秋葉原ラジオ会館
秋葉原ラジオ会館新本館 | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
本社所在地 |
日本 〒110-0015 東京都台東区東上野1-14-4 野村不動産上野ビル10階 |
設立 | 1953年12月(創業は1893年) |
業種 | 不動産業 |
法人番号 | 9010001009097 |
事業内容 | 不動産賃貸、書籍出版・販売 |
代表者 | 長野きよみ(代表取締役社長) |
資本金 | 1億円 |
売上高 | 7億3,000万円(2010年4月期) |
従業員数 | 16名 |
決算期 | 毎年4月 |
主要株主 |
5名 (有)七條興産 196,000株 |
関係する人物 | 七條兼三(設立者) |
外部リンク | http://www.akihabara-radiokaikan.co.jp/ |
特記事項:『帝国データバンク会社年鑑 2012 東日本』記載のデータをもとに作成。 |
秋葉原ラジオ会館(あきはばらラジオかいかん)は、株式会社秋葉原ラジオ会館所有の東京都千代田区外神田一丁目にある商業ビル、及びその建て替えに伴う代替ビル群。通称「ラジ館」。株式会社秋葉原ラジオ会館の事業概要は、不動産賃貸、書籍販売・書道関連図書の出版業。もともと1893年創業の西東書房だった。
建物としては1962年竣工の旧ビル、旧ビルを取り壊した跡地に2014年に竣工した新ビルの2つがある。本記事では双方について扱う。
概要
[編集]旧ラジオ会館
[編集]東日本旅客鉄道(JR東日本)秋葉原駅電気街口を南側に出た目の前の正面に設置された「世界の ラジオ会館 秋葉原」(「ラジオ会館」部分が赤文字、それ以外は青文字)と書かれた大きなネオン看板が目立つ、秋葉原の顔ともいうべき建物であった。主に家電、オーディオ、パソコン、コンピュータゲーム、模型、プラモデル、玩具、書籍、VHS・DVDソフト、アマチュア無線機などを販売する店舗がいくつも入居、8階では貸ホール(貸会議室)の営業も行われていた。
「ラジオ」という名称は開業当時は無線機のみならず、電子機器全般の代名詞としても広く用いられていたものであり、秋葉原にある他の「ラジオ」等の名の付く小規模店舗が集まるビルと同じく、当初は戦後占領期にGHQが露店の排除命令を出したことで、行き場を失った電器店の営業拠点の提供を目的に建設された。こうした経緯により開業当初より電気製品・部品を扱う店が多く入居していたが、時代とともに一般家電、オーディオ、パソコンなど入居する店の扱う商品も変化していった。特にパソコンに関しては、日本電気や富士通、日立製作所、東芝、三菱電機といった大手メーカーのショールームが一時期集中していた。Bit-INN LOUNGE(旧・Bit-INN東京)が2001年8月まで入居していたラジオ会館7階には、「パーソナルコンピュータ発祥の地」というプレートが設置されていた[1]。
8階に1893年創業の西東書房があり、『五體字類』など書道関連図書の出版を行っていた(株式会社秋葉原ラジオ会館 出版部 西東書房)。
また創業者の七條兼三が日本将棋連盟・日本棋院の有力支援者であった関係から[2][3]、8階の社長室には和室や日本庭園が設けられ、プロ棋士との対局場としても使われていた[4]。囲碁ライターの三堀将は、秋葉原ラジオ会館の取締役、のち監査役となった[5]。
その後、パソコンメーカーのショールームが次々と撤退、家電やオーディオを扱う店も経営悪化で縮小・撤退し、その空きスペースに漫画、トレーディングカード、ガレージキットなどを扱う店舗が入居していった。
秋葉原のランドマークの一つとして親しまれたラジオ会館であったが、旧本館が築50年近く経過して老朽化が進み、東京都から建物の耐震性の問題が指摘されていた。2010年9月には一部のマスコミで2011年夏に閉館し取り壊すこととなったと報じられ[6]、2011年4月には、同年7月末に閉館し8月に取り壊し工事に着手、2014年春頃に地上10階地下2階の新ビルが完成する計画が発表された[7]。
旧本館は2011年4月より入居店舗が順次移転・閉店し、同年8月4日に丸山無線が閉店したのを最後に全ての店舗の撤退が完了した。
改築期間中
[編集]改築の間、ラジオ会館は周辺の建物に1号館から3号館に分散して営業した。1号館は石丸電気パソコン館跡[8]に2011年6月10日開業。2号館はishimaru soft Jazz & Classic跡[9]に開業、また電気街口北側に3号館として仮設ビルを建設、同年7月16日にボークスの「ホビー天国」として新築開業した。
ただし、移転後は移転前よりも規模が狭くなるため、一部の入居店舗は周辺の別のビルに移転して営業を継続した。
新ラジオ会館
[編集]2014年に建替が完了し、同年7月20日に全館オープンした。当初は、旧本館ビルの入居店舗の多数が新本館ビル完成後に再入居する予定である[7]とされたが、実際に戻るのは半数程度であった。低層階を中心に新たなテナントを誘致[10]し、新本館ビルの1階はすべて新規テナントで構成、地下1階にはラジオ会館史上初となる飲食店が入居することとなった[11]。
一時移転先となっていた1 - 3号館は一部店舗を残したまま「別館」という扱いとなったが、残った店舗も順次別のビルなどに移転、さらに3号館のボークスホビー天国は1号館を全館借り上げる形で移転することとなった[12]。3号館はもともと仮設の建物だったため解体され一時駐車場となっていたが、再開発が行われダイビルにより商業ビルの「BiTO AKIBA」が2019年11月15日にオープンしている。2号館はしばらく空き家のままであったが、2016年7月16日に「アニメイト AKIBAガールズステーション」が開業している。
法人として
[編集]出版部門として西東書房[注 2]があるほか、江東区白河にて書店BOOKSりんご屋を運営している。
なお、「ラジオ会館」「ラジ館」の名称でECモール運営・フリーペーパーの発行・イベント企画などを行っている「株式会社ラジオ会館」は、2011年に設立された別の法人である[13][14]。
沿革
[編集]- 1950年(昭和25年) - 秋葉原ラジオ会館が開業[注 3][注 4]。
- 1953年(昭和28年)
- 1962年(昭和37年)11月 - 既存の秋葉原ラジオ会館の南側に、8階建ての秋葉原ラジオ会館電化ビルを建設[16]。同ビルは秋葉原電気街初の高層ビルであった[17][注 7]。
- 1972年(昭和47年)5月 - 北側の2棟を取り壊し、新たに8階建ての秋葉原ラジオ会館新館を建設[18]。南側のビルと合体し、秋葉原ラジオ会館本館が完成[19][17]。
- 1976年(昭和51年)
- 1998年(平成10年) - K-BOOKS、海洋堂、ボークスが出店[22]。
- 2000年(平成12年)12月 - 漫画、ガレージキットなどの専門店が店舗フロアの半分を占める[23]。
- 2001年(平成13年)
- 2006年(平成18年)8月18日 - サトームセンラジオ会館1F1号店が閉店。同社の店舗がラジオ会館から撤退[25]。
- 2011年(平成23年)
- 2012年(平成24年)
- 3月7日 - 旧本館正面のネオン看板が解体される。
- 6月4日 - 株式会社ラジオ会館が運営するラジオ局『ラジカメSTATION!』が開局[27]。ラジオ会館1号館壁部に街頭ビジョン「ラジカメVISION」が設置され、映像配信された。(2014年3月に終了。)
- 2014年(平成26年)
新本館の入居店舗
[編集]下記は2024年9月9日時点の店舗一覧。
- 地下1階
- 銀座ライオン
- 1階
- 2階
- アストップ(ラジオ会館1号館より移転)
- トモカ電気 プロショップ(ラジオ会館2号館より移転)
- ハビコロ玩具(ラジオ会館1号館より移転)
- カードショップ買賊王(ラジオ会館1号館より移転)
- ホビーステーション(ラジオ会館1号館より移転)
- とら(の)あな2nd PREMIUM 秋葉原ラジオ会館出張所
- 3階
- K-BOOKS 秋葉原本館・MEN'S館(AKIBAカルチャーズZONEより移転)
- 4階
- あみあみ 秋葉原ラジオ会館店
- 5階
- アキバのエックス ラジ館店
- IN・PuLse(ラジオ会館1号館より移転)2024年6月30日閉店(廃業)
- 宇宙船(ラジオ会館1号館より移転)
- 海洋堂 ホビーロビー東京(ラジオ会館1号館より移転)
- 清進商会(ラジオ会館1号館より移転)2019年3月31日閉店
- ドーリーテリア秋葉原ラジオ会館店 2019年5月20日オープン(清進商会跡地?)
- TRIO 2024年5月6日に閉店
- ROBOTROBOT 2023年2月19日閉店
- 若松通商(ラジオ会館1号館より移転)
- magi 秋葉原ラジオ会館店(ROBOTROBOT跡地に2023年3月17日オープン)
- らしんばん秋葉原ラジオ会館店(TRIO、IN・PuLse跡地に2024年8月8日オープン)
- 6階
- イエローサブマリン 秋葉原本店★ミント(ラジオ会館1号館より移転)
- 7階
- アゾンレーベルショップ秋葉原(ラジオ会館1号館より移転)
- ジャングル
- トレカパーク AKIBAラジ館7店
- FEWTURE SHOP AKIBA
- 8階
- ボークス ドールポイント秋葉原(ラジオ会館3号館(ホビー天国)より移転)
- ボークス ホビースクエア秋葉原
- 9階
- BIG MAGIC
- ファントム
- ビリビリAKIBA
- フルコンプ秋葉原ラジオ会館店
- 10階
- イベントスペース
- トモカ電気株式会社 本社・倉庫
別館に入居していた店舗
[編集]下記は2022年までに閉鎖済。
1号館
[編集]- ボークス 秋葉原ホビー天国(2021年5月閉店。同年6月に秋葉原ホビー天国2として移転開業)、現在はダイコクドラッグ秋葉原西口店。
2号館
[編集]- アニメイトAKIBAガールズステーション→秋葉原別館(秋葉原本館に統合)
旧本館の入居店舗
[編集]下記は2011年4月20日現在の旧本館の店舗一覧。
- 1階
- 2階
- アークライト
- ハビコロ玩具
- イエローサブマリン
- ホビーショップ コトブキヤ
- 永保堂
- マックスガレージ
- トモカ電気
- 3階
- K-BOOKS 秋葉原本館・新館
- 4階
- アゾンインターナショナル(仮店舗(湯島)へ一時移転済み)
- 宇宙船
- イエローサブマリン
- 海洋堂
- インパルス
- 若松通商
- 5階
- 株式会社ケイ・ブックス(倉庫)
- 株式会社テレオン(事務所)
- 佐伯無線株式会社(事務所)
- 丸山無線株式会社(事務所)
- 清進商会
- 6階
- トモカ電気株式会社(事務所)
- ボークス
- 7階
- 株式会社アイ・ティー・エス(倉庫・事務所)
- インパルス
- イエローサブマリン
- ボークス
- 8階 ※一般の立入り不可
- 貸ホール
- 株式会社秋葉原ラジオ会館・有限会社七條興産(事務所)
- 秋葉原ラジオ会館共栄会(事務所)
- 西東書房
- 地下1階は駐車場(契約車専用)。
- 屋上は閉鎖されていた。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ この状態の旧ラジカンの建築物模型(プラモデル)は後述の『STEINS;GATE』とのコラボで販売開始されたラジカン限定販売商品として再現され、後年新築開業された新ラジカンでも販売されている。
- ^ 西東書房は、秋葉原ラジオ会館の創業者・七條兼三の祖父七條愷が創業。
- ^ 当時の建物は秋葉原ラジオ会館本館ビルの北西側の一画にあった。棟割り長屋式[15]の木造2階建てで、1階部分に店舗、2階部分は住居・事務所となっており、電気店以外の店舗も多かった[16]
- ^ 開業当初の入居店舗は三和無線、電波堂、清進商会、シャンソン(コーヒー店)、山本長蔵(床屋)、カブト電気、三咲電気、斎藤機工、松見商会、兵藤商店(繊維関係)、佐藤無線、光陽電気、協立無線、十字屋、テレビイ商会、高槻無線電機の計16店舗[16]。
- ^ 後の秋葉原ラジオ会館本館ビルの北東側の一画にあった。木造2階建てで、こちらは1、2階とも店舗スペースであった[16]。
- ^ 別館開業当初の入居店舗は共立無線、真光無線、東陽堂、オリオン電機、日興商事、ライオンライジ、アジア無線、小沢無線、小沢電気商会、岩田エレクトリック、丸山無線、国際テレビジョン、ヤマト無線、文化無線の計14店舗[16]。
- ^ ラジオ会館に展示してあった当時の写真を見ると、屋上には「秋葉原ラジオ会館電化ビル」の看板がある。
- ^ これまで一般人は立ち入ることが出来なかった8階の事務所スペースなどが公開された。
- ^ ゲーム『STEINS;GATE』とのコラボも兼ねており、作品の設定に基づき旧本館の北側壁面にオブジェが設置されたほか、限定グッズ等が販売された。
出典
[編集]- ^ a b “秋葉原ラジオ会館に「パーソナルコンピュータ発祥の地」のプレートを設置”. PC Watch. Impress Watch (2001年9月27日). 2011年4月14日閲覧。
- ^ “将棋界の大旦那「七條兼三」(1)”. 将棋ペンクラブログ (2010年6月29日). 2022年7月17日閲覧。
- ^ 河口俊彦『盤上の人生 盤外の勝負』マイナビ、2012年8月、[要ページ番号]頁。ISBN 978-4-8399-4389-9。
- ^ 林佑樹 (2011年10月28日). “ラジオ会館閉鎖直前の廃墟感溢れる風景100連発!”. ASCII.jp. 角川アスキー総合研究所. 2022年7月17日閲覧。
- ^ 日外アソシエーツ現代人物情報
- ^ 「ラジオ会館 建て替えへ 来夏めど閉館 アキバの顔、半世紀」『東京新聞』中日新聞東京本社(夕刊)、東京、2010年9月22日、9面。
- ^ a b 「建て替え7月末閉館「秋葉原ラジオ会館」 あすから、さよならセール」『東京新聞(朝刊)』中日新聞東京本社、東京、2011年4月14日、22面。
- ^ “ラジオ会館の一時移転先が明らかに「1号館」と「2号館」が6月オープン”. AKIBA PC Hotline!. Impress Watch (2011年4月27日). 2011年4月28日閲覧。
- ^ “秋葉原のラジオ会館、移転先(新館?)の看板ができました”. workshop PCエンジンおしゃれ計画 (2011年5月7日). 2011年5月8日閲覧。
- ^ “【開発】秋葉原ラジオ会館の建て替えが着工、既存テナントの約55%が再入居”. 日経不動産マーケット情報 (2012年6月6日). 2014年2月24日閲覧。
- ^ “秋葉原ラジオ会館に初の飲食店「銀座ライオン」出店へ-老舗店モチーフに”. アキバ経済新聞 (2014年7月11日). 2014年7月14日閲覧。
- ^ “「ボークス 秋葉原ショールーム ホビー天国」、9月30日で移転閉店! ラジオ会館3号館(全3F)からラジオ会館1号館(全9F)へ”. アキバ総研. カカクコム (2014年8月19日). 2022年7月17日閲覧。
- ^ 株式会社ラジオ会館 会社概要 - ウェイバックマシン(2014年6月26日アーカイブ分)
- ^ “株式会社秋葉原ラジオ会館 会社概要”. 2022年7月17日閲覧。
- ^ ラオックス社史 1981, p. 71.
- ^ a b c d e ラジ館 Vol.1 2012, p. 17.
- ^ a b The秋葉原 1982, p. 9.
- ^ ラジ館 Vol.3 2012, p. 22.
- ^ ラジ館 Vol.1 2012.
- ^ ラジ館 Vol.5 2012, p. 36.
- ^ 遠藤諭(2010)、30頁。
- ^ 森川嘉一郎(2008)、40頁。
- ^ 森川嘉一郎(2008)、38-39頁。
- ^ “ラジオ会館が改装、ド派手な「世界の秋葉原」文字入り看板は時代錯誤?”. AKIBA PC Hotline!. Impress Watch (2001年11月3日). 2011年4月20日閲覧。
- ^ “ラジオ会館1階のサトームセンが閉店へ” (2006年8月7日). 2011年4月19日閲覧。
- ^ “ラジオ会館「納涼祭」詳細発表! 丸山無線はしぶとく営業続けるも4日に閉店”. アキバ総研 (2011年8月5日). 2019年1月14日閲覧。
- ^ “「ラジカメSTATION」6月4日(月)より放送開始!”. Excite Japan. 2017年8月9日閲覧。
- ^ 秋葉原ラジオ会館 新本館情報 - ウェイバックマシン(2014年6月25日アーカイブ分)
参考文献
[編集]- 遠藤諭『日本人がコンピュータを作った!』アスキー・メディアワークス、東京〈アスキー新書〉、2010年6月。ISBN 978-4-04-868673-0。
- 日経産業新聞 編『The秋葉原:電子産業の縮図』日本経済新聞社、1982年11月。ISBN 978-4532084387。 NCID BN08424607。OCLC 674212131。全国書誌番号:83008371。
- 森川嘉一郎『趣都の誕生 : 萌える都市アキハバラ』(増補版)幻冬舎、東京、2008年12月。ISBN 978-4-344-41232-3。
- ラオックス株式会社50年史編纂委員会編 編『Laox : passage 1930-1980 history of Laox』ラオックス、1981年10月。 NCID BN05524853。OCLC 675658574。全国書誌番号:21544813。
- 「電気街と共に歩んだ秋葉原ラジオ会館の歴史を振り返る Vol.1」『ラジ館 : アキバの楽しさを歩いて新発見する情報マガジン』2012 February、株式会社ラジオ会館、2012年2月、全国書誌番号:01044462。
- 「電気街と共に歩んだ秋葉原ラジオ会館の歴史を振り返る Vol.3」『ラジ館 : アキバの楽しさを歩いて新発見する情報マガジン』2012 June、株式会社ラジオ会館、2012年6月、全国書誌番号:01044462。
- 「電気街と共に歩んだ秋葉原ラジオ会館の歴史を振り返る Vol.5」『ラジ館 : アキバの楽しさを歩いて新発見する情報マガジン』2012 October、株式会社ラジオ会館、2012年10月、全国書誌番号:01044462。