トウネン

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トウネン
夏羽のトウネン
夏羽のトウネン
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: チドリ目 Charadriiformes
: シギ科 Scolopacidae
: オバシギ属 Calidris
: トウネン C. ruficollis
学名
Calidris ruficollis
Pallas, 1776[2]
和名
トウネン
英名
Red-necked Stint
  生息域
  繁殖地
  越冬地

トウネン当年学名Calidris ruficollis)は、チドリ目シギ科オバシギ属に分類される鳥類の1

分布[編集]

シベリア北東部やアラスカ北西部のツンドラ地帯で繁殖し、東南アジアからオーストラリアニュージーランドにかけての地域で越冬する[3]

日本では渡りの途中で立ち寄る「旅鳥」として、全国に渡来する。小型シギの中では最も普通に見ることが出来る。九州以南では越冬する個体もある。

形態[編集]

全長はスズメとほぼ同じ14センチメートルから15センチメートル[4][5][3]翼開長は約29センチメートル[5]。シギ科の鳥の中では小型の一種で、くちばしと足も短い。和名も「今年生まれたもの」という意味で、今年生まれた赤子のごとくからだが小さいことに由来している[3]

成鳥夏羽は顔と胸、背が赤褐色で、翼は軸斑が黒、羽先が白で、残りの羽縁は赤褐色。体の下面は白色である。冬羽は全体的に灰褐色となる。

雌雄同色である[4][5]

生態[編集]

非繁殖期には、干潟水田湿地に生息する。砂泥地などを動き回って泥の中にいる昆虫ゴカイ類、小型甲殻類などを捕食する[5]。大きな群れで行動し、日本ではかつては万単位の群れも見られたが、近年では数百羽のことが多い[4]

「チュリッ」や「チュイ」と鳴く。

種の保全状況評価[編集]

国際自然保護連合(IUCN)により、軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]

日本の以下の都道府県レッドリストの指定を受けている[6]

  • 絶滅危惧種 - 京都府(環境省の絶滅危惧II類に相当、近年旅鳥としての飛来が減少している。)[7]
  • 絶滅危惧II類 - 神奈川県(非繁殖期)[8]東京都(区部、北多摩・南多摩・西多摩は準絶滅危惧)[9]
  • 準絶滅危惧 - 大阪府[10]
  • 希少種 - 滋賀県(環境省の準絶滅危惧に相当)[11]
  • 一般保護生物(D) - 千葉県(環境省の準絶滅危惧種に相当。東京湾では埋立地湿地の消失により減少が著しい。)[12]

近縁種[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b Calidris ruficollis in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2014.2.” (英語). 国際自然保護連合(IUCN). 2014年11月2日閲覧。
  2. ^ Sterna albifrons (Pallas, 1776)” (英語). ITIS. 2012年5月15日閲覧。
  3. ^ a b c 安部「野鳥の名前」243頁
  4. ^ a b c 山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥 (2006)、284-285頁
  5. ^ a b c d ひと目でわかる野鳥 (2010)、68頁
  6. ^ 日本のレッドデータ検索システム(トウネン)”. エンビジョン環境保全事務局. 2012年5月15日閲覧。
  7. ^ レッドデータブック・トウネン”. 京都府 (2002年). 2012年7月19日閲覧。
  8. ^ 鳥類 神奈川県レッドリスト”. 神奈川県 (2006年). 2012年7月19日閲覧。
  9. ^ レッドデータブック・東京都の保護上重要な野生生物種(本土部)2010年版” (PDF). 東京都. pp. 48 (2010年). 2012年7月19日閲覧。
  10. ^ レッドデータブック・トウネン”. 大阪府 (2000年). 2012年7月19日閲覧。
  11. ^ 滋賀県版レッドリスト2005”. 滋賀県 (2005年). 2012年7月19日閲覧。
  12. ^ 千葉県レッドデータブック−動物編(2011年改訂版)” (PDF). 千葉県. pp. 117 (2011年). 2012年7月19日閲覧。

参考文献[編集]

  • 叶内拓哉、安部直哉『山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥』(第2版)山と溪谷社、2006年10月1日。ISBN 4635070077 
  • 真木広造他 『日本の野鳥590』、平凡社2000年
  • 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版2000年
  • 安部直哉「野鳥の名前」(山と溪谷社・山溪名前図鑑) ISBN 978-4-635-07017-1
  • 中川雄三(監修) 編『ひと目でわかる野鳥』成美堂出版、2010年1月。ISBN 978-4415305325 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]