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'''ひよ子'''(ひよこ)は、[[1912年]]に[[福岡県]][[飯塚市]]の吉野堂で生まれた、見上げているような[[ひよこ]]の形をした[[菓子]]、また現在同商品を製造する'''株式会社ひよ子'''。[[大手亡]](おおてぼ。大手芋とも)という白インゲン豆から作られる[[餡|黄身餡]]を小麦粉と卵などから作られる皮でくるんでいる。
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== 形態と種類 ==
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ヒヨコの形になった理由は、二代目店主の石坂茂が「大勢の人に愛される、従来の丸い形ではない饅頭を」と考えて悩んでいた時に、自らがヒヨコで埋め立てられる[[夢]]を見たのがきっかけ、という。
ヒヨコの形になった理由は、二代目店主の石坂茂が「大勢の人に愛される、従来の丸い形ではない饅頭を」と考えて悩んでいた時に、自らがヒヨコで埋め立てられる[[夢]]を見たのがきっかけ、という。


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関連商品として、[[ゼリー]]や[[サブレー]]や[[マカダミアナッツ|マカダミア]][[チョコレート]]などがある。なお前述のとおり、福岡県内・季節限定販売商品『季ひよ子』シリーズや東京限定シリーズが売られているほか、福岡限定で型職人の技術継承のために作った特注の型で手作りされた通常の5倍の大きさのものが『大(だい)のひよ子』という商品名で販売されている(中身は「通常品」である)。大のひよ子シリーズには2倍や3倍、10倍や3分の1程の大きさのものも存在し、たまに『家族ひよ子』としてこれらが詰めあわされた物が売られている。
関連商品として、[[ゼリー]]や[[サブレー]]や[[マカダミアナッツ|マカダミア]][[チョコレート]]などがある。なお前述のとおり、福岡県内・季節限定販売商品『季ひよ子』シリーズや東京限定シリーズが売られているほか、福岡限定で型職人の技術継承のために作った特注の型で手作りされた通常の5倍の大きさのものが『大(だい)のひよ子』という商品名で販売されている(中身は「通常品」である)。大のひよ子シリーズには2倍や3倍、10倍や3分の1程の大きさのものも存在し、たまに『家族ひよ子』としてこれらが詰めあわされた物が売られている。

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Hiyoko - cut section.jpg|断面
Hiyoko - front and side.jpg|前面と側面
Normal and big Hiyoko.jpg|通常サイズ(中央)と「大のひよ子」(右)
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== 限定品 ==
== 限定品 ==

2019年2月15日 (金) 23:30時点における版

株式会社ひよ子
Hiyoko Co., Ltd.
福岡市南区のひよ子本社
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
815-0035
福岡県福岡市南区向野1丁目16番13号
設立 1959年昭和34年)8月1日
(福岡銘菓原料株式会社)
業種 食料品
法人番号 6290001002060 ウィキデータを編集
事業内容 菓子の製造販売
代表者 代表取締役会長 石坂博史
代表取締役社長 石坂淳子
資本金 9239万円
従業員数 390名
外部リンク www.hiyoko.co.jp
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ひよ子(ひよこ)は、1912年福岡県飯塚市の吉野堂で生まれた、見上げているようなひよこの形をした菓子、また現在同商品を製造する株式会社ひよ子大手亡(おおてぼ。大手芋とも)という白インゲン豆から作られる黄身餡を小麦粉と卵などから作られる皮でくるんでいる。

来歴

ひよ子饅頭
福岡県飯塚市本町のひよ子本舗吉野堂飯塚本店

元々は筑豊炭坑地帯であった飯塚のお菓子である。かつて飯塚は、長崎街道を通って本州へ運ばれる砂糖を比較的容易に手に入れられたため菓子製造が盛んだったのと、重労働である炭坑作業の後に甘い物が好まれることから「千鳥屋」「さかえ屋」などの菓子店とともに地元で定着していった。1957年に、福岡市内(天神)に進出、ここでも人気となり福岡市内一円に進出、辛子明太子などとともに博多福岡市土産の定番となった。

1964年に開催された東京五輪をきっかけに東京へ進出し、東京駅羽田空港などターミナルを中心に出店し、現在では東京土産としても有名である。東北新幹線上野駅延伸開業後は東北方面にも広まった。関東以北では「東京銘菓 ひよ子」と宣伝して知名度を獲得した経緯から、福岡発祥の菓子であることを知らない者も多く「東京から来た人が福岡の人に東京土産として『ひよ子』を持ってきた」などという実話もざらにある。このためか、福岡で製造された「ひよ子」のパッケージには「博多」の文字を前面に入れるなどの対応を施している。毎月14日、15日をひよ子饅頭PRのために「ひよこの日」に制定している。また、「ひよ子」誕生100周年を記念して、2012年から福岡県限定で季節ごとに限定販売する「季(とき)ひよ子」の生産を始めたほか、逆に東京でしか入手できない限定ひよ子もある。

現在株式会社ひよ子(ひよ子本舗吉野堂)の本社は福岡市南区(工場は飯塚市など)にあり、東京にもグループ会社がある(下記項目参照)。「吉野堂」が付く法人は過去にはあったが現在は存在しない。石坂一族による同族経営だが、大きなライバルの千鳥饅頭と異なり経営の一体性を確保するため福岡・東京の会社の長を同一人物が務めるようにしている。

形態と種類

ヒヨコの形になった理由は、二代目店主の石坂茂が「大勢の人に愛される、従来の丸い形ではない饅頭を」と考えて悩んでいた時に、自らがヒヨコで埋め立てられるを見たのがきっかけ、という。

昔は「ひよ子」の形をした木型を使い、職人によって一つ一つ手作業で作られていた(この木型は資料として保管されている)。その後、製造工程は完全に機械化され、焼きゴテで「ひよ子」の"目"を入れる作業もレーザーを使用して自動化されているが、しばしばデパートなどの実演販売において手作りを見ることができる。包装紙の「ひよ子」の筆文字は女流書道家の町春草によるものである。

関連商品として、ゼリーサブレーマカダミアチョコレートなどがある。なお前述のとおり、福岡県内・季節限定販売商品『季ひよ子』シリーズや東京限定シリーズが売られているほか、福岡限定で型職人の技術継承のために作った特注の型で手作りされた通常の5倍の大きさのものが『大(だい)のひよ子』という商品名で販売されている(中身は「通常品」である)。大のひよ子シリーズには2倍や3倍、10倍や3分の1程の大きさのものも存在し、たまに『家族ひよ子』としてこれらが詰めあわされた物が売られている。

限定品

先述の通り、誕生100周年を記念して限定品が生まれた。福岡・東京で異なる。

福岡限定品「季(とき)ひよ子」

  • 春:桜ひよ子
  • 夏:茶ひよ子 - 抹茶ひよ子。八女市の八女美緑園製茶が生産した抹茶を餡に使用。
  • 秋:栗ひよ子 - 熊本県産の和栗を餡に使用。2016年は地震の影響で生産量が少なかった。
  • 冬:苺ひよ子 - 福岡県産の「あまおう」を餡に使用。

ほかにも「ひよ子のやきもち」「ソフル」に限定品がある。これらはオンラインショップで福岡県外からでも買える。

東京限定品

  • 春から初夏:塩ひよ子
  • 秋から冬(年内):黒糖ひよ子
  • 冬から春(新年):紅茶ひよ子 - 東京スカイツリータウンの土産店では専用パッケージで年中買える。これは店舗限定で通信販売の対象外となる。

株式会社東京ひよ子

株式会社東京ひよ子
東京ひよ子 東京工場
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
110-0005
東京都台東区上野二丁目7番7号
設立 1988年昭和63年)4月18日
法人番号 6290001002060 ウィキデータを編集
事業内容 1. 菓子の製造販売・喫茶店の経営・飲食店の経営
2. 文具、玩具、日用品雑貨、家庭用雑貨、衣料品の販売
代表者 代表取締役社長 石坂淳子
資本金 6,400万円
従業員数 207名 (平成26年4月現在)
外部リンク www.tokyo-hiyoko.co.jp
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株式会社東京ひよ子の本社は東京都台東区(工場は埼玉県草加市)にある。双方は同じグループ会社ではあるが、商品のラインナップは若干異なっている。

沿革

  • 1897年明治30年)- 初代・石坂直吉が福岡県飯塚市本町に菓子舗「吉野堂」を創業。
  • 1912年大正元年)- 二代目・石坂茂が「名菓ひよ子」を創生。
  • 1949年昭和24年)- 飯塚市に「吉野堂製菓株式会社」を設立。社長に三代目・石坂博和就任。
  • 1956年(昭和31年)- 福岡市に「株式会社吉野堂」を設立。
  • 1957年(昭和32年)
    • 福岡市中央区天神に天神店(現在のFrau Atsuko Kayashina)を開店。
    • 第十四回全国菓子大博覧会で「ひよ子」が名誉総裁賞受賞。
  • 1959年(昭和34年)
    • 福岡市南区塩原に菓子販売会社「吉野堂商事株式会社」を設立。
    • 福岡市南区塩原に生餡製造会社「福岡銘菓原料株式会社」を設立。
    • 福岡市南区塩原に福岡第一工場建設。
  • 1963年(昭和38年)
    • 吉野堂製菓株式会社が株式会社ひよ子(初代)に商号変更。
    • 「ひよ子」の書体変更。
  • 1964年(昭和39年)
    • 東京進出のため、埼玉県草加市に東京工場を建設。
    • 新宿ステーションビル内に新宿店開店。
  • 1965年(昭和40年)- 福岡市南区向新町に福岡第二工場(本社工場)建設。
  • 1966年(昭和41年)
    • 吉野堂商事株式会社が株式会社博多ひよ子に商号変更。
    • 株式会社東京ひよ子(初代)を設立。
    • 東京駅八重洲口地下商店街にオープン。
    • 飯塚市立岩に飯塚工場建設。
  • 1967年(昭和42年)- 「ぴよぴよもなか」発売。
  • 1972年(昭和47年)- 福岡市南区塩原に本社工場建設。
  • 1981年(昭和56年)
    • 株式会社博多ひよ子がひよ子本舗吉野堂株式会社に商号変更。
    • 飯塚市潤野に飯塚総合工場完成。
    • 株式会社ひよ子(初代)の西日本における営業権がひよ子本舗吉野堂株式会社に移管される。
  • 1983年(昭和58年)
    • 「ひよ子サブレー」発売。
    • 株式会社吉野堂の西日本における製造部門が株式会社ひよ子(初代)に移管される。
  • 1987年(昭和62年)- 株式会社ひよ子(初代)・ひよ子本舗吉野堂株式会社・福岡銘菓原料株式会社・株式会社東京ひよ子(初代)が合併し、株式会社ひよ子(2代)となる。代表取締役社長に四代目・石坂博史、代表取締役会長に石坂博和就任。
  • 1988年(昭和63年)
    • 有限会社ストーンヒルズカンパニーを設立。
    • 天神店改装。「茶房ピオーレ」開店。
    • 福岡県嘉穂郡穂波町(現・飯塚市)に穂波工場完成。
  • 1989年平成元年)- 埼玉県草加市に新東京工場完成。
  • 1990年(平成2年)
    • 福岡市南区向野に本社社屋完成。
    • 本社内に「ひよ子ランド」オープン。
  • 1995年(平成7年)
    • 有限会社ストーンヒルズカンパニーを株式会社に改組。
    • 株式会社ストーンヒルズカンパニーを株式会社東京ひよ子(2代)に商号変更。
    • 株式会社ひよ子(2代)の東日本における製造・販売部門を株式会社東京ひよ子(2代)に移管。
  • 2002年(平成14年)- 第二十四回全国菓子大博覧会で「ひよ子ちっこいタルト」が名誉総裁賞受賞。
  • 2008年(平成20年)- 株式会社ひよ子(2代)が株式会社吉野堂・翔和株式会社を合併。
  • 2009年(平成21年)
    • 代表取締役社長に石坂淳子、代表取締役会長に石坂博史就任。
    • 季ひよ子シリーズ第1弾として「桜ひよ子」「栗ひよ子」を発売。
  • 2012年(平成24年)
    • 福岡県糸島市芥屋に「ひよ子農園」オープン。
    • 創生百年記念菓「茶ひよ子」発売。
    • 福岡市中央区天神に「Frau Atsuko Kayashina」オープン。
    • 名菓ひよ子創生100年・東京ひよ子50周年、記念事業の推進。
  • 2013年(平成25年)
    • 福岡市中央区天神に「ひよ子ギャラリー天神」オープン。
    • 「苺ひよ子」発売。「桜ひよ子」「茶ひよ子」「栗ひよ子」「苺ひよ子」が揃い、季節ひよ子シリーズが完成する。
    • 飯塚穂波工場が、食品安全衛生管理システム「AIB国際検査統合基準」認証を獲得。
  • 2017年(平成29年)- 菓子舗吉野堂創業120年。

類似品・模倣品

鳥をモチーフにした形の菓子は見た目も愛らしく、造型化しやすいことから、日本全国で古くから製造・販売されている。お饅頭としては形の微妙な違いや、餡の違いなど様々な類似品が日本全国で見受けられる。 近年インターネット上において、韓国における模倣品の存在が話題となった。詳細や画像は検索エンジンにて「ひよ子」、「韓国」などのキーワードで容易に調べることが出来る。

商標をめぐる争い

ひよ子の菓子の形状は、株式会社ひよ子(以下「ひよ子社」と記す)の立体商標として商標登録を受けていたが、同じ福岡市内に本社を持つ二鶴堂の「二鶴の親子」など、全国には類似の菓子が多数存在するため、商標登録の有効性(自他商品識別力を持つか)をめぐり、争いになった。

二鶴堂は、ひよ子社から類似菓子の販売差止請求訴訟を受けたことをきっかけとして、ひよ子社の商標登録の無効審判を請求したが、特許庁は請求不成立(登録維持)の審決を出した。それを不服とした二鶴堂は知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起し、2006年11月29日、知財高裁は特許庁の審決を取り消す判決を下した[1]。その結果を受け、今度はひよ子社側が判決を不服として最高裁判所に上告したが、2007年4月12日、最高裁は上告を棄却する判決を下し、特許庁の審決取消が確定した[2]

この判決を踏まえて特許庁が再度審判を行った結果、2007年11月26日、該当の商標の登録は無効とされた[3]

その後、2015年8月5日に再度、立体商標を出願したが拒絶され、現在(2018年5月)拒絶査定不服審判中である[4]

近況

最近では、製造年月日の定義が業界全体で問題となった洋生菓子の製造・販売から撤退、本業の焼き菓子に特化し好評(和生菓子や季節商品は継続)。福岡県においては、福岡都市圏以外では直営店舗を削減、百貨店などのテナント形式に移行させている。

脚注

  1. ^ ひよこ立体商標事件”. ユアサハラ法律特許事務所 (2007年6月1日). 2015年10月28日閲覧。
  2. ^ “鳥形まんじゅう訴訟、「ひよ子」側の敗訴が確定”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2007年4月12日). オリジナルの2007年4月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20070415124429/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070412ic21.htm 
    “立体商標登録:「ひよ子」の無効確定 最高裁が上告棄却”. MSN毎日インタラクティブ (毎日新聞社). (2007年4月12日). オリジナルの2007年5月9日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20070509083742/http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070413k0000m040046000c.html 
  3. ^ 特許情報プラットフォーム|J-PlatPat 審判照会 無効2004-089076”. 独立行政法人工業所有権情報・研修館 (2008年1月25日). 2018年5月10日閲覧。
  4. ^ 特許情報プラットフォーム|J-PlatPat 商標照会 商標出願2015-074723”. 独立行政法人工業所有権情報・研修館 (2018年5月10日). 2018年5月30日閲覧。

関連項目

外部リンク