エミリオ・アルサモラ

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エミリオ・アルサモラ
国籍 スペインの旗 スペイン
生年月日 (1973-05-22) 1973年5月22日(50歳)
リェイダ
レースでの経歴
ロードレース世界選手権
活動期間1994年 - 2003年
初レース1994年 125cc マレーシアGP
最終レース2003年 125cc バレンシアGP
初勝利1995年 125cc アルゼンチンGP
最終勝利2000年 125cc ポルトガルGP
チームホンダ
チャンピオン125cc - 1999年
出走回数 勝利数 表彰台 PP FL 総ポイント
144 4 30 1 5 1040

エミリオ・アルサモラ・エスカルディブル(Emilio Alzamora Escardibull, 1973年5月22日 - )は、スペインリェイダ出身の元オートバイレーサー。1999年ロードレース世界選手権125ccクラスチャンピオン。同クラス史上初の、「シーズン1勝も挙げなかったチャンピオン」として記録を残す[1]

経歴[編集]

キャリア初期[編集]

24時間耐久レースへの出場経験を持つ父の影響を受けたアルサモラは、初めてのバイクとしてイタルジェットの50ccマシンに乗る。14歳の時にはホンダ・MBXでレースデビューを果たす。

1989年と1990年、スペイン国内の育成カテゴリである80ccレースでアルサモラは2年連続チャンピオンとなる。その後はスペイン国内選手権のオープン・ドゥカドス125ccクラスにステップアップし、1992年にはホルヘ・マルチネス率いるアスパー・チームに所属していたこともある。

世界選手権デビュー[編集]

1994年、スペイン国内選手権への参戦を継続しつつ、ロードレース世界選手権125ccクラスにデビューを果たす。翌1995年チーム・スコットに移籍すると、アルゼンチンで初優勝を果たし、シリーズ3位に入る活躍を見せる。またこの年にはスペイン国内選手権のチャンピオンも獲得した。1996年にはワールドチャンピオン獲得を目指すものの、シリーズ4位に終わる。

250ccクラスへ[編集]

1997年は250ccクラスにステップアップし、ホンダ・NSR250を駆ることになった。しかし第2戦鈴鹿での転倒により左手の舟状骨を骨折。回復に時間がかかり、また大排気量マシンへの順応にも手間取ったため、31ポイントの獲得、シリーズ18位に終わる。

再び125ccクラスへ[編集]

1998年には125ccクラスに戻り、アンヘル・ニエトのチームでアプリリアを駆ることになったが、僅か18ポイントの獲得、シリーズ21位と、これまでで最悪のシーズンとなってしまった。

ワールドチャンピオン獲得[編集]

アルサモラのヘルメット。パーソナルスポンサーのチュッパチャプスのロゴが大きくデザインされている。

2年間失意のシーズンを過ごした後、アルサモラは1999年にタイトルを獲得することになる。シーズン5勝を挙げたマルコ・メランドリの追撃を1ポイント差で抑え、最終戦アルゼンチンGPでワールドチャンピオンに輝いた。他にこの年のライバルには、メランドリと同じく5勝を挙げた東雅雄、2勝のロベルト・ロカテリジャンルイジ・スカルビーニ、1勝の上田昇アルノー・ヴァンサンらがいたが、驚くべきことにアルサモラは10回表彰台に立ちながらも、1勝も挙げずにタイトルを獲得することになった。

タイトル防衛の年[編集]

2000年にはワークス仕様のホンダ・RS125を与えられ、タイトル防衛を目指した。ヘレスエストリルと2勝を挙げたものの、マヌエル・ポジャーリ宇井陽一に敗れてシリーズ3位に終わった。

250ccクラス復帰[編集]

2001年は250ccクラスに復帰を果たし、ファウスト・グレシーニ率いるグレシーニ・レーシングでワークス仕様のホンダ・NSR250を駆ることになった。この年グレシーニチームはアルサモラが持ち込んだテレフォニカ・モビスターのスポンサードを受けることになった。チームメイトはこの年のチャンピオンとなる加藤大治郎だった。大治郎の活躍には及ばないものの、アルサモラは2度表彰台を獲得、シリーズ7位に入った。

2002年もアルサモラはチームに残留、スポンサーがテレフォニカ・モビスターからフォルトゥナに代わりロベルト・ロルフォをチームメイトに迎えた。この年も2度表彰台を獲得し、前年限りで開発が終了したNSR250で2年連続でシリーズ7位になった。

三度125ccクラスへ そして引退[編集]

2003年、アルサモラはデルビ・チームのオファーを受け125ccクラスに戻り、GP2年目のホルヘ・ロレンソのチームメイトを務めることになった。この年はポイント圏内で完走することすら困難となり、僅か2ポイントの獲得、シリーズ31位に沈んだ。アルサモラはこの年限りで二輪レースを引退する。

引退後の活動[編集]

現在はモータースポーツの選手・メカニックを育成する モンラウ・コンペティチオン[2]の代表を務め、後進の指導にあたっている。2010年125ccクラス世界チャンピオンのマルク・マルケスも国内選手権時代からアルサモラの指導を受けている[3]2011年にはモンラウ・コンペティチオンがチームとしてMoto2クラスに参戦、アルサモラはチームマネージャーとしてマルケスのMoto2デビューに立ち会うこととなった[4]

世界選手権 戦績[編集]

シーズン クラス バイク 出走 優勝 表彰台 PP ポイント 順位
1994年 125cc ホンダ 13 0 0 0 16 22位
1995年 125cc ホンダ 13 1 4 1 129 3位
1996年 125cc ホンダ 15 1 5 0 158 4位
1997年 250cc ホンダ 11 0 0 0 31 17位
1998年 125cc アプリリア 13 0 0 0 18 21位
1999年 125cc ホンダ 16 0 10 0 227 1位
2000年 125cc ホンダ 16 2 7 0 203 3位
2001年 250cc ホンダ 15 0 2 0 136 7位
2002年 250cc ホンダ 15 0 2 0 120 7位
2003年 125cc デルビ 16 0 0 0 2 31位
合計 144 4 30 1 1040

凡例)(太字ポールポジション斜体ファステストラップ。)

シーズン クラス マシン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 順位 ポイント
1994年 125cc ホンダ AUS
MAL
Ret
JPN
16
SPA
Ret
AUT
22
GER
22
NED
11
ITA
18
FRA
Ret
GBR
22
CZE
Ret
USA
21
ARG
5
EUR
Ret
22位 16
1995年 125cc ホンダ AUS
4
MAL
23
JPN
7
SPA
7
GER
3
ITA
Ret
NED
Ret
FRA
7
GBR
3
CZE
10
BRA
10
ARG
1
EUR
2
3位 129
1996年 125cc ホンダ MAL
5
INA
Ret
JPN
Ret
SPA
2
ITA
7
FRA
3
NED
1
GER
4
GBR
Ret
AUT
Ret
CZE
5
IMO
2
CAT
4
BRA
2
AUS
Ret
4位 158
1997年 250cc ホンダ MAL
7
JPN
DNS
SPA ITA
Ret
AUT
DNS
FRA NED
Ret
IMO
10
GER
10
BRA
14
GBR
Ret
CZE
12
CAT
12
INA
Ret
AUS
Ret
17位 31
1998年 125cc アプリリア JPN
21
MAL
16
SPA
Ret
ITA
17
FRA
Ret
MAD
Ret
NED
Ret
GBR
14
GER
5
CZE
Ret
IMO
13
CAT
14
AUS
21
ARG
DNS
21位 18
1999年 125cc ホンダ MAL
2
JPN
3
SPA
3
FRA
3
ITA
6
CAT
2
NED
4
GBR
3
GER
2
CZE
6
IMO
4
VAL
2
AUS
15
RSA
Ret
BRA
3
ARG
2
1位 227
2000年 125cc ホンダ RSA
3
MAL
4
JPN
5
SPA
1
FRA
3
ITA
7
CAT
Ret
NED
Ret
GBR
2
GER
Ret
CZE
3
POR
1
VAL
5
BRA
8
PAC
2
AUS
4
3位 203
2001年 250cc ホンダ JPN
Ret
RSA
19
SPA
6
FRA
4
ITA
6
CAT
7
NED
2
GBR
4
GER
Ret
CZE
7
POR
Ret
VAL
4
PAC
2
AUS
6
MAL
Ret
BRA
7
7位 136
2002年 250cc ホンダ JPN
4
RSA
7
SPA
3
FRA
7
ITA
11
CAT
9
NED
Ret
GBR
12
GER
Ret
CZE POR
6
BRA
7
PAC
5
MAL
8
AUS
13
VAL
3
7位 120
2003年 125cc デルビ JPN
Ret
RSA
23
SPA
18
FRA
19
ITA
Ret
CAT
Ret
NED
21
GBR
Ret
GER
Ret
CZE
21
POR
19
BRA
Ret
PAC
Ret
MAL
23
AUS
14
VAL
24
31位 2

脚注[編集]

外部リンク[編集]

タイトル
先代
ホルヘ・マルチネス
125ccスペイン選手権チャンピオン
1995
次代
ダビド・アルマンサ
先代
坂田和人
125ccクラス世界チャンピオン
1999
次代
ロベルト・ロカテリ