメリカのアポロ計画のために作られたものだが、選定の際オメガの『スピードマスター』、ロンジンのクロノグラフモデルとNASA公認腕時計の座を争い、最終的にオメガ・スピードマスターに破れた。初期型はRef.6241、Cal.72B。以前はバルジュー(現エタ)の手巻きキャリバー72を改造したキャリバー72Bやキャリバー727を搭載していた。俗称「エキゾチック・ダイヤル[6]」と呼ばれたダイヤルデザインのモデルがポール・ニューマンに愛用され「ポール・ニューマン・モデル」とも呼ばれて1本約1000万円前後という高価格にて取引されている。1988年からゼニスとモバードが共同開発した『エル・プリメロ』を大幅に改造したCal.4030を積み自動巻き化されたRef.16520に、2000年には自社製自動巻キャリバーCal.4130となったRef.116520に移行した。ゴールドとのコンビモデルや金無垢モデル、ダイアモンドをちりばめたモデルなど種類は豊富。現行モデルはすべての製品がクロノメーター検定を受けている。タキメーターがベゼルに刻印されていることにより、カーレースの初速性能や工場での生産数を計りやすいという特徴を持っている。サーキットであるフロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイと関連すると思われるが命名の理由は明らかでない。しかしロレックスは1991年からデイトナ24時間レースのスポンサーとなり、優勝した旨を裏蓋に刻印したデイトナを優勝チームのドライバー3名+補欠1名に提供している。
- ヨットマスター(Yacht-Master 、1992年発売) - 回転式ベゼルを持ち、サブマリーナーのドレスアップ版としての位置づけを持つモデル。すべてのモデルに貴金属ケースや文字盤が採用されているが、防水性能は10気圧防水にとどまる。スポーツ系ロレックスのモデルでは唯一、メンズ、ボーイズ、レディースの3種類の大きさを持つモデル。
- ミルガウス(Milgauss ) - 三針式、日付機能無で、ケース内に収められた軟鉄製の帯磁ケースでムーヴメントを保護しており、1000ガウスの耐磁性能を備えたモデル(ミルガウスの『ミル』はフランス語で「1000」の意味)。初期型は稲妻形の秒針を備えRef.6541、Cal.1066。後に稲妻型の針は通常の直線針に変更され、1980年代末に一度生産が打ち切られたが、2008年に復活した。
ノンオイスターモデル
- プリンス(Prince ) - 1920年代から1930年代に販売された角形モデル。ケースは長方形で2ダイヤルを持ち上ダイヤルが時分を表示し下ダイヤルが秒を表示するいわゆるドクターズウォッチ。高精度の機械を積んでいる。近年復刻版Ref.5440を発売するが、ムーブメントは新設計のcal.7040を搭載している。現行版はクロノメーター認定取得。
- プリンセス(Princess ) - プリンスのレディース版。
- チェリーニ(Cellini ) - オイスターケースを使わず防水性がない薄型ドレスモデル。クォーツモデルもある。
- チェリニウム(Cellinium )- チェリーニのプラチナケースモデル。
- カメレオン - ベルトを簡単に交換できるレディースウォッチ。Cal.1400と呼ばれる非常に小型の手巻きムーブメントを搭載。現在は革ベルトのみの販売。
ボンド・ウォッチ
イアン・フレミング原作のスパイ小説「007」シリーズでは、主役のジェームズ・ボンドがロレックス・オイスターを愛用している。映画でも秘密兵器として『007 死ぬのは奴らだ』や『007 ゴールドフィンガー』等数々の作品にサブマリーナが登場しており、ボンド・ウォッチとして一部の収集家に人気がある。映画の中では数多くの改造が施された武器として使用されていることが多い。映画の中期以降はRef.5513が使われているが、それ以前は諸説あり、はっきりしていない。フレミング原作ではない現在の映画シリーズでは、ピアース・ブロスナンが主役に抜擢されてからはライバル会社であるオメガとスポンサー提携をしたため、同社の『シーマスター・プラネットオーシャン』を使用している。それ以外にもセイコーのTVウォッチ、ハミルトン・パルサー等が使用されたこともある。
オフィチーネ・パネライ
イタリアの軍用時計、オフィチーネ・パネライのラジオミールの機械とケースを製造・提供していた。他社の時計のためにロレックスがムーブメントやケースを公式に供給したのはこれ一例のみである。ただし上記のとおりアメリカの法的な事情により、北米支社が現地生産していた事例は存在する。
オイスターケース
オイスターケースの製造は、資本関係がない外部メーカーに生産委託をしている。ある日そのメーカーの工場に武装した強盗団が押し入り、多数のケースを強奪した。
当時、ロレックスの外部への生産委託についてスイスの時計業界では公然と囁かれていたものの、情報を公開しないロレックスの体質のため(いわゆる「ロレックス神話」)、世間では「ケースまで自社で生産している」と噂されていた。
なお、この強盗団のリーダーはスイスでも有数の名門高級時計ムーブメント企業ジャケ(現ラ・ジュウ・ペレ)の経営者の夫で、偽物を製作販売しようとして忍び込んで起こした事件である。この事件に関わった従業員は当時のジャケから全員が退職している。
脚注
- ^ 初期には懐中時計も生産した。
- ^ ただし元々スイスの時計産業は分業化が進んでおり、クオーツショック以前でも自社一貫生産をするメーカーのほうが少数派であった。
- ^ クリオ・コンテンによる異動とも言われるが定かではない。
- ^ セカンドライン参照。
- ^ ソーラー全てがロレックスに生産委託された物ではなくウィットナーが製作した物も存在する。
- ^ Ref.6239、Ref.6241、Ref.6262、Ref.6263、Ref.6264など。
外部リンク