喧嘩ラーメン

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喧嘩ラーメン』(けんかラーメン)は、土山しげるによる日本漫画作品。

概要・解説[編集]

週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)にて、1995年6月から1998年7月まで連載。ヤクザ・アウトローを題材にした劇画作品が多かった作者にとって初のグルメ漫画であり、ひさしぶりの原作者なしの単独作と思われる。

連載初期は作者がそれまで得意としていたヤクザ漫画と同様にバイオレンス要素が強くヤクザが絡んできたりしたが、すぐにそういう要素は薄くなった。本作品からの特徴として、主人公が旅をしながら、物語が展開するというロードムービー的手法を用いており、豪快かつ、けれんみあふれる演出とともに土山ワールドともいえる手法がほぼ確立した[1]。とはいえ、のちの作品とともに主人公がアウトローということには変わりなく、食を題材とした股旅物といえるのかも知れない。

単行本は日本文芸社より全17巻。またコンビニ向け廉価コミックも名古屋・岐阜編、広島編などのように区切りごとに出されている。

あらすじ[編集]

主人公・源田義経は市内の暴走族の総長にして、M市随一といわれるラーメンの名店「がんてつラーメン」の息子。しかしその店主である父は無理がたたって入院してしまうが、ラーメンチェーン店の陰謀に巻き込まれて勝負を余儀なくされてしまう。義経はその対決に勝利するが、相手の凄腕ラーメン職人・牛嶋の作った次世代指向のとんこつラーメンを食べて衝撃を受ける。次世代のラーメンはとんこつにあり、ということ知った義経は、西へ向けて修行の旅に出る。

登場人物[編集]

登場人物の名前は、源平合戦や戦国武将から取られているものが多い。

源田義経
本編の主人公。リーゼント頭がトレードマークの暴走族「沙羅満陀」の総長で、実家は関東にあるM市にあるラーメン屋「がんてつラーメン」。短気な熱血漢で少々暴走することもある乱暴な一面があるが、基本的に困っている人間を見るとほっとけない人情あふれる青年である。しかし、実家のラーメン屋を宣伝しようと父に相談もなくマスコミを呼び出してしまい、激怒した父が諍いを起こしてしまう。その騒動が原因で、父は右手を駄目にしてしまいラーメンが作れなくなってしまう。しばらくは父の代わりに義経が店を切り盛りしていたが、ラーメン作りの面白さに目覚め九州へ向けて修行の旅に出る。下戸であり、缶ビール1本で潰れてしまう。
ことラーメンに関しては並々ならぬ情熱を持っており、スープやタレならば多少複雑でも一度食せばその構造を看破し、麺打ちに関しては美蘭が半年かけて習得した拉麺打ちの技術を数日でマスター、さらに思いもよらない食材・常識はずれの具材を用いて誰もが感服するラーメンを数日で完成させるなど、類稀なるセンスを持つ。そうでありながら新しい味や技術の習得に貪欲で、牛嶋が作り円城寺がブームを予言したトンコツラーメンを会得するためすぐさま修行に旅立ち、その道中でも横浜・静岡・岐阜・広島・博多・鹿児島とありとあらゆる場所で新たなラーメンと新たなブームをもたらしている。
トンコツラーメンの本場博多にて元祖たる久留米ラーメンを打ち破り、究極のトンコツラーメン「一番搾りラーメン」を完成させる。その味を手に故郷M市へ凱旋、自身が離れている内にトンコツブームが到来していたことを確認し「自分の本物のトンコツラーメンでM市で一番になる」と意気込んだが、越えるべき目標と思っていた父が引退、しかも自身にトンコツラーメンを教えた牛嶋が父のラーメンを本物と認め父に弟子入りしていたことを知り急遽路線を変更。がんてつラーメンと同じ店から仕入れながら違う材料を使い、さらにより美味い醤油ラーメンを作るという条件を自らに課した。それにより完成したラーメンは、「スープで食べさせる」トンコツラーメンの手法と「タレで食べさせる」トンコツ以前のラーメンの手法を進化・融合させたもので、円城寺をして上着を脱ぐのも袖まくりも忘れるほど無我夢中にせしめ「究極の醤油ラーメン」という言葉を引き出した。全国のありとあらゆる店を渡り歩いてきた牛嶋もその場で修行のやり直しを決意するほどのそのラーメンは父・巌鉄からも言葉を失わせた。義経に究極のラーメン職人像を見た円城寺は東京の一等地での出店の全面バックアップを申し出たが、義経はその申し出を蹴り、屋号をよしつねラーメンと再び改称し、M市での営業を続けることを選ぶ。
名前の由来は、平安時代武将である源義経から。父とは不仲だが、夭折した母親のことは今でも大事に思っている。
喰いしん坊!」にも、彼そっくりのキャラ「とんこつラーメン『よしつね』店主」が登場している。
源田巌鉄
義経の父で、「がんてつラーメン」店主。煮えたぎった鍋に素手を突っ込んで麺上げをするという技を持つ。職人としての腕は、周辺のラーメン店からも高く評価されている。職人気質で頑固な性格であり、派手な装飾やマスコミ露出を嫌っている。腕を怪我してからは療養生活に入っている。
オリジナルビデオ版では鉄五郎という名前になっている。
義経の母
義経の母で、巌鉄の妻。夫の巌鉄と一緒に「がんてつラーメン」を切り盛りしていたが、病気で倒れる。巌鉄は「妻に最高のラーメンを食べさせたい」と味の研究に没頭していたが、完成したちょうどそのときに亡くなり、死に目に会うことができなかった。母の死について、義経は「母を過重に働かせたことで死なせた」「病気で倒れても放置してラーメンばかり作っていた」と巌鉄を強く非難している。
レミ
レディース(女性暴走族)「女豹会」ヘッドで、義経の彼女。義経に強引にさらわれて付き合うようになる。父親は不動産会社を経営する暴力団組長で、暴力団相手にも物怖じしない義経の度胸に惚れ込んでいる。
ご隠居
「がんてつラーメン」常連の老人。義経にラーメン作りを指南する。
西山
「がんてつラーメン」に麺を卸している「西山製麺所」社長。製麺機が壊れてからは、義経に手打ち麺の作り方を教える。自身も手打ちができるが、加齢に伴う体力低下により、コシの弱い麺しか作れなくなっている。
鳥きんの主人
鳥肉専門の精肉店「鳥きん」の店主。「がんてつラーメン」にスープ用の鳥肉を卸している。巌鉄と同じく頑固な性格で、若いときは衝突が絶えなかったが、今は固い友情で結ばれている。女好きで、食材を扱うときは「女体を扱うように優しく丁寧に」と義経に指導する。
円城寺
有名なラーメン評論家。美味いと思い「食べる価値がある!」と認めたラーメンを食べる時は服の袖をまくる。その姿は「まくり食い」と呼ばれている。円城寺にまくり食いをされたラーメン屋は必ず繁盛すると言われている。
牛嶋
巨体のラーメン職人。豚骨ラーメン作りを得意とし、義経がラーメン修行の旅に出るきっかけを与える[2]。二十年に渡り各地を渡り歩きこれはと思う店には飛び入りでテコ入れをし、技術を習得すると共にA級店としての大繁盛をもたらし続けた伝説の職人。初登場時は大番屋の一支店の店長で、鋭敏な味覚を持つもその才能を金儲けのためにのみ使う金の亡者として描かれ、粗暴な性格で店の従業員への暴力や理不尽な解雇などが絶えなかった。しかし義経とのラーメン勝負を通してラーメン職人としての矜持を取り戻し、ラーメン勝負に勝った義経に敗北感を与えながら修行の旅に出る。岐阜「あけち屋」にて八丁味噌を用いたものでは究極とも言えるラーメンを創り出すが、織田の策謀でそこを去ることになる。その後も広島にて平瀬清盛がかつて拉麺打ちを教えた人物として名が出るが、次に登場したのは最終章・がんてつラーメンにおいてである。全国を渡り歩き本物のラーメンを探し求めていた牛嶋が最後に辿り着いたのはかつて「古くさい」とこき下ろしたがんてつラーメンであった。巌鉄に弟子入りを所望するが、すでに店をたたんでいた巌鉄の気持ちは動かし難く、店を開く許可が出たのは義経帰郷の前日であった。完璧に再現された巌鉄ラーメンは円城寺にマクリ食いをさせるが、直後に円城寺が袖まくりすらせずに完食した義経の究極の醤油ラーメンに完敗を宣言。「新しいラーメンは探し出すのではなく自分で創り出すもの」と確信し、再び修行の旅に出た。
濱口龍之介
横浜の老舗ラーメン店「濱龍」2代目店主。昔ながらの醤油ラーメンを作る父親に反発し、独立して豚骨ラーメンの店「若龍」を出し、人気店となる。しかし失火で店が全焼し、仕方なく「濱龍」の跡を継ぐが、ラーメン作りの情熱を失いまずいラーメンしか作れなくなっていた。「Hama竜」から廃業するように圧力をかけられるが、義経たちの協力で豚骨スープの醤油ラーメンを完成させる。
竜神拓也
横浜の新興ラーメンチェーン「Hama竜」オーナー。資産家の三男で、ビジネスとしてラーメンに目をつける。おしゃれな店構えと圧力鍋で作ったスープの豚骨ラーメンが人気だが、非常に冷徹で傲慢な性格。店名が似ている「濱龍」を潰そうと画策する。店の従業員を使って濱口を車で轢き逃げして怪我を負わせるなど、残忍で卑怯な手も辞さない。しかし、両手で何人分ものラーメンをめまぐるしい速さで調理するなど、職人としての実力も低くない。
花岡美佐子
静岡の屋台「大助ラーメン」店主。鰻とラーメンが好物のトラックドライバー、花岡大助の妻だったが、大助は事故死。残された娘の琴美を育てるためと、大助の供養のため、鰻の蒲焼のタレを隠し味にしたラーメンをつくり、ドライバーの間で人気となっている。しかし、地元の食堂兼土産物店「みなとや」から立ち退きを迫られており、更に屋台でのラーメン作りが体力的に負担となっていることで苦悩している。当初は義経にラーメン作りを教えていたが、後に「みなとや」のラーメンコーナーを自由に使えるという賞品を賭けて「みなとや」側についた義経と勝負することになる。
徳川
岐阜の弱小ラーメン店「ラーメン徳川」店主。ナヨナヨしていて、ラーメン作りはほぼ素人。味噌汁に中華麺を放り込んだだけの粗悪なラーメンしか作れなかったが、「麺ランドパーク」岐阜代表になるべく、義経たちと奮闘。赤味噌を練り込んだ麺と塩味のスープのラーメンで勝負に挑む。「麺ランドパーク」主催者の娘と密かに交際している。
平瀬清盛
広島ラーメンの店「あたりや」店主。母親の違う3人の息子がいる。長男は煮干しを使ったスープ作り、次男は手打ちでの麺作り、三男は窯焼き叉焼などの具作りが得意だが、3人とも「自分が1番」といがみ合っている。息子たちを和解させるため、敢えて義経をけしかけて勝負させる。

オリジナルビデオ版[編集]

1996年ケイエスエスの製作にて「メン道一代 喧嘩ラーメン」のタイトルでオリジナルビデオ版がリリースされた。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

References[編集]