妖獣都市

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妖獣都市』(ようじゅうとし)は、菊地秀行小説徳間書店刊)、及びそれを原作としたアニメ映画もしくは実写映画。なお、アニメ映画版は原作者が唯一“原作イメージのとおりである”とする作品である。

概要[編集]

妖獣都市は「闇ガード」シリーズの第1作である。

シリーズ[編集]

()内は文庫版。

  • 『妖獣都市(トクマ・ノベルズ)』徳間書店、1985年7月。ISBN 978-4191531086
    『妖獣都市(徳間文庫)』徳間書店、1988年7月。ISBN 978-4195885628
    『妖獣都市(双葉文庫)』双葉社、1999年8月。ISBN 978-4195885628
  • 『妖獣都市 〈2〉(トクマ・ノベルズ)』徳間書店、1986年2月。ISBN 978-4191532106
    『妖獣都市 〈2〉(徳間文庫)』徳間書店、1985年7月。ISBN 978-4195888186
    『妖獣都市 〈2〉(双葉文庫)』双葉社、1985年7月。ISBN 978-4575506969
  • 『妖獣都市 〈3〉(トクマ・ノベルズ)』徳間書店、1986年9月。ISBN 978-4191533004
    『妖獣都市 〈3〉(徳間文庫)』徳間書店、1985年7月。ISBN 978-4195889961
    『妖獣都市 〈3〉(双葉文庫)』双葉社、1985年7月。ISBN 978-4575507096
  • 『凶戦鬼 妖獣都市異伝(トクマ・ノベルズ)』徳間書店、1987年12月。ISBN 978-4191535664
    『凶戦鬼 妖獣都市異伝(徳間文庫)』徳間書店、1992年11月。ISBN 978-4195773574


  • 『ニューヨーク魔界戦(トクマ・ノベルズ)』1、徳間書店、1990年6月。ISBN 978-4191542280
    『ニューヨーク魔界戦(徳間文庫)』上、徳間書店、1994年10月。ISBN 978-4195773574
  • 『ニューヨーク魔界戦(トクマ・ノベルズ)』2、徳間書店、1991年6月。ISBN 978-4198901998
    『ニューヨーク魔界戦(徳間文庫)』下、徳間書店、1994年10月。ISBN 978-4198902001
  • 『妖獣都市 魔獣児(トクマ・ノベルズ)』徳間書店、2000年6月。ISBN 978-4198504984
    『魔獣児(徳間文庫)』徳間書店、2003年9月。ISBN 978-4198919375
  • 『妖獣都市 雪洞鬼(トクマ・ノベルズ)』2、徳間書店、2002年1月。ISBN 978-4198505493
    『雪洞鬼(徳間文庫)』徳間書店、2006年9月。ISBN 978-4198921163
  • 『妖獣都市 魔王眼(トクマ・ノベルズ)』徳間書店、2003年1月。ISBN 978-4198505851
  • 『妖獣都市 海死記(トクマ・ノベルズ)』徳間書店、2003年12月。ISBN 978-4198506193
  • 『妖獣都市 黒天使(トクマ・ノベルズ)』徳間書店、2008年6月。ISBN 978-4198507893
  • 『妖獣都市 邪体曼荼羅(ミューノベル)』毎日新聞出版、2016年10月。ISBN 978-4620210162

あらすじ[編集]

人間界と魔界の共存を妨げる者と人知れず戦う闇ガード。人間界の闇ガード 滝蓮三郎と魔界側の闇ガード 麻紀絵は、両界の平和条約調印の為に来日するジュゼッペ・マイヤートの護衛を命じられ、調印阻止のために暗躍する魔界の過激派たちに対し、激しい戦いを挑む。

アニメ映画[編集]

妖獣都市
Wicked City
監督 川尻善昭
脚本 長希星
原作 菊地秀行
製作 升水惟雄
久里耕介
出演者 屋良有作
藤田淑子
永井一郎
青野武
横尾まり
音楽 東海林修
主題歌 当山ひとみ
『IT'S NOT EASY』
『HOLD ME IN THE SHADOW』
撮影 山口仁
藤田実
編集 尾形治敏
制作会社 マッドハウス
製作会社 ジャパンホームビデオ
配給 日本の旗 ジョイパックフィルム[1]
香港の旗 洲立影片發行[1]
アメリカ合衆国の旗 ストリームライン[1]
スペインの旗 Manga / Oro Films[1]
公開 日本の旗 1987年4月19日[2]
香港の旗 1988年9月15日(広東語吹替)[2]
アメリカ合衆国の旗 1993年8月20日[2]
スペインの旗Flag of Barcelona.svg 12月7日(Barcelona)[2]
オーストラリアの旗 1994年3月25日[2]
スウェーデンの旗 1995年9月(LIFFF)[2]
上映時間 82分[3]
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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1987年昭和62年)4月25日ジョイパックフィルム配給で劇場公開された。英語タイトルは"Wicked City"。

マンガ・エンターテイメント UK英語版と米ストリームライン・ピクチャーズ英語版の2つの英語吹替版が存在し、キャストは異なる。

サウンドトラックのCD盤は、本作の音楽を担当した東海林修のオフィシャルファンサイトで販売されていたが、2020年10月現在では販売休止中。 また、2015年に北米とヨーロッパでアナログレコード盤として発売された(Tiger Lab Vinyl 社)。東海林修#略歴と作品

2018年1月9日には、Blu-ray版が発売された[4]

受賞歴[編集]

  • 第1回ビデオでーたビデオソフト大賞 オリジナルビデオ賞

登場人物[編集]

滝 蓮三郎
屋良有作
人間界側の腕利き闇ガード。25歳。身長180cm、体重65kg。血液型はAB型。普段は中堅電機メーカーのサラリーマンで、月給は税込で23万円。独身。
社内ではプレイボーイとして知られ、初対面の女性にはスリーサイズを訊ねる一方、本人は「魔界の女の怖ろしさはイヤというほど知っている」としている。
強靭な肉体で体術を繰り出し、小型大砲に匹敵する特製リボルバーを使いこなす。
麻紀絵
声:藤田淑子
魔界側の闇ガード。人間界ではモデルを職業としているが、完璧すぎる美貌で「他のモデルが嫌がる」との理由からスポンサーが付かず、モデルとしてはまったくの無名である。
左手の爪を伸ばし剣のように使い、サイキックパワーの使用にも長けている。
両世界の共存と平和のために闇ガードとなり、任務には命を懸けている。一方、セクハラやおさわりは絶対に許さず、会うなりセクハラをしてきたマイヤートを引っ叩いた。
ジュゼッペ・マイヤート
声:永井一郎
イタリアの伝道士で、滝からは「伝説の魔導師、偉大なる霊能者」と呼ばれている。人間界と魔界の休戦条約締結に欠かせない人物。かなり色を好む好々爺で、東京滞在時には風俗店へ抜け出す。一方、魔界側の闇ガードである麻紀絵には辛辣な口調で接する。
Mr.影
声:青野武
魔界側の過激派のボス。金属の棘や、蛇にもなる触手を繰り出し、伸縮自在の影は上に立った相手を底なし沼の様に引きずり込む。僅かに肉片が残っていれば再生するほどの生命力を持つ。
蜘蛛女
声:横尾まり
Mr.影の部下。滝を執拗に狙い、彼目当ての女性に成りすまして暗殺をもくろむが失敗する。局部から吐き出す糸は車を横転させるほどの粘度と太さを持つ。
ホテルの主人
声:大木民夫
都内有数の霊障壁を持つ帝都ホテルの支配人。滝に闇ガードの使命を諭す。鎖でつないだナイフを仕込んだ右手は義手になっている。
ジン
声:戸谷公次
魔界の過激派。帝都ホテルを襲い、元恋人である麻紀絵を自分の側へ誘う。
社長
声:村松康雄
滝が勤める会社の社長。闇ガードの幹部で、滝にマイヤート護衛の指示を出す。
病院長
声:岸野一彦
霊法病院の院長。マイヤートの治療を行う。その病院は五千年もの間魔界側の過激派との戦いを潜り抜けてきた。
ソープ嬢
声:安藤ありさ
マイヤートを襲った魔界側過激派。マイヤートが入ったソープランドに先回りしていた。肉体を粘土の様に軟化させて触った相手を取り込み生命力を吸収する。しかも乳を吸った相手に分身の魔物を飲み込ませる。
魔界の女
声:向殿あさみ
Mr.影の部下。滝を取り込もうと目論む。催眠術を使い、胸から下腹部までを巨大な局部そのものに変え、入り込んだ相手を快楽の虜にしながら精気を搾り取る。
バーテン
声:沢木郁也
医師
声:平野正人
空港の魔界
声:松尾銀三島田敏[5]
滝の同僚
声:中野聖子緒方賢一[6]
秘書
声:渡辺菜生子[6]
Mr.影の部下
声:島田敏[7]

(協力:青二プロ

制作(アニメ映画)[編集]

『妖獣都市』アニメ化企画は、マッドハウスによるオムニバス映画『迷宮物語』の一編である「走る男」を観たプロデューサーによって持ち込まれた[8]

監督を務めた川尻善昭は36歳であり、当時は大人向けの作品がほとんどなかったため、大人が楽しめるアニメを作るという目標を立てていたと、氷川竜介との対談の中で振り返っている[8]。 川尻は『北国の帝王』(1973年)のような「骨太な男の映画」を好んでいたものの、商品として成立させるべくロマンスや叙事性といった要素を取り入れていた[8]。 また、川尻はあらゆる国のあらゆる人が見ても理解できるストーリー構成を目指しており、特に本作については原作の良さを伝える気持ちが大きかったため、客観的な目線がすごく養われたと氷川との対談の中で振り返っている[8]

当初、マッドハウス側は35分のOVAという説明を受けていたが、絵コンテができた段階でマッドハウス側のプロデューサーである丸山正雄を通じて80分のOVAだったことが判明する[8]

作品の完成を優先させたい川尻は、増量用のプロットを急遽作成し、既にできていた35分の絵コンテはそのままに、前後や途中の部分を書き足す形でシーンを伸ばした[8]。 たとえば、当初の構想では、空港の場面から始まり、教会の場面で物語を締めくくる予定だったが、追加分では冒頭で蜘蛛女が登場する場面が書き加えられた[8]

本作の冷たい空気感を表現したいと思っていた川尻は、青系のセル絵の具を適切に配置することで、撮影後に多彩な色彩を表現できるという考えから、青を基調とした色遣いにした[8]。その一方で、本作は現実の東京を舞台としていたため、日常的な風景を「妖美の世界」として切りとるのに苦心したと振り返っている[8]

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

  • ED「HOLD ME IN THE SHADOW」(歌:当山ひとみ、作詞:竜真知子、作曲:井田良広、編曲:京田誠一)
  • 挿入歌「IT'S NOT EASY」(歌/作詞:当山ひとみ、作曲:都志見隆、編曲:京田誠一)

評価[編集]

アニメ研究家の氷川竜介は、アニメ映画版について、「大人向けのエロス&バイオレンスを濃厚に描いた点で画期的な作品となった。」と2018年のコラムの中で評価し、後世に与えた影響も大きいとしている[4]。 また氷川は、同作では「闇の世界との闘い」を表現するためにキャラクターの陰影や背景に黒が多用されている点についても触れ、当時タブー視されていたこの手法が使われた点においても画期的な作品だったと評価している[4]

実写版[編集]

妖獣都市 〜香港魔界篇〜』(原題:妖獸都市、英題:The Wicked City)のタイトルで1992年平成4年)に映画化された。

プロデューサーは香港映画の巨匠といわれるツイ・ハーク[9]。香港映画の特徴である銃撃戦やワイヤーアクションのほか、ジャンボジェット機上の格闘シーンでのミニチュアワークや時計部品が飛び散るシーンでのセルアニメーション、妖獣や元大宗の特殊メイクなど多彩な特殊技術が用いられている[9]

日本映画の大ファンである監督のマック・タイ・キットは、本作公開の際に来日し東映のヤクザ映画のビデオを大量に購入している[9]

スタッフ[編集]

登場人物[編集]

  • 滝(演:レオン・ライ
    • 香港の闇ガード部隊の隊員。表向きは家電品のセールスマン
  • 郢国強ケン(演:ジャッキー・チュン
    • 香港の闇ガード部隊の隊員。滝の相棒。人間と妖獣のハーフ。
  • 元大宗(演:仲代達矢
  • 幻姫(演:ミッシェル・リー
  • 加山隊長(演:ユエン・ウーピン
  • 衆道シュドー(演:ロイ・チョン
  • 紫羅シーラ(演:カルメン・リー
  • 蜘蛛女(演:葉山レイコ

漫画作品[編集]

SFアドベンチャー増刊 1986年11月号 夢枕獏vs菊地秀行ジョイント・マガジン 妖魔獣鬼譚[10][11]』誌上において掲載された来留間慎一による漫画「闇の邂逅」で、滝と麻紀絵が夢枕獏の小説『闇狩り師』シリーズの登場人物である九十九乱蔵・玄角と共演している。後に来留間慎一の漫画単行本『闇狩り師』に収録された。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d Wicked City (1987)”. IMDb(Company Credits). Amazon.com. 2020年6月11日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Wicked City (1987)”. IMDb(Release Info). Amazon.com. 2020年6月11日閲覧。
  3. ^ Wicked City (1987)”. IMDb(Technical Specifications). Amazon.com. 2020年6月12日閲覧。
  4. ^ a b c 【氷川教授の「アニメに歴史あり」】第11回 純黒の闇表現”. アニメハック (2018年12月30日). 2021年8月17日閲覧。
  5. ^ Lepe, Santiago Reveco (2020年2月15日). “I think Ginzo Matsuo and Bin Shimada voiced the demons.” (英語). @SantiagoReveco. 2020年2月23日閲覧。
  6. ^ a b Lepe, Santiago Reveco (2020年2月15日). “I think it's Seiko Nakano and Kenichi Ogata for Taki's co-workers and Naoko Watanabe for the secretary.” (英語). @SantiagoReveco. 2020年2月23日閲覧。
  7. ^ Lepe, Santiago Reveco (2020年2月15日). “After doing some research, it says that Masato Hirano voiced a doctor. I think Bin Shimada voiced Mr. Shadow's thugs.” (英語). @SantiagoReveco. 2020年2月23日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i クリエイターズ・セレクションVol.16 監督:川尻善昭 インタビュー”. バンダイチャンネル (2014年11月25日). 2021年8月17日閲覧。
  9. ^ a b c d 石井博士ほか『日本特撮・幻想映画全集』勁文社、1997年、360頁。ISBN 4766927060
  10. ^ 夢枕獏vs菊地秀行ジョイント・マガジン 妖魔獣鬼譚”. 新井素子研究会. 2009年8月31日閲覧。
  11. ^ SFアドベンチャー増刊 リスト”. 翻訳アンソロジー/雑誌リスト. 2009年8月31日閲覧。

外部リンク[編集]