スジエビ

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スジエビ
Palaemon paucidens.jpg
スジエビ Palaemon paucidens
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 軟甲綱(エビ綱) Malacostraca
亜綱 : 真軟甲亜綱 Eumalacostraca
上目 : ホンエビ上目 Eucarida
: 十脚目(エビ目) Decapoda
亜目 : エビ亜目(抱卵亜目) Pleocyemata
下目 : コエビ下目 Caridea
上科 : テナガエビ上科 Palaemonoidea
: テナガエビ科 Palaemonidae
亜科 : テナガエビ亜科 Palaemoninae
: スジエビ属 Palaemon
Weber[1], 1795
: スジエビ P. paucidens
学名
Palaemon paucidens
De Haan, 1844
和名
スジエビ
英名
common prawn
Lake prawn

スジエビ(条蝦、筋蝦、学名Palaemon paucidens)は、エビ目(十脚目)テナガエビ科に分類されるエビの1種。日本とその周辺地域に分布する淡水性のエビで、釣り餌や食用に利用される。

広義にはスジエビ属 Palaemon に分類されるエビ類の総称としても用いられるが、日本産の種類のうち淡水産なのはスジエビくらいで、ほとんどの種類が汽水域や浅いに生息する。

特徴[編集]

体長はオス35mm、メス50mmほどで、メスの方が大きい。体にはの帯模様が各所に入り、和名もここに由来する。帯模様の太さは個体や地域で若干の変異がある。生きているときは体がほぼ透明で内臓が透けて見えるが、瀕死になったり、死ぬと体がく濁る。体型は紡錘形で、頭胸甲・腹部の境界と腹部中央(いわゆる「」)が曲がり、頭部が上向き、尾部が下向きになっている。

額角は細長い状で、眼柄触角、5対の歩も細長い。歩脚のうち前の2対は先端にはさみがある鋏脚となっている。

テナガエビ類に近縁で、テナガエビ類の若い個体とスジエビはよく似ているが、テナガエビ類には複眼後方の頭胸甲上に「上棘」(かんじょうきょく)という前向きの棘があり、肝上棘がないスジエビと区別できる。また、同じく淡水にすむヌマエビ類とは大きさが同じくらいで混同されることもあるが、スジエビは明らかに脚が長く、上から見ると複眼が左右に飛び出す。

分布と生息環境[編集]

樺太択捉島国後島北海道から九州種子島屋久島朝鮮半島南部まで分布する。

などの淡水域に生息するが、汽水域にもまれに生息する。釣り餌などの利用もあって本来分布していなかった水域に持ちこまれ、分布を広げることもある。

移入[編集]

沖縄には本来は分布がなかったが、1975年、西原町の池田ダムで最初に確認された。侵入経路としては、コイの養殖種苗と共に関西方面から持ち込まれたと考えられている。1997年時点では沖縄島中部の幾つかの河川とダムで確認されている。沖縄島には本種は分布せず、代わりにテナガエビ類が河川にいる。この種がそれらを押しのけて定着出来た理由は幾つか挙げられる。例えば比屋良川の場合、川の下流域の汚染がひどく、幼生期に海に下るテナガエビ類は遡上出来ないのに対して、本種は淡水域で生活史を終えられるために定着が可能であった。そのため、その上流の貯水池やダムでもテナガエビ類はおらず、侵入が容易だったと思われる[2]

生態[編集]

昼間は石の下や水草抽水植物の茂みの中にひそみ、夜になると動きだす。藻類水草も食べるが、食性はほぼ肉食性で、水生昆虫や他の小型甲殻類、貝類ミミズなど様々な小動物を捕食する。大きな個体はメダカなどの小魚を捕食することもある。動物の死骸にもよく群がり、餌が少ないと共食いもする。餌を食べる際は鋏脚で餌を小さくちぎり、忙しく口に運ぶ動作を繰り返す。また、小さな塊状の餌は歩脚と顎脚で抱えこみ、大顎で齧って食べる。一方、天敵スッポンなどの淡水性カメ類、ウナギカワムツブルーギルなどの淡水魚サギなどの鳥類がいる。

生活史[編集]

繁殖期はからまでで、初夏に盛んに産卵する。交尾を終えたメスは直径1mm-2mmほどの緑褐色のを産むが、これはテナガエビ類やヌマエビ類に比べて大粒・少数である。産卵したメスは卵を腹脚にかかえ、1ヶ月ほど保護する。卵から孵化した幼生はゾエア幼生の形態で、20-30日ほどプランクトン生活をした後に体長5mmほどの稚エビとなって着底する。寿命は2-3年ほどである。

スジエビ類は発生に塩分を必要とせず、ミナミヌマエビと同じく閉鎖した淡水でも繁殖できる。ただし地方によっては発生に塩分が必要な両側回遊型の個体群がある可能性も指摘されている。

利用[編集]

日本では各地でモエビ(藻蝦)、カワエビ(川蝦)などと呼ばれ、淡水域では比較的馴染み深いエビとなっている。

セルビン、タモ網などで漁獲され、唐揚げ佃煮菓子など食用に利用される。殻も軟らかく、食用の際はまるごと使用される。ただし他の淡水性甲殻類と同様に寄生虫の危険もあり、生食はされない。 食用の他にも釣りなどの活餌として利用され、地方や時期によってはヌマエビ類などと共に釣具店で多数販売される。

飼育自体は難しくなく、魚用の固形飼料(市販の淡水魚の餌の沈澱物)なども食べる。が、ヌマエビ類のように付着藻類を食べることはない。メダカなどの小さな魚を一緒に飼うと捕食してしまい、餌不足ともなれば共食いも起こるので注意が必要である。小さな水槽で一度に多数を飼育すると徐々に個体数が減るので、むしろ個体数を少なく抑えた方が長期飼育できる。飼育下で産卵させるのは容易だが、幼生や稚エビも共食いするし、親エビによる捕食もある。

ホタルエビ[編集]

1994年に琵琶湖で生け簀中のスジエビが発光するのが発見され、『ホタルエビ』としてマスコミをにぎわした。これは発光細菌の感染によるエビの伝染性光り病によるものであった[3]

近縁種[編集]

海産スジエビの1種 Palaemon serratus Pennant, 1777 ヨーロッパ沿岸に分布する

スジエビ属 Palaemon汽水域海岸付近の浅い海に多くの種類が生息し、スジエビと同様に活餌や食用で利用される。

イソスジエビとスジエビモドキの2種類は日本全国の海岸でよく見られる。

イソスジエビ Palaemon pacificus (Stimpson, 1860)
体長70mmほどに達し、スジエビよりも大型。体の黒条はスジエビより明瞭で数も多い。また、黒条の他に白い斑点も散在する。インド洋と西太平洋に広く分布する。外洋に面した水のきれいな岩礁海岸に多く、海藻の間や岩陰に多数見られる。タイドプール埠頭などで目にする機会も多い。
スジエビモドキ P. serrifer (Stimpson, 1860)
体長40mmほど。イソスジエビより小型で、体には黒条が少なく、ほとんど透明である。シベリア東岸からハワイインドシナ半島までの北西太平洋沿岸に広く分布する。イソスジエビとほぼ同所的に生息するが、汽水域や内湾ではイソスジエビよりも多い。

他に日本産のスジエビ類として以下のような種類がいる。

脚注[編集]

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  1. ^ ゲオルク・ハインリヒ・ヴェーバー(植物学者)またはマックス・カール・ヴィルヘルム・ヴェーバー(動物学者)
  2. ^ 蒿原他(1997)p.133-135
  3. ^ 島田他(1995)
  4. ^ 三宅貞祥 (1908-1998) carcinologist or 三宅驥一 (1876 - 1964) botanist

参考文献[編集]

  • 三宅貞祥 『原色日本大型甲殻類図鑑 (I) 』 保育社、1982年、ISBN 4-586-30062-0
  • 鹿児島の自然を記録する会編 『川の生き物図鑑 - 鹿児島の水辺から』 南方新社、2002年、ISBN 4-931376-69-X
  • リバーフロント整備センター編 『川の生物 - フィールド総合図鑑』 山海堂、1996年、ISBN 4-381-02140-1
  • 蒿原建二、他、『沖縄の帰化動物』、(1997)、沖縄出版
  • 島田俊雄、他、1996. 「所謂”ホタルエビ”の原因はルミオネセンス産生性の Vibrio choleae non-01 である」,日本細菌学雑誌,50(3):pp.863-870.