針尾送信所

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西海市側からの眺望
針尾送信所1号塔より2号3号塔を望む。
針尾送信所の全景。左から2号塔、3号塔、1号塔。
針尾送信所跡の電波塔
電信室半地下にある電源室
針尾送信所電波塔内部
針尾送信所電信室 2014年5月撮影
電波塔の配置[1]
左上が1号塔、右上が2号塔、下中央が3号塔、3塔の中心が送信所電信室[2]
別角度より望む[1]
上中央が1号塔、右下が2号塔、左下が3号塔、3塔の周回には円周道路が敷設されている[2]

針尾送信所(はりおそうしんじょ)は、旧日本海軍長崎県佐世保市針尾島に建造した、現在は海上保安庁の無線送信所である。

敷地内にある巨大な3本のコンクリート製の電波塔(針尾無線塔)は大正時代に建てられた。自立式電波塔としては古さ日本一である。また、第二次世界大戦以前から建つ現存する塔としては日本一の高さである。「旧佐世保無線電信所(針尾送信所)施設」の名称で国の重要文化財に指定された。地元では「針尾の無線塔」と呼び親しまれている。

概要[編集]

針尾送信所の象徴である電波塔の高さは1号塔、2号塔が135メートル、3号塔が137メートルで、基部の直径は約12メートル、厚さは76センチメートル。3本の配置は約300メートル間隔の正三角形となっている。

1922年の完成から1954年名古屋テレビ塔が完成するまでの約32年間、日本一の高さを誇った。また、軍事利用を目的として建造された電波塔としては、2000年防衛省市ヶ谷無線鉄塔が完成するまで日本一の高さであった。2019年現在でも、長崎県で最も高い建造物であり、その姿は遠方(例えば烏帽子岳隠居岳・冷水岳・俵ヶ浦半島など)からも確認できるほど壮大である[3]。対岸にある西海橋からの眺望が知られていたが、2006年新西海橋(事実上の西海パールライン有料道路の延長)が開通し、西海橋よりも送信所側を通るため、よりその大きさがわかる。

歴史[編集]

日本海軍佐世保鎮守府隷下の無線送信所として、1918年(大正7年)11月に着工、1922年大正11年)に完成した。総工費は当時で155万円という。竣工日は1号電波塔から順に4月30日5月30日7月31日

太平洋戦争開戦の暗号「ニイタカヤマノボレ一二〇八」を送信した電波塔として名前が挙げられることが多いが、この暗号を真珠湾攻撃部隊に向けて送信したのは千葉県船橋市船橋送信所(艦船向けの短波と中波)と愛知県碧海郡依佐美村依佐美送信所(潜水艦向けの超長波)である[4]。針尾送信所は、瀬戸内海に停泊中の連合艦隊旗艦「長門」が打電し、広島県の呉通信隊が送信したものを受信し再発信したもので、中国大陸や南太平洋の部隊に伝えたものであるとされるが、その詳細は不明とされている[5]

終戦後しばらく米軍管理地となり、1948年昭和23年)から第七管区海上保安本部佐世保海上保安部が所管し、海上自衛隊と共同で使用している。ただし、針尾送信所の象徴であった巨大電波塔は、1997年平成9年)に後継の無線施設が完成したことにより、現在では電波塔としての役割を終えている。

針尾島内では他に、浦頭引き揚げ記念公園や現在のハウステンボス南風崎駅(本土)近辺の慰霊碑などに、第二次世界大戦の痕跡がのこっている。

現状[編集]

周囲は田畑や果樹園で囲まれ、現在は電波塔としては使用されておらず、地元の有志が塔を文化財として存続するため、日々活動している。最近、心ない人によってラッカースプレー等で落書きされることがたびたび起きていて問題になっている。

築約90年経ち、あと30 - 40年が寿命の限界と見られていたが、現在でも十分な耐震性を持つことを、佐世保市教育委員会が確認した。そのため佐世保市は、針尾無線塔一帯の公園化を目指し、海上保安庁と協議を始めた。海上保安庁側も「国の重要文化財指定に向けた動きが出れば協力する」としていた。

2009年には、DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築に選定。

2013年に、3基の無線塔のほか電信室、油庫(ゆこ)の2棟と附属の土地が国の重要文化財に指定された。将来的には一帯に見学用通路や案内施設を整え、塔内も見学できるようにする予定である[6]

2013年3月より、ボランティアによる無線塔の見学案内が行われている。見学時間は、平日、土日ともに9時00分 - 16時00分。また、電信室の外観も見学できる[7]。また、当時の写真を佐世保市の海上自衛隊佐世保史料館でみることができる。

針尾送信所が登場する作品[編集]

  • 空の大怪獣ラドン(映画) - 阿蘇から出現した怪獣ラドンが佐世保に飛来し、自衛隊機との空中戦の末、針尾送信所の3本の電波塔をバックに、西海橋下の海に墜落するシーンがある。
  • 暗号のポラリス中山智幸(小説) - 難読症を抱える小6の主人公、斎賀結望が目指す旅の目的地「H島の無線塔」のモデルとなっている。
  • ブレイブウィッチーズ(アニメ) - 現実世界の日本に相当する作中の国家は「扶桑皇国」であるが、針尾送信所を含む佐世保市周辺の地名や地理的要素等は現実世界に準じる。主人公・雁淵ひかりの父である浩平が技師として送信所に務めており、第1話ではひかりが父に弁当を届けるシーンがある。
  • 17才の帝国(ドラマ) - 「Utopi-AI」、通称UA(ウーア)構想下の実験都市ウーアで、政治AIの「ソロン」を構成する3体の量子コンピュータ「トリ・ヘキサ・ノナ」として。

脚注[編集]

  1. ^ a b 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成(1974年度撮影)。
  2. ^ a b 針尾送信所見学路」より(2013年12月11日閲覧)。
  3. ^ 俵ヶ浦から撮影した針尾の無線塔”.株式会社水田
  4. ^ 依佐美送信所の真実”. 世界最大級の長波通信設備「依佐美送信所」公式サイト. 2015年11月8日閲覧。
  5. ^ 針尾送信所 見学パンフレットより
  6. ^ 針尾無線塔の過去と未来、2013年2月、松尾秀昭。
  7. ^ 旧佐世保無線電信所(針尾送信所)施設の見学について、2020年12月、佐世保市HP、2022年7月29日閲覧。

外部リンク[編集]

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座標: 北緯33度3分59.45秒 東経129度45分4.81秒 / 北緯33.0665139度 東経129.7513361度 / 33.0665139; 129.7513361