ロールス・ロイス コンウェイ

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RB.80 コンウェイ (RB.80 Conway) は、世界ではじめて実用化されたターボファンエンジンである。 1940年代ロールス・ロイスで開発が始まったが、1950年代末から1960年代初頭にまでの短期間使用されただけだった。コンウェイはハンドレページ ヴィクタービッカース VC-10ボーイング707ダグラス DC-8の一部の機種に使用された。 コンウェイはジェットエンジンに川の名前を付けるというロールス・ロイスの慣例に則り、ウェールズコンウェイ川に由来する。

歴史[編集]

初期のジェットエンジンは、その排気が効率の良い推進に必要とされるそれに比べ高速で、かつ高温だった。この高速高温のエネルギーの一部を回収できればエンジンの経済性が向上する。ターボプロップはその好例で、タービンを多段化して回収したエネルギーをプロペラを回すパワーに使おうというものだった。だがプロペラの効率と飛行速度の両方を一緒に向上させることは難しく、プロペラの効率を損なわずに達成可能な速度は時速800キロメートル程度が上限であった。

バイパスエンジンの基本的な調査は初期のジェットエンジンの設計において既に行われていた。アラン・アーノルド・グリフィス英語版1930年代に既に複数の概念をもっており、ロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメントハイネコンスタント英語版達が軸流式ジェットエンジンで試みた。フランク・ホイットルパワージェッツでも同様に複数の方式が研究された。しかしながら単純で短期間に実戦に投入できるジェットエンジンの開発が優先され、ターボファンエンジンの開発は後回しにされた。第二次世界大戦の終結により優先順位は劇的に変化して、1946年ロールス・ロイス エイヴォンは充分に先進的だったが、さらに先進的なエンジンに新しいバイパスのような概念を開始した。

グリフィスはエイヴォン以外にも他の実験用ジェットエンジンに使用するささやかな実験的な設計であるロールス・ロイス Tweedを提案した。1947年4月、推力5,000 lbf設計ができたが数ヶ月後より高推力の9,250 lbf設計がマーク2はパスファインダーとして知られるビッカース バイカウント爆撃機の動力として必要とされた。より高推力のエンジンは10月にRB.80と名付けられ、生産が始まった。

初期モデル[編集]

量産モデル[編集]

最終モデル[編集]

詳細[編集]

RCo.12 コンウェイは低バイパス比の軸流式ターボファンエンジンでバイパス比は約25%である。7段式の軸流式低圧圧縮機で最初の6段はアルミニウム製で最後の段はチタン製である。さらに9段式の高圧圧縮機の最初の7段はチタン製で最後の2段は鋼鉄製である。バイパスハウジングダクトはチタン製である。燃焼室は10個のカンニュラー式燃焼室である。高圧圧縮機は2段の空冷式タービンで駆動され低圧圧縮機は単段のタービンで駆動される。

エンジンは離陸時の推力17,150 lbfで重量は4,500 lbで燃料消費は0.87である。

派生型[編集]

推力 搭載機
RCo.11 1.00 ハンドレページ ヴィクター B.2
RCo.12 Mk 508 1.01 707 逆推進装置装備
RCo.12 Mk 508A 1.04 707 Uprated Mk 508
RCo.12 Mk 509 1.01 DC-8
RCo.12 Mk 509A 1.04 DC-8 Uprated Mk 509
RCo.17 1.19 ハンドレページ ヴィクター B.2
RCo.42 Mk 540 1.18 VC10
RCo.43 Mk 301 1.26 VC-10 軍用 VC10
RCo.43 Mk 550 1.26 スーパー VC10 8段低圧圧縮器

脚注[編集]

英語版記事参考文献[編集]

  • Kay, Antony, Turbojet, History and Development 1930-1960, Vol 1, Great Britain and Germany, Crowood Press, 2007. ISBN 9781861269126