人魚姫

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Vilhelm Pedersen 画「人魚姫」

人魚姫(にんぎょひめ、Den lille Havfrue)は、デンマークハンス・クリスチャン・アンデルセン作の童話である。1836年に発表された。

あらすじ[編集]

短剣を差し出す姉たち

王妃を失って久しい男やもめの人魚母君に6人の娘の教育をして貰っていた。人魚姫の姉妹は1歳ずつ年齢が異なり、毎年1人ずつ海の上に行った。末の姫は15歳の誕生日に昇った海の上で船の上にいる美しい人間の王子を目にする。嵐に遭い難破した船から溺死寸前の王子を救い出した人魚姫は、王子に恋心を抱く。その後、修道院から出て来た女性が王子を見つけて介抱したため、人魚姫は出る幕が無くなってしまう。人魚は人間の前に姿を現してはいけない決まりなのだ。だが、彼女はどうしても自身が王子を救ったと彼に伝えたかった。短命でも「死なない魂」を持っていて心でも生まれ変わる人間に対して、300年の長寿を生きながらも死ねば転生することが叶わないのだと嘆く人魚姫は王子を恋しがり、また、自分達には無い「死なない魂」が欲しかった。

人魚姫は海の魔女の家を訪れ、声と引き換えに尻尾を人間の足に変える飲み薬を貰う。その時に「王子に愛を貰うことが出来なければ、姫は海の泡となって消えてしまう。」と警告を受ける。更に人間の足だと歩く度にナイフで抉られるような痛みを感じるとも。薬を飲んで人間の姿で倒れている人魚姫を見つけた王子が声をかけるが、人魚姫は声が出ない。その後、王子と一緒に宮殿で暮らせるようになった人魚姫であったが、声を失った人魚姫は王子を救った出来事を話せず、王子は人魚姫が命の恩人だと気づかない。

その内、人魚姫の視点では事実は捻じ曲がり、王子は浜辺で介抱してくれた女性を命の恩人と勘違いしてしまう。しかし、倒れていた王子を介抱したことで勘違いではなく、恩人であることに違いはなかった。 やがて隣国の姫君との縁談が持ち上がるが、その姫君こそ王子が想い続けていた女性だった。見も知らぬ姫君を好きにはなれないと思っていたし、心に抱く想い人とは2度と会えないだろうと諦めていた王子は「僕を助けてくれた女性は修道院から出て来ないだろうし、どうしても結婚しなければならないとしたら彼女に瓜二つのお前と結婚するよ。」と人魚姫に告げていたが、予想だにしなかった想い人が縁談の相手の姫君だと知り、喜んで婚姻を受け入れて姫君をお妃に迎えるのだった。

王子は人魚姫に縁談の相手が命の恩人であることがとても嬉しいと伝える。悲嘆に暮れる人魚姫の前に現れた姫の姉たちが髪と引き換えに海の魔女に貰った短剣を差し出し、王子の流した血で人魚の姿に戻れるという魔女の伝言を伝える。眠っている王子に短剣を構えるが、人魚姫は愛する王子を殺すことと彼の幸福を壊すことが出来ずに死を選び、海に身を投げて泡に姿を変えた。結局は王子の愛を得られずに泡になってしまった人魚姫だったが、夜明けの太陽を仰ぎ見ると、空の上に幾百の透き通るような神々しい存在が見えた。

泡の中から出て空の上に昇りつつ風の精(空気の精霊)の仲間になった人魚姫の問いかけに答える声があった。更に、「人魚に死なない魂は無く、人間の愛情を得ない限り不可能であるため、他の力に頼るしかない。大空の娘たちも同様だが、善行を積むことで「死なない魂」を持つことが出来る。300年務めて自分達の力の限り尽くすと「死なない魂」を授かり、人間の長い幸福を分けて貰える。貴方(人魚姫)もあと300年を善行を積めば「死なない魂」を授かることになる。」と語る。

他の風の精と共々に、流れてるバラ色の雲に紛れて空高く昇ってゆく中で「子供にいる家で親を喜ばせて愛しみを受ける子供を見つけるたびに試練の時は短くなり、悲しみの涙が流させられると長くなる」と彼女らは仲間になった人魚姫に囁き、善行を積んで魂を授かって天国に昇るべく長い時間が始まるのだった。最後まで王子夫妻や他の人々が真相に気づくことはなかったが、まるで知っているかのように人魚姫の行方を捜し、悲しむ王子夫妻の姿を見て人魚姫は王子のお妃となった姫君の額にそっと接吻し、王子に微笑みかけた。

王子のそばにいたいがために美しい声を失くし、最終的には自らの命をも失うはめになるこの人魚姫の話はアンデルセンの不朽の名作として有名だが、叶わぬ恋の形容詞となっている。

解釈[編集]

どこまでも純粋に王子を愛しながらも報われなかった人魚姫の悲しい恋の物語は、失恋を繰り返し、ついには生涯を独身で通したアンデルセンの苦い思いが投影されていると言われている[要出典]

人魚姫の像[編集]

コペンハーゲンには人魚姫の像があり、有名な観光名所となっている。

派生作品[編集]

音楽[編集]

アニメ[編集]

舞台[編集]

実写映画[編集]

テレビドラマ[編集]

ゲーム[編集]

漫画・絵本・小説[編集]

施設[編集]

彫刻[編集]

外部リンク[編集]