高橋史朗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
親学から転送)
移動: 案内検索

高橋 史朗(たかはし しろう、1950年 - )は、日本の保守派の教育学者明星大学教授・大学院教育学専攻主任。一般財団法人親学推進協会理事長。

専攻は占領下日本教育史だったが、その後感性教育臨床教育学ホリスティック教育学、「親学」を推進している。現在は、家庭の教育力が低下・崩壊の危機に瀕しているなどと主張し、まず親が子育ての方法を学ぶという「親学」の概念を提唱、親学推進議員連盟にも提言を行なっている。鼻の下と口元と頬にのばしたが特徴的である。生長の家信者[1]

経歴[編集]

兵庫県龍野市(現・たつの市)出身。兵庫県立龍野高等学校卒業。早稲田大学大学院文学研究科教育学専攻修士課程修了後、スタンフォード大学フーバー研究所で米国の教育政策を研究。福岡県では、1990年4月明星大学教授。玉川大学大学院講師兼任。

主張[編集]

日本教職員組合を敵視し、日教組が中心となった学校教育に憂慮を抱き、日教組が否定的に捉えていた戦前や祖父母世代の教育や文化を再評価している。また、「行き過ぎた」(と高橋が考える)子どもの自由主義、「行き過ぎた」(と高橋の考える)男女共同参画や選択的夫婦別姓に疑問を呈し、学校における現在の性教育については、行き過ぎていて「性器教育に走っている」などと主張している。さらに、「戦後教育ですすめられた男女差別の解消はGHQによる日本人の精神的武装解除だ」などとも主張している[2]。高橋のこれらの活動に関しては、女性団体等からは、「高橋氏はジェンダーへのバッシングの急先鋒(せんぽう)」といった指摘がある[3]

児童の発達障害は治療可能であるとしており[4]、独自の「脳科学」を論拠に講演や出版[5]を行なっているが、発達障害や脳科学に関する専門の学会において査読を経た学会論文はなく、もっぱら一般人向けの出版や講演が中心であり、内容に関しては疑似科学的・非科学的であるとの指摘がある。ゆとり教育による基礎学力低下や、教師の指導力低下、親や家庭の教育力低下など、現在の教育・保育の現場における問題を指摘し、神奈川県などで実際に不登校対策の責任者として活動した。

批判[編集]

親学に関しては、非科学的であり、障害者への差別・誤解を生むものだ、という指摘があり[6]、批判を受けている。特に、発達障害が伝統教育で治療可能であるという主張は、ゲーム脳などと同様に何ら科学的根拠はないか、むしろ明確に否定されている疑似科学である。ただ、その内容が保守層の政治的信条に近いこともあり、大阪市では大阪維新の会は「家庭教育支援条例」案を提出した際に高橋の助言を受けて条文を検討、作成していた[7][8]。この条例案は、一般に知られることになった時点で、医師や発達障害児の保護者から、内容が「学術的根拠がない」「偏見を増幅する」[8][9][10]との批判を受け、維新の会代表である橋下徹大阪市長も、批判に同調しつつ条例案に否定的なコメントを述べたため、維新の会大阪市議団はいったん謝罪[11]、その後、この条例案を撤回した[8]

埼玉県教育委員として[編集]

2004年12月に上田清司埼玉県知事に招聘され、埼玉県教育委員会の委員に任命された。高橋がかつて「新しい歴史教科書をつくる会」の役員で、扶桑社版教科書監修者でもあった[12]ため(この時点では既に辞任、監修も外れていた)、“教育委員という教科書採択に関わる立場として特定の教科書の関係者が加わることは不適切である”(地方教育行政法違反の疑い)として日教組、出版労働者(共産党系)、一部の教育学者歴史学者[誰?]日本共産党社会民主党、さらに高橋哲哉らが結成したグループなどが抗議運動を行った。高橋は着任後、2005年8月に行われた教科書採択においては、当該科目の採択において退席するという配慮を行ったが、結局扶桑社版は採択されなかった。

2007年10月25日、埼玉県教育委員長に選出された(任期は2007年10月26日より1年間)。2008年10月に再任されたが、教育委員の任期切れに伴い同年12月26日付で退任した[13][12]

男女共同参画会議委員として[編集]

2013年3月27日、男女共同参画社会の実現を目指す十一女性団体と弁護士・有識者らが、男女共同参画会議議員に高橋が就任したことに対して、「高橋氏はジェンダーへのバッシングの急先鋒(せんぽう)として知られ、男女共同参画会議議員として極めて不適格」とした抗議文を会議議長の菅義偉官房長官に提出した[14]

役職[編集]

著書[編集]

  • 『臨教審と教育基本法-臨教審のゆくえと日教組の混迷』(杉原誠四郎,高橋史朗共著. 至文堂, 1986年6月)
  • 『「総点検」戦後教育の実像-荒廃と歪みの構図を探る』(PHP研究所, 1986年11月)ISBN 4569218741
  • 『占領下の教育改革と検閲-まぼろしの歴史教科書』(高橋史朗,ハリー・レイ共著. 日本教育新聞社出版局, 1987年1月)ISBN 4930821681
  • 『教科書検定』(中央公論社, 1988年2月)ISBN 4121008677
  • 『天皇と戦後教育』(ヒューマン・ドキュメント社, 1989年2月)ISBN 4795232598
  • 『悩める子供たちをどう救うか-いじめ、登校拒否、非行から立ち直った感性教育の現場から』(PHP研究所, 1991年5月)ISBN 4569530605
  • 『魂を揺り動かす教育-全国の教育現場を行脚して』(日本教育新聞社出版局, 1991年6月)ISBN 4890550607
  • 『間違いだらけの急進的性教育-エイズ・性をどう教えるか』(黎明書房, 1994年2月)ISBN 465401554X
  • 『検証・戦後教育-日本人も知らなかった戦後50年の原点』(広池学園出版部, 1995年8月)ISBN 4892053821
  • 『新学力観を活かす学校教育相談』(学事出版, 1996年2月)ISBN 4761904682
  • 『感性を活かすホリスティック教育-いじめ・不登校を克服し、子どもの「いのち」を救う』(広池学園出版部, 1996年6月)ISBN 4892053953
  • 『魂を揺り動かす教育-多賀大社文化振興基金講演集 第2輯』(多賀大社文化振興基金, 1996年8月)
  • 『平和教育のパラダイム転換』(明治図書出版, 1997年3月)ISBN 4181663035
  • 『歴史教育はこれでよいのか』(東洋経済新報社, 1997年4月)ISBN 4492221530
  • 『癒しの教育相談理論-ホリスティックな臨床教育学』(癒しの教育相談 第1巻, 明治図書出版, 1997年8月)ISBN 4180177161
  • 『学級経営に活かす教育相談』(癒しの教育相談 第4巻, 明治図書出版, 1997年8月)ISBN 418018026X
  • 『歴史の喪失-日本人は自らの歴史教育を取り戻せるのか』(総合法令出版, 1997年8月)ISBN 4893465597
  • 『ホリスティックな学校づくり-感性を育む』(癒しの教育相談 第2巻, 明治図書出版, 1997年10月)ISBN 4180178109
  • 『ホリスティックな教育相談-保護者への援助』(癒しの教育相談 第3巻, 明治図書出版, 1997年10月)ISBN 4180179296
  • 『臨床教育学と感性教育』(玉川大学出版部, 1998年4月)ISBN 4472112418
  • 『親が変われば子は変わる!-感性・心の教育フォーラム』(濤川栄太,高橋史朗共著. 扶桑社, 1998年7月)ISBN 4594025277
  • 『心を育てる学校教育相談』(「新学力観を活かす学校教育相談」の改訂, 学事出版, 1998年12月)ISBN 4-7619-0601-4
  • 『感性教育による人間変革』(明治図書出版, 1999年9月)(講座=感性・心の教育 ; 第1巻)ISBN 4180281171
  • 『感性教育による授業変革』(明治図書出版, 1999年9月)(講座=感性・心の教育 ; 第2巻)ISBN 4180282119
  • 『感性教育による学級変革』(明治図書出版, 1999年9月)(講座=感性・心の教育 ; 第3巻)ISBN 4180283158
  • 『感性教育による教師変革』(明治図書出版, 1999年9月)(講座=感性・心の教育 ; 第4巻)ISBN 4180284197
  • 『感性教育による学校変革』(明治図書出版, 1999年9月)(講座=感性・心の教育 ; 第5巻)ISBN 4180285134
  • 『「学級崩壊」10の克服法。-親と教師はこう立ち向かえ!』(ぶんか社, 1999年10月)ISBN 4821106876
  • 『私たちの美しい日の丸・君が代-現場教師がやさしい解説とエピソードで綴る』(石井公一郎監修, 高橋史朗編. 明成社, 2000年5月)ISBN 4944219024
  • 『新しい教科書誕生!!』(高橋史朗編. PHP研究所, 2000年9月)ISBN 4569612555
  • 『ふっと気づいてふっと感じて』(高橋史朗監修, 全国教育関係神職協議会企画編集. 展転社, 2000年10月)ISBN 488656187X
  • 『新しい日本の教育像』(高橋史朗他共著. 富士社会教育センター, 2001年8月)ISBN 4938296608
  • 『こころの瞳で』(高橋史朗監修, 全国教育関係神職協議会企画編集. おうふう, 2001年9月)ISBN 4273032031
  • 『日本文化と感性教育-歴史教科書問題の本質』(モラロジー研究所, 2001年11月)ISBN 4896390555
  • 『私たちの美しい日の丸・君が代-子供たちに伝える国旗・国歌物語』(石井公一郎監修, 高橋史朗編. 改訂版. 明成社, 2003年5月)ISBN 4944219202
  • 『「命の大切さ」を実感する心の教育-この体験が生徒を変えた』(高橋史朗監修. 学事出版, 2004年3月)ISBN 4761910275
  • 『学校教育を変えよう』(石川水穂,高橋史朗,若月秀夫共著. 自由国民社, 2004年4月)ISBN 4426121116
  • 『親学のすすめ-胎児・乳幼児期の心の教育』(親学会[他], 高橋史朗監修. モラロジー研究所, 2004年8月)ISBN 489639092X
  • 『ホーリズムと進化』(J.C.スマッツ, 石川光男,片岡洋二,高橋史朗訳. 玉川大学出版部, 2005年7月)ISBN 4472403161
  • 『子どもがいきいきするホリスティックな学校教育相談』(「心を育てる学校教育相談」の増訂, 学事出版, 2006年1月)ISBN 4-7619-1166-2
  • 『親学のすすめ. 続』(親学会[他], 高橋史朗監修. モラロジー研究所, 2006年9月)ISBN 4896391276
  • 『卒業式・入学式-学校現場での国旗・国歌の指導は当然-国際的礼儀学ぶ権利踏み躙る「東京地裁判決」』(石井昌浩,百地章,高橋史朗,鈴木由充共著. 明成社, 2007年3月)ISBN 978-4944219544
  • 『親が育てば子供は育つ [第三の教育論シリーズ1] 』(MOKU出版, 2007年4月)ISBN 978-4900682696
  • 『これで子供は本当に育つのか [第三の教育論シリーズ2] 』(MOKU出版, 2007年4月)ISBN 978-4900682702
  • 『脳科学から見た日本の伝統的子育て―発達障害は予防、改善できる』(モラロジー研究所, 2010年12月)ISBN 978-4896391947
  • 『君たちが、日本のためにできること 大学生に伝えたい祖国との絆 』(明成社, 2011年3月)ISBN 978-4-944219-99-5
  • 『家庭教育の再生 今なぜ「親学」「親守詩」なのか。』(明成社, 2012年9月)ISBN 978-4-905410-13-3
  • 『物語で伝える教育勅語 親子で学ぶ12の大切なこと』高橋史朗監修(明成社, 2012年11月)ISBN 978-4-905410-16-4

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 『噂の真相』97年2月号
  2. ^ 東京新聞 2014年3月26日
  3. ^ 「怒れる女性11団体 男女共同参画会議 『つくる会』元副会長起用」、東京新聞、2013年3月28日朝刊
  4. ^ “【解答乱麻】豊かな言葉がけ見直そう”. 産経新聞. (2010年4月19日) 
  5. ^ 『脳科学から見た日本の伝統的子育て―発達障害は予防、改善できる』モラロジー研究所
  6. ^ 親学推進議員連盟への要望書 NPOアスペ・エルデの会
  7. ^ 林由紀子 (2010年5月2日). “家庭教育支援条例案:虐待防止狙い 維新の会、提案へ”. 毎日新聞. http://mainichi.jp/area/news/20120502ddn041010009000c.html 2012年5月8日閲覧。 
  8. ^ a b c “維新の会、条例案提出を撤回 「偏見助長」など批判受け”. 朝日新聞. (2012年5月7日). http://www.asahi.com/national/update/0507/OSK201205070092.html 2012年5月7日閲覧。 
  9. ^ 林由紀子 (2010年5月7日). “大阪維新の会:家庭教育支援条例案に批判続々”. 毎日新聞. http://mainichi.jp/select/news/20120507k0000e010106000c.html 2012年5月7日閲覧。 
  10. ^ 家庭教育支援条例(案)に対する声明 ―私たちはこんな条例望んでいません― 発言する保護者ネットワーク from 大阪 2012年5月7日
  11. ^ 「親の愛情不足で発達障害」 維新市議団が条例案文面を謝罪 ジェイ・キャスト2012年5月7日
  12. ^ a b “高橋氏が埼玉県教委委員長退任へ 「つくる会」元副会長”. 共同通信社 (47NEWS). (2008年12月9日). http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008120901000345.html 2010年5月28日閲覧。 
  13. ^ “「不当なレッテル張り残念」 退任する高橋史朗教育委員長”. 産経新聞. (2008年12月18日). http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/081218/stm0812181508005-n1.htm 2010年5月28日閲覧。 
  14. ^ 東京新聞、2013年3月28日朝刊

外部リンク[編集]