3扉車 (バス)

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3扉車の例(関東バス

3扉車(3とびらしゃ)は、前・中・後の3箇所に扉を設けた路線バス車両である。主に乗降時間の短縮を目的として製作された。

日本での導入

導入当初の3扉車は、当時主流だったツーステップバスであり、床面の構造上、後扉の設置が容易であったことから、乗降時間短縮のため、主に都市部の事業者で導入された。

3扉車の操作スイッチ(関東バス)

しかしその後、中扉ワイドドアのバスが登場し、前・中の2扉でも、中扉を両開き4枚折戸にすることである程度の乗降時間の短縮が可能であり、経済性からそちらに移行する事業者が増加した。

1990年代の国産低床路線バス黎明期には、3扉仕様のワンステップバスノンステップバスが登場しており、ワンステップバスは東京都交通局が、ノンステップバスは名古屋市交通局成田空港交通などが導入した。しかしノンステップバスでは足回りの部品が特殊な構造になるため車両単価の高騰につながること、座席数が2扉車に比べて減少することから受注が少なかった。その後は高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)が施行され、バリアフリー対応でバス車両の低床化が進んだことにより、現在ではほとんど製造されていないが、3扉車を導入した都市部のバス事業者からの移籍車として、地方のバス事業者が使用している例がある。ただしその例に於いては3扉車として使用しているとは限らず、東京から北海道へ渡った車両などは乗降口をひとつ閉鎖し、追加の暖房装置が設置されているケース等がある。

乗降にどの扉を使うかは事業者によって異なる。例えば、東京23区内に於いては運賃先払いの前乗りである点は各社共通であるが、西武バスは途中停留所の降車は中扉を常用し、後扉はターミナル及び終点でのみ解放するのが原則であったのに対し、同社と運行区間が重なる地域もある関東バスではこの逆で、途中停留所の降車は後扉を常用し中扉をターミナルおよび終点での解放としていた。後者が後扉を常用としていたのは、前後扉車にも言えることであるが、前乗り後降りの場合後輪より後ろにある後扉を常用の降車扉とする事で、降車した乗客を後輪で巻き込む事故のリスクを軽減できるほか、車内の動線が前から後へ向かう単純なものとなり、また乗車密度が均一になりやすいといった利点があるからである。近年路線バスで主流の一般的な前中扉車では、乗車して車両後部に移動しようとする乗客と車両後部から降車しようとする乗客の動線がぶつかるほか、降車したい乗客が中扉付近に留まることによって他の乗客の車両後部への移動が妨げられ、中扉より前のみ混雑しているという状況が発生する一因となっている。

導入した事業者

以下の事業者で導入された。特に関東バスは、1964年度から1995年度まで30年間の長きにわたり導入を続けたことで知られる。

また一部事業者では、前中扉と前後扉の車両を用いる地域間で車両を共有するため、3扉車を導入した事例もある。[どこ?]

3扉車が移籍した事業者

世界での導入事例

中国

北京のバス路線(北京公共交通集団)では2扉車と3扉車の2種類が運行されており、3扉車を利用する場合は中扉から乗車し、前扉または後扉から降車する。

シンガポール

シンガポールのバス路線では従来の2扉車に加えて、2021年1月より新たに3扉車が導入された[1]

ヨーロッパ諸国

フランスドイツなどヨーロッパ諸国では2扉車と3扉車の2種類が運行されている。

ギャラリー

脚注

  1. ^ シンガポールで3ドアの2階建てバスが1月末に運行開始、新型コロナ対策SingaLife

関連項目