ちぎれ雲
乱層雲の下、雨が降る中でのちぎれ雲 | |
略記号 | pan |
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雲形記号 | 、、、、、、、 |
副変種 | ちぎれ雲 |
高度 | 地上付近~約2,000 m |
特徴 | 断片状、厚い雲の下にある |
降水の有無 | あり |
ちぎれ雲(ちぎれぐも、pannus)とは、厚い雲の下を流れる断片雲のこと。高層雲、乱層雲、積乱雲、積雲に付随して現れる雲の副変種(ただし、断片雲自体は積雲または層雲に分類されるので注意)。黒猪(くろっちょ)、こごり(凝り)雲といった俗称がある。一般的には、雲形分類に関係なく、ちぎれたような形をした雲をこう呼ぶことが多い。
概要
ちぎれ雲("pannus")はラテン語で「破片、断片、すばやく動く」といった意味があり、これに因んで名づけられた。
この雲の形は、雲のかけら、引きちぎられた雲、すじ状などと表現がしにくい形をしている。輪郭の濃い雲は積雲、薄い雲は層雲に近いと考えられる。
高層雲、乱層雲、積乱雲、積雲はいずれも雨を降らせることが多く、荒天時に見られる典型的な雲である。これらの雲の雲底近く、あるいは少しはなれて地上のすぐ上の低い高度を、雲の断片が変形しながら風で流されるのが見られることがある。これがちぎれ雲である。荒天時に現れるので日中でも黒っぽい色をしていて、背景にある雲とは、コントラスト(明暗)の違い、雲の動く速度や方向の違いなどによって見分けられる。
この雲は、空の雲が高層雲から乱層雲に替わり、やがて雨や雪が降り出す過程において、実際に雨や雪を降らせる雲の塊がやってくる直前に、その塊の断片として現れる雲である。雨や雪が降っている最中にも現れるが、降水雲に隠れて見えにくい。また、逆に雨や雪が降り止んだ直後にも同様に現れる。
積雲や積乱雲に付随してくる場合も、それと同じような現れ方をする。積乱雲の場合は、強い気流によって速いスピードで雲が流れ、めまぐるしく形が変わる、ダイナミックな雲が見られることがある。熱帯低気圧(台風)や夕立の場合などがそうである。
脚注
出典
- ちぎれ雲 あおぞらめいと
- Spotlight on... Clouds