ジキル博士とハイド氏
ジキル博士とハイド氏 The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde | ||
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初版の扉 | ||
著者 | ロバート・ルイス・スティーヴンソン | |
発行日 | 1886年1月 | |
国 | イギリス | |
言語 | 英語 | |
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『ジキル博士とハイド氏』(ジキルはかせとハイドし、原題:『ジキル博士とハイド氏の奇妙な物語』(The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde))は、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの代表的な小説の1つ。1885年に執筆され、翌1886年1月出版。通称はジキルとハイド。
スティーヴンソンは、最初に書いた原稿を妻に批判されたことからこれを焼き捨て、新たに3日で書き直したという(彼自身は、最初に書いてから出版まで10週間以内で終わったと語っている)。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
概要
二重人格を題材にした代表的な小説であるといわれる。そのため、解離性同一性障害(旧称・二重人格)の代名詞として、「ジキルとハイド」という語が使われる事もある。この作品では、ジキルが薬を飲むことによって性格、および容貌までも変化していることが特徴である。
なお、ハイド(hyde)という名前は、隠れる(hide)に掛けたものである。
話の冒頭には従兄弟のキャサリン・デ・マットス(Katherine De Mattos、1851年-1939年)への献辞と共にヒースの茂る荒野について歌った4行の詩が掲げられている。本文は、アターソンの回想という体裁を取る本編と、ジキルの告白の二部からなる(同様の作品には『緋色の研究』、『こゝろ』がある)。
あらすじ
ロンドン在住で、医学、法学の博士号を持つジキル博士の家にしばしば出入りする残酷な醜男ハイド氏。ジキル博士の友人であるアターソン弁護士は2人が異常に親密な関係である事に疑問を抱き、調査をしていく。そんな中、ハイドは殺人を犯してしまい、姿を消す。さらに、ジキルの友人ラニョンが奇妙な遺書を残して死去する。そして……。
登場人物
- ヘンリー・ジキル
- ロンドン在住で、医学、法学の博士号を持つ富裕な名士。
- エドワード・ハイド
- 一目見るだけで人を不快にさせる醜悪な容姿の小男。ジキルに援助を受けていること以外は正体不明。
- アターソン
- 弁護士。散歩仲間からハイドの事を聞き調査に乗り出す。
- ラニョン
- 医師。死ぬ数日前に衰弱した姿となってアターソンと会いその原因を記した遺書を託す。
ジキル博士のモデル
18世紀半ばのエジンバラの市議会議員で、石工ギルドの組合長をしていたウィリアム・ブロディー(William Brodie)がジキル博士のモデルとされる。 ウィリアム・ブロディーは昼間は実業家であったが、夜間は盗賊として18年間に数十件の盗みを働き、スコットランド間接税務局本部の襲撃計画が露見して1788年に処刑された人物であり、ロバート・ルイス・スティーブンソンとウィリアム・ヘンリーは、この事件をもとに戯曲「組合長ブロディー、もしくは二重生活」を書き、「ジキル博士とハイド氏」を書く2年前の1884年にロンドンのプリンス劇場で初演している。
日本語訳
- 『ジーキル博士とハイド氏』新潮文庫 新潮社 (翻訳:田中西二郎) ISBN 4102003010
- 『ジーキル博士とハイド氏』岩波文庫 岩波書店 (翻訳:海保眞夫) ISBN 4003224221
- 『ジーキル博士とハイド氏』岩波少年文庫 岩波書店 (翻訳:海保眞夫) ISBN 4001145529
- 『ジーキル博士とハイド氏』角川文庫 角川書店 (翻訳:大谷利彦) ISBN 4042114040
- 『ジキル博士とハイド氏』 講談社青い鳥文庫 講談社 (翻訳:加藤まさし) ISBN 4061485024
- 『ジキル博士とハイド氏』 世界名作文庫 ポプラ社 (翻訳:百々佑利子) ISBN 4591081079
- 『ジキル博士とハイド氏』 創元推理文庫 東京創元社 (翻訳:夏来健次) ISBN 4488590012
- 『ジーキル博士とハイド氏』 明治図書中学生文庫 明治図書出版 (翻訳:加藤知哉) ISBN 4186526060
- 『ジーキル博士とハイド氏』 恒文社 (翻訳:大佛次郎) ISBN 4770409303
- 『ジキル博士とハイド氏』 フォア文庫 岩崎書店 (翻訳:各務三郎) ISBN 4265010776
- 『ジーキル博士とハイド氏』 光文社古典新訳文庫 (翻訳:村上博基)ISBN 4334751954
映像化
- 狂へる悪魔(1920年)
- ジキル博士とハイド氏(1920年のアメリカ映画。チャールズ・J・ヘイドン脚本・監督)
- ジキル博士とハイド氏(1920年のドイツ映画、en:The Head of Janus)
- ジキル博士とハイド氏(1931年) - 主演のフレドリック・マーチがアカデミー主演男優賞を受賞。パラマウント映画製作だが後に版権がメトロ・ゴールドウィン・メイヤーに売却されている。
- ジキル博士とハイド氏(1941年) - スペンサー・トレイシー、イングリッド・バーグマン出演。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー製作。
- 怪奇!二つの顔の男(1971年のイギリス映画、en:I, Monster) - クリストファー・リー&ピーター・カッシング主演。
- ジキルとハイド(1973年の日本のテレビドラマ) - 丹波哲郎主演。
- ジキル博士はミス・ハイド(1995年)
- ジキル&ハイド(1996年) - ジュリア・ロバーツ、ジョン・マルコビッチ出演
- リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い(2003年)
- ヴァン・ヘルシング(2004年)
- ハイド(2005年)
- ジキル(2007年、BBC)
ラジオドラマ化
- ジキル博士とハイド氏(1932年) - ジキルの人生を幼年期から死まで描く英語ラジオドラマ。小説と違うところは多い。
関連作品
- ジキル&ハイド (1990) - 本項目作品をもとにしたミュージカル作品。
- リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン - アメコミ作品。ヘンリー・ジキルというキャラクターが登場。
- あべこべ物語(原題:Dr.Jekyll and Mr.Mouse) - トムとジェリー。ジェリーが劇薬を飲むと強くなり、トムは弱くなる。
- ジキルハイド - ドラえもん。弱い人が飲むと強くなり、狂暴な人が飲むと温厚になる薬。
- 名たんていカゲマン - 探偵ジキールと悪党ハイドマンという2つの人格を持った人物が登場。
- ジーキル博士の彷魔が刻 - ファミリーコンピュータ用のアクションゲーム
- キャメル (漫画) - 1975年(昭和50年)に週刊少年チャンピオンに連載された宮谷一彦の漫画。寺切拝人という人物が登場。未完に終わり、単行本化はされてない。
- バトルフィーバーJ-第39話「悪魔になった友」に神 誠の友人の関根直人を素体にしたハイド怪人が登場。吸血怪紳士とエイリアン (架空の生物)を彷彿させるデザインの怪人体に二段変身する。
外部リンク
- ジキルとハイド - Katokt訳による本文[リンク切れ]
- 『ジキルとハイド』katokt 訳:新字新仮名(青空文庫)[リンク切れ]
- IVC 淀川長治解説ページ
- 『ジーキル博士とハイド氏の怪事件』 佐々木直次郎 訳(青空文庫)