ワイルド・パーティー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ワイルド・パーティー
Beyond the Valley of the Dolls
監督 ラス・メイヤー
脚本 ロジャー・イーバート
原案 ラス・メイヤー、
ロジャー・イーバート
製作 ラス・メイヤー
出演者 ドリー・リード
シンシア・マイヤーズ
マーシア・マクブルーム
デビッド・ガリアン
エリカ・ギャビン
ジョン・ラザー
マイケル・ブロジェット
フィリス・デイビス
エディ・ウィリアムズ
ハリソン・ペイジ
音楽 スチュー・フィリップス
撮影 フレッド・J・コーネカンプ
編集 ラス・メイヤー
配給 20世紀フォックス
公開 アメリカ合衆国の旗 1970年6月17日
日本の旗 1970年11月14日
上映時間 110分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 100万米ドル
テンプレートを表示

ワイルド・パーティー』(Beyond the Valley of the Dolls)は、芸能界の裏側を描いた1970年公開のアメリカ映画。準成人映画。


概要[編集]

出演はドリー・リードシンシア・マイヤーズエリカ・ギャビン、エディ・ウィリアムズ、マーシア・マクブルーム、ジョン・ラザー、マイケル・ブロジェット。監督ラス・メイヤー、脚本はメイヤーとロジャー・イーバートの共同執筆。当初、この映画は1967年の映画『哀愁の花びら Valley of the Dolls 』の続編として企画されたが、20世紀フォックスが同名の原作小説の作者、ジャクリーン・スーザンに脚本草案が拒絶されたため、オリジナルのパロディーに方向修正がなされた。その結果、映画の冒頭に2つの映画に関連がない事を知らせる断り書きが置かれた。公開と同時に、映画はMPAAによって成人指定(Rated X)を受けた。(1990年に、17歳未満禁止(NC-17)に改められた。)

『ワイルド・パーティー』は独立系映画製作者メイヤーにとって、20世紀フォックスでの初監督作品である。(もう1作は『恍惚の7分間・ポルノ白書 The Seven Minutes 』(1971年)。)そして、映画批評家イーバートがメイヤーと共同執筆した3つの映画のうちの1つである。イーバートは、『ワイルド・パーティー』について「奇跡が奇跡を呼んで、偶然生まれた映画のように思える。」と書いた。

あらすじ[編集]

ケリー・マクナマラ(ドリー・リード)、ケイシー・アンダーソン(シンシア・マイヤーズ)、ペトロネラ「ペット」ダンフォース(マーシア・マクブルーム)は「ケリー・アフェアー」と呼ばれるトリオの女性ロックバンド。ハリス・オールスワース(デビッド・ガリアン)は、彼らのマネージャーでケリーのボーイフレンド。ケリーは長らく会っていなかった、巨額の財産を持つ、若く美しい叔母のスーザン・レイク(フィリス・デイビス)を訪ねるため、4人でカリフォルニアを目指した。

スーザンはケリーと友人達を歓迎し、財産の3分の1をケリーに渡す約束さえしたが、スーザンの薄っぺらで強欲な財務顧問、ポーター・ホール(ダンカン・マクラウド)は女の子達を見下し、彼らを「ヒッピー」と看做した。彼は後にケリーに財産に関して裏取引を持ちかける。一方、スーザンはケリー・アフェアーをロニー「Zマン(ジーマン)」バーゼル(ジョン・ラザー)という派手で業界に有力なコネを持つロック・プロデューサーに紹介する。Zマンは彼女達を気に入り、バンド名を「キャリー・ネイションズ」に変えて、自分の傘下に収めようとする。またケリーは彼女の財産目当てのランス・ロック(マイケル・ブロジェット)というジゴロと親密な関係になった。自分の居場所が無くなったように感じ、深く傷付いたハリスは、ポルノスター、アシュレー・セント・アイヴス(エディ・ウィリアムズ)の誘惑に乗ってしまう。男性に不信感を抱くケイシーは、レズビアンのファッションデザイナー、ロクサーヌ(エリカ・ギャビン)に交際を迫られる。一方、ペトロネラは法科の学生、エマーソン・ソーン(ハリソン・ペイジ)と、非常に微笑ましい恋愛中だった。

キャリー・ネイションズはロックスターとして歩み始めたが、彼らの私生活には暗い影が落ちていく。ハリスとランスの対立、そしてハリスの一方的な敗北。ケリーとランスの決裂。一夜の過ちでハリスの子を身ごもってしまうケイシー。ヘビー級チャンピオン、ランディ・ブラック(ジェームズ・イングルハート)によるペトロネラとエマーソンの危機。絶望するハリスの自殺未遂と下半身の麻痺。様々な過程を経て、ケリーは深く後悔し、ハリスに付き添いながら共に歩む決意をし、ペトロネラとエマーソンは元の鞘に治まり、より絆を深めた。ケイシーはロクサーヌの説得で妊娠中絶し、ついにロクサーヌの恋人になり、表面上の幸せを見つけることが出来た。叔母のスーザンは昔の恋人バクスター・ウルフ(チャールズ・ネイピア)と恋が再燃し、婚約した。ポーターは裏切り行為が発覚し、解雇された。

そんなある夜、Zマンは彼のビーチハウスでランス、ケイシー、ロクサーヌを個人的なパーティーに招待し、彼は全員にスーパーヒーローコスチュームを与えた。そして、彼らは大量の薬を飲み、残忍で悲劇的なクライマックスの夜を迎える…。

登場人物[編集]

ロジャー・イーバートは、『ワイルド・パーティー』のテーマと登場人物の多くが実在の人々と出来事の部分的な誇張に基づくことを明らかにした。

  • ロニー「Zマン」バージル - 架空の変人ロックプロデューサー転じてキャリー・ネイションズのマネージャーは、プロデューサー、フィル・スペクターの実人生に大まかに基づいている。スペクターの友人は、イーバートとメイヤーにスペクターの本質を実によく捉えていると語った[1]。偶然にも30年以上後に、映画のクライマックスシーンを映すかのように、ラナ・クラークソンの遺体がスペクターの邸宅で見つかり、彼は殺人容疑で逮捕された。
  • ランディ・ブラック - ヘビー級チャンピオンは、実在のヘビー級チャンピオン、モハメド・アリに漠然と基づいている。
  • ラストの暴力的なクライマックス(最初の脚本にはなかった)は、マンソン・ファミリーによるテート=ラ・ビアンカ殺害事件の影響を受けている。1969年後半の映画の製作開始直後に事件は起こり、マスメディアにより当時の世相は重く彩られた。『哀愁の花びら (Valley of the Dolls) 』の主演女優シャロン・テートは、マンソン・ファミリーによる殺人事件の被害者となった。

興行成績[編集]

成人指定と100万ドルという限られた予算にもかかわらず、『ワイルド・パーティー』はアメリカ市場でその10倍の総額を稼ぎ出した。

映画の遺産[編集]

ロジャー・イーバートによると、その後の多数の劇場でのリバイバルとビデオセールスで『ワイルド・パーティー』は4000万ドル以上を稼ぎ出した。

1970年の公開以来、『ワイルド・パーティー』は後続のカルト映画を得て、映画評論家による様々な「ベスト・オブ」リストに名を連ねた。2000年に、カナダの雑誌「Take One」は、『ワイルド・パーティー』を批評家投票による「1970年代の最高の映画」に加えた[2]。2001年、「Village Voice」紙は本作を「20世紀の最も偉大な100の映画」のリストで87番目に上げている[3]

1973年10月31日、日本テレビ水曜ロードショー」愛と性特集第1弾「愛と性のニューロック!ワイルド・パーティ」の題名で90分枠で吹き替えTV初放送。(他作品「ふたりだけの窓」「キャンディ」)後に、1978年2月3日、フジテレビゴールデン洋画劇場」アメリカの裏側特集の一篇として115分枠放送された。(他作品「ロリ・マドンナ戦争」「恐怖のハネムーン」「ラブ・マシーン」) 2006年6月13日、『ワイルド・パーティー』は2枚組の特別版DVDセットとして発売された。

文化的影響[編集]

『ワイルド・パーティー』の過激なスタイルはジョン・ウォーターズオースティン・パワーズシリーズの映画に影響を与えた。オースティンに『ワイルド・パーティー』の代表的なフレーズを語らせることにより、敬意を払っている。

映画は、過激で破壊的な美学を標榜するいくつかのロックバンドに影響を与えた

  • The Murderdollsはアルバムに映画から名をとって「Beyond the Valley of the Murderdolls」というタイトルを付けた。
  • ポーター・ホールの映画での科白「彼女は、他の3人とシングルルームに同居していたんです。うち1人は男性で他の2人は女性でした。彼らがそこで何をしていたかは神のみぞ知る、です。さらに、スーザン、私は彼ら全員がいつもマリファナ入り巻きタバコを吸っていたとしてもほんの少しも驚きません!」は、スカ-パンクバンドSublimeカバー曲「Smoke Two Joints」で演じられる。
  • ザ・ピペッツ The Pipettes の曲「Pull Shapes」のミュージックビデオは、映画のシーンをパロディ化している。
  • My Life with the Thrill Kill Kult のアルバム「Hit & Run Holiday」中の"Hot Blood Risin'"と"Chemical Cop-Out"の2曲は映画を雛型としている。バンドのアルバム「A Crime For All Seasons」の1曲、"Blue Moon"は、キャリー・ネイションズの"Look On Up At The Bottom"を手本としている。
  • 1995年、ズー・エンターテインメント・レーベルから Natureの"Z-Man's Party"(B・スレットとA・パーソンズによって書かれた)というシングルがリリースされた。
  • ザ・ランナウェイズ The Runaways のベーシスト、ジャッキー・フォックス(フックス)のステージと写真は、キャリー・ネイションズが使い古したものを直接モデルとして作られた赤い一式で装われている。
  • Hooverphonicの、1998年リリースのアルバム「Blue Wonder Power Milk」中の"Club Montepulciano"は『ワイルド・パーティー』をサンプルとしている。
  • シザー・シスターズ Scissor Sisters のシンガー、アナ・マトロニック Ana Matronic は、『ワイルド・パーティー』は大好きな映画だと述べている。彼女は、ライブDVD「We are Scissor Sisters...and so are you」でのスピーチにおいても、このタイトルを使用した。
  • The Rudy Schwartz ProjectのCD「Gunther Packs a Stiffy」の1曲、"Waldo's Demurral"は、Zマンの科白「そう、私は誓おう。今宵が終わりに近づく前に、お前は私の復讐の黒い精子を飲むだろう。」を参考にしている。
  • Be Your Own Petの新しいアルバム「Get Awkward」に、映画からとられた「ケリー・アフェアー "The Kelly Affair"」という曲がある。

脚注[編集]

外部リンク[編集]