「計量テンソル」の版間の差分

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{{Notice|title=注意|この記事では、添字の和に関して[[アインシュタインの縮約記法]]を用いる。|style=important}}
[[リーマン幾何学]]において'''計量テンソル'''(けいりょうテンソル、{{lang-en-short|metric tensor}})とは、空間内の[[距離]]と[[角度]]を定義する[[階数]]({{en|rank}})が2の[[テンソル]]を言う。[[多様体]]が与えられたとき、多様体の接空間で、滑らかに変化する非負の2次関数を選ぶことができる場合、その多様体を[[リーマン多様体]]と呼ぶ。そのため、計量テンソルは、'''リーマン計量'''({{en|Riemannian metric}})と呼ばれることもある。
[[リーマン幾何学]]において'''計量テンソル'''(けいりょうテンソル、{{lang-en-short|metric tensor}})とは、空間内の[[距離]]と[[角度]]を定義する[[階数]]({{en|rank}})が2の[[テンソル]]を言う。[[多様体]]が与えられたとき、多様体の接空間で、滑らかに変化する非負の2次関数を選ぶことができる場合、その多様体を[[リーマン多様体]]と呼ぶ。そのため、計量テンソルは、'''リーマン計量'''({{en|Riemannian metric}})と呼ばれることもある。


ひとたび、ある座標系 {{math|''x''<sup>''i''</sup>}} が選ばれると、計量テンソルは[[行列]]形式で定義される。通常、{{math|''G''}} として表記され、各成分は {{math| ''g''<sub>''ij''</sub>}} と表される。以下では、添え字の和に関して[[アインシュタインの縮約記法]]を用いる。
ひとたび、ある座標系 {{math|''x''<sup>''i''</sup>}} が選ばれると、計量テンソルは[[行列]]形式で定義される。通常、{{math|''G''}} として表記され、各成分は {{math| ''g''<sub>''ij''</sub>}} と表される。


== 概要 ==
点{{math|''a''}} から {{math|''b''}} までの曲線の長さは、{{math|''t''}} をパラメータとして、
リーマン多様体上の点{{math|''a''}} から {{math|''b''}} までの曲線の長さは、{{math|''t''}} をパラメータとして、積分
:<math>L = \int_a^b \sqrt{ g_{ij}{dx^i\over dt}{dx^j\over dt}}dt \ </math>
:<math>L = \int_a^b \sqrt{ g_{ij}{dx^i\over dt}{dx^j\over dt}}dt \ </math>
で計算されるように、各座標近傍内に
と定義される。2つの接ベクトル({{en|tangent vector}})<math>U=u^i{\partial\over \partial x^i} \ </math> と <math>V=v^i{\partial\over \partial x^i} \ </math> のなす角度 {{math|&theta;}} は、
:<math>g_{ij}(x) = g_{ji}(x)</math>
という関数が与えられる。この <math>g_{ij}</math> が定めるテンソルを'''基本計量テンソル'''(fundamental metric tensor)と呼ぶ{{sfn|リーマン|リッチ|レビ=チビタ|アインシュタイン|1971|pp=194-197}}。

2つの接ベクトル({{en|tangent vector}})<math>U=u^i{\partial\over \partial x^i} \ </math> と <math>V=v^i{\partial\over \partial x^i} \ </math> のなす角度 {{math|&theta;}} は、
:<math>
:<math>
\cos \theta = \frac{g_{ij}u^iv^j}
\cos \theta = \frac{g_{ij}u^iv^j}
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* {{cite book | 和書 | |last =リーマン|last2 =リッチ|last3 =レビ=チビタ|last4 =アインシュタイン | coauthors =マイヤー | title=リーマン幾何とその応用 | editor=[[矢野健太郎 (数学者)|矢野健太郎]](訳) | year=1971 | publisher=共立出版 | ref=harv }}
* {{cite book |和書| author=石原繁 | title=テンソル -科学技術のために- | publisher=裳華房 | year=1991 | ref=harv }}
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2022年3月22日 (火) 14:34時点における版

リーマン幾何学において計量テンソル(けいりょうテンソル、: metric tensor)とは、空間内の距離角度を定義する階数rank)が2のテンソルを言う。多様体が与えられたとき、多様体の接空間で、滑らかに変化する非負の2次関数を選ぶことができる場合、その多様体をリーマン多様体と呼ぶ。そのため、計量テンソルは、リーマン計量Riemannian metric)と呼ばれることもある。

ひとたび、ある座標系 xi が選ばれると、計量テンソルは行列形式で定義される。通常、G として表記され、各成分は gij と表される。

概要

リーマン多様体上の点a から b までの曲線の長さは、t をパラメータとして、積分

で計算されるように、各座標近傍内に

という関数が与えられる。この が定めるテンソルを基本計量テンソル(fundamental metric tensor)と呼ぶ[1]

2つの接ベクトル(tangent vector のなす角度 θ は、

で与えられる。

ユークリッド空間

2次元のユークリッド計量(平らな空間)では、計量テンソルはクロネッカーのデルタ、または単位行列で与えられる。すなわち

で与えられ、曲線の長さは良く知られた公式

で与えられる。逆に計量テンソルが単位行列になるのは直交直線座標系のときに限る[2]

座標系を替えたユークリッド計量の例をいくつか示す。

極座標Polar coordinates

[要説明]

円筒座標Cylindrical coordinates
球座標Spherical coordinates

時空・ローレンツ多様体

脚注

  1. ^ リーマン et al. 1971, pp. 194–197.
  2. ^ 高橋康; 柏太郎『量子場を学ぶための場の解析力学入門 増補版』(2版)講談社サイエンティフィク、2005年、10頁。ISBN 4-06-153252-9 

参考文献

  • リーマン、リッチ、レビ=チビタ、アインシュタイン、マイヤー 著、矢野健太郎(訳) 編『リーマン幾何とその応用』共立出版、1971年。 
  • 石原繁『テンソル -科学技術のために-』裳華房、1991年。