天国

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天国(てんごく、heaven)とは、

  • 神や天使などがいて、清浄とされる、天上の理想の世界[1][2]
  • 信者の霊魂が永久の祝福を受ける場所(キリスト教での用法)[1]
  • (転じて)そこで暮らす者にとって、理想的な世界のこと[2]。何にわずらわされることもない、快適な環境[2]。もしくは、かくあるべきだとする究極の神の創造理想と定義できる世界。

キリスト教における天国[編集]

キリスト教では、天国とは神の愛と至福から成る超自然的な幸福の場と状態、およびキリストが昇天した栄光の座を指す[3]旧約聖書では、天国ではの玉座が天使の軍勢に囲まれており、王として地上を見下ろして支配する場所(列王上 22:19、8:31、32)[3]。天は宇宙論的に天と地の2つの空間、および天と地と水の3つの空間における、神の支配領域および天使たちの住処でもある[3]。終末思想の発達と共に、メシアを王とし、終末に神によって建てられる王国と見なされるようになった(イザヤ 60:1)[3]

天国(至高天)をみつめるダンテとベアトリーチェ(『神曲』の挿絵。ギュスターヴ・ドレ画。)

キリスト教徒は天国からイエス・キリストが再臨するのを待ち望み、中世のキリスト教美術では最後の審判の様子を描かれたり、来世を歴訪する天国の図像が散見される[3]。例えば、ダンテの『神曲』では、地球を中心として同心円上に各遊星の取り巻くプトレマイオス天動説宇宙を天国界とし、恒星天、原動天のさらに上にある至高天を構想していた。「天の国」という表現はマタイ福音書に多く見られるが、意味上「神の国」と同義語であるという解釈もある[3]。いずれにせよ、神の支配が実現されている場所を指している[3]

キリスト教の教理では、最後の審判以前の死者がどこでどのような状態にあるのかについて、各教派間の統一見解を得るに至っていない。

イスラームにおける天国[編集]

イスラームにおける天国 (جنّة jannah) は、信教を貫いた者だけが死後に永生を得る所とされる。キリスト教と異なり、イスラム教の聖典『クルアーン』ではイスラームにおける天国の様子が具体的に綴られている。

他の宗教での類似の概念[編集]

インド発祥の宗教[編集]

ヒンドゥー教[編集]

ヒンドゥー教ではデーヴァローカが天国に類似する。

仏教[編集]

仏教の世界観はヒンドゥー教と起源を同じくしており、デーヴァローカに対応するのは天部(神々)や天人が住む天(天道・天界)である。これは六道最上位、つまり人の住む第2位の人道の1つ上に位置する。しかし仏教では、神々すら輪廻転生に囚われた衆生の一部にすぎない[要出典]

それら全体に対し、輪廻転生を超越した高位の存在として仏陀が、仏陀の世界として浄土が存在する。この対立構造においては、天国に相当するのは浄土(浄土宗では阿弥陀仏の浄土である極楽)である。[要出典]

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比喩的用法[編集]

上記のような用法から転じて、そこで暮らす者にとって理想的な世界[2]、何にわずらわされることもない快適な環境[2]も指すようになった。 類義語としては楽園が挙げられる[2]。「野鳥の天国[2]」のように用いる。

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b 広辞苑第五版
  2. ^ a b c d e f g デジタル大辞泉
  3. ^ a b c d e f g 『岩波キリスト教辞典』 岩波書店、2002年、779、785、786。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]