裸の王様

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裸の王様」(はだかのおうさま、: Kejserens nye klæder発音)は、スペインの古い伝承[1][2][3]をもとに、デンマーク童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンが翻案し、1837年に発表した童話

人間心理の弱点を辛辣に捉えた寓話として著名な作品であり、アンデルセンの代表作の1つ。原話と物語の大枠は変わっていないが、元の話では「王さまは裸だ」と叫ぶのは、子供ではなく黒人である。

あらすじ[編集]

1847年の初版本の、はだかの王さまのパレード

ある国に、新しい服が大好きな、おしゃれな王さまがいた。ある日、城下町に二人組の男が、仕立て屋という触れ込みでやってきた。彼らは馬鹿の目には見えない、不思議な布地をつくることができるという。噂を聞いた王さまは2人をお城に召し出して、大喜びで大金を払い、彼らに新しい衣装を注文した。

彼らはお城の一室に織り機を設置し、さっそく仕事にかかる。王さまが大臣を視察にやると、仕立て屋たちが忙しく織っている「バカには見えない布地」とやらは大臣の目にはまったく見えず、彼らは手になにも持っていないように見える。大臣はたいへん困るが、王さまには自分には布地が見えなかったと言えず「仕事は順調に進んでおります」と報告することにした。

その後、視察にいった家来はみな「仕事は順調です」と報告する。最後に王さまがじきじき仕事場に行くと「バカには見えない布地」は、王さまの目にもさっぱり見えない。王さまはうろたえるが、家来たちには見えた布が自分に見えないとは言えず、布地の出来栄えを大声で賞賛し、周囲の家来も調子を合わせて衣装を褒める。

いよいよ、王さまの新しい衣装は完成した。王さまはお披露目のパレードを開催することにし、見えてもいない衣装を身にまとい、大通りを行進する。集まった国民も馬鹿と思われるのをはばかり、歓呼して衣装を誉めそやす。

その中で、沿道にいた一人の小さな子供が、「王さまは裸だ! 王さまは裸だよ!」と叫び、群衆はざわめいた。「裸か?」「裸じゃないのか?」と、ざわめきは広がり、ついに皆が「裸だ!」「王さまは、裸だ」と叫びだすなか、王さまのパレードは続くのだった。

登場人物[編集]

二人の詐欺師
王さま
新しい服が大好き。逆らえる者は誰もいない。
二人の詐欺師
布織り職人というふれこみ。愚か者には見えない布を織ると言って王さまたちを騙す。
大臣
正直者で通っている年寄り。人が良い。布地が見えたふりをして嘘をつく。
役人
根はまっすぐ。
家来たち
町の人々
見栄や立場にとらわれ、誰も本当のことを言えない。

日本での紹介[編集]

「孩堤の翁」という筆名を用いた巌本善治が、雑誌『女学雑誌』に1888年から連載したのが嚆矢である。このときの題名は『不思議の新衣装』であった。

同年末、高橋五郎が「在一居士」という筆名春祥社から『諷世奇談、王さまの新衣装』を刊行している。その後も多くの訳が出ているが、『裸の王さま』、『はだかの王さま』、『はだかの王さま』の題名が一般的である。

17世紀のアンデルセンの初版本に添えられたイラストでは、王さまは素っ裸ではなく下着は着ている。現代では、王さまはパンツ一枚きりか、全裸であることもある。

翻訳[編集]

デンマーク語の原題を日本語に直訳すると「皇帝の新しい服」となる。ドイツ語版の題名「Des Kaisers neue Kleider」も英語版の題名「The Emperor's New Clothes」もデンマーク語の直訳である。

「王様は裸だ」

ミュージカル[編集]

劇団四季はアンデルセンの作品を長年にわたり上演している。『はだかの王様』は1964年初演、台本は寺山修司の手による。

詳細は『はだかの王様 (劇団四季)』を参照。

関連図書[編集]

  • 高橋健二『グリム兄弟とアンデルセン』(1937年)東京書籍

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  1. ^ フアン・マヌエルの『ルカーノル伯とパトローニオによる模範とすべき本スペイン語版(Libro de los enxiemplos del Conde Lucanor et de Patronio)
  2. ^ Wikisource reference Juan Manuel. Conde Lucanor. - ウィキソース. 
  3. ^ Ejemplo XXXII Wikisource reference Juan Manuel. Conde_Lucanor:Ejemplo_32. - ウィキソース. 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]