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いずれも、[[小麦粉]]に[[塩]]を加えてこねた後、底に環形の穴(内側の円盤は棒状の支持材で固定する)をいくつか開けた、筒状の成形器具に入れ、圧力を加えて押し出して中空状に成形する。長さは押し出しのスピードと、切るタイミングの調整で決める。現代の工場生産では、回転する刃で高速に切断することで、短いマカロニを作る。曲り具合は、主に環状の穴を開ける向きで決まる。穴の形を変えると異形のマカロニを作ることができる。現在は円筒形が主流であるが、元は菱形であった。
いずれも、[[小麦粉]]に[[塩]]を加えてこねた後、底に環形の穴(内側の円盤は棒状の支持材で固定する)をいくつか開けた、筒状の成形器具に入れ、圧力を加えて押し出して中空状に成形する。長さは押し出しのスピードと、切るタイミングの調整で決める。現代の工場生産では、回転する刃で高速に切断することで、短いマカロニを作る。曲り具合は、主に環状の穴を開ける向きで決まる。穴の形を変えると異形のマカロニを作ることができる。現在は円筒形が主流であるが、元は菱形であった。


俗説ではマルコ・ポーロが[[中国]]から持ち帰った[[小麦粉]]を練った食べ物を法王に献上した際、あまりの味の良さに「おお、すばらしい(Ma Caroni)」といったことが命名の由来とされている。
俗説ではマルコ・ポーロが[[中国]]から持ち帰った[[小麦粉]]を練った食べ物を法王に献上した際、あまりの味の良さに「おお、すばらしい(Ma Caroni)」といったことが命名の由来とされている<ref>マルコ・ポーロが帰国したのが1295年で、その前の1279年に[[ジェノヴァ]]の公証人が作成した財産目録に「マカロニ一杯の箱」とあり、中国から持ち帰った説同様、ありえない。イタリアの語源辞典では大麦のお粥のようなものからとしているが、『食文化百科』では「小麦などを練る」の「マッカーレ」から派生した「マッコ」を語源にしているという([[西村暢夫]]『イタリア食文化こぼれ話』[[文流]] 2013年p.10f.)。</ref>


[[ベトナム]]には、[[コメ]]の粉でマカロニと同じ形に成形した[[ライスヌードル]]がある。
[[ベトナム]]には、[[コメ]]の粉でマカロニと同じ形に成形した[[ライスヌードル]]がある。
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 英米伊仏などでは「スパゲッティ・ウェスタン」と呼んでいるが、映画評論家の[[淀川長治]]が「スパゲッティでは細くて貧弱そうだ」ということで「マカロニ・ウェスタン」と改名した。
 英米伊仏などでは「スパゲッティ・ウェスタン」と呼んでいるが、映画評論家の[[淀川長治]]が「スパゲッティでは細くて貧弱そうだ」ということで「マカロニ・ウェスタン」と改名した。


== 出典 ==
== 脚注 ==
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2014年11月12日 (水) 01:13時点における版

マカロニの接写

マカロニ英語:macaroni)は、イタリア料理で使われる麺類であるパスタのひとつ。語源は、イタリア語のマッケローネ(Maccherone)の複数形マッケローニ(Maccheroni)。

概要

国や地域によって、意味するパスタの形状に違いがあるが、工場で生産された乾燥したものを茹でて使うことが多い。日本では短い穴の開いた棒状や貝殻状のもの、意匠を凝らしたものなどの総称で指すのに対し、イタリア語のマッケローニは主に穴のあいた棒状のものを指し、普通茹でる際に適当な長さに折って用いる。英語では、穴の開いた棒状の短いパスタのみを意味するが、英語圏の中でもニューヨークフィラデルフィア周辺のイタリア系アメリカ人は、パスタ全般を指す言葉として使っている。

いずれも、小麦粉を加えてこねた後、底に環形の穴(内側の円盤は棒状の支持材で固定する)をいくつか開けた、筒状の成形器具に入れ、圧力を加えて押し出して中空状に成形する。長さは押し出しのスピードと、切るタイミングの調整で決める。現代の工場生産では、回転する刃で高速に切断することで、短いマカロニを作る。曲り具合は、主に環状の穴を開ける向きで決まる。穴の形を変えると異形のマカロニを作ることができる。現在は円筒形が主流であるが、元は菱形であった。

俗説ではマルコ・ポーロが中国から持ち帰った小麦粉を練った食べ物を法王に献上した際、あまりの味の良さに「おお、すばらしい(Ma Caroni)」といったことが命名の由来とされている[1]

ベトナムには、コメの粉でマカロニと同じ形に成形したライスヌードルがある。

マカロニを使った料理など

アメリカ合衆国
アメリカでは、1789年に第3代大統領トーマス・ジェファーソンフランスから帰国した時にマカロニを作る機械を持ち帰ったとされている。またジェファーソンは自邸モンティチェロで茹でたマカロニをおろしたチーズバターで和えてオーブンで焼いた、今日の「マカロニ・アンド・チーズ」とよく似た料理を供させたことが知られている。マカロニ・アンド・チーズの歴史は古く、アメリカ合衆国建国以前のイギリスではよく似た料理が「マカロニプディング」という名で知られていた。今日ではマカロニ・アンド・チーズは家庭で人気のあるアメリカ料理の1つとなっており、乾燥マカロニとレトルトパック入りソースと粉チーズをセットにした商品や冷凍食品としても製造及び販売されている。
シカゴ周辺ではチリコンカーンにマカロニを入れた料理をチリ・マック(chili mac)と呼び、アメリカ軍MREのメニューの一つにもなっている。
エジプト
エジプト国内で食べられている軽食「コシャリ」にマカロニが使われている。
香港
広東語で、穴あきのマカロニは「通心粉 トンサームファン」と呼ばれるが、茶餐廳と呼ばれる喫茶レストランの朝食セットでは、マカロニ入りのコンソメスープ目玉焼きなどが定番のひとつである。ただし、のびきった、食感の乏しいものであることが多い。
日本
日本のマカロニ料理にマカロニグラタンマカロニサラダがある。後者は、ゆでたマカロニを、キュウリなどの刻んだ野菜マヨネーズであえて作る。

歴史

  • 1292年にマルコ・ポーロが中国からイタリアのベネチアに持ち帰ったという伝説があるが、歴史的な定説とはなっていない。16世紀までに存在していたことは明らかである。
  • 日本には明治時代までに紹介されており、1872年に出版された日本で最初の西洋料理解説書『西洋料理指南』は竹管の如き「温純」(饂飩)として長いマッケローニを紹介している[2]

比喩

“マカロニ”と形容されたファッションを風刺した絵
(1774年)
  • 16世紀から17世紀にかけて、イタリア語にラテン語のような語尾をつけて、風刺に使うのが流行したことがあり、これをマカロニ・ラテン語(英語:macaroni Latin または macaronic Latin)と呼んだ。転じて異なる言語をごちゃ混ぜにして書いたり喋ったりすることをマカロニックと呼ぶ。
  • 18世紀のイギリスでは、イタリアで最先端の流行に触れ、それを持ち帰って広めた者や最先端の流行に対して「マカロニ」という言葉が使われた。また、大変奇抜なファッションに身を包み、奇抜な言葉遣いをする男性も「マカロニ」と呼ばれた。

アメリカ独立戦争の頃にアメリカで流行した愛国歌『ヤンキードゥードゥル』の1節に『Stuck a feather in his cap/and called it macaroni』(彼は帽子に羽を挿し、マカロニと呼んだ)とあるのは、田舎者の植民地人は帽子に羽を挿しただけで斬新でマカロニ的だと考えるだろうと、イギリス人から見たアメリカ植民地人の垢抜けなさを揶揄したものである。マカロニペンギンの標準和名もこのマカロニにちなむ。

 英米伊仏などでは「スパゲッティ・ウェスタン」と呼んでいるが、映画評論家の淀川長治が「スパゲッティでは細くて貧弱そうだ」ということで「マカロニ・ウェスタン」と改名した。

脚注

  1. ^ マルコ・ポーロが帰国したのが1295年で、その前の1279年にジェノヴァの公証人が作成した財産目録に「マカロニ一杯の箱」とあり、中国から持ち帰った説同様、ありえない。イタリアの語源辞典では大麦のお粥のようなものからとしているが、『食文化百科』では「小麦などを練る」の「マッカーレ」から派生した「マッコ」を語源にしているという(西村暢夫『イタリア食文化こぼれ話』文流 2013年p.10f.)。
  2. ^ 敬学堂主人、『西洋料理指南』下p27右、1872年、東京、東京書林雁金屋 [1]
  3. ^ 旧出津救助院 - ながさき旅ネット

関連項目