通貨の補助単位

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通貨の補助単位(つうかのほじょたんい)とは、各国の通貨の取引において、1通貨単位未満の金額や、多額の金額を、簡単な数字で表すために使われる単位である。現在ではそのほとんどが1通貨単位の100分の1である。硬貨により流通することが多いが、補助単位の価値が日常取り引きされる金額の最小単位より小さい場合には、この補助単位は用いられないこともある。

例えば、日本の補助単位はであるが、現在、1銭硬貨や10銭硬貨などは流通していない。これは1953年小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律によって1953年12月31日を最後に1円未満の通貨の通用は廃止したためである。ただし、現在においても為替日経平均株価の表示には銭が使われているため、ニュース等ではなじみのある単位となっている。

通貨の補助単位の表記[編集]

日本の3円80銭切手1948年発行)このように補助単位部分に下線が引かれている
  • 通貨単位と補助単位を書く。(単位は略号を用いることもある)
例:12円38銭、1Bs 50ctv
  • 小数を用いる。(小数点は国により異なる)
例:12.38円、1,50Bs
  • 上付き文字を用いる。
例:1238円、Bs 150
  • 補助単位部分には1238のように下線または二重下線を引くこともある。

主な通貨と補助単位の対応[編集]

通貨 補助単位
(特記のないものは1/100)
(1/1000)
角(1/10)、
ウォン(圓) チョン(錢,銭)
ドン(銅) ハオ(毫)(1/10)、シュウ(枢)
庫平両(銀両)( 銭(1/10)、分
江戸時代[1] (1/4)、(1/16)、一文(1/1000)
銀匁(江戸時代)[2] (1/10)、(倍数単位:1000匁)、枚(倍数単位:43匁)、(御定相場では1匁=1/50両および1/60両、両替相場により変動)
(江戸時代) 貫文(倍数単位:1000文または960文、両替相場により1/4両から1/10両)、(御定相場では1文=1/4000両、両替相場により1文=1/4000両から1/10000両で変動)
両(甲州金 分(1/4)、朱(1/16)、朱中(1/32)、糸目(1/64)、小糸目(1/128)、小糸目中(1/256)
ドル
ユーロ
シリング
ランド
ルピースリランカ
セント
ドルアメリカ合衆国 ダイム(1/10)セントミル(1/1000)
ペソ
レアル
ボリビアーノ
メティカル
センターボ
ソル センティモ
ポンドイギリス ペニー
1971年まではシリング(1/20)、ペニー(1/240)、ギニー(21/20)
フラン
ディルハムモロッコ
サンチーム
スイス・フラン ラッペン(ラップ、サンチーム、チェンテージモ)
チェコ・コルナ ハレル
クローネ オーレ
フォリント フィレール
リアルイラン ディナール
ポンドエジプト[注釈 1]シリア ピアストル[注釈 2]
リライタリア チェンテージモ
リラトルコ クルシュ
リラマルタ セントミル(1/1000)
ディナール フィルス
ルピーインド
タカ
パイサ
ルピア
リンギット
セン
バーツ サタン
ディルハムUAE フィルス
チャット ピャー
ルフィヤ ラーリ
アフガニ プル
(旧)マルク ペニヒ
ルーブル コペイカ
パタカ アヴォス

これらの他にもユーロなど国、言語によって呼び名が変わるもの、複数の呼び名がある物がある。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ポンドは現地ではギネーの語を単位に用いる。
  2. ^ ピアストルは現地ではクルシュの語を単位に用いる。

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 三上隆三『江戸の貨幣物語』東洋経済新報社、1996年。ISBN 978-4-492-37082-7 
  • 田谷博吉『近世銀座の研究』吉川弘文館、1963年。ISBN 978-4-6420-3029-8 

関連項目[編集]