アングレーム国際漫画祭
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アングレーム国際漫画祭(アングレームこくさいまんがさい、仏: Festival international de la bande dessinée d'Angoulême)は、ヨーロッパ最大級のバンド・デシネのイベントである。1974年よりフランス、アングレーム市が開催している。フランスで最も古い漫画関連のイベントであり、「漫画界におけるカンヌ」とも言われている[1][2]。
概要
[編集]毎年1月末に開催され、3日間から4日間の開催期間中に20万人以上を動員する[3]。ヨーロッパの漫画関連の祭典としては、イタリアのルッカで開かれている「ルッカコミックス&ゲームズ」(2016年度は約27万人を動員[4])と並ぶ規模を持つ。
会期中に優れたバンド・デシネ作品(フランス語で出版された物)に対し最優秀作品賞以下各部門ごとの表彰が行われる。またバンド・デシネの発展に寄与した作家1人がグランプリに選ばれる。この漫画祭の表彰はフランス語圏で出版される「バンド・デシネ」と呼ばれる作品のみが対象となるが、日本の漫画など外国の作品でもフランス語にて翻訳・出版された作品はノミネートの権利を有する。外国作品のノミネートや受賞も少なくない。
歴代受賞者
[編集]最優秀作品賞
[編集]→「アングレーム国際漫画祭 最優秀作品賞」も参照
グランプリ
[編集]→「アングレーム国際漫画祭 グランプリ」も参照
日本人の受賞
[編集]この漫画祭の表彰は主にバンド・デシネを対象にしていたが日本の漫画作品の紹介が進んだことにより、2000年頃より日本の翻訳作品のノミネートが増えている。2007年には水木しげるが日本人で初めて最高賞である最優秀作品賞を受賞、2015年には大友克洋が初のグランプリを受賞している。
- 過去の日本人受賞
- 谷口ジロー『父の暦』(2001年、全仏キリスト協会コミック審査員賞)[5]
- 谷口ジロー『遥かな町へ』(2003年、最優秀脚本賞)、優秀書店賞)[5]
- 浦沢直樹『20世紀少年』(2004年、最優秀長編賞)
- 中沢啓治『はだしのゲン』(2004年、ひまわり(環境保護に関する最優秀コミック)賞)
- 谷口ジロー『神々の山嶺』(2005年、デッサン賞)
- 辰巳ヨシヒロ(2005年、特別賞[注釈 1])
- 水木しげる『のんのんばあとオレ』(2007年、最優秀作品賞)[6][7]
- 水木しげる『総員玉砕せよ!』(2009年、遺産賞)[1]
- 浦沢直樹『PLUTO』(2011年、世代間賞)[8]
- 森薫『乙嫁語り』(2012年、世代間賞)[9]
- 辰巳ヨシヒロ『劇画漂流』(2012年、世界へのまなざし賞)[9]
- 鳥山明(2013年、40周年記念特別賞)[10]
- 大友克洋(2015年、グランプリ)[11]
- 望月ミネタロウ『ちいさこべえ』(2017年、シリーズ賞)[12]
- 上村一夫『離婚倶楽部』(2017年、遺産賞)[12]
- 真島ヒロ(2018年、特別栄誉賞[注釈 2])
- 楳図かずお『わたしは真悟』(2018年、遺産賞)[13][14]
- 高橋留美子(2019年、グランプリ)[15]
- つげ義春(2020年、特別栄誉賞[16])
- 諫山創(2023年、50周年記念特別賞)[17]
- 池上遼一、伊藤潤二(2023年、特別栄誉賞)[17]
- 坂口尚『石の花』(2023年、遺産賞)[18]
- 萩尾望都(2024年、特別栄誉賞[19])
慰安婦問題がテーマの展示
[編集]→「慰安婦問題 (アングレーム国際漫画祭)」を参照
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ Prix hommage pour l'ensemble de son œuvre
- ^ Fauves d'honneur
出典
[編集]- ^ a b 水木しげる先生受賞『アングレーム国際マンガフェスティバル・遺産賞』!! 境港市観光協会
- ^ “高橋留美子さんがアングレーム国際漫画祭グランプリ「マンガの慣例を超えた最初の人物」”. ハフィントン・ポスト. (2019年1月24日) 2019年12月7日閲覧。
- ^ “【アングレーム国際漫画祭特集①】アングレーム国際漫画祭とは何か”. BDfile(ベデフィル) (2012年2月21日). 2016年1月8日閲覧。
- ^ Comics: 271.208 biglietti venduti. E' il record di sempre - Cronaca - lanazione.it
- ^ a b “『世界が認めた郷土出身漫画家 谷口ジローの世界』開催の案内”. 鳥取市 (2009年5月15日). 2015年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月22日閲覧。
- ^ “フランス アングレーム公式作品に日本漫画多数選出”. アニメ!アニメ! (イード). (2007年1月24日) 2019年6月22日閲覧。
- ^ “水木しげる氏 仏アングレームのベストコミック賞受賞”. アニメ!アニメ! (イード). (2007年1月29日) 2019年6月22日閲覧。
- ^ “浦沢直樹「PLUTO」 仏アングレームで二度目の受賞”. アニメ!アニメ! (イード). (2011年1月31日) 2019年6月22日閲覧。
- ^ a b “「劇画漂流」「乙嫁語り」 仏・アングレーム国際フェスで受賞”. アニメ!アニメ! (イード). (2012年1月30日) 2019年6月22日閲覧。
- ^ “仏アングレーム 鳥山明さんに40周年記念特別賞”. animeanime. (2013年2月4日)
- ^ “大友克洋、仏アングレーム国際漫画祭で日本人初の最優秀賞受賞!”. 映画.com (2015年1月30日). 2015年1月30日閲覧。
- ^ a b “「ちいさこべえ」がシリーズ賞、上村一夫が遺産賞 仏・アングレームで日本2冠”. アニメーションビジネス・ジャーナル. (2017年1月30日) 2019年6月22日閲覧。
- ^ PALMARÈS OFFICIEL 2017(アングレーム国際漫画祭 公式サイト 2017年度受賞作一覧)
- ^ 手塚治虫展に長蛇の列、楳図かずおら日本人作家も受賞 「第45回アングレーム国際映画祭」に行ってきた。
- ^ 高橋留美子さんグランプリ 仏アングレーム漫画祭,産経ニュース,2019年1月24日
- ^ つげ義春さんが特別栄誉賞 欧州最大規模の漫画の祭典(朝日新聞デジタル記事(2020年2月2日)。
- ^ a b “仏漫画祭、諫山創さん特別賞 池上遼一さんらに栄誉賞も”. 日本経済新聞. (2023年1月29日) 2023年1月29日閲覧。
- ^ 「うっそだろ」浦沢直樹が驚く「石の花」 一人で描いた孤高の漫画家(朝日新聞2023年4月22日)
- ^ “萩尾望都がアングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞「漫画に出会うことで私の人生は豊かに」”. コミックナタリー (ナターシャ). (2024年1月29日) 2024年1月29日閲覧。