百怪図巻

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百怪図巻』(ひゃっかいずかん)は、英一蝶の門人である江戸時代中期の画家・佐脇嵩之(さわき すうし、1707年-1772年)による妖怪絵巻元文2年(1737年)の奥書がある。

概要[編集]

奥書に「本書、古法眼元信筆 阿部周防守正長写 元文第二丁巳冬日 佐嵩指写」とあり、「古法眼元信」とは室町時代後期の絵師・狩野元信を指すことから、本書は元信の描いたものの写本をさらに嵩之が模写したものとされる[1]

本作品には全30点の妖怪画が収録されているが、筆致はどれも丁寧で、古典の妖怪画の中でも質の高い作品といわれる。まったく同一の全30点の妖怪を収録した絵巻がほかにも存在することから、図鑑的妖怪絵巻の標準的な逸品とされ、この種の絵巻の研究にあたって不可欠な、指標となり得る作品の一つと評されている[2]

江戸時代の妖怪画として知られる鳥山石燕の『画図百鬼夜行』も、本書の妖怪の全30点をすべて含んでいることから、石燕は同書の制作にあたり、本書または同系統の絵巻を参照したといわれる。ただし「夢のせいれい(夢の精霊)」のみ『画図百鬼夜行』との対応が明確になっていない。「夢」の字が「草」の草書体に似ていることから「夢の精霊」を「草の精霊」としている文献もあるため、「夢の精霊」は『画図百鬼夜行』にある「木魅」、または「」の意味に通じることから「反枕(まくらがえし)」にあたるものと解釈されている[3]

風俗史研究家・日本画家の吉川観方の旧蔵品であり、現在は福岡市博物館が所蔵している[2]

作品一覧[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 香川雅信 『江戸の妖怪革命』 河出書房新社2005年、125-126頁。ISBN 978-4-309-22433-6
  2. ^ a b 湯本豪一編著 『続・妖怪図巻』 国書刊行会2006年、154頁。ISBN 978-4-336-04778-6
  3. ^ 京極夏彦多田克己編著 『妖怪図巻』 国書刊行会、2000年、130-156頁。ISBN 978-4-336-04187-6