「名古屋鉄道の車両形式」の版間の差分

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*種別・行先の表示は7700系までは、先頭車の前面にサボ受けが2つあり、向かって右に種別、中央に行先のサボを差し込む方式が標準であった。(パノラマカーは除く)    
*種別・行先の表示は7700系までは、先頭車の前面にサボ受けが2つあり、向かって右に種別、中央に行先のサボを差し込む方式が標準であった。(パノラマカーは除く)    
[[方向幕]]は7000系や7300系での試験を経て、1976年登場の6000系で本格採用されたが、この時点では先頭車前面のみに止まり、本線系車両の車体側面への種別・行先表示機の設置は1986年度以降となった。また、2004年に登場した2000系では国内の鉄道車両では初めて車体前面と側面の種別・行先表示機に[[オーロラビジョン|オーロラビジョンR-STAY]]が採用され、以後の新造車両で標準装備となったほか、1000系・1030系(特別車のみ)もこれに交換されている。</br>
[[方向幕]]は7000系や7300系での試験を経て、1976年登場の6000系で本格採用されたが、この時点では先頭車前面のみに止まり、本線系車両の車体側面への種別・行先表示機の設置は1986年度以降となった。また、2004年に登場した2000系では国内の鉄道車両では初めて車体前面と側面の種別・行先表示機に[[オーロラビジョン|オーロラビジョンR-STAY]]が採用され、以後の新造車両で標準装備となったほか、1000系・1030系(特別車のみ)もこれに交換されている。</br>
ただ、現在に至るまで[[LED]]式の種別・行先表示機は今のところ採用されていない。
ただ、現在に至るまで[[LED]]式の種別・行先表示機は今のところ採用されていない。上述の新5000系でフルカラーLED式のものが初採用の予定
*[[車内案内表示装置]]は[[LED]]式のものが、1988年登場の1000系で初採用され、一般用車両でも、1993年登場の3500系からは標準装備となった。設置場所は2000年に製造の3100系3次車までは妻面上部に、2002年登場の300系以降は客用ドア上部への千鳥配置となっている。
*[[車内案内表示装置]]は[[LED]]式のものが、1988年登場の1000系で初採用され、一般用車両でも、1993年登場の3500系からは標準装備となった。設置場所は2000年に製造の3100系3次車までは妻面上部に、2002年登場の300系以降は客用ドア上部への千鳥配置となっている。
また、2000系と2200系特別車では客室内の妻面上部に22インチの[[LCD]]ディスプレイが取り付けられている。
また、2000系と2200系特別車では客室内の妻面上部に22インチの[[LCD]]ディスプレイが取り付けられている。

2008年2月28日 (木) 20:00時点における版

名古屋鉄道の車両形式(なごやてつどうのしゃりょうけいしき)は、名古屋鉄道に在籍する、あるいは在籍した鉄道車両の一覧である。

特徴

概要

路線規模やナローゲージ・第三軌条線の存在こそ近鉄に譲るものの、かつては指定席自由席兼用車、路面電車ディーゼルカー、他社では既に引退した旧型車両などが多く存在し、私鉄どころか当時の国鉄と比べても、大変バラエティー豊かな構成で知られていた。それは、名鉄の経営基盤である中京都市圏がもともと首都圏・関西圏に比べて人口密度・鉄道輸送シェアともに低いことが根底にあり、多様な路線網と輸送需要をより少ない経営資源(資本)で賄うため、必然的にそのような構成となっていた。

1990年代以降は、それらに加えて経済情勢の変化やJR東海の攻勢により、一層の合理化・効率化を余儀なくされ、利用率の高い路線は異端車両を整理し、利用率が低い路線では縮小・廃止が行われ、その種類は21世紀初頭と比べても激減している。特に非電化・600V区間の路線を全廃したことにより、前述の特徴ある車両が姿を消し、加えて2006年に名鉄が発表した車両置換計画が完了すれば、残る車両を大分類すると特急車(特別車)・一般通勤車(19m級3扉車)・地下鉄直通車(20m4扉車)の3種となり、他の大手私鉄とあまり変わらなくなる。そうした中で、1991年以来続いている特急車の一部特別車(特別車+一般車)固定編成は、名鉄の独自性が最もよく顕れていると言える。

かつては、例えばパノラマカーを有料特急から通勤列車にまで運用するなど、汎用性の高い車両を志向していたが、上述の車種整理の過程で本格的な特急車(現・特別車)や通勤車の投入により車両の用途別特化が進んだため、保有車両数が1970年代から約300両も増加したのに反して、車両の形式体系は明確で分かり易いものになった。

製造会社

名鉄の創立当初から殆ど、日本車輌製造(日車)で製作された車両が続いており、相互に株式を持ち合うなど資本関係も存在している。かつては他社で製造した車両もある程度存在したが、その殆どが他社の譲渡車や合併会社の車両であり、現用車両では三河鉄道から引継いた電気機関車デキ300形(三菱造船・現三菱重工業)や、モノレール線のMRM100形日立製作所製)だけである。

艤装関係は主電動機が東洋電機製造三菱電機、主制御器が東芝・三菱・東洋、冷房装置が東芝・三菱、台車が住友金属工業などとなっている。特に台車は1951年以来ほぼ一貫して住友金属製を使用しており、1973年からは同社が製造する片持ち平行板バネ式軸箱支持方式(S・SUミンデンドイツ式)を標準台車としている。

客室設備

1975年までは車体更新車など一部を除き、2扉転換クロスシート車の新製を続け、翌1976年からは通勤車でもなお、3扉ながら固定クロス仕様とした(他の大手私鉄は3・4扉ロングシートが基本)。

1980年代後半から通勤ラッシュ時に深刻な輸送力不足が表面化し、1990年以降はロングシート主体の新車と固定クロス車の改造が続き、混雑緩和と乗降時分短縮のため2扉クロスの一般車は新造していない(特急は除く)。特に1990年代前半は、オールロング化に加えて実質着席定員を最小限にとどめた3扉通勤車の大量増備という極端な施策が取られた。ただし着席定員を犠牲にできない特急一般車向けに限って、混雑緩和との両立を目的に3扉クロス車を新造している。2002年度から2005年度は、クロスとロングの両方を配置した車両(セミクロスシート車)を増備したが、2007年の3150系2次車では全てロングに戻された。

走行性能・技術

概要

優等列車主体の都市間連絡ダイヤを構成してきたため、戦前から高速運転には積極的で、旧型車(AL車)でも営業最高速度100km/hの性能を有していた。1961年に110km/h、1990年には120km/hの営業運転を、いずれも狭軌私鉄としては初めて開始している[1]。一方でローカル線用や通勤用車両は、旧型車の機器流用、他社の旧型車譲受、最高速度を抑えた車両の投入、冷房能力の低減、ラッシュ対策として座席数削減といった、経済性を優先する傾向も一時期みられ、1980年代一杯まで半鋼製・非冷房の旧型車が多く残されていた。

「AL車」という用語とその誤用

名鉄の社内では、モ800形(初代)や「いもむし」ことモ3400形をはじめとする間接自動加速制御の吊り掛け駆動車を慣例上「AL車」と呼んでいた。更に略して「オート」と呼ぶこともあった。

しかし、本来「AL」とは「Automatic acceleration-Line voltage」(自動進段・架線電圧電源式)を意味する、ウェスティングハウス・エレクトリック(WH)社系単位スイッチ式制御器に対する呼称である。この「架線電源」とは制御器を動作させるための低圧電源として、主制御器への配線から手前で分流した架線電源を抵抗器で降圧して使用することに由来する。

実際には名鉄1500V「AL車」のほとんどが、この定義に合致しない。架線電源の抵抗器降圧ではなく、より安定した電源である電動発電機によって、制御用低圧電源を確保しており、「Line」に該当しないためである。

従って、名鉄の1500V線AL車のうち、単位スイッチ制御器搭載車をWH社式の表記法で厳密に表すと「ABF」(A=Automatic acceleration:自動進段、B=Battery voltage:蓄電池電圧動作(蓄電池もしくは電動発電機などの独立電源使用)、F=Field Tupper:弱め界磁付き)となる。実際に戦後に製造された3850系や3900系では、WH社の日本での提携先である三菱電機が製造したABFやABFM(M=Multiple notch:多段式)系統の制御器が採用されている[2]

他のAL車の主制御器は、ほとんどが基本機構を異にする電動カム軸式であり、中でもイギリスのイングリッシュ・エレクトリック(EE)社製「デッカー・システム(Dick Kerr System)」の技術系統に属する東洋電機製造製カム軸制御器が事実上の標準仕様となっていた。AL車用制御器で最も普及していた東洋「ES568」の制御段数は直列7段・並列6段・弱め界磁1段(60%)である。ただし一部車両にはアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社系の技術を導入した芝浦製作所製のカム軸制御器を使用した例もあり、その中には珍しい「油圧カム軸制御器」の「PB2」を搭載したケースも含まれた。

いずれにせよ名鉄の旧型自動加速車は、カム軸式制御器を用いる例が圧倒的主流をなし、「AL」どころか「ABF」ですらなかった[3]。名鉄では高性能車5000系までも当初は「AL車」に分類していた。

しかし名鉄での誤用は長年の間に一般の鉄道ファンにも広まってしまっており、国鉄のCS系電空カム軸・電動カム軸制御器も含めた自動加速制御器を搭載した電車全般を(名鉄以外の私鉄電車をも指して)「AL」と称する誤解の例が後を絶たない。なお、名鉄においては、「HL車」(非自動〔手動〕加速制御)と呼称された車両の多くも、実態は電動発電機を搭載した「HB車」であった。

「AL車」の主電動機には名岐鉄道モ800形のTDK-528/5 F以降、東洋電機製造の110kW級モーターであるTDK-528系が、「HL車」の主電動機には木造車時代に採用されたWH社のWH-556-J6が、それぞれ長年にわたって重用された。

TDK-528系は、狭軌用の量産型吊り掛け駆動モーターとしては、その出力こそ同じメーカーのTDK-529-A[4]や、それに比肩あるいは凌駕する日立のHS-262-AR[5]、あるいは国鉄電車の制式主電動機MT40[6]などに譲るが、端子電圧750V時の定格回転数は最終期のモデルで1250rpmの高い数値を達成し、吊り掛け式モーターの割に高速向けの優秀なモーターであった[7]。他社では同型のモーターを装備した場合、一般的に歯数比を62:18=3.44としていたが、名鉄では高速性能を重視して歯数比を61:19=3.21としていた。従って全界磁における定格速度も64km/hと高かった[8]

一方、HL車の主力モーターであったWH-556-J6も、1時間定格出力74.6kW/985rpm(端子電圧750V時)というカタログデータが示すとおり、WH社製モーターとしては珍しい高回転型であった。出力こそ非力ではあったが、高速性能はTDK-528系に見劣りせず、しかも材質・工作も優れていた。このため3700形をはじめとするHL車の他社譲渡による淘汰が開始された時期になってもなお、名鉄当局はあえて製造時期の新しい他の日本製電動機を裝架する車両から順番に譲渡し、WH製モーターを裝架した車両をHL車の終焉まで温存した。

新性能車以後

  • 全金属製軽量車体・カルダン駆動・発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキを実用化した、いわゆる高性能車は1955年5000系が最初である。
  • 通勤車の冷房化については、主制御器を新開発のGE社系MCMパッケージ型電動カム軸式制御器とすることで床下機器追加用スペースを確保した5500系1959年に新製することで先鞭をつけたが、その後は旧型車置換えのペースが鈍った上に、他社から非冷房車を譲受けたことや、瀬戸線の6600系が新設した地下区間での排熱処理の都合上、あえて非冷房で登場したこと、あるいは1970年代までは在来車の冷房化改造を行わなかったことなどから、冷房化率は伸び悩んだ。
  • 1963年には7500系で東洋電機製造が開発した直流複巻電動機+磁気増幅器(マグアンプ)による回生ブレーキ併用の定速度制御機構を導入したが、マグアンプを分巻界磁の調整に用いるこのタイプの定速度制御機構は、マグアンプの応答性の低さと架線電圧変動に左右される電動発電機を主電源とすることもあって調整が難しく、しかも在来車との併結もできなかったことからこれは7500系に採用されるにとどまり、本形式の増備終了から1984年に6500系で界磁チョッパ制御が導入されるまでの間は、単純な抵抗制御・発電ブレーキ車のみの増備が続くこととなった。地下鉄直通用の100系(初期車)や前出の6600系もこの技術停滞期に製造された。
  • 1980年代に入ると、国鉄でも非冷房が一般的であった名古屋地区において、冷房を装備した113系2000番台電車や117系電車を登場させ、少数ながらも夏場のサービス向上に努めた。また、大衆車とされる乗用車へのカーエアコン搭載率が飛躍的に向上したのもこの頃である。これら社会情勢に呼応する形で、1980年代後半以降は6500系、5700系、6800系などの冷房車が優先的に新製配置された幹線や亜幹線系統の列車においては冷房化率が大きく向上している。名鉄で1500V鉄道線の100%冷房化が成ったのは1996年である。なお、この時動態保存が決定していた3400系に対しては、冷房化改造がなされている。
  • 走行性能が全般に高速運転指向に振られているため、地下鉄直通車以外は起動加速度が2km/h/s台前半と低い[9]。また曲線区間が多いため一部の車両に自動塗油装置を搭載しており、レール面に付着した潤滑油で空転・滑走が発生しやすい事情もある。ブレーキは、120km/h仕様車種(準備も含む)について増圧システムや滑走防止装置(ABS)を付加し対応している。
  • 大出力カルダンモーターによるMT同数編成、界磁チョッパ制御ボルスタレス台車ワンハンドルマスコン全電気指令式ブレーキステンレス車体といった、イニシャルコストや在来車との互換性断絶を伴う新技術の採用は、他社に較べてかなり遅れる傾向にあった。また下枠交差型パンタグラフやモノリンク式台車など、今まで本採用にならなかった構造やメカニズムもある。その反面、界磁添加励磁制御シングルアーム型パンタグラフIGBT-VVVFインパータ制御などの採用は比較的早く、分割併合のためのM式自動解結装置のように他社に例のない機構を独自に開発し採用した例も見られる。なお、1998年以降の完全新製車は全て、他の大手私鉄・JR並みの標準的技術を採用している。
  • 機器流用・車体新製や基本形維持による更新車は多いが、現存車の制御方式や駆動装置の変更といった大改造はなされない。機器流用車は1993年以来製造していなかったが、2007年度に1000系の機器を流用した通勤型車両、新5000系が導入される予定である。
  • 種別・行先の表示は7700系までは、先頭車の前面にサボ受けが2つあり、向かって右に種別、中央に行先のサボを差し込む方式が標準であった。(パノラマカーは除く)    

方向幕は7000系や7300系での試験を経て、1976年登場の6000系で本格採用されたが、この時点では先頭車前面のみに止まり、本線系車両の車体側面への種別・行先表示機の設置は1986年度以降となった。また、2004年に登場した2000系では国内の鉄道車両では初めて車体前面と側面の種別・行先表示機にオーロラビジョンR-STAYが採用され、以後の新造車両で標準装備となったほか、1000系・1030系(特別車のみ)もこれに交換されている。
ただ、現在に至るまでLED式の種別・行先表示機は今のところ採用されていない。上述の新5000系でフルカラーLED式のものが初採用の予定。

  • 車内案内表示装置LED式のものが、1988年登場の1000系で初採用され、一般用車両でも、1993年登場の3500系からは標準装備となった。設置場所は2000年に製造の3100系3次車までは妻面上部に、2002年登場の300系以降は客用ドア上部への千鳥配置となっている。

また、2000系と2200系特別車では客室内の妻面上部に22インチのLCDディスプレイが取り付けられている。

編成両数

営業運転における最長編成は1966年以来8両。当時の看板車両パノラマカーの一部を8両固定に組み替えたほか、AL車や8000系気動車もピーク輸送では8両編成が組まれた。現在は6両・4両・2両編成を組合わせて運用している。現有車は基本的に空気ブレーキの方式が同じならば異形式間でも連結が可能な上、同一形式でスタイルが変化した系列もあり、車種が整理された割に編成のバラエティは豊富である。なお1000番台(1600系を除く)と6000番台については、連結運転は通常各々の番台系列内でのみ行っている。支線など輸送単位が小さい場合の最短編成は2両で(単行車両は現在消滅)、閑散時間帯には名鉄名古屋駅にも2両編成が発着する。奇数両の編成は過去折々に運行されていたが、現時点では特急車1600系(3両編成)しかなく、これも近年中に6両への編成替えが予定されている。

付番慣例

車両番号の前の記号は制御電動車(Mc)・電動車(M)=モ、制御車(Tc)=ク、付随車(T)=サで、特別車を表す「ロ」や普通車を表す「ハ」は付けていない(過去に在籍した気動車には「キロ」「キハ」などと付けていた)。旅客車以外の車両については、電気機関車=デキ、貨車は1984年(昭和59年)まで国鉄と通運(貨車の共通運用)をしていた関係から、現在もJR各社と同様の形式符号(ワムなど)を使用している。なお、記号は貨車を除き車体妻部にある形式標板以外には表示していない。

形式番号は、(旧)名古屋鉄道の発足時に100番代から付番(改番)を行い、当初は殆どの車両が両運転台車(単行運転)であったことから、2両の固定編成が主流となった後もMc車の形式を基本的に代表系式(XY00系)とし、形式は基本的に50番刻みで付番し、中間車(3両編成以上)が登場した後は、中間車に50番台の形式を付番していた。なお、旧型車の制御・付随車は全て2000番台の形式としていた(初期に荷物専用の電動車で2000形を名乗った例はある)。5000系以降のSR車では全電動車方式を採用したため、制御・付随車用の番台は設けていない(唯一の例外として旧型車体更新車の7300系がある)。

1976年に新製した6000系では大量増備が予定されていたため、従来の付番慣例によらず中間車も含めて100番刻みの形式を採用した。また、6000系以降ではTc(T)車が代表形式を名乗るケースが増えており、その後の純新製車両は最若番を名乗る形式を代表形式としている(6500系を除く。6750系など旧型車の車体更新車は例外的にMc車の形式を代表形式とした)。6000系以外は各形式番号を50番刻みで区分しているが、先頭(運転台付き)車には50番台の形式符号は原則として付番しない(7500系の足回りを再利用した1850系とステンレスの2両編成である3150系を除く)。なお、1030系など基本形式(1000系など)の空き番を有効利用するため、各形式の30番(20番)プラスの形式を付番することもある。

現在の系列・形式番号体系

(旧)名古屋鉄道発足時に、市内専用(譲渡予定)車両を除外して形式番号を100番台から振り直し、同形式の1桁目1番から順に個別番号を付番する方式を取った。現在では旧型車の淘汰が進んだため、3桁(電気機関車を除く・100系)~3000番台は全て2代目以降の系列となっている。なお、電気機関車は旅客車等とは独立して形式番号を付けており、過去には形式(車両固有)番号が一部重複する例(モ600形デキ600形など)も見られたが、600V線用車両の廃車が行われた現在は重複が解消している。

  • 3桁 - 電気機関車・地下鉄直通車
  • 1000番台 - 特急用車両(パノラマSuperおよびその派生型、一般車含む)
  • 2000番台 - 特急用車両(ミュースカイおよびその派生型、一般車含む)
  • 3000番台 - 通勤型車両(三相交流電動機インバータ制御車)
  • 5000番台 - パノラマカー以外の2扉クロス車両
  • 6000番台 - 通勤型車両(抵抗制御、界磁チョッパ・添加励磁制御車)
  • 7000番台 - パノラマカーおよびその派生型(旧特急用車両)
  • 8000番台 - 特殊用途用特急専用車両(気動車含む・現在は消滅)
  • 4000番台はいわゆる『忌み番』として使用を避けている。これは、以前在籍したモ400形(初代)に落雷・焼失などが相次いだことが起因とされている。なお、9000番台も同様に忌み番としているように見られるが、1000系以降はインフレナンバーを避ける目的で若番台の再利用を行う方針に転換したことから、今の所、使用機会がないためと見られる。
  • 地下鉄直通車は全て3桁で、編成内で10刻みの形式番号としている。地下鉄直通車を3桁に収めているのもインフレナンバーを避ける一環と言える。
  • 過去に存在した600V線用の車両もMc車は3桁となっていた。これは(旧)名古屋鉄道からの生き残りもあった影響で、Tc車は1500V線用の他形式と同様に2000番台を付していた。なお、500番台は岐阜市内線(路面電車)用の車両形式(番号)として使用されていた。
  • 昭和末期に始まった閑散線区の合理化で登場したLE-Car(軽量気動車・全車廃車)は2桁(キハ10形~キハ30形)の形式番号を付していた。

塗色

名鉄車両特有の車番書体

7000系でスカーレット一色塗りを初採用、1980年前後以降殆どの車両がこれに統一されたが、8800系1000系から白を取り入れるようになり、2000系に至っては赤が消えてしまった。ただし、同系の車体をもつ2200系やステンレス製の最新型通勤車については赤帯を巻いている。“MEITETSU”のCIロゴも青色が主体で、赤はラインの一部に残るのみである。車両番号に関しては「時計文字」と言われる名鉄特有のローマン書体を、戦前から現在まで長く用いており、車体側面下部には比較的大判の切出し文字によって標示されている。また客室車端上部に付けられる車番プレートは、1992年製造分よりそれまでの黒字から青字に変更された。

その他

  • ドアスイッチが乗務員室のみならず、一般車の客室内にも設けられている。これは、無人駅が多いことで車掌に車内券発行を求める乗客が多く、客室内を巡回(検札)する機会が多いための措置であり、カーブなどで見通しの悪い駅(ホーム)での安全確保にも利用されている。よって、無人駅だけでなく有人駅でも使われることがある。
  • 踏切事故対策として1960年代から在来車両を含めて積極的に高運転台への改造を行い、3700系終期車(1963年)以降の更新車・新造車は原則として高運転台を採用している。
  • 5500系から3500系までの冷房車は車両限界の関係で屋根および天井の高さが低く、これに関連してパノラマカー7000系の車体断面形状が、通勤車や地下鉄直通車にも長期に亘って適用されていた。低い天井のために車内吊り広告が左右に分かれていたが、3100・3700系(1997年)で一体型の中央吊りとなり、在来車にも及びつつある。6000系以来天井に直付けだった吊革も、3150・3300系(2004年)からパイプを通して吊る一般的な方式になった。
  • 車体全幅は現在も地方鉄道車両定規を遵守して最大2,744mm、全長は京阪神地区の私鉄に近い18,830mmを標準としているが、用途により更に長い車両もある。
  • 1997年製以降の新形式車両は車体断面の屋根・天井高さが嵩上げされたが、客室窓の縦寸法は通勤車・一般車でもさほど拡大されず(2000系など特別車では逆に縮小)、「名鉄タイプ」と言われた幕板の広い外観が復活している。
  • 地下鉄直通車と瀬戸線用車両は地下鉄車両並みの火災対策基準(A-A基準)に基き新造または改造の上投入されている。一方、名鉄名古屋駅前後の地下線は、基準制定より28年も前に建設されたため、木造車や半鋼製車が走っていた前例があり、現在でも前面非貫通の車両が多く乗り入れている。
  • パノラマカー以来の特長であった前面展望車は1997年を最後に製造していない。また最新の各形式では客室からの前面展望自体があまり考慮されない傾向にある。

現有車両

特急形車両

パノラマカーと、これに準ずる車両

2扉車

3扉車

瀬戸線車両

名古屋市営地下鉄乗り入れ用車両

電気機関車

かつては貨物列車の牽引なども行っていたが、それの全廃後は保線や車両搬入などの際に使用されている。

運用離脱した車両

旧性能車(半鋼製車)

旧性能車(他社からの譲渡車)

旧性能車(機器流用車)

高性能車(SR車)

ディーゼルカー

600V区間(揖斐・谷汲線)

600V区間(岐阜市内線)

600V区間(美濃町線)

名鉄線に乗り入れる他社車両


脚注

  1. ^ ただし、120km/h以上での運転が戦前の阪和電気鉄道で無認可状態のまま公然と実施されていたとの証言が残されており、阪和の超特急をはじめとする速達列車の表定速度や線形、それに主電動機の出力特性データなどから、これが日本の狭軌私鉄における120km/h運転の最初の例であったと見られている。
  2. ^ もっともこの2系列の製造両数はさほど多くない。
  3. ^ ただし、三菱電機は1960年代後半以降はABFM制御器のシーケンスドラムによる単位スイッチ機構を電動カムスイッチ機構で置き換えた制御器もABFMの名称で生産し、営団・小田急・近鉄・阪神・西鉄などで普及しており、名鉄でも6000系と100系初期車がこれに該当するため、全面的にABF(ABFM)は単位スイッチ式のみであると断定するものではない。この項ではあくまで制御電源方式と弱め界磁の有無の2点を重視されたい。
  4. ^ 端子電圧750V時1時間定格出力149.2kW/222A/710rpm。阪和電鉄モヨ100・モタ300形に搭載されたことで知られる。
  5. ^ 端子電圧600V時1時間定格出力150kW/720rpm。阪和電鉄車の競合車であった南海鉄道電9形に搭載。
  6. ^ 端子電圧750V時1時間定格出力142kW/210A/870rpm(全界磁時)・1100rpm(60%界磁時)。
  7. ^ もっともTDK-528系は、1928年の伊勢電鉄モハニ221用TDK-528A(端子電圧750V時1時間定格出力75kW/810rpm)として開発がスタートし、同一磁気回路設計のまま絶縁や軸受、あるいは整流子などを強化・改良しつつ、段階的に定格回転数を引き上げてゆくことで所定の出力を得るに至ったものである。1200rpmオーバーとなったのは戦後製造のモデルに至ってからである。TDK-528系電動機は、戦後、運輸省規格型電車の標準電動機に選定されるなど性能を評価された結果、長期間にわたり量産が続き、改良を重ねつつ実に1965年まで製造されている。
  8. ^ 通常であれば定格速度が引き上げられた分だけ牽引力が低下し、併せて加速性能も低下することになる。だがTDK-528系は単なる高速モーターに留まらず、EE社系電動機の特徴である「制御域が極めて広く、無理が利く」という特性を継承しており、高回転を活かし、歯数比を選べば1両の電動車で2両のトレーラーを牽引することも可能であった。従って、限流値の設定次第でこの歯数比でも必要な加速性能が得られた。名鉄が、旧弊な吊り掛け駆動車を、大手私鉄としては最後まで高速な本線運用に充当し続け得た背景の一因として、この528系電動機の優れた出力特性を活かせたことが挙げられよう。
  9. ^ 例えば7000系などは定格速度が高く引張力が小さいため、定格電流246Aに対し限流値を340~350Aとすることで2.3km/h/sの加速度を得ている。一方、6000系以降の完全新製車の殆どは限流値を今以上に高めることが可能で、現在はおおむね定格電流付近の限流値設定として余力を残している。また本線用VVVF系列については2.8km/h/sまで可能な設計である。