「車内案内表示装置」の版間の差分

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上記以外の例としては、客室中間のみ枕木方向に配置されるもの([[クラス395電車]])、線路方向と枕木方向の両方に配置されるもの([[R160 (鉄道車両)|ニューヨーク市地下鉄R160電車]]・[[福岡市交通局3000系電車]])、扉上には路線図式、車端部にはLED式、扉付近の袖仕切り部分には液晶ディスプレイを配置する例([[マレー鉄道クラス92電車]])などが見られる。
上記以外の例としては、客室中間のみ枕木方向に配置されるもの([[クラス395電車]])、線路方向と枕木方向の両方に配置されるもの([[R160 (鉄道車両)|ニューヨーク市地下鉄R160電車]]・[[福岡市交通局3000系電車]])、扉上には路線図式、車端部にはLED式、扉付近の袖仕切り部分には液晶ディスプレイを配置する例([[マレー鉄道クラス92電車]])などが見られる。

バスでは、既述の通り車両最前部の運転席上部、もしくは運転席背後に設置されているのが大半であるが、[[東京国際空港|羽田空港]]のターミナル内無料シャトルバス等などでは、鉄道車両と同じく乗降用ドアの上部にも設置されている(通常の路線バスと異なり、すべてのドアから乗降が行われるため)。
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2015年4月14日 (火) 02:25時点における版

車内案内表示装置(しゃないあんないひょうじそうち)とは、鉄道車両バスなどに設置されている乗客への案内装置である。

概要

輸送障害発生時に配信された情報画面(東急5000系電車の例)

次の停車駅停留所(「次は[品川]です」・「まもなく[品川]です」など)や車両案内(「[品川]行」・「[1]号車」・「反対側のドアが開きます」など)、運行情報(現在時刻、遅延、運転再開)などの案内情報を発光ダイオード (LED) や液晶 (LCD) などを用いた表示器に文字や静止画動画などで表示させ乗客に伝える。また、ワンマン列車や路線バスでは運賃表示器を兼ねることもある。

通勤形電車の場合は各客用ドアの上部に設置されている例が多いが、ワンマン運転を実施する列車やバスなどでは運賃支払い時に運賃が確認できるように車両最前部の運転席上部に設置されている。また、特急形車両新幹線の場合は各車両のデッキへの仕切りドアの上部に設置されている。

日本においては、通常は日本語英語の二か国語で案内されることが多いが、特に空港連絡鉄道など外国人の利用が多い路線・車両の場合、中国語韓国語などの他言語表示に対応しているものも存在する。

普及の拡大

日本の鉄道車両においては1980年代後半からモニタ装置の搭載に併せて普及が進んだ。モニタ装置の列車位置検知機能(車輪の回転数等をベースに算出)などを活用し、文字情報表示と自動放送の実施タイミングを取っている。

近年ではモニタ装置の性能向上や通信装置 (VIS) と組み合わせることで、機能や表示内容が拡充される傾向にある。

2000年代以降の新造車両においては、交通バリアフリー法(現・バリアフリー新法)の施行に伴い、単なるサービス設備ではなく聴覚障害者に向けて次駅(停留所)案内や乗換案内、鉄道においてはドアの開く方向を知らせるなど、放送が聞き取れない利用者に対しての表示を行うよう義務付けられており、ユニバーサルデザイン設備としての性格が濃くなっている。

また伊豆急行2100系などは車内案内表示装置が設置されているものの特急など優等列車運用時のみ使用するというケースもある。

表示方式

路線図式

東京メトロ銀座線向けの01系電車丸ノ内線向けの02系電車に見られるような路線図タイプの表示装置で、行先と次の停車駅、進行方向をランプの点灯・点滅で表示する比較的簡素なものであるが、当該路線の全体像が直感的に把握できる利点がある。ただ、地下鉄を中心に直通運転による路線図表記の繁雑さや、新駅・新路線開業への対応が難しいことから、1980年代後半からはLED表示器に文字情報を表示させる方式が主流となったが、相互の利点を生かし両者を一体化したタイプを設置する車両や、ニューヨーク市地下鉄R160電車のように停車駅部分をLED表示器とし、種別・路線・停車駅に応じて変化させている例がある。しかし2010年代に更新した大阪市営地下鉄新20系に新たに扉上に路線図式車内案内表示装置を設置した(路線図式車内案内表示装置の反対側の扉上に文字式のLEDの車内案内表示装置がある)。

LED式

1980年代後半から普及した方式。発光ダイオード (LED) の文字列による表示で、現在最も主流となっている方式である。路線図式に比べて案内の変更に柔軟に対応できるほか、色の組み合わせやスクロール、点滅などで視覚的に乗客に見やすく表示・注意喚起することができる。3色表示のものが大半であるが、2000年代後半以降では、フルカラー表示となっているものも登場している。また、車両によっては上下2段に分けて表示することが可能なものや、行先表示用とその他案内用を分離して2面を並列配置したもの(東武30000系電車など)もある。

LEDの代わりに、蛍光表示管を用いた物もある(伊豆急行8000系電車など)。

液晶ディスプレイ式(LCD式)

1990年代に一部の事業者(東武9050系電車など)で導入された後、2000年代中盤から本格的に普及した方式。液晶ディスプレイ (LCD) を用い、図形や映像で多種多様な表示を行うことができる。停車駅や運行情報などの案内のほか、広告表示用のデジタルサイネージとして用いている車両もあるほか、先頭車両からの前面展望を映し出す機能を持つ車両(小田急50000形電車など)もある。

プラズマディスプレイ式

LED式が本格的に普及する以前の一部車両(新幹線100系電車(初期車)・新幹線300系電車)に搭載された方式。プラズマディスプレイ (PDP) を用いているが、赤1色しか表示できない。また、フルカラーLEDが実用化される以前の一部車両(新幹線500系電車JR西日本681系電車)には、8色カラー表示が可能なPDPを搭載したものも存在した。

電照式

次の停車駅のみを表示盤に点灯させる簡素なもの。ただし臨時停車駅や停車駅の増加への対応が難しい。もっとも古いのは1930(昭和5)年、大阪市営地下鉄の100系電車に付けられたものと思われる。2010年現在は特急「海幸山幸」のみに運用されるキハ125形400番台に設置されている[1]

その他

東武日光線快速・区間快速に用いられる6050系電車では連結面・乗務員室仕切り部に種別・行先表示器を設けたが、これは直通運転を行う鬼怒川線野岩鉄道線方面と東武日光ゆきとの誤乗を避けるため、従来の行先票を客室内に掲出する方式に代わって設置されたものである。

日本国有鉄道(国鉄)時代には分割・併結の多い東北方面の気動車急行でも客室内に行先票を設置したケースがある。京成電鉄でも赤電の初期まで客室内に行先票を設置していた。

設置方式

客室内車端部に設置されるものと、客用ドアの上部に設置されるものに大別される。

車端部に設置されているものは、両端の2ヶ所に設置される例が多い。クロスシート車で採用されていることが多いが、進行方向後部からは距離が遠くなるため視認性は低い。そのため、近年では表示器寸法の拡大により視認性を向上させたり、客室中間にも追加設置した車両(新幹線800系電車)もある。客用ドアの上部に設置する方式では、全てのドア上部に設置しているものと、進行方向に向かって左右のドア上部に交互設置(千鳥配置)するもの、進行方向片側のドアのみ設置するもの(JR九州813系817系電車の一部)がある。

液晶ディスプレイはドア上部に設置するのが主流であるが、東日本旅客鉄道(JR東日本)のE259系電車西日本旅客鉄道(JR西日本)の321系電車225系電車では、車両の中間3箇所の両側に枕木と平行方向に片側2面に設置している。また、近畿日本鉄道では、21000系電車「アーバンライナーplus」・21020系電車「アーバンライナーnext」の喫煙コーナーにも液晶ディスプレイを設置していた(後に撤去、現在はディスプレイ部を板で塞いでいる)。

上記以外の例としては、客室中間のみ枕木方向に配置されるもの(クラス395電車)、線路方向と枕木方向の両方に配置されるもの(ニューヨーク市地下鉄R160電車福岡市交通局3000系電車)、扉上には路線図式、車端部にはLED式、扉付近の袖仕切り部分には液晶ディスプレイを配置する例(マレー鉄道クラス92電車)などが見られる。

バスでは、既述の通り車両最前部の運転席上部、もしくは運転席背後に設置されているのが大半であるが、羽田空港のターミナル内無料シャトルバス等などでは、鉄道車両と同じく乗降用ドアの上部にも設置されている(通常の路線バスと異なり、すべてのドアから乗降が行われるため)。


脚注

  1. ^ 『鉄道ファン』2010年1月号(通巻585号)、交友社

関連項目