梅肉エキス

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梅肉エキス(ばいにくエキス)とは、バラ科サクラ属ウメの実の絞り汁を長時間加熱して水分を蒸発させ、ペースト状にした食品江戸時代より民間薬として利用されている日本の伝統的健康食品である[1]

概要[編集]

ウメ中国原産のバラ科サクラ属落葉高木で、中国から薬用の烏梅(うばい)という形で伝来したという説が有力である。烏梅は未熟な青梅を煙でいぶし焼きにして天日に干し乾燥させたもので、鎮痛、解毒の作用があり、熱冷まし、下痢吐き気止め、せき止め、回虫駆除などに有効とされる[2]中国最古の薬物書『神農本草経』にはウメの薬効が説かれている。梅肉エキスは、日本で考案されたもので、江戸時代末の医師・衣関順庵(きぬどめじゅんあん)が著わした医学書『諸国古伝秘方』(1817年)には梅肉エキスの作り方が記され、赤痢チフス食中毒、吐き下し、下痢、便秘、消化不良などに対する効用が記されている。現在では、血流改善[3]、降圧作用[4]免疫細胞の活性化[5]、抗インフルエンザウイルス活性[6]、疲労回復[7]肝臓強化[8]静菌作用[9]などの効用が知られている。非常に酸味が強い。この酸味は、主成分のクエン酸によるものである。梅肉エキスを製造する過程で生まれるムメフラールは梅肉エキスだけに含まれる成分である。

成分[編集]

主成分はクエン酸で、それ以外にも、リンゴ酸コハク酸、カテキン酸、ピクリン酸などの有機酸が豊富である。有機酸の含有率は50%を上回る。リンカルシウムマグネシウムなどのミネラルも含んでいる。梅肉エキス特有の成分・ムメフラールは農林水産省食品総合研究所の菊池佑二上席研究官らが1999年(平成11年)に発見した成分で、生梅に含まれる糖質の一種の5-ヒドロキシメチルフルフラールとクエン酸が結合して生成される物質。青梅の果汁を煮詰める梅肉エキスの製造過程で生成し、生梅や梅干には含まれていない成分である。ムメフラールの名は、の学名「Prunus mume Sieb.et.Zucc」と糖質・5-ヒドロキシメチルフルフラールから命名された[8][10]

脚注[編集]

  1. ^ 近世歴史資料集成 第III期 第XI巻 民間治療(4)』「懐中備急諸国古伝秘方 十五ウ」p229
  2. ^ 『近世歴史資料集成 第III期 第XI巻 民間治療(4)』「懐中備急諸国古伝秘方 十五ウ」p229
  3. ^ ヘモレオロジー研究会誌」1,65-68,1998、降圧作用
  4. ^ 「医学と生物学」139巻1999年、日本薬学会・第127年会
  5. ^ 「医学と生物学」第142巻2001年
  6. ^ "Biological&Pharmaceutical Bulletin"31巻 2008年
  7. ^ 『健康食品のQ&A集』財団法人日本健康・栄養食品協会 丸善プラネット
  8. ^ a b サプリメント健康バイブル』日本サプリメント協会 小学館
  9. ^ 『天然食品・薬品、香粧品の事典』朝倉書店
  10. ^ 独立行政法人国立健康・栄養研究所ホームページ「健康食品」の安全性・有効性情報

関連項目[編集]