ちぎれ雲

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乱層雲の下、雨が降る中でのちぎれ雲
乱層雲の下、雨が降る中でのちぎれ雲
略記号 pan
雲形記号 CL2CL3CL4CL7CL8CL9CM1CM2
副変種 ちぎれ雲
高度 地上付近~約2,000 m
特徴 断片状、厚い雲の下にある
降水の有無 あり
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ちぎれ雲(ちぎれぐも、pannus)とは、厚い雲の下を流れる断片雲のこと。高層雲乱層雲積乱雲積雲に付随して現れる雲の副変種(ただし、断片雲自体は積雲または層雲に分類されるので注意)。黒猪(くろっちょ)、こごり(凝り)雲といった俗称がある。一般的には、雲形分類に関係なく、ちぎれたような形をした雲をこう呼ぶことが多い。

概要

夕焼けに染まる高層雲とちぎれ雲
乱層雲とちぎれ雲、奥に降水雲が見える。高台から撮影。

ちぎれ雲("pannus")はラテン語で「破片、断片、すばやく動く」といった意味があり、これに因んで名づけられた。

この雲の形は、雲のかけら、引きちぎられた雲、すじ状などと表現がしにくい形をしている。輪郭の濃い雲は積雲、薄い雲は層雲に近いと考えられる。

高層雲乱層雲積乱雲積雲はいずれもを降らせることが多く、荒天時に見られる典型的な雲である。これらの雲の雲底近く、あるいは少しはなれて地上のすぐ上の低い高度を、雲の断片が変形しながら風で流されるのが見られることがある。これがちぎれ雲である。荒天時に現れるので日中でもっぽい色をしていて、背景にある雲とは、コントラスト(明暗)の違い、雲の動く速度や方向の違いなどによって見分けられる。

この雲は、空の雲が高層雲から乱層雲に替わり、やがて雨やが降り出す過程において、実際に雨や雪を降らせる雲の塊がやってくる直前に、その塊の断片として現れる雲である。雨や雪が降っている最中にも現れるが、降水雲に隠れて見えにくい。また、逆に雨や雪が降り止んだ直後にも同様に現れる。

積雲や積乱雲に付随してくる場合も、それと同じような現れ方をする。積乱雲の場合は、強い気流によって速いスピードで雲が流れ、めまぐるしく形が変わる、ダイナミックな雲が見られることがある。熱帯低気圧台風)や夕立の場合などがそうである。

脚注

出典

関連項目