SCALP-EG/ストーム・シャドウ
![]() イギリス空軍博物館で展示されているストーム・シャドウ | |
種類 | 巡航ミサイル |
---|---|
製造 | MBDA社 |
性能諸元 | |
ミサイル直径 | 0.48 m |
ミサイル全長 | 5.1 m |
ミサイル重量 | 1,230 kg |
弾頭 | タンデムHEAT弾頭 |
射程 | 250 km以上 |
推進方式 | ターボジェットエンジン |
誘導方式 |
中間:INS、GPS、TERPROM 終端:赤外線画像シーカー |
飛翔速度 | 1,000 km/h(M0.8) |
SCALP-EG/ストーム・シャドウ(Storm Shadow)は、フランスとイギリスが開発した空中発射巡航ミサイル。MBDA社によって製造され、フランスとイギリス以外にイタリアも導入している。
SCALP-EG(フランス語: Système de Croisière Autonome à Longue Portée – Emploi Général)はフランスがつけた名称で、ストーム・シャドウはイギリスがつけた名称である。
概要[編集]
マトラ・デファンス社が開発したアパシュ対滑走路ミサイル(MBDA アパッチ) の射程を延伸させるため、アパッチCの開発に発展し、それはSCALPへと名称を変更した。1996年6月25日にフランス空軍がSCALP-EGの名称で採用した。1997年2月11日に開発と生産の契約が締結されるまでに、マトラ・デファンス社とブリティッシュ・エアロスペース社(BAe)のミサイル関係部門を合併させ、マトラ BAeダイナミクス社を創設した。
1998年、フランスは500発のSCALPを発注し、2000年にフランスのミラージュ 2000NがSCALPの試射を行った。翌年の5月5日にはイギリスのトーネードがストーム・シャドウの試射を行い、2002年にイギリスへ納入された。
実戦投入[編集]
初の実戦使用は2003年のイラク戦争で、イギリス空軍の第617飛行隊が使用した。
2023年、イギリスはロシアによる侵攻が続くウクライナに対してストーム・シャドウを供与、実戦投入が行われた。同年5月17日、ロシア側はストーム・シャドウ7基を迎撃したと発表した[1]。同年5月19日、マリウポリの空港で爆発があったほか、同年5月21日にはベルジャンシクのロシア軍部隊の本部が攻撃を受けた。ロシア側は、これらの被害をストーム・シャドウによるものと発表している[2]。
派生型[編集]
- MdCN
- SCALP-EGの水上艦及び潜水艦発射型[3]。MdCN(Missile De Croisière Naval)は「海軍巡航ミサイル」と言うフランス語を縮めた名称。旧称SCALP-Naval。
- 魚雷発射管からの発射のため、胴体形状が円筒形に変更され、ブースターの追加のほか、主翼格納方式やエンジンも変更されている[3]。
- 水上艦用はシルヴァーA70VLSに搭載され、潜水艦用はシュフラン級原子力潜水艦に搭載される[4]。水上艦用は2010年5月、潜水艦用は2011年6月に初の試射(水中発射含む)に成功した[3]。
- 2018年4月17日、アキテーヌ級駆逐艦からシリアに向けて発射されたのが初の実戦投入である。
採用国[編集]
- イギリス空軍が900発発注。
- イタリア空軍が200発発注。
- ブラック・シャヒーン(Black Shaheen)の名称で導入。
- ブラック・パール(Black Pearl)の名称で導入。
脚注[編集]
- ^ “ロシア、キンジャール撃墜されるとウクライナのパトリオット打撃…先端武器破壊の乱打戦”. 中央日報 (2023年5月17日). 2023年5月19日閲覧。
- ^ “ウクライナ軍、最前線から100キロの露軍部隊本部を攻撃…長射程兵器を使用か”. 読売新聞 (2023年5月22日). 2023年5月23日閲覧。
- ^ a b c 『艦載巡航ミサイル』艦隊決戦から陸上攻撃の主力へ,多田智彦,軍事研究,2015年4月号,株式会社ジャパン・ミリタリー・レビュー,P216-231
- ^ “MDCN – NCM”. MBDA. 2019年6月12日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- STORM SHADOW / SCALP, www.mbda-systems.com(英語)
- CASOM/Storm Shadow, www.raf.mod.uk(英語)
- Storm Shadow, SCALP EG (CASOM), www.globalsecurity.org(英語)