ヤギ乳
ヤギ乳(やぎにゅう)は山羊乳とも書き、家畜化されたヤギの乳である。ヤギ乳としてだけでなく、チーズ作りなどにも利用されている。
概要
[編集]ヤギは世界の年間乳総供給量の約2パーセントを生産する[1]。一部のヤギは、搾乳用に飼育されている。ヤギ乳には、自然に小さくてよく乳化した脂肪球が含まれている。したがって、均質化する必要はない。最終的に、クリームは数日かけて上に上がる。乳をチーズの製造に使用する場合、均質化は推奨されない。これは、乳の構造を変化させ、培養物の牛乳を凝固させる能力と、チーズの最終的な品質と収量に影響を与えるためである。[2][3]
家畜化されたヤギは、全盛期 (通常、3回目または4回目の泌乳周期前後) には、10か月の授乳期間で、平均2.7から3.6 kgの乳を生産し、出産直後はより多くの量を生産し、授乳期の終わりに向かって生産量が徐々に低下する。ヤギ乳は一般的に平均して3.5%の乳脂肪を含んでいる[4]。
殺菌されていない乳は、多くの病気を起こすリスクがあるため推奨されない[5]。
成分と味
[編集]タンパク質、カルシウム、カリウム、リン、マグネシウム、ビタミンAが豊富で、カロリーと脂質も牛乳より多い。乳糖は牛乳より少ない。そのため、牛乳より濃厚な味があり、低温殺菌などに由来する風味の癖がある[6][7]。
ヤギ乳中のミルクアレルギーに関与するα-s1カゼインが牛乳より少なく[6]、アレルギーのリスクが小さい[7]。また、脂肪球が牛乳より小さく消化などに優れている[6]。
利用
[編集]ヤギ乳はそのままも飲まれるが、バター、チーズ(ロカマドゥールなどのシェーブルチーズ)、ヨーグルト、粉ミルクなどの乳加工品が作られる。
低アレルゲン、消化や栄養に優れるため、乳児用[8]、ペットを含む多くの動物に与えるミルクとして利用される[9]。
脚注
[編集]- ^ FAO. 1997. 1996 Production Yearbook. Food Agr. Organ., UN. Rome, Italy.
- ^ Amrein-Boyes, D. (2009). 200 Easy Homemade Cheese Recipes. Robert Rose Inc.: Toronto
- ^ 山羊乳(読み)やぎにゅう(コトバンク、食の医学館「山羊乳」の解説)
- ^ American Dairy Goat Association
- ^ Basnet, Sangita; Schneider, Michael; Gazit, Avihu; Mander, Gurpreet; Doctor, Allan (2010-04-01). “Fresh Goat's Milk for Infants: Myths and Realities—A Review” (英語). Pediatrics 125 (4): e973–e977. doi:10.1542/peds.2009-1906. ISSN 0031-4005 .
- ^ a b c “Goat milk versus cow milk: A comparison” (英語). ミシガン州立大学. 2023年2月11日閲覧。
- ^ a b Turkmen, Nazli (2017) (英語). The Nutritional Value and Health Benefits of Goat Milk Components. Elsevier. pp. 441–449. doi:10.1016/b978-0-12-809762-5.00035-8. ISBN 978-0-12-809762-5 .
- ^ “Scientific Opinion on the suitability of goat milk protein as a source of protein in infant formulae and in follow-on formulae” (ドイツ語). www.efsa.europa.eu. 2023年2月11日閲覧。
- ^ “ペット用ヤギ乳「アレルギー出にくい」と評判に 愛知・新城市 / 日本農業新聞公式ウェブサイト”. 日本農業新聞公式ウェブサイト. 2023年2月11日閲覧。