丸剤

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丸剤の画像(正露丸)

丸剤(がんざい、: pills)とは、医薬品を球状に製したものであり、医薬品の剤形の名称の一つである。この項目は、特に明記がない場合、原則として医薬品としての丸剤に関連した内容を記載する。

概要[編集]

経口する医薬品製剤の剤形の一つであり、一般に「丸薬」と呼ばれることもある。

日本薬局方第15改正の製剤総則では、以下のように定義している。

  1. 丸剤とは、医薬品を球状に製したものである。
  2. 本剤を製するには、通例、有効成分に賦形剤結合剤崩壊剤又はそのほかの適切な添加剤を加えて混和して均質とした後、適切な方法で球状に成型する。

蜂蜜コメデンプンなどを結合剤として容易に成型でき、また、持ち運び可能な剤形であることから、漢方薬の古典である傷寒論金匱要略でも丸剤の存在がみられるなど、伝統的医薬品の剤形としても古くから用いられてきた[1]

数え方[編集]

一般に1粒(つぶ)、2粒(つぶ)と数えるが、径が大きなものは1丸(がん)、2丸(がん)と数える場合もある。

丸剤の名称[編集]

一般に以下のような名称の付け方がされている。

  1. 主要な成分(生薬など)の名称あるいはその組み合わせを冠し「(生薬名)+」とした例(麻子仁丸[2]桂枝茯苓丸[3]など)
  2. 成分の数(薬味の数)を冠し、「(成分数の漢数字)+味+丸」とした例(六味丸[4]八味丸
  3. 1及び2 の付け方を組み合わせた例(八味地黄丸[5]
  4. その薬剤の効能やイメージなどを冠し「(効能あるいはイメージ)+丸」とした例(救命丸[6]、旧称:征露丸⇒正露丸[7]
  5. 1及び4 の付け方を組み合わせた例(牛車腎気丸:牛(牛膝(ゴシツ))+車(車前子(シャゼンシ)+腎気(泌尿生殖器の働きを高める)+丸[8]

なお、剤形としては丸剤であるが、その名称の最後が「」となっているものも見受けられる(仁丹[9]医薬部外品)、万金丹[10]食品)など)。また、『和剤局方』など南宋の医書では「丸」を「円(圓)」と呼称したが、これは欽宗帝の諱である「桓」の発音と「丸」の発音が近いため改称したものである[11][12]

丸剤と同じ処方内容のものを煎じ薬とした場合は、最後に「料」の文字を付し「●●丸料」とする[13]

丸剤の例[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 清水、1949、pp150-151。
  2. ^ 真柳誠「漢方一話:処方名のいわれ120:麻子仁丸」、『漢方医学』第27巻第5号、2003年、 p234、 ISSN 0288-24852010年1月11日閲覧。
  3. ^ 小曽戸洋「漢方一話:処方名のいわれ23:桂枝茯苓丸」、『漢方診療』第14巻、1995年、 p47、 ISSN 0288-3643
  4. ^ 小曽戸洋『漢方医学』第24巻、2000年、 p86、 ISSN 0288-2485
  5. ^ 小曽戸洋「漢方一話:処方名のいわれ6:八味地黄丸(八味腎気丸)」、『漢方診療』第13巻第5号、1994年、 p37、 ISSN 0288-3643
  6. ^ 吉田香織『都薬雑誌』第25巻、2003年、 p38、 ISSN 0285-1733
  7. ^ 正露丸の歴史の項を参照
  8. ^ 小曽戸洋「漢方一話:処方名のいわれ101:牛車腎気丸」、『漢方医学』第25巻、2002年、 p292、 ISSN 0288-2485
  9. ^ 森下仁丹歴史博物館「仁丹」誕生”. 森下仁丹. 2010年1月12日閲覧。
  10. ^ 鈴木昶「日本の伝承薬15:万金丹:伊勢参りの薬が童歌に」、『月刊漢方療法』第2巻第4号、1998年、 p82。
  11. ^ 清水、1949、pp152。
  12. ^ 大塚敬節他編『近世漢方医学書集成』53、1981年、名著出版、p403。
  13. ^ 後山尚久『性差と医療』第2巻、2005年、 p99、 ISSN 1349-4589

参考文献[編集]

  • 清水藤太郎 『日本薬学史』 南山堂、1971年(原著1949年)、1971年復刻。
  • 「製剤総則」『日本薬局方第15改正』(PDF) 厚生労働省、2006年3月31日、第15改正、p.p.10。2010年1月11日閲覧。