一力遼

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 一力遼 八段
名前 一力遼
生年月日 (1997-06-10) 1997年6月10日(21歳)
プロ入り年 2010年
出身地 宮城県
所属 日本棋院東京本院
師匠 宋光復
段位 八段
概要
タイトル獲得合計 5
七大タイトル
棋聖 挑戦者(2018)
王座 挑戦者(2017)
天元 挑戦者(2016・17)
世界タイトル
獲得数 1回               
 
タイトル
優勝 グロービス杯世界囲碁U-20 2014

一力 遼(いちりき りょう、1997年6月10日 - )は、日本囲碁棋士

第42期棋聖戦挑戦者。天元戦挑戦者2回。第65期王座戦挑戦者。NHK杯準優勝2回。2014年グロービス杯世界囲碁U-20優勝。

棋聖戦王座戦天元戦の最年少挑戦記録他、多数の最年少記録を保持している。

経歴[編集]

父の手ほどきによって5歳で囲碁を覚えた。

2005年仙台市立片平丁小学校2年の時に少年少女囲碁大会全国大会に出場。3位となる後の院生に敗れ、2勝1敗でリーグ敗退[1]。その後、院生となり院生研修のあった週末は仙台から上京していた[2]

2008年、5年生の時「もっと碁を学びたい」と母と共に都内に転居[3]。冬季採用試験では、稲葉貴宇安達利昌らに次ぐ12位で入段は出来なかった[4]

2009年、冬季棋士採用試験に臨むが、竹内康祐沼舘沙輝哉らに次ぐ4位で入段は出来なかった[5]

2010年東京都立白鴎高校付属中学1年時、夏季棋士採用で6月の院生順位1位により入段を果たす[6][7][8]。同年9月1日に初段。

2011年、第8回中野杯U20選手権3位、第21期竜星戦本戦に出場、第37期新人王戦本戦入り、同年12月22日に棋聖戦最終予選に進む。

2012年1月1日、二段(賞金ランキング)。 同年3月19日に第3回おかげ杯本戦入り、同年10月28日に第9回中野杯U20選手権優勝。同年11月18日に第7回若鯉戦準優勝。

2013年1月1日、 三段(賞金ランキング)。 同年5月16日、第4回おかげ杯で安斎伸彰を降し、優勝。同年8月19日に第20期阿含・桐山杯準決勝進出。同年9月26日に16歳3カ月16日で第52期十段戦本戦入り。これは十段戦本戦入りの最年少記録。以前の記録は、趙治勲井山裕太の18歳[9]。同年11月18日に第8回若鯉戦で富士田明彦新人王を降し、初の公式戦優勝。文藝春秋の企画「人材はここにいる」にて、各界の逸材108人を選んだ中、囲碁界からただ一人選出。「タイトル歴のあるベテラン棋士が、彼に見解を聞きに来る」という逸話が紹介された。

2014年1月1日、四段(賞金ランキング)。 同年3月21日 第39回棋聖戦リーグ入りを果たし、規定により七段昇段。これは井山裕太の17歳10カ月(2007年棋聖戦リーグ)を抜き、三大リーグ入りの最年少記録となった(16歳9カ月)[10](0勝5敗で陥落)。同年5月11日 、第1回グロービス杯世界囲碁U-20において、韓国羅玄、中国の連笑といった次世代最強と目される棋士を立て続けに下し、決勝で日本(台湾出身)の許家元を破り、国際棋戦優勝を飾った[11]。同年5月16日、第5回おかげ杯決勝で瀬戸大樹を降し、二連覇。同年8月21日、第40期天元戦本戦初出場で準決勝進出、挑戦者となる高尾紳路に敗れる。同年9月25日、第39期新人王戦志田達哉を2-1で降し、17歳3カ月で史上最年少新人王となった[12]。 同年11月11日、第1回イベロジャパン杯 (非公式戦)で許家元を降し、優勝。

2015年、第62回NHK杯決勝で、伊田篤史に敗れて準優勝。ちなみに、この決勝はどちらが優勝しても最年少記録であった。同年10月20-22日、第17回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦の第1-3戦で、依田紀基以来10年ぶりとなる3連勝を達成。賞金ランキング9位。

2016年4月、早稲田大学社会科学部に入学。同年9月2日、第42期天元戦の本戦決勝で山下敬吾を下し、井山裕太天元への挑戦権を獲得。現行の七大タイトル戦史上、10代の挑戦者は2008年の名人戦に19歳で登場した井山に続き2人目[13]。同年9月26日、第26期竜星戦の決勝で井山裕太を下し、優勝する。同年9月27日、第18回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦の第1戦、棋界の第一人者・李世乭を撃破する快挙を成し遂げた[14]棋道賞最多勝・最多対局賞受賞。賞金ランキングで自己最高の3位。

2017年、中国の団体戦「中国囲棋甲級リーグ戦」に重慶チームのメンバーとして参加[15]。8月25日、第65期王座戦本戦決勝で芝野虎丸七段に勝利し挑戦権獲得。続いて8月31日、第43期天元戦本戦決勝で山下敬吾九段を破り2年連続で挑戦権を獲得。王座・天元ともにタイトルホルダーは井山裕太七冠なので挑戦手合計10番勝負を行うことになった[16]。9月7日、第42期棋聖戦Sリーグで1位になり挑戦者決定トーナメント進出。11月9日、棋聖位挑戦者決定戦で山下敬吾九段に勝利しアドバンテージの1勝を合わせて2勝となり挑戦権獲得。20歳7カ月での棋聖位挑戦は井山の21歳7カ月を更新し史上最年少記録[17]。これで王座戦・天元戦も続き3戦連続の挑戦手合となり、棋聖位も井山裕太なので史上初の3棋戦連続同一カード「十七番勝負」となった[18]。10日、三大タイトルの挑戦権獲得にて規定により八段に昇段[19]。20日、王座戦挑戦手合で井山裕太王座(七冠)に3連敗し敗退[20]。24日、天元戦挑戦手合で井山裕太天元(七冠)に3連敗。

2018年、棋聖戦挑戦手合で井山裕太棋聖(七冠)に4連敗[21]。これで昨年から王座戦・天元戦・棋聖戦と続いた対井山との挑戦手合は一力の10連敗と完敗した。4月29日、MBS情熱大陸」20周年記念「ハタチの情熱」第四夜に出演[22]

棋風[編集]

早見え早打ちの天才肌。優れた大局観と柔軟な発想を持ち、序盤から意欲的に勝負を仕かけていく力戦型。早碁に強く、日本勢が総じて苦戦している国際棋戦で、1人気を吐いている。

人物[編集]

父は河北新報社代表取締役社長の一力雅彦、祖父は元河北新報社社主の一力一夫[23]、叔父に東北放送代表取締役社長の一力敦彦を持つ。

一人っ子のため、将来的に家業を継がなければならず、一線級の囲碁棋士としては非常に珍しく、プロ入り後に早稲田大学へ入学している[24]

タイトル戦決勝進出結果[編集]

優勝5回[編集]

棋戦
三大タイトル (0-1)
他・七大タイトル (0-2)
世界タイトル (1-0)
結果 棋戦 期・回 決着日 勝敗 相手
準優勝 1 若鯉戦 第7回 2012年11月18日 0-1 鈴木伸二三段
優勝 1 若鯉戦 第8回 2013年11月17日 1-0 富士田明彦新人王
優勝 2 グロービス杯U-20 第1回 2014年5月11日 1-0 許家元二段
優勝 3 新人王戦 第39期 2014年9月25日 2-1 志田達哉七段
準優勝 2 NHK杯 第62回 2015年3月15日 0-1 伊田篤史八段
優勝 4 竜星戦 第25期 2016年9月26日 1-0 井山裕太棋聖
優勝 5 若鯉戦 第11回 2016年11月27日 1-0 本木克弥七段
挑戦 3 天元戦 第42期 2016年12月12日 1-3 井山裕太六冠
準優勝 4 NHK杯 第64回 2017年3月19日 0-1 井山裕太六冠
挑戦 5 王座戦 第65期 2017年11月20日 0-3 井山裕太七冠
挑戦 6 天元戦 第43期 2017年11月24日 0-3 井山裕太七冠
挑戦 7 棋聖戦 第42期 2018年2月16日 0-4 井山裕太七冠

昇段・良績[編集]

  • 2010年9月1日初段。
  • 2011年
  • 2012年
    • 1月1日 二段(賞金ランキング)。
    • 3月19日 第3回おかげ杯本戦入り。
    • 10月28日 第9回中野杯U20選手権優勝。
  • 2013年
    • 1月1日 三段(賞金ランキング)。
    • 5月16日 第4回おかげ杯優勝。
    • 8月19日優勝第20期阿含・桐山杯準決勝進出。
    • 9月26日 16歳3カ月16日で第52期十段戦本戦入り。
  • 2014年
    • 1月1日 四段(賞金ランキング)。
    • 3月21日 第39回棋聖戦リーグ入り。規定により七段昇段。
    • 5月16日 第5回おかげ杯決勝で二連覇。
    • 8月21日 第40期天元戦本戦初出場で準決勝進出。
    • 9月25日 史上最年少新人王[25]
    • 11月11日 第1回イベロジャパン杯 (非公式戦)優勝。
  • 2017年
    • 3月18日 第4回グランドチャンピオン戦優勝[26][27]
    • 11月10日 八段(三大タイトル挑戦)[19]

記録[編集]

最年少[編集]

  • 十段戦本戦入り 16歳3カ月。
  • リーグ入り 棋聖戦リーグ 16歳9カ月。
  • 新人王 17歳3カ月(当時)。
  • 竜星 19歳3カ月(当時)。
  • 天元戦挑戦者 19歳4カ月。
  • 王座戦挑戦者 20歳4カ月。
  • 棋聖戦挑戦者 20歳7カ月。

その他[編集]

  • 第17回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦、3連勝※日本勢としては、第7回の依田紀基以来。
  • 7大タイトル・3棋戦連続同一カード(対井山裕太、2016年王座戦~2017年棋聖戦)

未達成[編集]

  • NHK杯優勝※2015・2017年、決勝戦まで進出するがいずれも敗北している。

タイトル・棋戦優勝歴・良績[編集]

国際棋戦[編集]

国内棋戦[編集]

非公式戦[編集]

主要な良績[編集]

  • 棋聖戦リーグ 1期(2014年・第39期)
  • NHK杯 準優勝 (62回、64回)
  • 天元戦ベスト4(2014年・第40期)

受賞履歴[編集]

棋道賞[編集]

  • 優勝棋士賞(2017)
  • 最多勝利賞(2016)
  • 最多対局賞(2016)
  • 国際賞 1回(2014年・第48回)
  • 新人賞 1回(2013年・第47回)
  • 勝率第1位賞 1回(2013年・第47回)

年表[編集]

  • タイトル戦の欄の氏名は対戦相手。うち、色付きのマス目は獲得(奪取または防衛)。青色挑戦者または失冠。黄色はリーグ入り。
  • 棋道賞は、 : 最優秀棋士賞、 優 : 優秀棋士賞、 特別 : 特別賞、
    率 : 勝率一位賞、 勝 : 最多勝利賞、 対 : 最多対局賞、 連 : 連勝賞、
    国際 : 国際賞、 新人 : 新人賞、 哉 : 秀哉賞
  • 賞金&対局料は、年度区切りではなく1月 - 12月の集計。単位は万円。色付きの年は全棋士中1位。
棋聖 十段 本因坊 碁聖 名人 王座 天元 棋戦 棋道賞 賞金対局料 備考
棋聖戦
1-3月
十段戦
3-4月
本因坊戦
5-7月
碁聖戦
6-8月
名人戦
9-11月
王座戦
10-12月
天元戦
10-12月
2010
2011
2012
2013 若鯉 率 新
2014 初リーグ入り G杯
新人
国際
2015 陥落 国際 1511(9位)
2016 Aリーグ
2位
井山裕太
xoxx
竜星
若鯉
勝 対 3522(3位)
2017 Sリーグ
4位
井山裕太
xxx
井山裕太
xxx
2523(2位)
2018 井山裕太
xxxx

脚注[編集]

  1. ^ “第26回少年少女囲碁大会”. 日本棋院. http://www.nihonkiin.or.jp/amakisen/junior-gochampionship/26/s_r.htm 2014年7月21日閲覧。 
  2. ^ 「次世代人 囲碁棋士 一力遼さん 13 王子が始動 まず一勝」『読売新聞夕刊』2010年8月7日
  3. ^ 「顔 若手棋戦で優勝した高校棋士 一力遼さん」『読売新聞』2013年5月25日
  4. ^ 平成21年度冬季棋士採用試験本戦
  5. ^ 平成22年度冬季棋士採用試験本戦
  6. ^ 産経新聞 解答乱麻 2010年10月3日閲覧
  7. ^ “夏季採用棋士決定”. 日本棋院. (2010年7月2日). http://www.nihonkiin.or.jp/news/2010/07/post_280.html 2014年7月21日閲覧。 
  8. ^ “中1一力君、囲碁のプロ棋士に 仙台出身”. 共同通信. (2010年6月27日). http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010062701000446.html 2014年7月21日閲覧。 
  9. ^ 産経新聞 2013年10月23日囲碁欄
  10. ^ “一力四段、棋聖戦リーグ入り 史上最年少の16歳9カ月”. 共同通信. (2014年3月21日). http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014032101001947.html 2014年7月21日閲覧。 
  11. ^ “世界囲碁、一力が初代優勝者に 若手棋士のグロービス杯”. 共同通信. (2014年5月11日). http://www.47news.jp/CN/201405/CN2014051101001395.html 2014年7月21日閲覧。 
  12. ^ “一力が新人王獲得!【第39期新人王戦決勝三番勝負第3局】”. 日本棋院. (2014年9月25日). http://www.nihonkiin.or.jp/match/2014/09/393.html 2014年12月31日閲覧。 
  13. ^ 囲碁天元戦、19歳の一力七段が挑戦権 井山天元に挑む
  14. ^ 日本棋院
  15. ^ 一力七段、甲級リーグへ参戦(日本棋院)
  16. ^ <一力七段 2タイトル戦に挑む>天下分け目の10番勝負
  17. ^ <囲碁>一力七段、棋聖への挑戦権/決定戦 山下九段に勝利
  18. ^ 井山・一力「十七番勝負」に 初の3棋戦連続同一カード
  19. ^ a b 【昇段】一力 遼八段に昇段
  20. ^ 王座戦で井山が防衛 7冠復帰初戦をストレート勝ち
  21. ^ 第42期 棋聖戦
  22. ^ 情熱大陸 13歳から「勝負師」として生きて来たハタチのプロ囲碁棋士・一力遼の涙の味”. 2018年4月29日閲覧。
  23. ^ かわら版NIPPON 49号 (PDF)”. 日本製紙株式会社新聞営業本部 (2011年1月1日). 2014年7月22日閲覧。
  24. ^ “一力遼七段、早稲田の杜へ「文碁両道」まっしぐら”. 産経ニュース. (2016年5月23日). http://www.sankei.com/life/news/160523/lif1605230004-n1.html 2017年7月18日閲覧。 
  25. ^ “一力が新人王獲得!【第39期新人王戦決勝三番勝負第3局】”. 日本棋院. (2014年9月25日). http://www.nihonkiin.or.jp/match/2014/09/393.html 2014年12月31日閲覧。 
  26. ^ “一力七段、初優勝 囲碁・グランドチャンピオン戦”. 朝日新聞デジタル. (2017年3月23日). http://www.asahi.com/articles/DA3S12856473.html 2017年7月18日閲覧。 
  27. ^ “一力七段が初優勝 囲碁グランドチャンピオン戦”. 河北新報. (2017年3月19日). http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201703/20170319_13031.html 2017年7月18日閲覧。 

著書[編集]

監修[編集]

外部リンク[編集]