ミノキシジル

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ミノキシジル
Minoxidil-2D-skeletal.png
Minoxidil-from-xtal-3D-balls.png
IUPAC命名法による物質名
6-ピペリジン-1-イルピリミジン-2,4-ジアミン-3-オキシド
臨床データ
胎児危険度分類
  • C
法的規制
  • P(UK) for topical use, otherwise POM
投与方法 経口/ 外用
薬物動態的データ
代謝 肝臓
半減期 4.2 時間
排泄 腎臓
識別
CAS番号 38304-91-5
ATCコード C02DC01 D11AX01
PubChem CID 4201
DrugBank APRD00086
ChemSpider 10438564
KEGG D00418
化学的データ
化学式 C9H15N5O 
分子量 209.251 g/mol

ミノキシジル(Minoxidil)とは血管拡張剤として開発された成分。後に発毛効果があるとされ発毛剤に転用され、日本以外ではRogaine(ロゲイン)®の商品名で売られている。日本では一般用医薬品として大正製薬からリアップ®シリーズが市販されている。

概要[編集]

1960年代にアップジョン社(現在のファイザー)が創製し、高血圧の経口薬として用いられていた。しかし後に髪を育成し脱毛症を回復させる効果が発見され、1980年代にアップジョンがはげや脱毛症の治療用として2%のミノキシジル外用溶液を「Rogaine®」として販売し始めた。内服薬としては副作用が発見されたため[1]頭部に塗布する液状の外用薬として売られている。なお、ファイザーは世界規模でOTC事業をジョンソンエンドジョンソン(J&J)に売却したため、ロゲインの販売元はJ&J傘下のMcNEIL(マクニール社)に移管されている。

毛成長のメカニズムについては、毛乳頭細胞や毛母細胞の活性化と説明されているが、詳細は未だ分かっていない。同じはげ治療薬のフィナステリドは薬理作用が異なるので併用が可能であり、また併用した方がそれぞれを個別に使用するよりも発毛効果を高める事が出来る[要出典][2]

日本国内においてもミノキシジルを成分とした内服薬であるLoniten(ロニテン)及びそのジェネリック医薬品を個人輸入の形で入手する事が可能だが、国内では未認可の薬である上、本来の用途は高血圧の治療のための血管拡張薬であり、服用する事によって重篤な症状を引き起こす可能性があるので注意が必要である。(脱毛の治療#ミノキシジル参照)

リアップ[編集]

日本ではミノキシジル成分の医療用医薬品が未発売であるが、大正製薬が一般用医薬品(大衆薬)として開発を行い1999年からミノキシジル成分1%のリアップとして発売開始された(ダイレクトOTC第1号製品)。同時期に国内で承認・上市した(医療用医薬品)バイアグラと共に生活改善薬として人気を博し、発売当初は品薄状態が続いた。

2005年には女性用のリアップレディも発売され、2009年にはミノキシジルを5%配合したリアップX5(男性用)が発売された。なお、リアップ発売前から現在までリアップよりも主成分が濃厚で廉価である理由でロゲインの個人輸入も多く行われてきた。但し、ミノキシジル濃度が濃くても発毛効果に差は無いという指摘も有る[要検証 ][3]

副作用[編集]

脱毛に対抗する薬なので、最も一般的な副作用は頭皮の痒みである。ミノキシジルやロゲインなどの外用薬に含まれる基剤成分・プロピレングリコールに対するアレルギー反応がしばしば見られる。多量のミノキシジルは低血圧の原因となる可能性がある。日焼けした頭皮に使用する場合に見られがちであるが、ワセリントレチノインと併用すると薬剤の過剰な吸収が起こりえることが知られている。

ミノキシジルの使用中は脱毛を止められるが、使用をやめると再び起こり始める。また、成分が母乳中に移行するため、リアップシリーズでは授乳する乳児がいる場合での使用は禁忌である。

あまり一般的ではないが、他の副作用には以下のようなものがある(リアップの添付文書には具体的な症例を提示しつつ異変を感じたら薬剤師・医師に相談するよう促す文章となっている。)。

  • 霞み目
  • 手、足、顔のしびれや痛み
  • 性欲減退
  • 胸の痛み
  • 急速な体重増加
  • 下肢、手、足、顔のむくみ


ニキビを除き、上記の症状は薬剤の使いすぎの目安になるとされるが、そうでなくても発症する可能性は有るので発症した場合は即ちに医師の診断を受ける事が強く薦められる。

重篤な副作用[編集]

ロゲインの開発段階で3名、市販化されたリアップの使用中に3名(1999年末の時点)が薬品との因果関係は不明としながらも循環器疾患死亡しており、後者に関しては2003年長妻昭衆議院議員質問主意書を提出し、同年9月に政府・厚生労働省からの答弁書で明らかになるまで販売元の大正製薬は公表しなかった。さらに1999年の発売当初から2003年までに循環器系の副作用が500例寄せられている事も同答弁書で明らかにされた。

ロゲインの副作用で死者が出た事はリアップ発売前からワイドショースポーツ紙を中心に報道されていた為、「いきなり誰でも買えるOTC(大衆薬)で発売するのは危険」とする医師薬剤師・業界関係者などの識者も多く、購入時に「薬剤師」へ相談する必要があるにも関わらず大正製薬への服用相談も多く寄せられた、大正製薬はニュースリリースを発表[4]すると共に、購入時の既往症などのチェックを強化するよう販売店に指導した。これは2009年の改正薬事法施行により第一類医薬品に指定されたため、法規制が強化された。

脚注・出典[編集]

  1. ^ 大人の科学Vol.30 92ページ 「ミノキシジル」は、AGA治療向けの内服薬として開発が行われていた。しかし、イヌを使った動物実験の結果、心臓破裂で死亡した例があり、内服薬としての開発は中止された。
  2. ^ http://www.hairmedical.com/propecia/[出典無効]
  3. ^ http://www.hairmedical.com/minoxidil/[出典無効]
  4. ^ http://www.taisho.co.jp/company/release/2003/03_0927-j.htm
  • 医療品等安全性情報No.157(1999年11月)他 厚生省
  • リアッププラス/リアップレディ 添付文書(2009年)
  • リアップ 再審査結果報告書(2006年)