麻婆豆腐

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
麻婆豆腐
各種表記
拼音 mápó dòufu
注音符号 ㄇㄚˊㄆㄛˊ ㄉㄡˋㄈ˙ㄨ
発音: マーポードウフ
テンプレートを表示
四川料理の麻婆豆腐。上にかけてある黒い粉が花椒。
香港の麻婆豆腐。日本と同じく辛さが抑えられている

麻婆豆腐(まーぼーどうふ、中国語 マーポードウフ)は中華料理四川料理)の1つで、挽肉赤唐辛子花椒(ホアジャオ、山椒の同属異種)・豆板醤(トウバンジャン、豆瓣醤)、トウチ豆豉)などを炒め、鶏がらスープを入れて豆腐を煮た料理。

概要[編集]

唐辛子の辛さである「辣味」(ラーウェイ)と花椒の痺れるような辛さである「麻味」(マーウェイ)を特徴とする。

日本では辛みを抑えるためか、材料の入手難からか、花椒を抜くことがある。また、抜かれていなくても本場の舌の痺れるほどの量をいれている店はほとんど存在しなかったが、近年の激辛ブームやグルメブームにより、本場四川省とほぼ同じレシピで作る店も登場しており、本場風の味付けと日本で一般的な味付けの両方を選べる店もある。

四川省では、花椒は粒で入れるほか、仕上げにも粉にひいたものを、表面が黒くなるほど大量に振りかける。「麻」(山椒の痺れるような辛味)と「辣」(唐辛子の辛味)のどちらが不足しても本場の麻婆豆腐にはならない。

「麻婆」(マーポー)とはあばたのあるおかみさんの意で、劉氏があばた面だったことに由来する。「麻婆」の中国語の発音は濁らないマーポー(mapo)で、マーボー(mabo)と濁って呼んでいるのは日本だけである。

また、日本では、麻婆茄子や麻婆春雨が派生料理のように扱われて普及しているが、本来はそれぞれ「魚香茄子」(ユーシアンチエズ)と「螞蟻上樹」(マーイーシャンシュ)という別の風味の四川料理で、麻婆豆腐とは関係ない。

歴史[編集]

同治帝の治世(1874年以降)に、成都の北郊外の万福橋で陳興盛飯舖を営む陳森富の妻劉氏が材料の乏しい中、有り合わせの材料で来客(労働者)向けに作ったのが最初とされる。陳劉氏の顏にはあばた(麻点)があったため、「陳麻婆」と呼ばれていたので、彼女が作る名物の豆腐料理も「陳麻婆豆腐」と呼ばれた。

当初の麻婆豆腐は、先に中華鍋菜種油を熱してから、唐辛子の粉と入れて辛みと香りを出してからオプションの牛肉とトウチを入れ、豆腐と水少量を入れて混ぜ、蒸らして味を吸わせてから、最後に花椒の粉を加えたという。

清の周詢は『芙蓉話旧録』に「北門の外に陳麻婆という者がおり、豆腐をうまく料理する,豆腐代に調味料と調理代を含めて、ひと碗の値段は八文。酒や飯も合わせて売っており、もし豚肉や牛肉を入れたければ、客が持参するか、代金を払って用意して貰うことも可。店の屋号は知る人が多くないが、陳麻婆と言えば知らない者はいない。そこまで町から4、5里(2km余り)あるが、食べに行く者は遠くても気にしない。」という内容を記している。

後に店の名前も「陳麻婆豆腐店」と呼ばれるようになり、この陳麻婆豆腐店は中華人民共和国成立後に一時期は国営企業となったが、現在も民間企業として成都に存在する。また、企業提携により近年日本にも店舗を出した。中国大陸では文化大革命以降に古い因習を打破するためと「麻辣豆腐」と改称するように提唱されたこともあるが、現在は「麻婆豆腐」と称する方が一般的である。

日本では四川省宜賓出身の料理人陳建民によって日本で受け入れられるようにアレンジされた上で、1970年代に店舗およびテレビの料理番組を通じて広められた。陳建民が出演したNHKの『きょうの料理』では濁らないマーポードウフと発音されていた。

肉やスープの素などの素材がレトルトパックされていて豆腐と水だけで作れる「麻婆豆腐の素」も日本で商品化され普及している。1971年(昭和46年)に丸美屋食品工業が「麻婆豆腐の素マボちゃん」を開発・商品化したのが最初で、その際、「マボ」と命名され、CMでマーボードウフとして発音されたことで、それまでに使われていたマーポーという発音は日本で使われなくなってしまった。他の食品メーカーからも相次いで発売されたが、読みも踏襲された。その後、香港台湾でも類似の商品が発売され、中国にも類似の商品がある。本場成都の陳麻婆豆腐店も激辛のレトルトパック調味料を販売しており、日本にも輸入されている。2004年頃より、前述の丸美屋食品工業からもコンビニエンスストア(主としてサークルKサンクス)限定で陳麻婆豆腐(具入り)が発売されている。

近年では本場風に郫県豆板醤を使用して花椒を強く効かせたものを「四川麻婆豆腐」または「陳麻婆豆腐」と称し、陳建民が日本人向けにアレンジした「麻婆豆腐」と区別する傾向があり、2003年頃からは汐留シティセンター1階に出店した聘珍樓茶寮(2005年閉店)などの老舗や大手、新参の中華料理店が挙って本場四川風の麻婆豆腐に力を入れるようになり、麻婆豆腐専門店も登場している。一方、大衆的な店舗では丼飯の上にこれをかけ、麻婆丼の名で提供している。

日本式の作り方(4人分)[編集]

  1. 生姜10gとニンニク(大蒜)10gをみじん切りにしておく。
  2. ネギまたはわけぎ50gほどを、小口切りにする。
  3. 中華鍋で多めのサラダ油を熱して、赤唐辛子は1本(小)と花椒を数個入れ、油に香り移しする。
  4. 赤唐辛子を鍋から出し種を取って輪切りにする。花椒は擦っておく。
  5. 木綿豆腐2丁(600gほど)を約2分間湯通ししたあと、水気を切って1.5cm角に切る。
  6. 中華鍋で牛または豚の挽肉(約200g)を色が変わるまでしっかりと炒めた後、1.と豆板醤(大さじ1と半分)を加えて香りが出るまで炒める。
  7. 青ねぎは2.の半分量を入れて炒める。
  8. 砂糖(小さじ1杯)、醤油(大さじ1杯)、オイスターソース(カキ油。大さじ1杯)、紹興酒(大さじ1杯)を加え、挽き肉と満遍なく馴染んだらカップ1杯の鶏がらスープと豆腐を加えて軽く煮る。
  9. 片栗粉(大さじ半分)を水溶きして加え、ごま油を鍋肌から加えて、サッと煮る。
  10. 器に盛り、2.の青ねぎの残りと粉花椒(少々)を散らす。

トウチの代用に八丁味噌等を加えることもあるが、これは陳建民の発案である。甜麺醤を加える場合もある。

四川式の作り方(2人前)[編集]

  1. まず豆腐1丁(木綿)を2cm弱のサイコロに切り、2分ほど塩茹でする(煮崩れ防止と歯ごたえ向上のため)。
  2. 合わせ調味料を作る。豆鼓(トウチ)小匙1(好みに応じてみじん切り)、ニンニク(大蒜)みじん切り大匙2、四川産唐辛子の粉大匙1杯から2杯(日本産の時は辛味が強いので大匙1杯に減らす) 、醤油小匙1、中国酒大匙1、味の素少々、甜麺醤大匙1、胡椒砂糖一つまみを混ぜておく。
  3. 中華鍋ごま油大匙2を強火で熱し、豆板醤大匙1と半分を香りが立つまで炒める。※参照
  4. 香りが出たら牛挽肉100gを入れ、ぱらぱらになるまで炒める。 より拘るなら、牛肉100gを1cm角に刻んだものをカリカリになるまで炒める。
  5. 2.の合わせ調味料を入れて肉を調味して少し炒めた後に、鶏がらスープ180ccを注ぐ。
  6. ニンニクの芽(葉大蒜)40gを1cmの斜め切りにして加え、1.の豆腐を加える。
  7. 豆腐を加えたら弱火にして、2分弱煮込む。
  8. 水溶き片栗粉を加えて強火にしてとろみを付け、ラー油大匙3杯と花椒油(花椒10gをサラダ油250mlで30分ほど弱火で煮出したもの)大匙1杯を回しかけて一混ぜし、火を止める。
  9. 器に盛り、花椒の粉(できれば四川山椒)を大匙3杯振りかける。


脚注[編集]


関連項目[編集]