キア・ボンゴ

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キア・ボンゴ
ボンゴIII EV
概要
別名
製造国
販売期間 1980年 -
ボディ
ボディタイプ
駆動方式
パワートレイン
変速機
  • 5速MT
  • 6速MT
  • 4速AT
  • 5速AT
系譜
後継 キア・プレジオ(ワンボックス)
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ボンゴ(Bongo)は、韓国の大手自動車メーカー、KIAが製造するキャブオーバー型の小型トラックである。1980年に発売され、かつてはワンボックスカーも設定されていたが、現在は1トン、1.2トン、4X4のトラックのみとなっていて、ワンボックスカーと一部の貨物型は、生産が中止されている。

ボンゴの歴史[編集]

初代 《BA2型、1980年9月 - 1993年12月》[編集]

  • 1980年7月 - 2代目マツダ・ボンゴ起亜産業(後の起亜自動車)が取り入れて、初代モデルを発売した。当初は2,200cc70馬力のS2エンジンを搭載した。
  • 1981年8月 - ヘッドライトが丸型2灯式から長方形2灯式に変更された。続いてワンボックスモデルを発売。種類は9人乗り仕様(公式名称:ボンゴナイン、1983年5月発売)と12人乗り仕様、ルートバンは3人乗り仕様と6人乗り仕様をラインナップ。
  • 1984年8月 - キャブ空間が広いキングキャブを発売。
  • 1985年3月 - 1,200cc90馬力のUC型ガソリンエンジンを搭載した9人乗りの低価格帯のボンゴ・タウンが登場した。ボンゴシリーズの中では唯一前輪はディスクブレーキと後輪はシングルタイヤだった。
  • 1986年2月 - 前後にあったキアの英文エンブレムがキアマスターからキアモーターズに変更された。
    初期のフェイスリフトモデル
  • 1986年3月 - ワンボックスモデル(ワゴンとバン)の後継車種のベスタが登場したが、1987年までベスタと並行生産した。全部で8万9569台が生産された。
  • 1987年8月 - ワンボックスモデルが生産終了になり、トラックモデルはフェイスリフトと出力向上仕様(2,400cc80馬力のSFエンジン)であるパワーボンゴを発売した。同時に前後にあった起亜の英文エンブレムもキアモーターズからキアに変更された。
  • 1989年1月 - 後継車種である2代目ボンゴ(公式名称 : ワイドボンゴ)が登場した。なお、パワーボンゴは以後しばらく並行生産された。
  • 1993年12月 - 初代モデルが生産終了となった。

2代目 《SR型、1989年1月 - 1997年3月》[編集]

  • 1989年1月 - 2代目ワイドボンゴが登場した(3代目マツダ・ボンゴトラックとSR型ボンゴブローニートラックベース)。先に登場していた同クラスのミニバス、ベスタと同様3代目マツダ・ボンゴをベースに開発された。
  • 1992年11月 - 2,700cc80馬力のJSディーゼルエンジン搭載モデルが追加された。
    ボンゴJ2
  • 1994年3月 - ロングモデルが追加された。
  • 1994年10月 - エンブレムが楕円形に、同時にドアのデカールが変更され、ハイベスタのホイールカバーを装着した1995年型が発表された。
  • 1995年5月 - フェイスリフトと同時に83馬力のJ2エンジンを搭載したボンゴJ2が発売された。
  • 1996年10月 - 同クラスで初のABSを採用した。

3代目 《W3型(トラック)/CT型(コーチとバン)、1997年3月 - 2005年5月》[編集]

  • 1997年4月 - 乗用車に乗ったかのような静粛性を備えたJT 3,000cc90馬力のエンジン搭載した3代目、ボンゴフロンティアが発売された。
    ボンゴフロンティア(写真は輸出仕様K2700)
  • 1998年 - ボンゴフロンティアに、従来は大型トラックでのみ見られたティルティング・キャブを追加して、エンジンの整備性を向上させた。同時にジャンボタイタンの生産終了に伴い1.4トン、2.5トンが追加発売された。
  • 1999年 - 四輪駆動トラックのセレスを代替する形で、ボンゴフロンティアに四輪駆動のバージョンが追加され、悪路走破などに卓越した能力を発揮した。次いで、ボンゴフロンティアがフェイスリフトされた。
  • 2000年12月 - ボンゴフロンティアからニューボンゴフロンティアに名称が変更された。
  • 2001年8月 - ニューボンゴフレンティアにJT3,000cc94馬力のディーゼルエンジンをチューニングして外見を変更し、騒音を減らしたサイレントモデルが登場した。荷台の後方にあった楕円形のキアのロゴからキア自動車の英文名称であるキアモーターズに変更された。
    ボンゴフロンティア(フェイスリフトモデル)
  • 2003年 - 名称がボンゴフロンティアから、「ニューボンゴ」と改められた。その年の末、環境規制によりボンゴフロンティアは生産中止された。
  • 2004年1月 - プレジオのマイナーチェンジモデルである3代目ボンゴワンボックスモデル「通称 : ボンゴIIIコーチ(12 - 15人乗り)&バン(3 - 6人乗り)」が登場し、後継車種である4代目ボンゴ(通称 : ボンゴIII)トラックと同時に発売された。海外市場ではプレジオという名称で継続販売され、一部の市場ではベスタとして販売された。
  • 2005年5月31日 - 販売量が大幅に減少し、同年7月14日に発売されたグランドカーニバルに統合される形で生産終了した。従来のボンゴ3コーチを生産していたラインは、ニューカレンスの生産ラインに変更された。

4代目 《PU型、2004年1月 - 2024年(予定)》[編集]

  • 2003年 - 車体を完全に独自開発した4代目ボンゴIIIが発売された。J3 2,902cc、ユーロ3基準の環境にやさしいコモンレール123馬力のエンジンと94馬力のターボインタークーラーエンジンを採用した。
    ボンゴIII
  • 2005年 - 円形のキアエンブレムから現在のキアマークに、デカールも変更され、トレードマークだった黄緑色のコーポレートカラーを取りやめた。
  • 2005年 - ターボインタークーラーエンジンがラインナップから削除され、コモンレールエンジンに一本化され、最高出力が126馬力に上昇した。
  • 2006年 - 環境規制によりターボインタークーラーエンジンがラインナップから排除され、コモンレールエンジンに単一化し、最高出力が126馬力に上昇した。
  • 2009年 - ボンゴIIIに2.4Lシータエンジン、LPG 159馬力を搭載したボンゴLPI追加。
  • 2010年 - 木目調を採用し、デカールのデザインが変更された2011年型ボンゴIIIに年式変更。
  • 2010年 - 環境規制でボンゴ3トラックは完全に生産中止。1トン、1.2トンを再生産することを決定したが、4x4トラックは完全に中止となった。
  • 2012年1月 - 外観の一部がマイナーチェンジされ、2012年型ボンゴIII2次モデルが登場。2012年型ヒュンダイ・ポーターIIと同様ユーロ5基準の環境にやさしいA-2 133馬力コモンレールエンジンと5速AT、6速MTを追加し、運転席エアバッグをオプションとして採用した。
  • 2012年 - 起亜特有のラジエーターグリルと外観の一部がマイナーチェンジされた第5世代2012年型ボンゴ5G誕生。2012年型ポーターのような環境にやさしいユーロV基準のA-2 133馬力・コモンレールエンジンと5速 / 6速マニュアルトランスミッションを組み合わせた。
  • 2015年1月 - 2015年型ボンゴが登場。このモデルは、タイヤ空気圧警報装置(TPMS、4輪駆動専用)が採用され、助手席エアバッグがオプションとして採用され、車体姿勢制御装置(ESC)と急ブレーキ警報システム(ESS英語版)が標準装備された。
  • 2016年9月1日 - 2017年型ボンゴが発表され、ユーロ6基準のディーゼルエンジンが採用され、ホイールカバーのデザインが変更された。テールランプの色が変更され、エアコンヒーター調節ノブとパネルのデザインが変更された。上級車種は、新規設計された変速レバーとベージュの室内、サイドミラーリピーターガと計器盤トリップコンピュータが装備されている。
  • 2018年10月29日 - 2019年型ボンゴを発売。このモデルには、後方駐車補助システムが標準装備され、4輪駆動モデルに運転席エアバッグが標準装備された。
  • 2019年9月 - 排出ガス規定に適応するため小規模な変更が実施される。
  • 2020年1月6日 - 電気トラック、ボンゴIII EVが発売された。充電インターフェースはDCコンボ-1。2021年2月9日にはキングキャップをベースとする特装車冷蔵車ウィングボディパワーゲート等)が追加された。
  • 2020年 - 2020年型ボンゴを発売。緊急ブレーキ装置をオプションで追加する。
  • 2021年 - 一般のボンゴ同様キアの社名変更で旧キアのロゴから2022年型はキアの新ロゴを装着する。荷台のリアは、キアモーターズが消去され空白のままで、2022年型からはキアの新ロゴを装着した。
    ボンゴIII(フェイスリフトモデル)
  • 2021年 - キアの社名変更で旧キアのロゴから2022年型はキアの新ロゴが装着される。荷台のリアは、キアモーターズが消去されて空白だったため、2022年型からキアの新ロゴを装着した。
  • 2022年7月4日 - ボンゴIII EVの特装車のラインナップに冷凍車が追加された。ボンゴIII EVロングキングキャップベースの特装モデルで、低床型と標準型の2モデルで構成される。車両の高電圧バッテリーを活用して冷凍機を稼働させ、補助バッテリー追加装着を通じて1,000kgの積載重量を提供する。電動式パワーステアリング、パドルシフトなど既存モデルの便宜仕様を継承し、フルオートエアコン、運転席通風及び熱線シートなどの顧客に好まれる機能を標準装備した。
  • 2022年10月 - 2.4Lの自然吸気LPGモデルが少量生産された。ただ、再発売の可能性はあり、2023年11月末にシータ2.5LターボLPGエンジンを採用して再発売された。
  • 2023年11月 - 1トンと1.2トンに2.5Lのコモンレールのディーゼルモデルが全て少量生産された。1トンと1.2トンにも2.5LのLPGターボエンジンが追加され、LPGボンベは車体側面ではなくスペアタイヤ付近にドーナツ型で装着された。

5代目 《2024年(予定) - 》[編集]

ポーター同様前世代のモデルが2023年11月にディーゼルモデルを少量生産し、フルモデルチェンジされた5代目でもディーゼルはこれ以上は登場せず、LPGとEVに代替される。

名前の意味[編集]

初期の原型であるマツダ・ボンゴの名前をそのまま使用しており、その語源としてはアフリカに生息する野生の羚羊(→ボンゴ (偶蹄目))を意味する英語である[1]。ただし、マツダ側としてはボンゴの名称を大カモシカから来ているとしている[2]

アフリカのガボン共和国の大統領オマール・ボンゴの名前をとって命名されたという説もあるが、これは2007年、彼の韓国訪問時の、盧武鉉大統領との昼食会の席での発言が誤って伝わったもので、上記のように事実と全く異なる。

ボンゴトラックの種類(2000年代以降)[編集]

ボンゴフロンティア[編集]

標準キャブ、キングキャブ、ダブルキャブ、ティルティングキャブ、冷凍トップ車、冷蔵トップ車、プラス冷凍トップ車、プラス冷蔵トップ車、ウィングボディ、4X2ダンプ、パワーゲート、自動車教習車(場内試験用、路上試験用)、保冷トップ車、宅配トップ車、4X4ダンプ、多目的トップ車、ウォークスルー・バン、清掃車(2.5トン)、活魚車

ボンゴ3トラック[編集]

標準キャブ、キングキャブ、ダブルキャブ、ティルティングキャブ、冷凍トップ車、冷蔵トップ車、 プラス冷凍トップ車、プラス冷蔵トップ車、活魚車などがある(ただし1.4トン、1.2トンにはダンプの設定がない)[3]

2010年式ボンゴ3トラック[編集]

標準キャブ、キングキャブ、ダブルキャブ、ティルティングキャブ、冷凍トップ車、冷蔵トップ車、プラス冷凍トップ車、プラス冷蔵トップ車、ウィングボディ、4×2ダンプ、パワーゲート、自動車教習車 (1種普通免許の技能、道路走行試験および教習に使用されるボンゴ) 、保冷トップ車、宅配トップ車、4X4ダンプ、ウォークスルーバン、緊急救助車、冷温トップ車、多目的トップ車、活魚車などがある。

2.5トンの場合、他のトラックタイプとは異なり、ボンゴ3からのフルモデルチェンジを経ずに継続的に生産されたが、新たな排気ガス基準を満たすことができず、2005年10月に生産中止されたのを皮切りに、1トン運転教習所用と活魚車の場合、2006年11月に生産が中止され、以後1トン標準キャブと冷蔵トップ車、1.2トン、4×4トラックを除いたトラックを元とした変種は販売不振により、2007年12月に乗合型車とともに後継車種なしで生産が中止された。以後、2011年10月に排出ガス規制で1トン、1.2トン、四輪駆動の生産までもが打ち切られ、ボンゴ3というモデルは完全に消滅し、現在は車名を表す英文がスターウォーズ風の書体で書かれた「ボンゴ5G」が販売されている。

消防署の第一線で救急車として見かけることがあるが、それらは忠清南道礼山郡に所在する自動車部品関連業者であるオーテック[4]で改造され再出荷されたものである。

コーチ / バン[編集]

1トントラックが市場に投入された1年後の1981年には、乗合車 (バン) であるボンゴコーチボンゴナインが発表された。当時、自動車産業の合理化措置により、起亜自動車が乗用車を生産することができなくなった後、ボンゴコーチは大人気を博し、今でもバンを指してボンゴ車と呼ぶくらいにワンボックス・ワゴン車の代名詞となっていた。以後、フルモデルチェンジを経た車種には、キア・ベスタキア・プレジオという違う名前を用いたが、2004年にキア・プレジオがフェイスリフトされ、ボンゴ3コーチという名前でボンゴ3トラックとともに市場投入された。ボンゴ3コーチは安全性が強化され、優秀な燃費と広い室内空間を備えていた。しかし販売は振るわず、2005年、グランドカーニバルのリリースで車種の相当部分が重複すると判断され、3人乗りと12人乗りは生産中止され、スターレックスとの市場競合および新たな排気ガス基準を満たすことができず、2007年末に車種削減を通じ6人乗りと15人乗りまでの大多数のトラックをベースとした変種シリーズや、リベロとともに後継車なしに生産中止され、乗合車は初出荷後26年、トラック (1トン除く) は初出荷後27年にして幕を閉じ歴史のかなたへと消え去った。かくしてボンゴコーチの地位はモハベに取って代わられた[5]

写真[編集]

脚注[編集]

関連項目[編集]