長野電鉄1000系電車
長野電鉄1000系電車 | |
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基本情報 | |
運用者 | 長野電鉄 |
種車 | 小田急10000形電車 |
改造所 | 日本車輌製造 |
改造年 | 2005年 |
改造数 | 8両 |
運用開始 | 2006年12月9日 |
投入先 | 長野電鉄長野線 |
主要諸元 | |
軌間 | 1,067 mm |
電気方式 | 直流1,500V |
車体長 |
先頭車 16,390 mm 中間車 12,500 mm |
車体幅 | 2,900 mm |
車体 | 普通鋼 |
主電動機 | 直流分巻電動機 |
駆動方式 | WN平行カルダン |
制御方式 | 電動カム軸式抵抗制御 |
制動装置 | 発電制動併用全電気指令式電磁直通制動 |
保安装置 | ATS |
長野電鉄1000系電車(ながのでんてつ1000けいでんしゃ)は、長野電鉄の特急形電車。
「ゆけむり」の愛称を持つ。
概要
[編集]老朽化した2000系車両の代替として、小田急電鉄で使用されていたロマンスカーの10000形「HiSE」を無償で譲り受けた車両である。車齢としては引退当時18年とまだ若かったが、ハイデッカー構造であるため小田急電鉄ではバリアフリーに対応できないとし運用離脱、廃車となった車両である。
本形式の導入により2000系は基本的にA特急運用から撤退することになった。
構造
[編集]車体
[編集]車体は小田急時代の塗り分けを踏襲するが、計画の変更により、小田急時代に2色のワインレッド■■に塗り分けられていた部分は長野電鉄の長電レッド■に変更・統一されている。
小田急時代に6号車に設置されていた冷房装置などのサービス機器に電力を供給する補助電源装置は2号車に設置された。これ以外にも、長野電鉄仕様として信州中野駅 - 湯田中駅間の連続40‰の急勾配に対応するための抑速ブレーキの改造(主抵抗器の増強)、降雪期に備えて耐雪ブレーキやドアレールヒーターの装備などが施工されているが、外観においては編成の短縮以外に小田急時代と大きく変わるところはない。
車内
[編集]1000系「ゆけむり」 | ||||||||||||
← 湯田中 長野 →
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全車禁煙。外観同様、車内設備もおおむね小田急時代を保っている。
- 1号車および4号車先頭部には展望席が小田急時代と変更なく存置されているが、この部分はハイデッカー構造ではないため、ここをバリアフリー対応とすることで小田急時代より懸念されていた問題に対処した。ただし、この処置により展望室と一般客室の境にあった補助椅子は使用不可となっている。なお、乗車口のドア幅は62 cm(S1編成)、67cm(S2編成)とやや狭く[注 1]、乗車時にスロープを使用できないため[1]、車椅子によっては利用できない場合がある。
- その他設備のうち、トイレと洗面所は車両基地に対応設備が無く、これらを設けた中間車を譲渡対象から外しているため、設置されていない。
- 2015年9月ごろに自動放送設備が導入され、山崎昭夫が担当している。
- 自動放送導入と同時に、新たに2か国語(日/英)停車駅や列車情報などをスクロール表示するLED車内案内表示装置を新設した。
- 展望席を含む先頭車は、日中に運行されるA特急運用時のみ指定席となる。背面展望席・普通席はA特急・B特急問わず自由席である。
- 小田急時代に受賞した鉄道友の会ブルーリボン賞の受賞記念プレートは存置されている(掲出場所は一部でLED案内表示器の設置により移動が行われている)。
号車番号/設備他
- 先頭車:運転室(2階)・展望席(14席)・普通席(32席)・車掌室
- 中間車:普通席(44席)
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展望席
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普通席
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普通席(北信濃ワインバレー列車仕様)
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車掌室内部
編成表
[編集]4車体5台車の連接構造で、小田急時代は11車体12台車であったものから一部の中間車を抜き短編成化した。なお4両化時に余った中間車(7両×2)については、譲渡されずに小田急側で解体処分された。
編成は以下の通り。
← 湯田中 長野 →
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形式 | デハ1000 (Mc9) |
モハ1010 (M8) |
モハ1020 (M2) |
デハ1030 (Mc1) | |
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編成番号 | S1 | デハ1001 (デハ10031) |
モハ1011 (デハ10030) |
モハ1021 (デハ10022) |
デハ1031 (デハ10021) |
S2 | デハ1002 (デハ10071) |
モハ1012 (デハ10070) |
モハ1022 (デハ10062) |
デハ1032 (デハ10061) |
-
デハ1030形
-
モハ1020形
-
モハ1010形
-
デハ1000形
長野電鉄では、8500系導入以降電動制御車を「デハ」、中間電動車を「モハ」と呼称している(形式称号改正による)。
- ( )内は小田急時代の車両番号
- 中央の1台車が付随台車のため、台車数でみたMT比は4:1となる
- 編成全長は57,780mmでボギー車のほぼ3両分
運用
[編集]運行開始当初はA特急で限定運用され、B特急では引き続き2000系を運用していた。
しかし、2011年2月13日に2100系の運用開始を踏まえて実施されたダイヤ改正からA・Bともに運用される[注 2]ように変更された。同時に運用間合いでの普通列車への充当も廃止された。この結果、本形式としては従前同様に長野線全線のA特急に用いられるほか、B特急にも充当されることとなり、運用時間帯が拡大している。
なお、2015年から運行している「のんびり号」では本形式が限定運用されているほか、「北信濃ワインバレー列車[2]」「ながでん BEER TRAIN[3]」等の臨時列車でも優先して使用される。また2012年の屋代線廃止時には、車両輸送時以来となる同線での走行が実施された。
沿革
[編集]その他
[編集]- 第1・2編成とも日本車輌製造豊川製作所で改造されたが、いずれの編成も川崎重工業で製造されたものであった。なお、小田急10000形には日本車輌製造製の編成もあり、ロマンスカーミュージアムで保存されているデハ10001がそのうちの1両である。
- 本形式の導入に関連して、湯田中駅では2006年9月に構内スイッチバックとプラットホーム1線を廃止し、1面1線化するなどの縮小工事を行った。
- 2011年2月13日のダイヤ改正まで、信州中野駅 - 湯田中駅間を各駅に停まる特急列車(B特急)には充当されなかった。また、須坂駅で2000系から車両交換をする運用もあり、この場合、時刻表で指定された列車に乗り継げば、1枚の特急券で利用することが可能であった。
- 本形式が導入された後も、特急料金は100円のまま据え置かれた。ただし、2000系とは異なり運用される列車が全て特急運用となったため、運用開始以来、乗車には特急料金が必要とされている。
- 2021年6月1日より、日中に運行するA特急の先頭車両(展望席を含む)を、指定席としてWEBページから予約が出来るようになった。(各種イベントや団体利用、その他ダイヤ乱れ時を除く)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “車いすをご利用のお客様へ”. 長野電鉄. 2021年11月10日閲覧。
- ^ “北信濃ワインバレーの旅”. ながでんグループ. 2022年10月19日閲覧。
- ^ “2018 SUMMER ながでん BEER TRAIN ×YEBISU”. ながでんグループ (2018年). 2022年10月19日閲覧。
- ^ 『ロマンスカー連結部に傷 小田急、5編成の運転休止』[リンク切れ] 朝日新聞 2010年1月21日
- ^ 『1000系「ゆけむり」の車両変更(運転の再開)について』 長野電鉄公式サイト
- ^ 観光案内列車 特急ゆけむり〜のんびり号〜 (PDF) - 長野電鉄、2015年4月19日閲覧。
参考文献
[編集]- 伊藤久巳 取材・写真「HiSE 威風堂々 -長野電鉄1000系 日車豊川→屋代763.5km 甲種輸送の旅路-」 交友社『鉄道ファン』2006年7月号 No.543 p111 - 119
- 松本典久「長電1000系『ゆけむり』試乗ルポ」 交友社『鉄道ファン』2007年1月号 No.549 p72 - 77