新川和江
しんかわ かずえ 新川 和江 | |
---|---|
生誕 |
1929年4月22日 日本・茨城県結城市 |
死没 | 2024年8月10日(95歳没) |
国籍 | 日本 |
出身校 | 茨城県立結城高等女学校 |
職業 | 詩人 |
子供 | 新川博 |
新川 和江(しんかわ かずえ、1929年4月22日 - 2024年8月10日)は、日本の詩人。
西條八十に師事。第1詩集『睡り椅子』(1953年)を刊行し、詩誌「地球」の同人となった。愛情にあふれた詩風が特徴。作品に『ローマの秋・その他』(1965年)、『ひきわり麦抄』(1986年)、『いつもどこかで』(1999年)、『記憶する水』(2007年)など。
略歴
[編集]茨城県結城市出身。県立結城高等女学校(のちの茨城県立結城第二高等学校)卒業。小学校のころより野口雨情などの童謡に親しみ、定型詩などを作る文学少女だった。女学校在学中、近くに疎開してきた詩人の西條八十に詩の手ほどきを受けた。
卒業して17歳で新川淳と結婚後、上京し、詩の投稿を始める。1953年、最初の詩集『睡り椅子』を刊行。新鮮で自由な感覚で、母性愛や男女のさまざまな愛の姿をうたう。巧みに使われる比喩表現が特徴。1983年、女性のための季刊詩誌「現代詩ラ・メール」を吉原幸子と共に創刊。1993年の終刊まで女性詩人の活動を支援した。輩出したラ・メール新人賞の受賞者には鈴木ユリイカ、小池昌代、岬多可子、高塚かず子、宮尾節子らがいる。
その詩は多くの作曲家によって歌にされており、中には息子の博の手によるものもある。飯沼信義「うつくしい鐘が…」や鈴木輝昭「良寛」のように、作曲家のために詩を書き下ろしたものも少なくない。
長く『産経新聞』の『朝の詩(うた)』の選者を務め、常連の投稿者の一人である柴田トヨを高く評価していた。
2001年(平成13年)3月、結城市名誉市民表彰を受け、2004年(平成16年)5月に開館したゆうき図書館の名誉館長に就任した[1]。
2024年(令和6年)8月10日に死去[2]。95歳没。
受賞歴
[編集]- 1960年 『季節の花詩集』第9回小学館文学賞受賞。
- 1965年 『ローマの秋・その他』第5回室生犀星詩人賞受賞。
- 1987年 『ひきわり麦抄』で第5回現代詩人賞受賞。
- 1992年 『星のおしごと』第22回日本童謡賞受賞。
- 1993年 『潮の庭から』(加島祥造共著)で第3回丸山豊記念現代詩賞受賞。
- 1998年 『けさの陽に』で第13回詩歌文学館賞受賞。
- 1999年 『はたはたと頁がめくれ…』をはじめとする全業績に対して第37回藤村記念歴程賞受賞。
- 2000年 『いつもどこかで』で第47回産経児童出版文化賞JR賞受賞。
- 2000年 勲四等瑞宝章受章[3]
- 2007年 『記憶する水』で第25回現代詩花椿賞受賞。
- 2008年 『記憶する水』で第15回]丸山薫賞受賞。
著書
[編集]単著
[編集]- 『睡り椅子』(プレイアド発行所) 1953
- 『絵本「永遠」新川和江詩集』(地球社) 1959
- 『ローマの秋・その他』(思潮社) 1965
- 『かわいい魔女』(新書館) 1966
- 『わたしの愛は…』(新書館) 1968
- 『ひとりで街をゆくときも』(新書館) 1969
- 『恋人たち 詩集』(サンリオ山梨シルクセンター出版部) 1971
- 『草いちご』(山梨シルクセンター出版部) 1972
- 『明日のりんご』(新書館) 1973
- 『海と愛 新川和江詩集』(山梨シルクセンター出版部) 1973
- 『土へのオード13』(サンリオ出版、現代女性詩人叢書) 1974
- 『キュリー夫人』(教育出版、小学6年生国語教科書)1974[4]
- 『新川和江詩集』(思潮社、現代詩文庫) 1975
- 『花ろうそくをともす日 詩集結婚』(サンリオ出版) 1975
- 『野のまつり』(教育出版センター、少年少女の詩集シリーズ) 1978
- 『愛がひとつの林檎なら 季節の恋詩』(大和書房) 1978
- 『火へのオード18』(紫陽社) 1977
- 『夢のうちそと』(花神社) 1979
- 『水へのオード16』(花神社) 1980
- 『渚にて 新川和江詩集』(沖積舎) 1982
- 『花嫁の財布』(文化出版局) 1983
- 『新選新川和江詩集』(思潮社、新選現代詩文庫) 1983
- 『朝の詩』(花神社) 1983
- 『ヤァ! ヤナギの木』(教育出版センター、ジュニア・ポエム双書) 1985
- 『いっしょけんめい 母と子の詩』(フレーベル館) 1985
- 『ひきわり麦抄』(花神社) 1986
- 『朝ごとに生まれよ、私』(海竜社) 1986
- 『新川和江文庫』全5巻 (花神社) 1988 - 1989
- 『いなかのあいさつ』(教育出版、小学6年生国語教科書)1989[5]
- 『はね橋』(花神社) 1990
- 『春とおないどし』(花神社) 1991
- 『星のおしごと』(大日本図書、小さい詩集) 1991
- 『続・新川和江詩集』(思潮社、現代詩文庫) 1995
- 『わたしを束ねないで』(ザイロ) 1996
- 『けさの陽に』(花神社) 1997
- 『地球よ』(岩崎書店、美しい日本の詩歌) 1997
- 『わたしは、此処』(花神社) 1999
- 『いつもどこかで』(大日本図書、詩を読もう!) 1999
- 『はたはたと頁がめくれ…』(花神社) 1999
- 『新川和江全詩集』(花神社) 2000
- 『これはこれは』(野見山暁治絵、玲風書房) 2000
- 『お母さんのきもち』(小学館) 2001
- 『生きる理由』(花神社) 2002
- 『それから光がきた』(理論社、詩と歩こう) 2004
- 『新川和江詩集』 (ハルキ文庫) 2004
- 『人体詩抄』(玲風書房) 2005
- 『詩の履歴書 「いのち」の詩学』(思潮社、詩の森文庫) 2006
- 『記憶する水』(思潮社) 2007
- 『詩が生まれるとき』(みすず書房) 2009
- 『名づけられた葉なのだから』(大日本図書) 2011
- 『この星で生れた 新川和江少年・少女詩集』 (北溟社、現代詩のプロムナード 別巻) 2010
- 『ブック・エンド』(思潮社) 2013
- 『千度呼べば』(新潮社) 2013
- 『続続・新川和江詩集』(思潮社、現代詩文庫) 2015
共著
[編集]- 『われら中学生』(嶋岡晨共著、毎日新聞社、ヤング・エリート選書) 1969
- 『女たちの名詩集』正・続 (思潮社、ラ・メールブックス) 1992
- 『祝婚のうた』 (小学館) 1993
- 『潮の庭から』(加島祥造共著、花神社) 1993
- 『朝の詩 1982 - 2002 : 父、母、わたしを守ってくれるもの』(編、幻冬舎) 2003
- 『おばさんから子どもたちへ贈る詩の花束 (日本女性2人詩集)』 (水崎野里子共著、ブックウェイ) 2018
その他、児童文学の再話、アンソロジー編纂等多数。
テレビ出演
[編集]脚注
[編集]- ^ 「寄贈された蔵書、詩集など1万冊 詩人新川さんコーナー特設」朝日新聞2004年5月14日付朝刊、茨城版30p
- ^ "「わたしを束ねないで」新川和江さん死去、95歳…戦後を代表する女性詩人". 讀賣新聞オンライン. 読売新聞社. 2024年8月20日. 2024年8月20日閲覧。
- ^ 「秋の叙勲 晴れの受章者 勲四等-勲七等」『読売新聞』2000年11月3日朝刊
- ^ “過去の教科書 - 教育出版”. www.kyoiku-shuppan.co.jp. 2023年10月12日閲覧。
- ^ “過去の教科書 - 教育出版”. www.kyoiku-shuppan.co.jp. 2024年5月31日閲覧。
外部リンク
[編集]- ゆうき図書館 - 結城市名誉市民の新川を名誉館長としており、その寄贈資料を「新川和江コレクション」として展示。
- 新川和江(日本詩人愛唱歌集) - ウェイバックマシン(2019年1月1日アーカイブ分) - 「どの詩に誰が作曲したか」など。