宇治茶 (映画監督)

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宇治茶うじちゃ
宇治茶(うじちゃ)
本名 奥田 哲史(おくだ・さとし)
別名義 ドロソフィルム(屋号)
生年月日 (1986-09-02) 1986年9月2日(37歳)
出生地 日本の旗 日本京都府京都市
国籍 日本の旗 日本
職業 映画監督イラストレーター
ジャンル 映画テレビアニメ
活動期間 2008年平成20年) -
配偶者 あり
事務所 吉本興業
公式サイト 宇治茶
主な作品

映画


テレビ

 
受賞
文化庁メディア芸術祭
エンタテインメント部門
優秀賞
2013年燃える仏像人間
ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭
審査員特別賞
2018年バイオレンス・ボイジャー
ファンタジア国際映画祭
銅賞・観客賞
2018年バイオレンス・ボイジャー
バリードアライブ映画祭
WTF⁈⁈ アワード
2018年バイオレンス・ボイジャー
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宇治茶
YouTube
チャンネル
活動期間 2011年7月25日 -
登録者数 207人
総再生回数 17,568回
チャンネル登録者数・総再生回数は
2023年11月4日時点。
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宇治茶(うじちゃ、1986年昭和61年〉9月2日 - )は、日本映画監督イラストレーター吉本興業所属(文化人枠)。元・嵯峨美術大学芸術学部非常勤講師。

来歴[編集]

京都府宇治市出身。京都嵯峨芸術大学芸術学部観光デザイン科卒業。[注 1] 大学4年の卒業制作時に映画作品を渉猟する中で『妖怪伝 猫目小僧』(1976年テレビ東京放映)に出会い、「ゲキメーション」という映像表現に衝撃を受け卒業制作の題材に決定した。[注 2] その後、2009年平成21年)3月の卒業制作展にて初のゲキメーション作品となる『RETNEPRAC2』を発表。続いて2010年平成22年)8月には、「妖怪藝術団体 百妖箱」[注 3]が主催した第4回作品展「妖怪藝術展 ~ばけてん~」でショートムービー『宇宙妖怪戦争』を発表した。この2作品がきっかけとなり、2011年平成23年)から『燃える仏像人間』の制作に着手した。『燃える仏像人間』はその才能を高く評価していた京都嵯峨芸術大学芸術学部客員教授の安斎レオが原作・プロデューサーを務め、制作期間1年半を経た2013年平成25年)に全国公開された。この年に開催された文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門で優秀賞を受賞し頭角を現すと、2014年平成26年)には吉本興業(文化人枠)の所属となり、更に2016年平成28年)には母校・京都嵯峨芸術大学芸術学部の非常勤講師に就任。極めて数少ないゲキメーション作家として後進の指導に当たった。2019年令和元年)、世界初の全編ゲキメーション長編映画となる『バイオレンス・ボイジャー』が全国公開され、世界各国の映画祭に正式出品されると数多くの賞を受賞した。[注 4] 自身も映画監督でありこの作品にナレーションとして特別出演した松本人志は、宇治茶について“「特別な能力が備わった少年」のような感じがする人”と評している。[3] このような一連の活躍により作品の認知度が高まる中、独自の作風に着目した映画監督・豊島圭介からのアプローチを承ける形で、2020年令和2年)にテレビ朝日で放映された『妖怪シェアハウス』の昔話パートを担当した。[4] また同年中にはオープニングとエンディングの映像を担当したNHK Eテレのアニメ『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』が放映されるなど、その作品がテレビを通じて認知されるようになった。更に2022年令和4年)には『妖怪シェアハウス』の第2シリーズである『妖怪シェアハウス -帰ってきたん怪-』が放映され、同年6月には映画『妖怪シェアハウス -白馬の王子様じゃないん怪-』が全国公開されるなど、ゲキメーション作家の第一人者として活躍している。なお宇治茶は、ゲキメーションの魅力について次のように述べている。

ゲキメーションをストップモーション・アニメやコマ撮りアニメのように1コマずつ撮影することも不可能ではないが、時間がかかりすぎることと、人間が手で操作することで生まれる動きの大胆さが失われてしまうため、ゲキメーション作品で用いるメリットはあまりないだろう。というのも、ゲキメーションは、ストップモーション・アニメや切り絵アニメのような表情の変化や動きの繊細さを楽しむよりも、動作のぎこちなさや表情の少なさを想像力で補うことにこそ楽しみがあると思われるからである。さらに、撮影した映像に炎や煙などの実写映像を挟み込んだり、効果音を使って映像に奥行きをもたせたりすることにより、不自由とリアルが融合し、奇妙な快感が生まれるのではないかと筆者は考えている。 — 宇治茶、[5]

略歴[編集]

作品[編集]

映画[編集]

※監督作のみ太字

公開年月日 作品名 制作(配給) 担当
2009年 3月 RETNEPRAC2 自主制作
京都嵯峨芸術大学 卒業制作)
監督・脚本・キャラクターデザイン・作画・撮影・編集
2010年 8月 宇宙妖怪戦争 自主制作
京都嵯峨芸術大学 妖怪藝術団体 百妖箱
監督・脚本・キャラクターデザイン・作画・撮影・編集
2013年 5月18日 燃える仏像人間 ムービーファクトリー
インターフィルム
監督・脚本・キャラクターデザイン・作画・撮影・編集
2014年 3月1日 オムニバス作品「フールジャパン ABC・オブ・鉄ドン」
TEMPURA
自主制作
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭
監督・脚本・キャラクターデザイン・作画・撮影・編集
2019年 5月24日 バイオレンス・ボイジャー 吉本興業
KATSU-do
監督・脚本・キャラクターデザイン・作画・撮影・編集
2022年 6月17日 妖怪シェアハウス -白馬の王子様じゃないん怪- 角川大映スタジオ
東映
作画・撮影・編集(昔話パート)
2022年 8月26日 激怒 インターフィルム
インターフィルム
作画・撮影・編集(特別映像)
2023年 11月24日 Pasiri イクチオステガ
神戸インディペンデント映画祭
撮影・編集

テレビ[編集]

期間 番組名 制作(放送局) 担当
2020年8月1日 2020年9月19日 妖怪シェアハウス 角川大映スタジオ
テレビ朝日
作画・撮影・編集(昔話パート)
2020年9月8日 ふしぎ駄菓子屋 銭天堂 東映アニメーションカナバングラフィックスぎゃろっぷ
NHK Eテレ
作画・撮影・編集(オープニング&エンディング映像)
2022年4月9日 2022年6月4日 妖怪シェアハウス -帰ってきたん怪- 角川大映スタジオ
テレビ朝日
作画・撮影・編集(昔話パート)

イラスト[編集]

デザインワーク[編集]

著作[編集]

  • 宇治茶「Chapter15:ゲキメーションで表現する『燃える仏像人間』『バイオレンス・ボイジャー』を例に」『メディア・コンテンツ・スタディーズ』、ナカニシヤ出版、2020年7月、ISBN 9784779512841 [注 5]

出品歴[編集]

作品 映画祭 受賞
2013年 燃える仏像人間 日本の旗 文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門 優秀賞
日本の旗 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭
大韓民国の旗 チョンジュ国際映画祭
ドイツの旗 ニッポン・コネクション
ハンガリーの旗 アニローグ国際アニメーション映画祭
2014年 日本の旗 大阪アジアン映画祭 インディ・フォーラム部門
日本の旗 沖縄国際映画祭
『TEMPURA』 日本の旗 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭
2018年 バイオレンス・ボイジャー ドイツの旗 ニッポン・コネクション
ペルーの旗 リマ国際インディペンデント映画祭
カナダの旗 ファンタジア映画祭 アニメ部門 銅賞・観客賞
アメリカ合衆国の旗 ジャパン・カッツ
ポルトガルの旗 リスボン国際ホラー映画祭
フランスの旗 エトランジェ映画祭
アメリカ合衆国の旗 オースティンファンタスティック映画祭
日本の旗 京都国際映画祭
アメリカ合衆国の旗 イサカ国際ファンタスティック映画祭
フランスの旗 ウトピアル 宇治茶監督特集上映
メキシコの旗 モルビド映画祭
アメリカ合衆国の旗 デンバー映画祭
ギリシャの旗 テッサロニキ国際映画祭
イギリスの旗 リーズ国際映画祭
アメリカ合衆国の旗 バリードアライブ映画祭 WTF⁈⁈ アワード
ポーランドの旗 ファイブフレーバーズアジアン映画祭
スペインの旗 マラガファンタスティック映画祭
デンマークの旗 ヴォイド国際アニメーション映画祭
アルゼンチンの旗 ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭 審査員特別賞
2019年 日本の旗 京まちなか映画祭

上映会・作品展[編集]

開催年月日 開催名 会場
2010年 8月 第4回作品展「妖怪藝術展 ~ばけてん~」(『宇宙妖怪戦争』) 大将軍商店街「一条妖怪ストリート」
2013年 5月23日 『燃える仏像人間』試写会 京都嵯峨芸術大学AVホール[8]
2014年 9月13日-21日 「宇治茶監督作品映画『燃える仏像人間』展」 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
2016年 2月27日 「夜の昆虫映画ひみつ上映会」(『TEMPURA』) 京都みなみ会館
2019年 4月26日-5月19日 「バイオレンス・ボイジャー 宇治茶監督展」 大阪 LAUGH & PEACE ART GALLERY OSAKA
2021年 11月11日-23日 宇治茶監督ドローイング展「スナック破獄」 大阪 LAUGH & PEACE ART GALLERY OSAKA
2022年 4月9日-17日 「宇治茶の部屋」 大阪 LAUGH & PEACE ART GALLERY OSAKA
2023年 7月7日-10日 個展「けだらけ。」 名古屋 Theater Cafe

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 現在の嵯峨美術大学芸術学部デザイン学科観光デザイン領域。
  2. ^ 原作は楳図かずおの漫画『猫目小僧』。ワコープロ創業者で現・代表取締役社長の高橋澄夫によって企画立案された作品(全24話)で、「ゲキメーション」による初の番組である。ゲキメーションとは「劇画+アニメーション」からなる造語で一般的には「劇メーション」と表記されるが、宇治茶本人はワコープロのオリジナルに敬意を払い「ゲキメーション」と表記している。なお、ゲキメーション以前にも紙に描いた静止画をカメラワークで表現する「紙芝居+アニメーション」のような表現は存在した。例えば、実相寺昭雄監督作品のドラマ版『子連れ狼』1973年-1976年)に於けるタイトルバックや、大島渚監督作品の『忍者武芸帳』(1967年)等が挙げられる。特に『忍者武芸帳』は白土三平の原作漫画の原画を撮影しモンタージュで構成した為「劇画シネマ」と呼ばれている。[1]
  3. ^ 嵯峨美術大学芸術学部講師の河野隼也が、同大学大学院生時代に設立した妖怪ファンの学生有志団体。2005年平成17年)に大将軍商店街(京都市上京区)が商店街の活性化の為に、その所在地の一条通りに伝わる百鬼夜行伝説(『宇治拾遺物語』に「一条桟布屋鬼の事」として収録されている)に因んで「一条妖怪ストリート」を創設。ちょうどその頃に「妖怪をテーマにした地域振興」について河野が研究取材をしたところ、そのまま妖怪イベントのスタッフとして妖怪仮装行列「第1回 一条百鬼夜行」を手掛ける事となった。これに端を発して2008年平成20年)に「妖怪藝術団体 百妖箱」が発足し、以後、妖怪イベントの企画運営やプロデュースを手掛ける団体として活動している。因みに、宇治茶は当団体の初代学生部長である。[2]
  4. ^ ファンタジア映画祭のアニメ部門で「銅賞」及び「観客賞」を、バリードアライブ映画祭で「WTF⁈⁈ アワード」を、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭で「審査員特別賞」を、それぞれ受賞した。
  5. ^ 近畿大学総合社会学部准教授の岡本健博士との共編著。宇治茶と岡本博士は学生時代から交流があり、岡本博士の著書『ゾンビ学』では宇治茶が取り上げられている。

出典[編集]

  1. ^ 宇治茶 2020, pp. 171–174.
  2. ^ ばけてん~妖怪藝術展”. SAWSIN'S DARKNESS. 2023年7月1日閲覧。
  3. ^ 監督:宇治茶・プロデューサー:安斎レオ/上野公嗣 (4 November 2020). 『バイオレンス・ボイジャー』 (DVD). 大阪市中央区難波千日前11番6号: A-toys/吉本興業. YRBN-91346. 特典映像「松本人志インタビュー」
  4. ^ 『妖怪シェアハウス』豊島圭介監督×宇治茶生配信(1h9m14s〜) - YouTube
  5. ^ 宇治茶 2020, p. 176.
  6. ^ 嵯峨野戦隊アラシヤマン!”. mixiコミュニティ. 2023年7月1日閲覧。
  7. ^ ひとの繋がりが創った喫煙所 ある公園の新たなストーリー”. JTウェブサイト. 2023年7月1日閲覧。
  8. ^ 「燃える仏像人間」試写会のお知らせ”. 嵯峨美術大学. 2023年7月1日閲覧。

参考資料[編集]

  • 宇治茶「Chapter15:ゲキメーションで表現する『燃える仏像人間』『バイオレンス・ボイジャー』を例に」『メディア・コンテンツ・スタディーズ』、ナカニシヤ出版、2020年7月、ISBN 9784779512841 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]