同時代

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同時代どうじだい)は、エッセイ、評論、研究、詩の伝統ある同人雑誌。

歴史[編集]

1948年、フランスの『Le temps moderne』誌及び『N.R.F.』誌にならい、哲学者の矢内原伊作、フランス文学者の宇佐見英治らを中心に創刊された。7号をもって終刊となったが、1955年、上記2名に詩人・評論家の宗左近、国文学者の安川定男、ドイツ文学者の吉村博次、フランス文学者の齋藤磯雄曽根元吉らが加わり、第2次『同時代』が刊行された。矢内原伊作ら物故し1993年に再度終刊。3年後の1996年に第3次『同時代』が発足し2016年まで発行された[1]

主な同人には、作家となった小島信夫、詩人・哲学者の串田孫一、詩人の辻まこと有田忠郎山崎栄治伊藤海彦池崇一、英文学者の加島祥造齋藤和明、フランス文学者の村上光彦谷口正子および吉田加南子、ロシア文学者の内村剛介、近代インド文学・インド研究者の森本達雄、詩人・日本近代文学者の原子朗、文芸評論家の高橋世織らなどが参加[2]

同人構成(第3次)は、編集長をドイツ文学者の富田裕、編集委員をフランス文学者・詩人の清水茂、ロシア文学者の川崎浹、英文学者の和田旦、日本文学者の影山恒男、建築家・詩人の長尾重武、詩人の布川鴇北岡淳子方喰あい子、俳人の高橋博夫、美術史家・エッセイストの岡村嘉子が務め、さらに、英文学者の森常治、アメリカ文学者の堀内正規、インド学者の森本素世子、ロシア文学者・詩人の工藤正廣、ドイツ文学者の保坂一夫川中子義勝、日本文学者の大川公一、詩人の日高てる、作曲家の藤井喬梓ら28名が同人として参加している[3]

上記以外にも、瀧口修造中村真一郎佐岐えりぬ福永武彦尾崎喜八矢代秋雄富士川英郎阿部良雄吉原幸子三好豊一郎志村ふくみ堀多恵子堀江敏幸野見山暁治新川和江神品芳夫酒井忠康山崎剛太郎など、特集テーマに沿って同誌に寄稿した人物は数多い。

また同誌は、アルベルト・ジャコメッティイヴ・ボヌフォワなど同人との親交を通じ、海外のエッセイや詩が、同人による翻訳でいち早く掲載されることでも知られている。

国内外に購読者、定期購読者を有し、年2回の本誌刊行の他、同人による講演会やシンポジウム、同人ゆかりの音楽家によるコンサートなどのイベントを年に一度行った。

発行元は、法政大学出版局(多くの同人が在職していた)などを経て、東京都豊島区の舷燈社「黒の会」が行っていたが、第三次 『同時代』 第41号(2016年12月発行)を持って一旦活動を終了した。

現在の活動[編集]

2020年2月、第4次『同時代』が創刊。編集代表を川崎浹、編集を小野民樹、中村邦生長尾重武、福井信彦が務めた。年2回の『同時代』刊行の他、『黒の会手帖』も適宜発行している。

他に保坂一夫、鈴木稔、奈賀悟、西元直子、武藤剛史、小澤京子、熊谷のぶよし、大倉宏、井上志津、種田元晴、坂口顕、冨岡悦子、當眞嗣人、宇佐見森吉、伊勢功治、小町直美、千葉一幹、岡村嘉子、蓜島亘、澤井繁男、宇佐美多佳子らが同人として参加している[4]

脚注[編集]

  1. ^ 清水茂『詩と思想』320号、2013年8月、土曜美術出版販売、pp.2-4
  2. ^ 『同時代』第2次第43号、1984年3月、法政大学出版局、pp.71
  3. ^ 『同時代』第3次34号、2013年6月、舷燈社、pp.153
  4. ^ 『同時代』第4次創刊号、2020年2月、黒の会、pp.182-183

出典[編集]

  • 清水茂『詩と思想』320号、2013年8月、土曜美術出版販売、pp.2-4
  • 村上光彦「黒い微笑の原点」『同時代』16号、2004年6月、黒の会、p.12
  • 安川定男「特集号の思い出」『同時代』16号、2004年6月、黒の会、pp.14-15
  • 清水茂「『同時代』について」同時代ホームページ

外部リンク[編集]

関連項目[編集]