オカバンゴ・デルタ

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オカバンゴ・デルタの衛星写真
湿地と島の交差するデルタの風景


オカバンゴ・デルタOkavango Delta)は、ボツワナ北部、カラハリ砂漠の中にある内陸デルタ。オカバンゴ湿地、オカバンゴ大沼沢地とも言う。面積は25000km²に及び、世界最大の内陸デルタである。

地誌[編集]

オカバンゴデルタはアンゴラから流れてくるオカヴァンゴ川カラハリ砂漠の平坦な土地に流れ込んで作られたデルタである。オカヴァンゴ川はこのデルタで蒸発し消滅するが、雨季の最盛期には南のンガミ湖、サウ湖、マカディカディ塩湖に水が流れ込む。このデルタは、アフリカ東部を南北に縦断する大地溝帯の延長部にあり、地溝の中に形成されている。地溝の窪みは、砂質の堆積物で埋められている。地溝の南東をタマラカネ断層、並行してクニェレ断層が、北西の入口回廊の最終端をグマレ断層と同じく北東・南西方向に走っている。これらの断層は活断層である[1]

オカバンゴデルタは季節によって面積が変わる。最も小さくなるのは真夏である1月である。だがこの時期、800キロメートル離れたアンゴラにあるオカヴァンゴ川の源流域では雨季となっており、膨大な量の降雨が川に流れ込んでいる[2]。この水は4月にはデルタの入口であるパンハンドル地帯にたどりつき、5月から8月までの4ヶ月かけて洪水を起こし、非常にゆっくりとデルタ全域に広がっていく。 デルタは非常に平坦なため、250キロメートルのデルタに水がいきわたるのにそれだけの時間がかかる。この時期はボツワナで最も乾燥した冬の季節であり、生物にとって貴重な水場を提供している。

乾燥したカラハリ砂漠の中で、オカバンゴデルタは非常に広大なオアシスとなっており、さまざまな野生生物が生息している。アフリカゾウサイカバライオンといった大型の動物もこの地区にはまだ多数生き残っている。

自然保護と観光開発[編集]

この地区にはバイェイ人やツワナ人などが住んでいるが、冬季の洪水により居住は難しく、農地開発などは進まなかった。そのことが、貴重な自然を残すことにつながった。ツワナ語で水や雨をさす「プラ」という言葉がボツワナの通貨単位となっていることからもわかるように、ボツワナでもっとも貴重な資源は水である。その水が手付かずで大量に存在するこの地域から灌漑用の水を引く計画が立てられたが、1991年に自然保護の観点から計画は中止された。

ボツワナ政府はオカバンゴデルタの保護に熱心に取り組んでいる。それはボツワナがダイヤモンドの産地として経済力を蓄え、自然保護に取り組む余裕があることもあるが、オカバンゴデルタ自体がボツワナの貴重な観光資源として世界中から観光客を呼び込んでいることも理由にある。

ボツワナ政府はエコツーリズムを推進し、この地域の乱開発や大規模な観光開発は行わなかったが、生態系を乱さない範囲での観光開発はむしろ推奨した。そのため、オカバンゴデルタの玄関口であるマウンには小さなホテルやバンガローが建ち、欧米を中心に富裕層の観光客が多く訪れ、オカバンゴデルタの観光はダイヤモンドに次ぐボツワナ政府の収入源となっている。

一方で、上流にあるアンゴラとナミビアで平和が到来し経済開発が進むにつれて、デルタの水源であるオカヴァンゴ川の水を巡る問題が浮上してきた。上流での農地開発による水質汚染が懸念されている。また、ナミビア政府がカプリビ回廊のオカヴァンゴ川に建設を計画している水力発電所によってデルタに流れ込む堆積物がなくなり、デルタの環境が悪化することも懸念されている。

1996年、オカバンゴ・デルタはラムサール条約に登録された。

脚注[編集]

  1. ^ 門村浩「オカバンゴ・デルタ」/ 池谷和信編著 『ボツワナを知るための52章』 明石書店 2012年 22-23ページ
  2. ^ 年平均総量11立方キロメートルであるが、6~16立方キロメートルと年により大きく変動する。豊水年と渇水年とでは3倍以上の差がある。また恒常的湿地と冠水と干上がりを繰り返す季節的湿地の二種類の湿地があり、さらにたまにしか冠水しない15万以上の中島が存在する。(門村浩「オカバンゴ・デルタ」/ 池谷和信編著 『ボツワナを知るための52章』 明石書店 2012年 22-24ページ)

参考文献[編集]

関連項目[編集]