仮性包茎

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仮性包茎(かせいほうけい)とは、陰茎亀頭包皮によって覆われているが、包皮を問題なく翻転させ亀頭を露出させられる状態[1]

仮性包茎は包茎(真性包茎)や嵌頓包茎と異なり医学的には病気ではなく正常な状態であり、手術をする必要性はない[1][2]

1936年には海軍軍医の日下正大勇が、包茎の定義は曖昧であるとしながらも、仮にと断りをつけた上で、「真性包茎 Ecthe Phimosis.」、「仮性包茎 Falsche Phimosis.」 とに大別している[3]Falscheはドイツ語で偽という意味である。日本語文献では1917年の記録までさかのぼることができる[4]false phimosisという英単語は1900年前後の英語の文献において見られる[5]

日本における「仮性包茎」の扱い[編集]

戦前である1899年に、解剖学者・人類学者の足立文太郎は、平常時に亀頭が露出しない状態を「皮被り」と称した。足立は、日本人の間では何故か亀頭が露出していることが普通の状態であるとの誤認があることを指摘している。そして、皮被りを恥じる気持ちを持ち、人の目に触れる場面では翻転し、皮被りではないことを装っているのではないかと推測した[6]

社会学者の澁谷知美は、1970-90年代にかけて出版された雑誌を調査し『包茎でいると,女性に嫌われる,臭い,病気になる,ペニスが成長しない,精神的にコンプレックスになる』といったストーリーが繰り返し続いていると指摘。「医療化された男らしさ」という概念を達成するツールとして、仮性包茎手術が解釈できるという。また、1980年以降、包茎手術がビジネスとして飛躍的に拡大したことの一因として、美容整形外科医の高須克弥の証言を引用し、美容整形業界が「包茎は恥」であるという価値観を捏造したのだという[7]

手術代には健康保険は適用されず、自由診療扱いとなり、全額自己負担となる[2]。日本において、不安やコンプレックスをあおり手術を勧めたりするケースや、高額なオプション契約をせまるケースなど、トラブルになるケースがみられるなど 「コンプレックス商法」のひとつとしてマスメディアにより報道、問題視されることもある[2]

包茎(真性包茎)や嵌頓包茎との違い[編集]

包茎(真性包茎)や嵌頓包茎は、包皮口が狭く、亀頭の露出に困難が生じ、健康保険適用の治療もなされる疾患である[2]。仮性包茎とされる陰茎は、亀頭の露出に困難は生じず、機能的な問題もない正常な状態のため、治療の必要性はなく、包皮切除手術に健康保険は適用されないし、手術の必要性もない[2]。動物は仮性包茎であり、それが生物にとっては自然な状態とも言える。

脚注[編集]

  1. ^ a b 包茎”. 東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター(泌尿器科). 2018年12月19日閲覧。
  2. ^ a b c d e "コンプレックス商法" 男性の注意点”. NHK (2012年2月1日). 2018年8月7日閲覧。
  3. ^ 日下 1936.
  4. ^ 澁谷 2017.
  5. ^ MORSE 1909.
  6. ^ 足立 1899.
  7. ^ 澁谷 2018.

参考文献[編集]

関連項目[編集]