グラウンドホッグデー

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グラウンドホッグデーの様子(2005年パンクサトーニー)

グラウンドホッグデー(英:Groundhog Day/ Groundhog's Day)とは、アメリカ合衆国及びカナダにおいて2月2日に催される、ジリスの一種グラウンドホッグ(ウッドチャック)を使ったの訪れを予想する天気占いの行事。

アメリカ・ペンシルベニア州パンクサトーニーのフィル、カナダ・オンタリオ州ワイアートンのウィリーをはじめ、北米数か所のグラウンドホッグの予想がテレビや新聞で報道される。

概要[編集]

「グラウンドホッグ(ウッドチャック)は2月2日に冬眠から覚めるが、外に出て自分の影を見ると、驚いて巣穴に戻ってしまう」とされており、春の到来時期が以下のように占われる。

影(天気) グラウンドホッグの行動 占いの結果
あり(晴) 影を見て驚き、冬眠していた巣穴に戻る 「冬はあと6週間は続くだろう」
なし(曇・悪天候) 影を見ず、そのまま外へ出る 「春は間近に迫っている」

北米各地で同様のイベントが行われ、テレビや新聞で報道される。グラウンドホッグを飼育していない動物園などでは、プレーリードッグミーアキャットハリネズミなどを代用することもある。

由来と歴史[編集]

グラウンドホッグ

グラウンドホッグデーは、古代ヨーロッパとキリスト教の風習、祝日の混じったものが、移民によってヨーロッパからアメリカ大陸に伝えられて、できあがった風習である。ハリネズミを対象にしたドイツの同様の俗信が直接の起源とされる。

  • 古代ヨーロッパの俗信と信仰
    • 冬眠していた動物(クマ・ハリネズミなど)が早く目覚めすぎると、自分の影を見て驚き、ふたたび巣穴に戻ってしまうとされた
    • ケルト人冬至春分の中間日を2月2日とし、火と豊穣の女神ブリギッドの祭(インボルグ)が行われた(この場合6週間後はだいたい春分にあたる)
  • キリスト教
    • 2月2日を聖燭祭(キャンドルマス, Lichtmess)、聖母マリアのお清めの日(Mariae Reinigung)とした
    • キャンドルマスの天気と春の訪れに関するイギリスの詩。(グラウンドホッグデーの起源としてよく引用される。似たような詩はドイツ語でも存在する)

As the light grows longer
The cold grows stronger
If Candlemas be fair and bright (キャンドルマスが明るく晴れていれば)
Winter will have another flight (冬はまだしばらく続くだろう)
If Candlemas be cloud and rain (キャンドルマスが曇っていて雨ならば)
Winter will be gone and not come again (冬は去り、戻ってこないだろう)
A farmer should on Candlemas day
Have half his corn and half his hay
On Candlemas day if thorns hang a drop
You can be sure of a good pea crop

グラウンドホッグデーの風習は、19世紀のアメリカのドイツ系移民の間で始まった。グラウンドホッグ(groundhog)は、冬眠をする似たような哺乳類として、ハリネズミ(hedgehog、アメリカには生息しない)の代わりに選ばれたと考えられる。ペンシルベニア州バークス郡歴史協会には、キャンドルマスとグラウンドホッグとヨーロッパの言い伝えについて書かれた、商店経営者の1841年2月4日付けの日記が残っている。現在のようなパンクサトーニーのグラウンドホッグデーは、1887年に、地元新聞編集者の発案で行われ始めた。

北米各地のグラウンドホッグデー[編集]

グラウンドホッグデーのイベントとしてはペンシルバニア州パンクサトーニーが最も動員が多い(約4万人[1])が、同州内でも他にクウァリービル(Quarryville)等各地で行われる。ニューヨークスタテン島のチャックも有名である。

カナダではオンタリオ州ワイアートンのウィリーが最も有名で、他にもケベック州ガスペのフレッド(Fred la marmotte officielle du Québec[2])、ノバスコシア州シュベナカディのサム等の予報がテレビで報道される。

アラスカ州では2009年に2月2日を「マーモットの日」として公式の休日にした。

パンクサトーニーのフィル[編集]

グラウンドホッグ

パンクサトーニーのフィルとは、パンクサトーニーで飼育されている有名なグラウンドホッグの名前である。フィルは毎年2月2日に、グラウンドホッグデーの主役として、町の郊外の森の中にある広場(Gobbler's Knob)で占いを行う。祭は日の出前から始まり、朝の7時半のフィルの登場と天気予報がメインイベントである。言い伝えに忠実に従うならば、巣穴から出てきたグラウンドホッグの行動を観察して占いをすべきだが、実際の祭では切り株型の小屋から出てきた(引っ張り出された)フィルとともに、その年の予報が読み上げられる。 "パンクサトーニー・グラウンドホッグ・クラブ"がフィルの普段の世話をしており、なかでもInner Circleと呼ばれる特別会員達(写真)は、毎年の祭を主催し、グラウンドホッグデーにはタキシードとシルクハットを着用して登場する。

フィルの名前の由来は"King Phil"とされ、正式名称は「占い師のなかの占い師、賢者のなかの賢者、預言者のなかの預言者にして、類まれなる気象予報者、パンクサトーニーのフィル(Punxsutawney Phil, Seer of Seers, Sage of Sages, Prognosticator of Prognosticators and Weather Prophet Extraordinary)」。Gobbler's knobにいるのは祭の日だけで、普段はパンクサトーニーの図書館にある空調の効いた部屋で、フィリスという名の妻と一緒に飼育されており、冬眠はしていない。 フィルによる占いが始まったのは1887年で、これまでに何匹ものグラウンドホッグが「フィル」を襲名をしていると思われるが、パンクサトーニー・グラウンドホッグ・クラブは「フィルは寿命を延ばすグラウンドホッグの秘薬を飲んでいるので、毎年おなじフィルが天気予報をし続けている」と主張している。ちなみに普通のグラウンドホッグの寿命は6~10年程。また「フィルの予報はクラブのメンバーが作っているわけではなく、フィルがクラブの会長に"グラウンドホッグ語"で教えてくれている」のだという。

映画「恋はデジャブ」[編集]

恋はデジャブ』(原題:Groundhog Day、1993年2月12日全米公開)は、グラウンドホッグデーで賑わうパンクサトーニーが舞台になっている。ただし実際の撮影はイリノイ州ウッドストックで行われた。

祭の取材に来たフィルという名のお天気キャスターが主人公で、グラウンドホッグやクラブのメンバーも多く登場する。この映画のヒットにより、パンクサトーニーのフィルは世界的に有名になった。

祭のメジャー化[編集]

パンクサトーニーで祭が始まった当初は、森の中で行われる小さなイベントだったが、報道により年々有名になり、特に1993年に映画公開後は、人口6200人あまりの町に、世界中から数万人の観光客と多くの取材陣が集まるようになった。以下、パンクサトーニーグラウンドホッグクラブ公式サイトの年表を元に、報道関係のできごとを挙げる。新聞名の無いものは地元紙"The Spirit"のことと推測される。

  • 1886年 新聞にグラウンドホッグデーについての記事
  • 1887年 現在のようなGobbler's Knobでの祭が公式に始まる
  • 1908年 新聞一面で報道される
  • 1913年 新聞にグラウンドホッグの写真が掲載
  • 1924年 傘と新聞を持ったグラウンドホッグのロゴが使われ始める(写真
  • 1928年 ピッツバーグのラジオ局の番組に地元ロータリークラブとともに出演
  • 1947年 新聞に祭会場でのグラウンドホッグクラブのメンバーの写真が掲載
  • 1952年 2月4日のNBCの朝のテレビ番組"トゥデイ・ショー(Today Show)"で紹介される
  • 1955年 3つのテレビ局が取材に来る
  • 1986年 この年の3月にフィルがホワイトハウスのレーガン大統領を訪れる(下段写真
  • 1993年 2月12日に映画『恋はデジャブ』が公開される
  • 2001年 ニューヨーク市タイムズスウェアでフィルの予報がライブ中継される
  • 2002年 来場者38000人を記録
  • 2003年 ペンシルベニア州知事が祭に参加

また、何年から始まったかは不明だが、パンクサトーニーは現在「世界の天気予報の中心地(the weather capital of the world)」を名乗っている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ David Park, PhD (2006年). “Happy Groundhog Day to You!”. 2009年2月2日閲覧。
  2. ^ [1]

英語版Wikipediaの関連項目[編集]

外部リンク[編集]