第48期天元戦
第48期 天元戦 | |
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前天元 | 関航太郎 |
挑戦者 | 伊田篤史 |
第48期天元 | 関航太郎(通算2期/2期連続) |
天元戦 < 第47期第49期 > |
第48期天元戦(だい48きてんげんせん)は、2022年に行われた天元戦である。前期に史上最年少での天元位を獲得した関航太郎天元に、天元戦挑戦手合初出場の伊田篤史九段が挑んだが、3勝2敗で関が天元位を防衛した。
概要
[編集]- 参加者は、日本棋院または関西棋院に所属する全棋士。
- 予選A, B, Cは日本棋院・関西棋院で分かれて行い、本戦トーナメント進出者を決定する。予選からの本戦進出枠は、日本棋院東京本院が15、同関西総本部・中部総本部が合同で6、関西棋院が7。
- 予選を突破した棋士計28名にシード棋士を加えた本戦トーナメントで挑戦手合進出者を決定する。シード規定は前期本戦ベスト4及び七大タイトル保持者で、今期の該当棋士は5名。
- 本戦トーナメントを制した棋士と、第47期天元位の関航太郎で挑戦手合五番勝負を行い、第48期天元位を決定する。
- コミは6目半、持ち時間は3時間。
- 新聞三社連合[注 1]・日本棋院・関西棋院主催。賞金1200万円(第47期から100万円減)。
予選・本戦
[編集]予選A, B, C
[編集]日本棋院では、予選B, Cは2021年3月1日に抽選が行われ、11月25日まで行われた。予選Aは、11月1日に抽選が行われ、2022年1月20日まで行われた。
関西棋院では、予選A, Bで本戦進出棋士を決定。
本戦トーナメント
[編集]2022年1月7日に抽選が行われ、8月4日まで行われた。
当時四冠保持の井山裕太は、準々決勝で伊田篤史に敗退。また、藤沢里菜は自身二度目となる七大棋戦本戦ベスト8で、女性棋士初の七大棋戦本戦ベスト4進出がなるか注目されたが、準々決勝で大竹優に敗れた[1][2]。
準決勝では一力遼が洪爽義に、伊田篤史が大竹優に勝利。挑戦者決定戦は、前期天元戦で天元位を関航太郎に奪われた一力と、2016年の十段位失冠以降長らく七大棋戦挑戦手合の舞台から遠ざかっていた伊田の対戦となったが、伊田が勝利し関への挑戦権を手にした。
1回戦 | 2回戦 | 準々決勝 | 準決勝 | 決勝 | |||||||||||||||||||
洪爽義 五段 | ○ | ||||||||||||||||||||||
小県真樹 九段 | ● | 洪爽義 | ○ | ||||||||||||||||||||
今村俊也 九段 | ○ | 今村俊也 | ● | ||||||||||||||||||||
六浦雄太 七段 | ● | 洪爽義 | ○ | ||||||||||||||||||||
志田達哉 八段 | ● | 結城聡 | ● | ||||||||||||||||||||
結城聡 九段 | ○ | 結城聡 | ○ | ||||||||||||||||||||
山下敬吾 九段 | ● | 鈴木伸二 | ● | ||||||||||||||||||||
鈴木伸二 七段 | ○ | 洪爽義 | ● | ||||||||||||||||||||
村川大介 九段 | ○ | 一力遼 | ○ | ||||||||||||||||||||
芝野虎丸 九段 (S) | ● | 村川大介 | ○ | ||||||||||||||||||||
山田規三生 九段 | ● | 呉柏毅 | ● | ||||||||||||||||||||
呉柏毅 五段 | ○ | 村川大介 | ● | ||||||||||||||||||||
小池芳弘 七段 | ● | 一力遼 | ○ | ||||||||||||||||||||
一力遼 九段 (S) | ○ | 一力遼 | ○ | ||||||||||||||||||||
許家元 十段 | ○ | 許家元 | ● | ||||||||||||||||||||
本木克弥 八段 (S) | ● | 一力遼 | ● | ||||||||||||||||||||
張豊猷 八段 | ○ | 伊田篤史 | ○ | ||||||||||||||||||||
加藤充志 九段 | ● | 張豊猷 | ● | ||||||||||||||||||||
趙治勲 名誉名人 | ● | 藤沢里菜 | ○ | ||||||||||||||||||||
藤沢里菜 五段 | ○ | 藤沢里菜 | ● | ||||||||||||||||||||
大竹優 六段 | ○ | 大竹優 | ○ | ||||||||||||||||||||
横塚力 七段 | ● | 大竹優 | ○ | ||||||||||||||||||||
蘇耀国 九段 | ● | 柳時熏 | ● | ||||||||||||||||||||
柳時熏 九段 | ○ | 大竹優 | ● | ||||||||||||||||||||
井山裕太 棋聖 (S) | ○ | 伊田篤史 | ○ | ||||||||||||||||||||
横田茂昭 九段 | ● | 井山裕太 | ○ | ||||||||||||||||||||
瀬戸大樹 八段 | ○ | 瀬戸大樹 | ● | ||||||||||||||||||||
李沂修 八段 | ● | 井山裕太 | ● | ||||||||||||||||||||
余正麒 八段 (S) | ● | 伊田篤史 | ○ | ||||||||||||||||||||
張栩 九段 | ○ | 張栩 | ● | ||||||||||||||||||||
伊田篤史 八段 | ○ | 伊田篤史 | ○ | ||||||||||||||||||||
片岡聡 九段 ● 鶴山淳志 八段 ○ |
● |
- (S) は本戦シード棋士。
- 回戦の表記は日本棋院に従う(鶴山淳志は1回戦を都合2回行っている)。
- 段位・称号は抽選時のもの。
挑戦手合
[編集]前期に一力遼から天元位を奪取し史上最年少の天元位となった関航太郎天元に、天元戦挑戦手合は初出場の伊田篤史九段が挑む。
第1局は10月3日に開幕。白番の伊田が2手目天元の趣向を繰り出し、その後は白模様の中での黒のシノギが問われる展開になったが、地合勝負になったのちにヨセでリードした関が逃げ切った[3]。
第2局は序盤に関がリードするも、リードを守り切れず伊田が逆転勝ち[4]。第3局では、配石に違いはあるものの、白番の伊田が過去のタイトル戦でも用いた網走スベリを使用[5]。関の攻め・伊田のシノギの構図となったが、巧みなシノギと明るい判断で伊田が中押し勝ちした[6]。
第4局では、黒番の伊田が第1局に続いて初手天元を披露。関は伊田が築いた黒模様への侵入を図り、中央の数子が取られるかわりに隅で生きるフリカワリに。その後の白の勢力圏での戦いは関が優位に打ち進め、最後のコウ争いにも勝利。2勝2敗のタイに持ち込んだ[7]。
第5局は黒番・関の3手目ダイレクト三々に開局し、空き隅2箇所を残したまま難解形の変化に突入。戦いは盤面全体に波及し、激しい攻防の末に微差の半目勝負となったが、282手まで、関が半目差で勝利。天元位防衛を果たした関は、対局後に「もし負けたら何もなかった頃の棋士に戻っちゃうので」と防衛に懸ける思いを語った[8]。関は天元位2期により九段昇段。
日程 (2022年) |
第1局 | 第2局 | 第3局 | 第4局 | 第5局 | 結果 | |||||
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10月 3日 | 10月18日 | 11月14日 | 12月 1日 | 12月15日 | |||||||
(会場) 対局者 |
三重県 ( ) 伊勢市 |
北海道 ( ) 札幌市中央区 |
福岡県 ( ) 久留米市 |
兵庫県 ( ) 洲本市 |
徳島県 ( ) 徳島市 | ||||||
伊勢かぐらば リゾート 千の杜 |
京王プラザホテル 札幌 |
ホテルマリターレ 創世 久留米 |
ホテル ニューアワジ |
徳島グラン ヴィリオホテル | |||||||
関航太郎 天元 | 黒 | ○中押 | 白 | ● | 黒 | ● | 白 | ○中押 | 黒 | ○半目 | 天元位 防衛 |
伊田篤史 九段 | 白 | ● | 黒 | ○1目半 | 白 | ○中押 | 黒 | ● | 白 | ● | |
総手数/棋譜 | 199手 (映像) |
293手 (映像) |
202手 (映像) |
192手 (映像) |
282手 (映像) |
※黒:黒番 / 白:白番
記録
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “囲碁、藤沢が天元戦ベスト8 挑戦にあと3勝”. 共同通信 (2022年4月4日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ “囲碁の藤沢里菜女流四冠、天元戦4強入りならず”. 産経ニュース (2022年6月2日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ “天元戦第1局、関が先勝 初のタイトル防衛へ好発進”. 中日新聞Web (2022年10月4日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ “囲碁・天元戦第2局 伊田、寄せ合い制して1勝1敗のタイに”. 神戸新聞NEXT (2022年10月18日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ “第48期天元戦中継サイト”. 日本棋院. 2023年3月15日閲覧。
- ^ “囲碁天元戦第3局 伊田2勝目、初獲得に王手 関の粘り許さず 第4局は洲本で”. 神戸新聞NEXT (2022年11月14日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ “囲碁・天元戦第4局 関が「冷静な打ち回し」で中押し勝ち 2勝2敗のタイに”. 神戸新聞NEXT (2022年12月1日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ a b “関航太郎天元、最年少防衛 「もし負けたら何もなかった頃の棋士に」”. 朝日新聞デジタル (2022年12月15日). 2023年3月15日閲覧。