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バリオバーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バリオバーン
バリオトラム
最初のバリオバーンであるケムニッツ市電の車両(2003年撮影)
基本情報
製造所 ABBヘンシェル
アドトランツ
ボンバルディア・トランスポーテーション
シュタッドラー・レール
製造年 1993年 -
主要諸元
編成 5車体・7車体連接車
備考 主要数値は[1][2][3][4][5]に基づく。
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バリオバーン(Variobahn)は、ドイツで開発された路面電車路線向けの超低床電車。複数の企業を経て、2020年現在はスイスシュタッドラー・レールによって展開されており、展開当初はバリオトラム(Variotram)とも呼ばれていた[1][2][3][4]

概要

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構造

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バリアフリーに適した、床上高さを350 mmまで下げた連接式の超低床電車。設計にはモジュール構造を採用しており、顧客の需要に応じて様々な軌間や車幅、編成長が選択可能である。両開き式の乗降扉の幅は1,350 mmと広く、乗客の乗降の容易化や迅速化に貢献している。付随台車は車軸を持たない独立車輪台車が用いられている一方、動力台車については各車輪の外側に主電動機が設置された(ハブモーター方式)独立車輪式台車と車軸を有する通常のボギー台車の2種類が存在しており、前者は車内全体が低床構造(低床率100 %)である一方、後者は騒音や振動が抑制される反面動力台車が存在する車体の床上高さが高くなっている(低床率65 %)。2020年現在製造が行われているのは前者である[1][2][3]

製造企業について

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バリオバーンは元々ABBABBヘンシェル)が開発した車両であったが、1996年に鉄道車両部門がAEGの鉄道車両部門と合併しアドトランツとなり、バリオバーンは同社が展開する超低床電車ブランドとなった[4][6]

その後、アドトランツは2001年ボンバルディア・トランスポーテーションへ吸収されたが、独占禁止法に抵触するという理由からバリオバーンのライセンスや販売権についてはスイスシュタッドラー・レールへと移管された。ただしライン=ネッカー交通ドイツ語版シティバーン・ケムニッツドイツ語版向けなどそれ以前に契約が完了していた車両については引き続きボンバルディア・トランスポーテーションが製造する事となり、オプション分の発注を含め2010年代まで製造が実施された。一方、シュタッドラー・レールではドイツ首都ベルリンパンコウ区にある工場を用いて2005年からバリオバーンの製造を再開しており、ドイツ国内に加えてイギリスロンドンを始めとした世界各地の路面電車へ向けての生産を実施している[7][4][8]

これら以外に、フィンランドヘルシンキ市電向けに製造された車両については、同国の鉄道車両メーカーであったトランステック英語版(現:シュコダ・トランスポーテーション)とアドトランツおよびボンバルディア・トランスポーテーションの共同生産が実施されている[5]

運用

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1993年ドイツケムニッツケムニッツ市電)に試作車が導入されて以降、2020年の時点でバリオバーンは以下の地域に向けて製造されている。ただしオーストラリアシドニーインナーウエスト・ライトレール)向け車両やフィンランドヘルシンキヘルシンキ市電)向け車両など一部については2020年時点で営業運転から退いている[4][9][10][11]

バリオバーン 導入都市一覧
都市 製造企業 編成 運転台 両数 軌間 備考・参考
ドイツ ケムニッツ
(ケムニッツ交通)
ABBヘンシェル 5車体連接車 片運転台 1両 1,435mm 詳細は「バリオバーン (ケムニッツ市電)」を参照
試作車[1][4]
アドトランツ 13両 詳細は「バリオバーン (ケムニッツ市電)」を参照
量産車[1][12]
両運転台 10両 [1][13]
ケムニッツ
(シティバーン・ケムニッツ)
アドトランツ 5車体連接車 両運転台 6両 1,435mm 詳細は「ケムニッツ・モデル#バリオバーン」を参照
トラムトレイン用車両[1][14]
ライン=ネッカー大都市圏
(ライン=ネッカー交通ドイツ語版)
アドトランツ 5車体連接車 両運転台 6両 1,000mm 詳細は「ライン=ネッカー・バリオバーンドイツ語版」を参照
部分超低床電車(低床率65%)
5号線(旧:オーバーライン鉄道)ドイツ語版用車両[1][7][15]
ボンバルディア 40両
5車体連接車 片運転台 16両 1,000mm 詳細は「ライン=ネッカー・バリオバーンドイツ語版」を参照
部分超低床電車(低床率65%)
マンハイム市電ドイツ語版用車両[1][7][15]
両運転台 3両
5車体連接車 片運転台 8両 1,000mm 詳細は「ライン=ネッカー・バリオバーンドイツ語版」を参照
部分超低床電車(低床率65%)
ルードヴィヒスハーフェン市電ドイツ語版用車両[1][7][15]
5車体連接車 片運転台 16両 1,000mm 詳細は「ライン=ネッカー・バリオバーンドイツ語版」を参照
部分超低床電車(低床率65%)
ハイデルベルク市電ドイツ語版用車両[1][7][15]
デュースブルク アドトランツ 5車体連接車 両運転台 1両 1,435mm 試作車のみ導入、2015年に運用を離脱後ノルウェーで保存[1][16][17]
ボーフム
ゲルゼンキルヒェン
(ボーフム/ゲルゼンキルヒェン市電)
シュタッドラー 5車体連接車 両運転台 87両 1,435mm 詳細は「バリオバーン (ボーフム/ゲルゼンキルヒェン市電)」を参照[18]
ニュルンベルク
(ニュルンベルク市電)
シュタッドラー 5車体連接車 片運転台 8両 1,435mm 詳細は「ニュルンベルク市電GTV6形電車」を参照[19]
ミュンヘン
(ミュンヘン市電)
シュタッドラー 5車体連接車 片運転台 14両 1,435mm 詳細は「ミュンヘン市電S形電車」を参照[20]
ポツダム
(ポツダム市電)
シュタッドラー 5車体連接車 片運転台 18両 1,435mm [21]
マインツ
(マインツ市電)
シュタッドラー 5車体連接車 片運転台 19両 1,000mm [22]
イギリス ロンドン(クロイドン)
(トラムリンク)
シュタッドラー 5車体連接車 両運転台 12両 1,435mm [4][23]
オーストラリア シドニー
(インナーウエスト・ライトレール)
アドトランツ 5車体連接車 両運転台 7両 1,435mm 詳細は「バリオバーン (シドニー・ライトレール)」を参照
2015年までに営業運転を終了[9][24][9]
オーストリア グラーツ
(グラーツ市電)
シュタッドラー 5車体連接車 片運転台 45両 1,435mm 詳細は「バリオバーン (グラーツ市電)」を参照[25]
デンマーク オーフス
(オーフス・ライトレール)
シュタッドラー 5車体連接車 両運転台 14両 1,435mm [26]
オーデンセ
(オーデンセ・ライトレール)
シュタッドラー 5車体連接車 両運転台 16両 1,435mm [27][28]
ノルウェー ベルゲン
(ベルゲン・ライトレール)
シュタッドラー 5車体連接車 両運転台 20両 1,435mm 5車体連接車は2016年以降7車体連接車へ改造[29][30]
7車体連接車 14両
フィンランド ヘルシンキ
(ヘルシンキ市電)
アドトランツ
ボンバルディア
トランステック英語版
5車体連接車 片運転台 40両 1,000mm 詳細は「バリオバーン (ヘルシンキ市電)」を参照
2018年までに営業運転を終了[5][10]

ギャラリー

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トラブル

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関連項目

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脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 鹿島雅美「ドイツの路面電車全都市を巡る 2」『鉄道ファン』第46巻第1号、交友社、2006年1月1日、160-163頁。 
  2. ^ a b c Variobahn”. Stadler. 2020年11月23日閲覧。
  3. ^ a b c Variobahn”. Stadler. 2012年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月23日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g London Tramlink orders additional Variobahn trams from Stadler Pankow”. Stadler (2013年8月21日). 2020年11月23日閲覧。
  5. ^ a b c d Libor Hinčica (2017年12月6日). “Konec trápení. Helsinky předčasně vyřadí 40 nízkopodlažních tramvají”. Československý Dopravák. 2020年11月23日閲覧。
  6. ^ 橋爪智之 (2018年5月6日). “日本勢の行方は?激変の鉄道メーカー勢力図”. 東洋経済. 2020年11月23日閲覧。
  7. ^ a b c d e Green Light for New Bombardier Trams of Rhein-Neckar-Verkehr GmbH with Innovative Energy Storage”. Bombardier (2009年12月8日). 2020年11月23日閲覧。
  8. ^ Guido Berg (2008年12月18日). “Tram-Kauf: Entscheidung noch 2008 Debatte über Stadlers Variobahn-Erfahrungen”. Potsdamer. 2020年11月23日閲覧。
  9. ^ a b c Sale of Variotram light rail vehicles - TfNSW 2015/009”. Transport for NSW (2015年5月15日). 2020年11月23日閲覧。
  10. ^ a b c Neil Pulling (2020-1). “Systems Factfile:Helsiniki”. Tramways & Urban Transit No.985 (LRTA) 83: 29. http://www.bowe.cc/techlib/pdf/Tramways_and_Urban_Transit_vol83_no985_1578702547.pdf 2020年11月23日閲覧。. 
  11. ^ Sydney Variotram 2107 arrives at Loftus”. Sydney Tramway Museum. 2020年11月23日閲覧。
  12. ^ Variobahn 6NGT-LDE (Einrichtungswagen)”. CVAG. 2020年11月23日閲覧。
  13. ^ Variobahn 6NGT-LDZ (Zweirichtungswagen)”. CVAG. 2020年11月23日閲覧。
  14. ^ Variobahn 6NGT-LDZ”. City-Bahn Chemnitz. 2020年11月23日閲覧。
  15. ^ a b c d Martin in der Beek,. “RNV und der MITRAC Energy Saver Ein Erfahrungsbericht – Teil 1”. Rhein-Neckar-Verkehr GmbH. 2020年11月23日閲覧。
  16. ^ Vera Schmidt (2006). Duisburger Verkehrsgesellschaft AG 125 Jahre Bewegung für Duisburg 1881 – 2006 (PDF) (Report). Duisburger Verkehrsgesellschaft AG. p. 49. 2019年5月12日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2022年6月20日閲覧
  17. ^ ÖPNV Essen”. Facebook (2015年12月4日). 2020年11月23日閲覧。
  18. ^ Variobahn low-floor Light Rail VehicleBochum-Gelsenkirchener Strassenbahnen AG (Bogestra)”. Stadler. 2020年11月23日閲覧。
  19. ^ Niederflur Straßenbahn Typ Variobahn für die Verkehrs-Aktiengesellschaft Nürnberg (VAG)”. Stadler. 2012年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月23日閲覧。
  20. ^ a b Variobahn offenbar kurz vor der Zulassung”. Stadtwerke München GmbH (2011年12月9日). 2012年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月23日閲覧。
  21. ^ First Stadler Variobahn arrives in Potsdam”. Railway Gazette International (2011年6月1日). 2020年11月23日閲覧。
  22. ^ NiederflurstraSSenbahn Variobahn Mainzer Verkehrsgesellschaft mbH”. Stadler. 2020年11月23日閲覧。
  23. ^ London Tramlink”. British Trams Online. 2020年11月23日閲覧。
  24. ^ Sydney Inner West Light Rail Construction and Extension, Australia”. Railway Technology. 2020年11月23日閲覧。
  25. ^ Factsheet Variobahn” (PDF). Holding Graz Linien (2014年7月). 2020年11月23日閲覧。
  26. ^ Variobahn low-floor Light Rail Vehicle Letbanen I/S in the city of Aarhus, Denmark”. Stadler. 2020年11月23日閲覧。
  27. ^ Keith Barrow (2019年9月9日). “First Odense tram ready for testing”. International Railway Journal. 2020年11月23日閲覧。
  28. ^ Tal og fakta”. Odense Letbane. 2023年2月6日閲覧。
  29. ^ low-floor Light Rail Vehicle Variobahn Bybanen from Bergen in Norway”. Stadler. 2020年11月23日閲覧。
  30. ^ Erik Buch (2022年11月21日). “A second new tram line in Bergen/Norway”. Urban Transport Magazine. 2023年2月6日閲覧。
  31. ^ MÜNCHEN: Variobahnen fahren weiter”. Der Rote Renner (2012年8月31日). 2020年11月23日閲覧。
  32. ^ Variobahn unbefristet zugelassen”. tram-muenchen.de (2013年10月1日). 2013年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月23日閲覧。
  33. ^ MÜNCHEN: Variobahnen fahren weiter”. Tramgeschichten (2014年12月12日). 2017年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月23日閲覧。
  34. ^ MÜNCHEN: Variobahnen fahren weiter”. tramreport (2015年5月19日). 2020年11月23日閲覧。

外部リンク

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