コンテンツにスキップ

マイク・フラナガン (映画監督)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マイク・フラナガン
Mike Flanagan
生年月日 (1978-05-20) 1978年5月20日(46歳)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国マサチューセッツ州セイラム
職業 映画監督、映画プロデューサー、脚本家、編集技師
配偶者 ケイト・シーゲル(2016年 - )
公式サイト http://www.mikeflanaganfilm.com/
主な作品
映画
オキュラス/怨霊鏡
サイレンス
ドクター・スリープ
テレビ
ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス
ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー
アッシャー家の崩壊
テンプレートを表示

マイク・フラナガン(Mike Flanagan、1978年5月20日 - )は、アメリカ合衆国映画監督映画プロデューサー脚本家編集技師

主にホラー映画の監督を務め、その多くで脚本、製作、編集も兼任している。彼のジャンプスケアに頼らない演出は、批評家から多くの称賛を集め、スティーヴン・キングクエンティン・タランティーノウィリアム・フリードキンなどの著名人からも支持を得ている[1][2][3][4][5]。しかし皮肉なことに、『ミッドナイト・クラブ英語版』の第1話において、テレビドラマの1エピソードにおけるジャンプスケアが21回というギネス世界記録を樹立している[6][7]。フラナガンいわく、「これらのジャンプスケア・シークエンスは制作スタジオからの要望に応えたものであり、ジャンプスケアが無意味になるようにデザインした」と述べている[8]

来歴

[編集]

マサチューセッツ州セイラムに生まれ[9]カトリック教徒の家庭で育つ[10]。父親がアメリカ沿岸警備隊だったため、頻繁に転居を繰り返した。セイラムには1年間しか住んでいなかったが、その印象は強く、セイラム魔女裁判やそれに関連する怪談ホラー小説などに強い興味を持った[11]

10代の頃には、ニューヨーク州ガバナーズ島にも何年か滞在した。そこには廃墟や改装された刑務所がたくさん存在し、住んでいたアパートは南北戦争時代の古い砦の中にあった。怪談の面白さを知るには最高の場所だったという[11]

最終的にメリーランド州ブーイに辿り着き、大司教スポルディング高校に在籍した後、タウソン大学英語版に進学した[12]中等教育の歴史の教師になるつもりだったが、同大学には映画学科があったため、これが素晴らしい選択肢だ思い専攻した。2年生になると自主映画を撮るようになり、その時に編集の仕方を学んだ。当時は、ラブストーリー映画を3本撮ったが、誰も見たがらないことに気づきホラー映画を撮るようになる[11]

経歴

[編集]

2005年、地元のCM(主に自動車ディーラー向け)を制作する会社で働いており、そこのカメラ機器を使い自身初の映画『Oculus: Chapter 3 – The Man with the Plan』を製作した。製作資金が無かったため、ビジュアルを必要としないホラーストーリーを考え出す必要があった。結局、カリフォルニア州ヴェニスにあるコーヒーショップの裏で4日間かけて撮影した[12]

2019年2月、『ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー』の制作発表と同時に、度々タッグを組んでいたトレヴァー・メイシーが代表を務める制作会社イントレピッド・ピクチャーズ英語版にパートナーとして加わり、Netflixと独占契約を結んだことが発表された[13]

2021年7月、Netflixと提携し、コミックブックSomething Is Killing the Childrenパイロット版の執筆にとりかかっていると報じられた[14]。2022年10月、フラナガンが降板したことが発表された[15]。2023年2月、バラン・ボー・オダーヤンチェ・フリーセ英語版が同プロジェクトを引き継いだことが報じられた[16]

2022年12月、フラナガンとイントレピッド・ピクチャーズはNetflixとの契約は更新せず、アマゾン・スタジオファーストルック契約を結んだことが発表された[17]

2024年5月、ブラムハウスが手がける『エクソシスト』シリーズの立て直しを図るため、フラナガンが脚本・監督を務める新作映画の製作が発表された[18]。本作は、前作『エクソシスト 信じる者』の続編とはならず「根本を覆すアプローチ」で企画されており、新たな『エクソシスト』ユニバースを舞台に完全に新しい物語が描かれる[18]。同作が、13日の金曜日となる2026年3月13日に公開予定であると報じられた[19]

私生活

[編集]

小学6年生の時に初めてスティーブン・キングの本に出会い、彼の作品は全て持っており、少なくとも3回は読んでいる[11]

ユダヤ教ヒンドゥー教イスラム教などの研究に没頭し、その中でも数年間は仏教と深く関わり、ロサンゼルスにある寺院を探し求めたこともある[10]

以前、『人喰いトンネル MANEATER-TUNNEL英語版』に出演したコートニー・ベルと交際しており、2人の間には息子がいる[9]。2016年2月にケイト・シーゲルと結婚し、2人の間には娘が生まれた[9][20]

自身の作品の中でも特に『真夜中のミサ』に対する思い入れは強く、本作を「情熱的かつ極めて個人的なプロジェクトであり、カトリック教会で育った自身の生い立ちと、最終的に断酒と無神論に至った経験を扱った作品だ」と語っている[10]

主な作品

[編集]

映画

[編集]
作品名 クレジット 備考
監督 脚本 製作 編集
2006 Oculus: Chapter 3 – The Man with the Plan Yes Yes Yes
製作総指揮
Yes
クレジットなし
短編映画。
2013年に長編映画『オキュラス/怨霊鏡』としてリメイク。
2011 人喰いトンネル MANEATER-TUNNEL
Absentia
Yes Yes Yes Yes
2013 オキュラス/怨霊鏡
Oculus
Yes Yes No Yes 2006年の短編『Oculus: Chapter 3 – The Man with the Plan』の長編リメイク。
2016 サイレンス
Hush
Yes Yes No Yes
ソムニア -悪夢の少年-
Before I Wake
Yes Yes No Yes
ウィジャ ビギニング 〜呪い襲い殺す〜
Ouija: Origin of Evil
Yes Yes No Yes
2017 Dobaara: See Your Evil No Yes
原案
Yes
製作総指揮
No オキュラス/怨霊鏡』のボリウッドリメイク。
ジェラルドのゲーム
Gerald's Game
Yes Yes No Yes
2019 ドクター・スリープ
Doctor Sleep
Yes Yes No Yes
TBA The Life of Chuck[21][22][23] Yes Yes Yes Yes 原作はスティーブン・キング同名小説
The Season of Passage[24] Yes Yes No Yes 原作はクリストファー・パイクの同名小説

テレビシリーズ

[編集]
作品名 クレジット 備考
監督 脚本 製作 編集
2018 ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス
The Haunting of Hill House
Yes Yes Yes
製作総指揮
Yes 10エピソード
原作はシャーリイ・ジャクスンの同名小説
2020 ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー
The Haunting of Bly Manor
Yes
第1話のみ
Yes Yes
製作総指揮
Yes 9エピソード
原作はヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転
2021 真夜中のミサ[25]
Midnight Mass
Yes Yes Yes
製作総指揮
Yes 7エピソード
2022 ミッドナイト・クラブ[26]
The Midnight Club
Yes Yes Yes
製作総指揮
Yes シーズン1で打ち切り[27]
原作はクリストファー・パイクの同名小説
2023 アッシャー家の崩壊[28][29]
The Fall of the House of Usher
Yes Yes Yes
製作総指揮
Yes 8エピソード
原作はエドガー・アラン・ポー同名小説
TBA The Dark Tower(仮)[17][30][31] 原作はスティーブン・キング同名小説
TVシリーズを5シーズンと2本の映画の製作を構想[30]

脚注

[編集]
  1. ^ Barton, Steve (2016年4月21日). “Stephen King Gets Loud About Hush” (英語). Dread Central. 2023年9月12日閲覧。
  2. ^ Sprague, Mike (2019年12月4日). “Tarantino Dubs DOCTOR SLEEP One of the Best Films of the Year” (英語). Dread Central. 2023年9月12日閲覧。
  3. ^ https://twitter.com/WilliamFriedkin/status/805997713154113536”. X (formerly Twitter). 2023年9月12日閲覧。
  4. ^ Zinski, Dan (2017年2月13日). “Stephen King: Netflix's Gerald's Game Movie is 'Horrifying, Hypnotic'” (英語). ScreenRant. 2023年9月12日閲覧。
  5. ^ Stephen King calls new Netflix horror The Haunting of Hill House 'close to a work of genius'” (英語). The Independent (2018年10月21日). 2023年9月12日閲覧。
  6. ^ Instagram”. www.instagram.com. 2024年6月24日閲覧。
  7. ^ 海外ドラマNAVI編集部 (2022年10月12日). “Netflix新作ホラー『ミッドナイト・クラブ』がギネスを更新!どんな記録?”. 海外ドラマNAVI. 2024年6月24日閲覧。
  8. ^ Maas, Jennifer (2022年10月7日). “Mike Flanagan’s ‘Midnight Club’ Breaks World Record for Most Jump Scares in a TV Episode” (英語). Variety. 2024年6月24日閲覧。
  9. ^ a b c Mike Flanagan Film”. mikeflanaganfilm.com. 2023年9月12日閲覧。
  10. ^ a b c Flanagan, Mike (2021年9月27日). “The Deeply Personal Horror of “Midnight Mass” – Guest Essay by Filmmaker Mike Flanagan” (英語). Bloody Disgusting!. 2023年9月12日閲覧。
  11. ^ a b c d MattBarone. “Fear the Glass: The Making of "Oculus," the Best Haunted Mirror Movie You'll Ever See” (英語). Complex. 2023年10月19日閲覧。
  12. ^ a b bug, ambush. “AICN HORROR: Bug interviews OCULUS/ABSENTIA Director Mike Flanagan! New horrors: OCULUS! RESPIRE!...” (英語). Aint It Cool News. 2023年10月19日閲覧。
  13. ^ Andreeva, Nellie (2019年2月21日). “‘The Haunting’ Renewed For Season 2 As Mike Flanagan & Trevor Macy Partner In Intrepid Pictures & Ink Netflix Overall Deal” (英語). Deadline. 2023年9月12日閲覧。
  14. ^ Kit, Borys (2021年7月9日). “‘Doctor Sleep’ Filmmakers Tackling Hot Comic ‘Something is Killing the Children’ (Exclusive)” (英語). The Hollywood Reporter. 2023年10月19日閲覧。
  15. ^ Chitwood, Adam (2022年10月7日). “Mike Flanagan No Longer Involved in Something Is Killing the Children Netflix Series” (英語). TheWrap. 2023年10月19日閲覧。
  16. ^ Wiseman, Andreas (2023年2月23日). “Netflix Re-Ups Overall Deal With ‘Dark’ Creators, Duo Board James Tynion Comic Series ‘Something Is Killing The Children’ With Boom! Studios” (英語). Deadline. 2023年10月19日閲覧。
  17. ^ a b Andreeva, Nellie (2022年12月8日). “Mike Flanagan & Trevor Macy Reveal ‘The Dark Tower’ Adaptation In Works At Intrepid, Talk Leaving Netflix For Amazon, ‘Midnight Club’s Cancellation & More” (英語). Deadline. 2023年9月12日閲覧。
  18. ^ a b 『エクソシスト』がシリーズ立て直しへ、『ドクター・スリープ』監督による新作映画が始動 ─ 「根本を覆す」新たな物語に | THE RIVER”. theriver.jp (2024年5月30日). 2024年5月30日閲覧。
  19. ^ マイク・フラナガン版「エクソシスト」、13日の金曜日に全米公開 : 映画ニュース”. 映画.com. 2024年6月24日閲覧。
  20. ^ https://twitter.com/flanaganfilm/status/1069714954977038337”. X (formerly Twitter). 2023年10月19日閲覧。
  21. ^ Squires, John (2023年5月8日). “‘The Life of Chuck’ – Mike Flanagan Directing Stephen King Movie Starring Tom Hiddleston” (英語). Bloody Disgusting!. 2023年9月12日閲覧。
  22. ^ Wiseman, Andreas (2023年5月8日). “Tom Hiddleston & Mark Hamill To Star In Stephen King Adaptation ‘The Life Of Chuck’ For Director Mike Flanagan; FilmNation Launches Hot Project For Cannes Market” (英語). Deadline. 2023年9月12日閲覧。
  23. ^ トム・ヒドルストンとマーク・ハミルがスティーヴン・キング原作小説の映画化に出演 - SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)”. screenonline.jp. 2023年9月12日閲覧。
  24. ^ D'Alessandro, Anthony (2021年4月14日). “Mike Flanagan To Direct, Intrepid Pictures To Produce ‘The Season Of Passage’ For Universal” (英語). Deadline. 2023年9月12日閲覧。
  25. ^ 'Midnight Mass': Mike Flanagan & Trevor Macy Reflect on the Personal Experiences Threaded Into the Series”. Collider (2022年12月28日). 2023年1月4日閲覧。
  26. ^ ドラマ『ミッドナイト・クラブ』感想(ネタバレ)”. シネマンドレイク (2022年10月26日). 2023年1月4日閲覧。
  27. ^ Haring, Bruce (2022年12月2日). “‘The Midnight Club’ Canceled By Netflix After One Season” (英語). Deadline. 2023年9月12日閲覧。
  28. ^ The Fall of the House of Usher Creator Hypes Final Netflix Series as "Grand Curtain Call"”. ComicBook (2022年12月8日). 2023年1月4日閲覧。
  29. ^ Posted 2021年10月7日9:50, Matt Purslow (2021年10月7日). “『真夜中のミサ』のマイク・フラナガン監督が、Netflixでエドガー・アラン・ポーの小説をドラマ化!”. IGN Japan. 2023年9月12日閲覧。
  30. ^ a b スティーヴン・キング『ダークタワー』ドラマ化 ─ 『ドクター・スリープ』マイク・フラナガン監督が手がける”. THE RIVER (2022年12月9日). 2023年9月12日閲覧。
  31. ^ 「ドクター・スリープ」監督、S・キング原作「ダークタワー」をドラマシリーズ化 : 映画ニュース”. 映画.com. 2023年9月12日閲覧。

外部リンク

[編集]