自動車警ら隊

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自動車警ら隊(じどうしゃけいらたい、警邏隊、英語表記:Mobile Patrol Force、Motor Patrol Unit)とは、各都道府県警察本部において、各警察署の管轄区域を超えた各都道府県内全域のパトロールを行うことを主な任務とする組織である。

警察内部では自ら隊(じらたい)と略称されることが多い。なお「警ら隊」という表記になっているのは、「警邏」の「邏」が常用漢字に含まれていないためである。大阪府警察岡山県警察宮城県警察群馬県警察では機動警ら隊などと呼ぶ。

しばしばテレビで放映されている「警察24時」の類の番組でよく取り上げられている。

組織[編集]

自動車警ら隊は、府県警察本部においては地域部あるいは生活安全部におかれる。警察本部警備部における機動隊と同様「執行隊」としての位置づけであり、組織構成は各警察本部により多少異なる。隊長は警視、副隊長は本部により警視又は警部、隊員の身分は地域警察官である。

  • 北海道警察では、警察本部地域部におかれ、主に札幌市内とその周辺の札幌方面中央、北、南、西、東、豊平、白石、厚別、手稲、江別の各警察署と小樽警察署の一部、の管轄区域を所管している。北海道警察方面本部の内、旭川、*函館、釧路については機動警察隊が担当している(釧路方面本部は釧路・根室地区は釧路機動警察隊が、帯広・十勝地区は十勝機動警察隊に分かれている)また、北見方面本部は同地域課内に自動車警ら係がある。
  • 宮城県警察では、機動警ら隊員全員が音楽隊を兼務している。
  • 新潟県警察では、1990年代以降に所轄警察署単位での地域密着型警らを重要視して隊を廃止し、人員と車輌は各警察署の機動警ら係増強に充てている。
  • 長野県警察では、各警察署毎に自動車警ら班が置かれていたが、2008年4月1日以降は本部通信指令指揮下になり、2010年4月1日以降は新設の地域部直属になり規模が拡大されている。
  • 静岡県警察では、静岡市清水区隊本部直轄隊を置き、沼津市東部支隊磐田市西部支隊がそれぞれ担当している。
  • 富山県警察では、従来まで生活安全部内に置かれていたが、近年は警備部機動隊に吸収されている。
  • 岐阜県警察では、組織緊縮により「西濃」、「東濃」、「岐阜」に通称「自ら隊」が配備されていたが、現在は岐阜県南西部を拠点に岐阜市近辺を巡回している。平成25年より、地域部発足に伴い、直属。他の車両は代表署の大垣署、多治見署内に「機動警ら課」を発足させ、広域パトロールに配置替え(警備部警察官が証言)。
  • 兵庫県警察では、隊ぐるみの捜査報告偽造問題が2005年に発覚して解散し、「機動パトロール隊」が新設されている。2010年度以降は、職務質問と初動体制を強化するため本部機動パトロール隊と各警察署の自動車警ら班により、パトカーの機動力を活かした24時間体制のフロントライン・パトロール隊が「FRONTLINE PATROL」と記載された車両で担当している。同様のシステムは福岡・静岡でも運用されている
  • 大阪府警察では、機動警ら隊に青バイが配属されている。導入当初は2人1組で活動していたが、最近は1人で活動しているケースが多い。
  • 山口県警察では、県内全域でのパトロール強化を目指し、2014年4月本部生活安全部地域課に「自動車警ら係」が新設された。
  • 福岡県警察では、本部地域部自動車警ら隊が福岡、筑豊、筑後地区を所管して地区隊を配置しているが、北九州地区は北九州市警察部隷下機動警察隊が機動捜査隊業務も併せ担当している。
  • 鹿児島県警察では、2010年4月1日以降に、組織改編の一環として夜間警戒並びに取り締まり強化や犯罪初動捜査を迅速化する目的で、これまで各警察署毎に置かれていた自ら班に加えて本部直轄自ら隊を発足させた。
  • 一部の警察本部では自ら隊の発展型として「遊撃特別警ら隊」を組織しており、繁華街など治安が悪化している地区を中心に、違法な客引き行為、飲酒・無免許運転、覚せい剤・麻薬犯、窃盗犯、風営法違反、痴漢、ストーカー、賭博、暴走族等の街頭犯罪を取り締まり検挙している。

任務[編集]

各警察署管内において文字通りパトロールカーで警邏(パトロール)し、不審人物や不審車両に乗った人物の職務質問、通信指令室からの指令に基づき事件現場に急行して初動措置・初動捜査を担当する。隊員は職務質問の技術・経験が豊富であり、職務質問についての指導資格等をもつ者も多い。大規模警察本部においては、警察署地域課員と同様、隊員は三個中隊で編成され3交代制で勤務する。

パトカーによるパトロールという活動から、交通違反の検挙に数多く実績をあげており「パトカーのプロ集団」といわれているが、例えば交通取締りを主任務としている交通機動隊や所轄署交通課と違い、交通違反を検挙した際に徹底した車内検索や身体検索を実施することによって、薬物凶器、特殊開錠用具、違法無線装置などの発見をし、覚せい剤等の違法所持、窃盗、強盗などの凶悪事件をも摘発検挙することを任務の一つとしている。また、繁華街や比較的治安が悪い傾向にある地域では、細い路地裏とも言えるような道路にも進入し、歩行者のちょっとした不審な挙動(パトカーや警察官を見て目を背けたり逃げるような仕草など)や不審車両など(無灯火・車体の一部やナンバープレートの破損及び折り曲げ・パトカーを見て急に進路を変えたり逃げるような仕草・信号無視や一時不停止などの交通違反)を見逃さず積極的な職務質問を実施。その際に徹底的な身体検索をすることにより、やはり薬物(危険ドラッグ)や凶器、特殊開錠用具の違法所持や指名手配犯の発見、飲酒運転酒気帯び運転無免許運転の検挙、盗難届が出されている車両の発見など数多くの成果を挙げている。さらに事件・事故発生ともなれば、所轄署および交通機動隊のパトカーや機動捜査隊覆面パトカーとともに真っ先に現場へ駆けつけたり、現場付近の検索を実施して被疑者の検挙にあたる。一方で2013年、兵庫県警において、職務質問を受けたことにより世間体が悪くなることを見越した警察官がそれをネタに職務質問した女性に対して金銭を要求する恐喝事件も発生している。

装備[編集]

2015年現在、車両はトヨタ・クラウン(180系・200系)、スバル・レガシィB4(BM型)が多く導入されている。逃走した挙動不審車を迅速に確保出来るよう、相応の出力を持つ排気量2,500cc級の車両が用いられる。

さらに、近年被疑車両が逃亡を企てるためにパトカーに体当たりする事案が急増している現状から、愛知県警では日産・サファリ埼玉県警宮城県警では日産・エクストレイルといった車高が高い大型ボディのSUVを配備し、乗務員の受傷や車両損傷による走行不能を防ぐとともに、体当たりそのものを断念させる効果も狙っている。

一部の警察本部では、同様に警邏任務に従事している白バイがあり、該当車両は「MAP」の表示を付けている(Mobile Area Patrol―地域機動警戒の略)。ただし警視庁のMAP白バイは警備部機動隊の所属である。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]