黒い看護婦

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黒い看護婦
福岡四人組保険金連続殺人
著者 森功
発行日 2004年11月25日
発行元 新潮社
ジャンル ノンフィクション
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判上製本
ページ数 223
コード ISBN 978-4-10-472101-6
ISBN 978-4-10-132051-9文庫本
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黒い看護婦』(くろいかんごふ)は、森功ノンフィクション書籍。2002年に発覚した福岡県久留米市の女性看護師4人による保険金連続殺人事件久留米看護師連続保険金殺人事件[1]の全容を描く。森は『週刊新潮』の編集部員として取材をはじめ、事件発覚から判決までのおよそ2年半を追い、『週刊新潮』および『新潮45』にレポートを掲載[2]2004年11月、単行本として新潮社から刊行された。

2015年にはテレビドラマ化された。

内容[編集]

以下の内容には本書の題材となった事件の記述も含まれる

Y、A、B、Cの4人はかつて同じ看護学校に通っていた[3]。一連の出来事は卒業後8年ぶりにYとAが再会したことから始まる。男に騙され、弱っていたAの心に入り込んだYは、政界にも顔が利き、警察をも動かせる“先生”という架空の存在をちらつかせ、自分がその“先生”とのパイプ役を担ってあたかも様々な問題を解決したかのように見せかけ、Aの金銭管理を行うだけでなく、肉体関係を結ぶことにも成功する。以後、AはYと一緒に住み続け、Yやその子供たちの身の回りの世話もすることになる。

Aの実母の金まで手に入れたYは、夫の浮気に悩むB、そして職場で同僚看護婦をいじめた経験のあるCとも再会を果たし、それぞれの問題をでっちあげてはそれを解決するふりをして金銭を騙し取ることに成功。恩を売る形にしたことで彼女たちを自分の思惑通りに動かせるようになると、再び“先生”をもちだしてCの夫の殺害および保険金搾取を企てる。そして4人は医療知識を駆使して睡眠剤や空気を静脈注射することで目的を達し、保険金を得る。成功したことで行動はますますエスカレートし、続いてBの夫の命も同じ方法で奪い、保険金を得たYは久留米市内の高級マンションの最上階にプライベートルームを所有[3]し、他の3人にも下の部屋を買わせ、自らは女王のごとく他の3人を従える形となった。

YはAの実母の残りの預金にも目をつける。そして糖尿病を患う彼女に多量のインスリンを投与する計画をたて、その実行犯にBを指名する。しかし計画に失敗したBはYからの制裁金請求などで思い悩み、伯父に相談。警察を訪れたことをきっかけに一連の事件が次第に明るみになり、Bが自首したことで4人は逮捕される。生命保険などで手にした金額はすでに2億円にのぼっていた[3]

同僚看護婦から500万円を騙し取った詐欺罪(Y・A)、Cの夫に対する殺害および保険金詐取(Y・A・C)、Bの夫に対する殺害および保険金詐取(4人)による詐欺罪と殺人罪、Aの実母に対する強盗殺人未遂および住居侵入罪(Y・B・C)、Bを脅したことによる脅迫罪(Y・C)で起訴され[1]2010年3月、最高裁判所においてAは無期懲役、Bは懲役17年、主犯のYは死刑の判決が下され確定した[4]。Cは一審の判決公判前[4]子宮がんで病死したため公訴棄却された。2016年3月25日に、岩城光英法務大臣の執行命令に基づき、福岡拘置所にてYの死刑が執行された[5]

テレビドラマ[編集]

黒い看護婦
ジャンル 単発テレビドラマ
放送時間 金曜22:00 - 23:52(112分)
放送期間 2015年2月13日(1回)
放送国 日本の旗 日本
制作局 フジテレビ
演出 平山秀幸(ノンクレジット)
原作 森功
脚本 神山由美子
プロデューサー 黒沢淳、村上研一郎
出演者 大竹しのぶ
寺島しのぶ
坂井真紀
木村多江
音声 ステレオ放送
字幕 文字多重放送
エンディング [注 1]
外部リンク 黒い看護婦 - フジテレビ
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2015年2月13日フジテレビ系の「赤と黒のゲキジョー」にてテレビドラマ化された。呼称は事件当時に準じ、タイトルおよび劇中でもすべて“看護婦”で統一されている[6]

黒沢淳プロデューサーは元となった事件の主犯の公判を実際に傍聴した経験があり[6]、圧倒されたその時の思いから、「カマキリのように男を食いつぶしていく悪女を描いてみたい[7]」「これほどまでの人間の悪さ、弱さ、不可解さを演じられるのは大竹さんしかいない[4]」と感じ、他3人の弱みを握って完全服従させる[8]主犯の田中直子役に2002年の同局のテレビドラマ『実録 福田和子』で強盗殺人の逃亡犯・福田和子を演じたこともある大竹しのぶを抜擢した[9]。大竹は3人を洗脳する“モンスター”でありながら、人懐っこく世話好きなところもあるという二面性のある女を怪演している[6][10]。撮影は2014年3月に福岡市内[11]久留米市などで行われた。

クレジット拒否騒動[編集]

放送は当初、土曜日の枠で放送される予定だったが、金曜日[注 2]に変更になったため完成時92分の作品を74分に縮める必要が出てきた[12]。しかし監督の平山秀幸がこれに抗議し、氏名のクレジットを拒否、エンドロールでは平山ほか撮影クルーの氏名が各人の希望によりノンクレジットとなり、平山は番組サイトでの名前の掲載も拒否する事態となる[13]。このことは『週刊文春』に平山が実名告発したことで発覚し[14]、その後2月27日のフジテレビの定例会見で「いただけない。我々の調整の稚拙さとしか言いようがない」と亀山千広社長がフジテレビ側の非を認めた[12]

視聴率は6.6%[15]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ クレジットはされなかったが、車の中のFMラジオやエンディングではABBAの「ダンシング・クイーン」が使用されている[6]
  2. ^ いつもの「赤と黒のゲキジョー」21:00-22:52枠ではなく、19:00-21:54に『2015年四大陸フィギュアスケート選手権』中継が編成されたため、22:00-23:52[8]になった。

出典[編集]

  1. ^ a b “久留米看護師連続保険金殺人事件の起訴事実”. 西日本新聞. (2004年1月27日). オリジナル2011年9月10日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110910112906/http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/word/3514 2015年8月21日閲覧。 
  2. ^ 森功 『黒い看護婦』 新潮社2004年11月25日、223頁。ISBN 978-4-10-472101-6 
  3. ^ a b c 黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人― 新潮社、文庫案内
  4. ^ a b c “大竹しのぶ“殺人ナース”演じる!実際の保険金殺人事件が題材(3/3ページ)”. SANSPO.COM. (2015年1月22日). http://www.sanspo.com/geino/news/20150122/oth15012205050001-n3.html 2015年9月7日閲覧。 
  5. ^ “2人の死刑執行”. 産経新聞. (2016年3月25日). http://www.sankei.com/west/news/160325/wst1603250040-n1.html 記事名に本書の題材となった事件の死刑囚および同日執行された大阪連続バラバラ殺人事件の死刑囚の実名が使われているため、この箇所を省略した。
  6. ^ a b c d e “【TVプレビュー】「黒い看護婦」大竹しのぶ怪演、殺人鬼の心の闇”. Sponichi Annex. (2015年2月13日). http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/02/13/kiji/K20150213009798620.html 2015年9月7日閲覧。 
  7. ^ “大竹しのぶ×寺島しのぶ×坂井真紀×木村多江 豪華共演”. 産経ニュース. (2015年2月12日). http://www.sankei.com/entertainments/news/150212/ent1502120001-n1.html 2015年9月7日閲覧。 
  8. ^ a b 大竹しのぶ、寺島しのぶらが「黒い看護婦」 実在の連続保険金殺人事件をフジがドラマ化”. TVfanWeb (2015年1月22日). 2015年9月7日閲覧。
  9. ^ “大竹しのぶ“殺人ナース”演じる!実際の保険金殺人事件が題材(2/3ページ)”. SANSPO.COM. (2015年1月22日). http://www.sanspo.com/geino/news/20150122/oth15012205050001-n2.html 2015年9月7日閲覧。 
  10. ^ 大竹しのぶ、狂気の看護師怪演!寺島しのぶ、木村多江らと保険金殺人の真実描く”. クランクイン!! (2015年1月22日). 2015年9月7日閲覧。
  11. ^ ドラマ「黒い看護婦」2月13日(金)22時(フジテレビ)”. 福岡フィルムコミッション (2015年2月). 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月7日閲覧。
  12. ^ a b “「黒い看護婦」騒動でフジが非を認める(1/2ページ)”. DAILY SPORTS ONLINE. (2015年2月27日). http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2015/02/27/0007775389.shtml 2015年9月7日閲覧。 
  13. ^ フジテレビ「黒い看護婦」で有名監督がクレジット拒否!”. 週刊文春Web (2015年2月18日). 2015年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月7日閲覧。
  14. ^ “「黒い看護婦」騒動でフジが非を認める(2/2ページ)”. DAILY SPORTS ONLINE. (2015年2月27日). http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2015/02/27/0007775389.shtml?pg=2 2015年9月7日閲覧。 
  15. ^ ドラマの監督に“実名告発”されたフジテレビ”. リアルライブ (2015年2月19日). 2015年2月24日閲覧。
  16. ^ a b “大竹しのぶ:寺島しのぶらと“黒い看護師”に 保険金殺人事件をドラマ化”. MANTANWEB. (2015年1月25日). http://mantan-web.jp/2015/01/25/20150125dog00m200024000c.html 2015年9月7日閲覧。 
  17. ^ 木村多江、「まっしろ」の次は“まっくろ”! ドラマ「黒い看護婦」”. cinemacafe.net (2015年1月22日). 2015年9月7日閲覧。

外部リンク[編集]